
退院支援とは
退院支援は、入院患者が円滑に在宅や介護施設へ移行できるようにする医療介護連携の取り組み。退院支援看護師(DC看護師)の役割、ケアマネとの連携、入院時情報連携加算・退院・退所加算をやさしく解説します。
この記事のポイント
退院支援とは、入院中の患者が病状や生活状況に応じて、自宅・介護施設・転院先などへ円滑に移行できるよう、医療機関と地域の介護・福祉サービスが連携して行う一連の取り組みです。退院支援看護師(DC看護師)や医療ソーシャルワーカー(MSW)が中心となり、入院早期から退院後の生活設計・サービス調整を進めます。介護現場では退院当日からのケアプラン稼働を支える重要なプロセスです。
目次
退院支援の流れと医療介護連携
退院支援は、入院から退院まで4段階で進みます。①入院時のスクリーニング(要支援者の早期抽出)、②退院支援計画の立案、③退院前カンファレンス(医師・看護師・MSW・ケアマネ・介護職員・家族で実施)、④退院後のフォロー。診療報酬では「入退院支援加算」が、介護報酬では「入院時情報連携加算」「退院・退所加算」が設定され、医療と介護の双方向の情報連携が制度的に評価されています。
厚生労働省「平成30年度診療報酬改定」以降、入退院支援加算の要件として「入院後3日以内のスクリーニング」「7日以内の退院支援計画着手」が定められています。介護現場のケアマネは、入院前から関わっていた利用者の情報を病院へ提供し、退院時には病院から得た情報をケアプラン更新に反映させる責任を負います。
退院支援に関わる主な専門職
- 退院支援看護師(DC看護師/退院支援担当看護師):医学的視点で退院後の医療継続体制を構築。在宅医療・訪問看護への橋渡し役。
- 医療ソーシャルワーカー(MSW):社会福祉の視点で経済面・制度活用面を支援。介護保険申請・施設探しを担当。
- 居宅介護支援事業所のケアマネジャー:退院後のケアプランを作成し、サービス事業所と調整する。
- 地域包括支援センター職員:要支援認定者・地域での見守りが必要な高齢者の退院支援を担当。
- 主治医・看護師・薬剤師・PT/OT/ST:医学的情報提供と退院前指導を担当。
退院前カンファレンスの実務
退院前カンファレンスは、患者の生活再開を成功させる最重要イベントです。実務上のポイントは以下のとおりです。
- 参加者の調整:医師・看護師・MSW・ケアマネ・訪問看護師・PT/OT・福祉用具事業者・家族が参加するのが理想。
- 共有する情報:病状経過・残された医療処置・服薬管理・ADL状況・住環境・家族介護力。
- 退院後の不安への対応:「自宅で誰がインスリン注射を打つか」「夜間オンコールはどうするか」など具体的な懸念事項を全員で詰める。
- 記録:カンファレンス記録は退院後の連携文書として活用。介護報酬「退院・退所加算」算定に必須。
よくある質問
- Q. 退院支援と退院調整は同じ意味ですか?
- A. 厳密には異なります。退院支援はスクリーニングから退院後フォローまでの一連のプロセス全体。退院調整はその中の「サービス事業者調整・転院先確保」など実務面を指す狭義の用語です。広義には同義で使われることも多いです。
- Q. 老健からの退所支援は退院支援と何が違う?
- A. 老健は「在宅復帰のための中間施設」のため、入所時から退所支援が前提となります。介護報酬では「在宅復帰・在宅療養支援機能加算」として評価され、超強化型・在宅強化型などの類型に区分されます。
- Q. 介護職は退院支援にどう関わる?
- A. 訪問介護のサ責・通所介護の管理者は、退院前カンファレンスに参加してサービス受け入れの可否や留意事項を把握します。退院当日の初回サービス提供を成功させるために、事前の情報共有が不可欠です。
まとめ
退院支援は、医療と介護をつなぐ橋渡しの仕組みで、退院支援看護師・MSW・ケアマネが中核を担います。入院から退院までの4段階を通じて、医療継続・生活再構築・サービス調整を同時並行で進めます。介護現場では退院前カンファレンス参加と退院・退所加算の活用が、医療連携品質を高める鍵です。
この用語に関連する記事

訪問看護のリハビリ職訪問、さらなる適正化を議論|厚労省、機能強化型の介護報酬評価も俎上に【2027年度改定・第259回分科会】
厚労省は2026年6月29日の第259回介護給付費分科会で、2027年度介護報酬改定に向け(1)理学療法士等リハビリ職による訪問看護のさらなる適正化、(2)機能強化型訪問看護の介護報酬評価を論点に。いずれも審議中でリハ特化型ステーションや看護職のキャリアへの影響を解説。

日本看護協会、看多機の3割超が赤字と指摘|2027年度改定へ「評価の充実を」要望書を老健局長に提出【2026年6月】
日本看護協会は2026年6月8日、令和9年度(2027年度)介護報酬改定に向けた要望書を厚労省老健局長に提出。看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の36.7%が赤字である実態を示し、評価の充実や退院日・ターミナル期の報酬新設、緊急時短期利用の評価などを求めた。

病院のICT導入に最大8000万円補助、業務効率化が努力義務に|医療従事者の負担軽減へ厚労省が新事業
厚労省が病院のICT導入を最大8000万円補助する新事業を令和8年度に実施。健康保険法等改正案では医療機関の業務効率化が努力義務に。看護師ら医療従事者の負担軽減・働き方改革に何をもたらすか、対象や時期を一次資料で整理します。

在宅酸素療法・COPDの利用者を施設で支える|介護職の観察・呼吸介助・火気管理と看護連携
在宅酸素療法(HOT)やCOPDのある利用者を介護施設で支える介護職向け実務ガイド。SpO2の見方と医行為の境界、増悪サインの観察と記録、呼吸を楽にする体位・介助、火気と感染の管理、息切れに合わせた活動調整、看護師への報告と多職種連携を一次ソースで解説。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。