
自己都合退職とは
自己都合退職は労働者の意思による退職。失業給付に2か月の給付制限あり。特定理由離職者への切替で待期解除も可能。
この記事のポイント
自己都合退職は、労働者の意思や事情により退職することで、転職・キャリアアップ・家庭事情・体調不良などが該当します。失業給付(雇用保険の基本手当)は7日間の待期期間に加え2か月の給付制限期間を経てから支給開始(2020年10月改正)。退職金算定でも会社都合より係数が低くなるのが一般的(係数0.5〜0.7程度)。ただし「特定理由離職者」として認められれば給付制限が解除される救済制度があります。
目次
自己都合退職の主な事由と取扱い
自己都合退職に分類される事由は次の通り。理由により失業給付と退職金の取扱いが変わります。
典型的な自己都合退職事由
- キャリアアップ転職
- 結婚・出産・育児
- 家族の介護
- 体調不良(軽度)
- 給与・待遇への不満
- 仕事内容のミスマッチ
- 引越(自己の都合)
失業給付の取扱い
7日間の待期期間+2か月の給付制限期間(2020年10月以降の改正で3か月→2か月に短縮)。給付制限期間中は基本手当が出ないため、退職から実質3か月後に初回支給。給付日数は被保険者期間に応じて90〜150日。
退職金の取扱い
多くの事業所で会社都合より低めの係数。中退共・WAM退職共済は一律の算定式のため自己都合・会社都合の差は少ないが、自己積立型では差が大きい。
「特定理由離職者」への切替で待期解除
自己都合退職でも、次のような「正当な理由」がある場合は「特定理由離職者」として認定され、給付制限期間が解除されます。介護現場でよくある事例。
- 体調不良で勤務継続困難:医師の診断書あり。腰痛・うつ等
- 家族の介護のため離職:同居家族の介護で1日4時間以上等の理由
- 出産・育児で勤務継続困難:保育園が見つからない等
- 結婚に伴う住所変更で通勤困難:通勤2時間以上等
- 事業所のハラスメント:パワハラ・セクハラ・ケアハラ
- 賃金未払・遅配:3か月以上の未払
- 事業所の運営方針への重大な意見相違:ケアの方向性での対立等
これらは退職時にハローワークで申告し、関連書類(診断書・給与明細等)を提出することで特定理由離職者の認定を受けられます。認定されれば給付制限なく7日後から基本手当が支給される。
円満退職と権利確保の両立フロー
1. 退職前に「特定理由離職者」該当性を確認
退職事由が自己都合に見えても、医師診断書・家族の要介護認定書・ハラスメント記録があれば特定理由離職者になれる可能性。退職前にハローワーク窓口で事前相談できます。
2. 退職時に必要書類を会社からもらう
離職票(離職証明書)・雇用保険被保険者証・健康保険資格喪失証明書・源泉徴収票・退職証明書。離職票は退職後10日以内に会社が発行する義務(雇用保険法第76条)。
3. 退職後10日以内にハローワーク手続き
離職票が届いたら最寄りハローワークで求職申込+失業給付申請。待期期間は申請から7日。給付制限期間は自己都合で2か月、特定理由離職者は0か月。
4. 国民健康保険・国民年金への切替
退職後14日以内に市区町村役所で手続き。前職の健康保険を「任意継続」する選択肢もある(最大2年)。
5. 失業給付受給中は求職活動が義務
給付期間中、4週間に1回の認定日にハローワークで求職活動報告。介護分野で再就職する場合、介護専門エージェントを使うのが効率的。
自己都合退職のよくある質問
Q. 自己都合と会社都合のどちらが有利ですか?
A. 失業給付・退職金・転職時の印象、すべての面で会社都合の方が有利。ただし会社都合は事業所の判断で決まるため、労働者が選べるとは限りません。実態が会社都合(事業所閉鎖・解雇・ハラスメント等)なら、ハローワークで「異議申立」できます。
Q. 介護休業を経て退職する場合は?
A. 家族の介護を理由とした退職は「特定理由離職者」に該当する可能性が高い。介護休業給付金の受給と失業給付は別制度のため、両方申請できます(時期は重ならない)。
Q. 退職翌日からすぐに新しい職場で働けますか?
A. 雇用保険上の問題はなく、退職翌日から就労OK。失業給付は不要です。逆に失業給付を受けたい場合は7日の待期期間中は就労できません。
参考文献・出典
- [1]
- [2]特定理由離職者の判定- 厚生労働省
- [3]離職票の取扱い- ハローワーク(厚生労働省)
- [4]民法第627条 雇用の解約- e-Gov法令検索
- [5]労働基準監督署 相談窓口- 厚生労働省
まとめ
自己都合退職は失業給付の2か月の給付制限がデメリットですが、医師診断書・家族介護認定・ハラスメント記録などで「特定理由離職者」に切替えれば給付制限解除が可能です。退職前にハローワークで事前相談しておくと有利な離職処理ができます。離職票発行は会社の法的義務(雇用保険法第76条)なので、発行を渋る事業所には労基署経由で督促可能。介護分野の転職は売り手市場のため、計画的な退職タイミングと失業給付・健康保険切替の手続きを並行して進めることで、ブランクのない再就職が実現できます。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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