
介護離職とは
介護離職とは家族や親族の介護を理由に勤め先を退職すること。総務省2022年就業構造基本調査では年間10.6万人が該当。原因・経済的影響・育児介護休業法による防止制度を解説します。
この記事のポイント
介護離職とは、家族や親族の介護を理由に勤めている仕事を辞めることをいいます。総務省「令和4年(2022年)就業構造基本調査」では、過去1年間に介護・看護を理由に離職した人は約10万6,000人で、5年前の前回調査から約7,000人増加しました。育児介護休業法に基づく介護休業・介護休暇・短時間勤務などの両立支援制度を活用することで、離職を防げる場合があります。
目次
介護離職とは|定義と現状
介護離職とは、家族や親族の介護・看護を理由に勤め先を退職することを指します。総務省統計局「就業構造基本調査」が公表する公式な統計区分のひとつで、調査では「過去1年間に前職を離職した者のうち、離職理由が介護・看護のため」と定義されています。
令和4年(2022年)就業構造基本調査によると、2021年10月から2022年9月までの1年間に介護・看護を理由に離職した人は約10万6,000人。平成29年(2017年)の前回調査の約9万9,000人から約7,000人増加し、再び増加に転じました。性別では女性が約75%を占め、年齢層では50代後半から60代前半に集中しています。
介護離職が問題視される背景には、団塊の世代(1947〜1949年生まれ)が後期高齢者となり、介護を担う子世代(団塊ジュニアを含む50代)が働き盛りで企業の中核を担う層と重なることがあります。離職者の経歴・スキルが失われることは、本人のキャリア・収入だけでなく、企業の生産性や日本経済全体にとっても大きな損失となり、介護離職防止は国の重要政策テーマに位置付けられています。
介護離職者数の推移と影響データ
介護・看護を理由とする離職者数(年間)
- 2007年(平成19年調査): 約14万5,000人
- 2012年(平成24年調査): 約10万1,000人
- 2017年(平成29年調査): 約9万9,000人
- 2022年(令和4年調査): 約10万6,000人(前回比+7,000人)
離職後の負担増に関する厚生労働省調査
- 精神面の負担が「増した」と回答: 約64.9%
- 身体面の負担が「増した」と回答: 約56.6%
- 経済面の負担が「増した」と回答: 約74.9%
離職後は介護に専念できる一方で、収入減と社会的孤立により負担がむしろ増加するケースが多いことが、厚労省「仕事と介護の両立に関する労働者調査」で明らかになっています。介護離職を選択する前に、両立支援制度の活用を検討することが推奨されます。
介護離職を防ぐ4つの両立支援制度(育児介護休業法)
育児・介護休業法は、対象家族1人につき次の制度を労働者に保障しています。事業主は申出を拒めません。
1. 介護休業
対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割取得可能。雇用保険から介護休業給付金(賃金の67%相当)が支給されます。
2. 介護休暇
対象家族1人につき年5日(2人以上は年10日)まで、時間単位での取得が可能。通院付き添いやケアマネジャーとの面談などに活用できます。2025年4月の法改正で、継続雇用6か月未満の労働者を労使協定で除外する仕組みが廃止されました。
3. 所定外労働の制限・時間外労働の制限・深夜業の制限
残業・深夜勤務の免除を請求できます。請求後は事業主に拒否権はありません。
4. 短時間勤務等の選択的措置義務
事業主は、短時間勤務制度・フレックスタイム・始業終業時刻の繰上げ繰下げ・介護費用助成のいずれかを措置する義務があります。2025年4月施行の改正でテレワークが努力義務として追加されました。
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介護離職を回避するために実務で押さえる4ステップ
STEP1: 地域包括支援センターに相談する
家族が要介護状態になったら、まず住所地を担当する地域包括支援センターへ。要介護認定の申請からケアマネジャー選定まで無料で支援が受けられます。
STEP2: 勤務先の人事・上司に早めに伝える
2025年4月から、事業主には介護に直面した労働者への個別の周知・意向確認が義務化されました。労働者が40歳に達する年度には、会社から介護休業制度等の情報提供が行われます。「介護に直面したら知らせてほしい」という会社のスタンスを前提に、早めに相談しましょう。
STEP3: 介護休業給付金の見込みを確認する
雇用保険被保険者期間が12か月以上あれば、介護休業中に賃金の67%相当の給付を受けられます。申請はハローワークで、事業主経由が原則です。
STEP4: 介護サービスを使い倒す前提でケアプランを組む
「自分が辞めて介護する」のではなく「サービスを最大限使って働き続ける」前提でケアマネジャーと相談すること。短期入所(ショートステイ)・通所介護・訪問介護の組み合わせで、フルタイム勤務を継続している家族介護者は珍しくありません。
介護離職に関するよくある質問
介護離職に関するよくある質問
Q. 介護離職した場合、失業手当(雇用保険の基本手当)はすぐにもらえますか?
家族の介護を理由とする離職は「特定理由離職者」に該当し、自己都合退職でも給付制限期間(原則2か月)なしで基本手当を受給できます。離職票の離職理由欄を「介護のため」とすることが重要です。
Q. 介護休業と介護休暇の違いは?
介護休業は通算93日のまとまった休み(3回まで分割可)、介護休暇は年5日(2人以上は10日)の時間単位で取得できる短期休暇です。介護休業は給付金あり、介護休暇は法律上は無給(有給扱いは企業判断)という違いもあります。
Q. 介護離職を会社に伝える時期はいつがよいですか?
2025年4月の法改正で、労働者が介護に直面した旨を申し出た場合、事業主は個別に介護休業等の制度を周知し意向を確認する義務を負うようになりました。早期に伝えるほど両立支援策の選択肢が広がります。
Q. 親が遠方在住です。介護休業は使えますか?
同居・別居を問わず、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫が要介護状態にある場合に取得できます。週末通いの遠距離介護でも対象です。
Q. 派遣社員・パートでも介護休業を取得できますか?
有期雇用労働者でも、申出時点で取得開始予定日から93日経過日以後6か月の間に契約満了が明らかでなければ取得可能です。2025年4月の改正で取得要件はさらに緩和されました。
まとめ
介護離職は年間10.6万人(2022年)が直面する社会課題で、女性・50代後半が中心です。離職後は精神・身体・経済すべての面で負担が増す傾向があり、安易な離職選択はおすすめできません。育児介護休業法は介護休業(93日・給付金あり)・介護休暇(年5日)・残業免除・短時間勤務などを保障しており、2025年4月の改正で事業主の周知義務やテレワーク努力義務も加わりました。家族が要介護状態になったら、まず地域包括支援センターと勤務先人事に相談し、介護サービスを最大限活用する前提でケアプランを設計することが、両立とキャリア継続の鍵です。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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