
排泄支援加算とは
排泄支援加算は、施設入所者の排泄自立を支援し成果が出た場合に算定される介護報酬加算。区分Ⅰ〜Ⅲの単位数・対象施設・LIFE提出・2024年改定のポイントを解説。
この記事のポイント
排泄支援加算とは、施設入所者の排泄状態の改善を多職種で計画的に支援し、成果が出た場合に算定される介護報酬の加算です。区分Ⅰは10単位/月、Ⅱは15単位/月、Ⅲは20単位/月で、いずれかひとつのみ算定でき、LIFEへの3か月ごとのデータ提出が必要です。
目次
排泄支援加算の位置づけと目的
排泄支援加算は、介護保険制度の中で「自立支援・重度化防止」を評価する代表的な加算のひとつです。要介護高齢者は加齢や疾患により排泄動作の一部または全部に介助を要するケースが多く、長期入所のなかで「とりあえずおむつ」「とりあえず尿道カテーテル」となりがちなケアを、本来の自立に近づけることが大きな目標です。
この加算は、入所時に医師または看護師が排泄に介助を要する状態かを評価し、多職種で支援計画を作成・実施し、3か月ごとに評価・見直しを行うプロセスをセットで評価します。さらに、排尿・排便の自立度が改善した場合や、おむつ・尿道カテーテルが不要になった場合には、より高い区分で報酬が支払われる仕組みです。算定はLIFE(科学的介護情報システム)への定期的なデータ提出が前提となっており、施設個別のケアの質を国全体のデータベースで可視化していく科学的介護の中核加算として位置づけられています。算定対象となる施設は、介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・看護小規模多機能型居宅介護で、訪問・通所系サービスは対象外です。
区分別の単位数と算定要件の概要
| 区分 | 単位数 | 主な算定要件 |
|---|---|---|
| 排泄支援加算(Ⅰ) | 10単位/月 | 医師または看護師が入所時等に評価し、3か月に1回評価。多職種で支援計画を作成・実施。LIFEへデータ提出。 |
| 排泄支援加算(Ⅱ) | 15単位/月 | Ⅰの要件に加え、要介護状態区分等を踏まえた排尿・排便の状態が改善、または尿道カテーテルが抜去できた利用者がいること。 |
| 排泄支援加算(Ⅲ) | 20単位/月 | Ⅱの改善要件を満たしたうえで、おむつ使用ありからおむつ使用なしに改善した利用者がいること。 |
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは併算定できず、いずれかひとつのみを算定します。単位数は1人あたり月額で、地域単価(1単位=10円〜11.40円)を乗じて報酬額が決まります。
排泄ケア計画とLIFEデータ提出の流れ
- 入所時評価:医師または看護師が排尿・排便に介助を要する状態か、また尿道カテーテル留置やおむつ使用の有無を評価する。
- 対象者の選定:「要介助」と判定され、適切な介入によって状態の改善が見込まれる利用者を選ぶ。
- 多職種による支援計画の作成:医師・看護師・介護職員・ケアマネジャー・リハビリ職等が協議し、排泄自立に向けたケア計画を作成する。
- 計画に基づくケアの実施:トイレ誘導、骨盤底筋トレーニング、水分・食事調整、座位保持訓練などを継続的に実施。
- 3か月ごとの評価と見直し:医師または看護師が再評価し、計画を更新する。改善状況に応じて区分Ⅱ・Ⅲ算定の可否を判定。
- LIFEへのデータ提出:3か月に1回、排泄に関する評価項目をLIFEに登録し、フィードバックを次の計画に反映する。
2024年度改定での主な変更点
- 尿道カテーテル抜去の評価が追加:従来は排尿・排便の状態改善のみが評価対象だったが、尿道カテーテルを抜去できた場合も区分Ⅱ算定の要件として認められるようになった。
- 評価頻度の短縮:医師または看護師による評価頻度が「6か月に1回」から「3か月に1回」に変更され、計画の見直しサイクルが早まった。
- LIFE提出頻度の統一:他のLIFE関連加算と同じく「3か月に1回」に統一され、入力項目も共通化されて施設の事務負担が軽減された。
- 様式の見直し:科学的介護推進体制加算など他のLIFE関連加算と整合する形で評価様式が整理された。
これらの改定は、現場の介護職員にとっては「ケア計画の見直しが3か月ごとになる」「LIFE入力作業が他の加算とまとめて行いやすくなる」という実務上の影響を意味します。
排泄支援加算に関するよくある質問
- Q. 訪問介護やデイサービスでも算定できますか。
- A. 算定対象は介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・看護小規模多機能型居宅介護に限られます。訪問介護や通所介護は対象外です。
- Q. Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは同時に算定できますか。
- A. 併算定はできません。施設としていずれかひとつの区分を選び、要件を満たした利用者について算定します。
- Q. LIFE提出を怠るとどうなりますか。
- A. LIFEへのデータ提出は算定要件のひとつのため、提出が確認できない場合は算定不可となります。期限内の提出が必須です。
- Q. 介護職員は具体的にどんな業務を担当しますか。
- A. 排泄パターンの記録、トイレ誘導、移乗介助、皮膚状態の観察、排泄ケア計画への意見出しなどが中心です。看護師・リハビリ職と連携して状態の改善を目指します。
- Q. 区分Ⅲを算定するにはどのくらい時間がかかりますか。
- A. 個人差は大きいですが、一般的には骨盤底筋訓練・水分管理・トイレ誘導を3〜6か月継続することでおむつ卒業に至るケースがあります。
まとめ
排泄支援加算は、施設入所者の排泄自立を多職種で支え、成果が出た場合に評価される加算です。区分Ⅰ(10単位)の体制要件から、区分Ⅱ(15単位/状態改善・カテーテル抜去)、区分Ⅲ(20単位/おむつ卒業)へと段階的に評価される設計で、LIFEへのデータ提出が必須です。介護職員にとっては「日々のケアが報酬に反映される」「全国の科学的介護データに自施設の取り組みが組み込まれる」という意義があり、転職先選びでも本加算を算定しているかどうかは、自立支援に注力する施設かを見極める指標のひとつになります。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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