介護情報基盤とは

介護情報基盤とは

介護情報基盤は2023年介護保険法改正で創設され、2026年4月から準備の整った市町村で順次稼働する全国共有ネットワーク。要介護認定情報・LIFE・ケアプラン・主治医意見書など7項目を医療機関や他事業所と電子的に共有する仕組みを、根拠法・対象データ・現場業務の変化までやさしく整理します。

ポイント

この記事のポイント

介護情報基盤とは、2023年改正介護保険法に基づき2026年4月から準備の整った市町村・事業所で順次稼働する、要介護認定情報・LIFE・ケアプラン・主治医意見書などの介護情報を、利用者本人の同意のもとで市町村・介護事業所・医療機関の間で電子的に閲覧・共有するための全国ネットワークです。

目次

介護情報基盤の法令上の位置づけと全体像

介護情報基盤は、2023年5月に成立した「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第31号)による介護保険法改正で創設された情報共有の仕組みです。地域包括ケアシステムの深化・推進を法的目標として掲げ、自治体・利用者・介護事業所・医療機関の四者が、利用者本人の同意のもとで介護関連データを電子的に閲覧・共有できる全国規模のネットワーク基盤として整備されています。

運用主体は公益社団法人国民健康保険中央会で、同会が「介護情報基盤ポータル」を設置・運営し、市町村の介護保険システムからデータを受け取って関係機関に配信します。スタート時期は令和8年(2026年)4月1日からですが、全国一斉稼働ではなく、システム標準化対応とマイナンバー読み取り環境の整備が完了した市町村から順次運用を開始する段階的導入方式が採られています。厚生労働省は当初2028年4月までの全国展開を目標としていましたが、社会保障審議会介護保険部会では「全国展開時期は改めて検討・設定する」との方針も示されており、市町村側のシステム改修や事業所側の機器導入の進捗を踏まえて柔軟に運用される見込みです。

従来は紙やFAX、各事業所の独自システムで分断されていた介護関連情報を一つの基盤に集約することで、転居や事業所変更があっても切れ目のないケア継続を実現することが大きな狙いです。この仕組みは、医療分野で先行している「全国医療情報プラットフォーム」と並ぶ、社会保障分野のデジタル化の中核施策と位置づけられています。

介護情報基盤で共有される7つの情報

厚生労働省の検討会資料および関連通知では、介護情報基盤で共有対象となる主要データとして以下の7項目が示されています。利用者本人の同意を前提に、市町村・介護事業所・医療機関がそれぞれ必要な範囲で閲覧できる仕組みです。

  1. 要介護認定情報:認定区分・有効期間・介護保険被保険者証の情報。新規申請や転居時の二重作業を解消します。
  2. 認定調査票:市町村の調査員が作成した心身状態の評価資料。基本調査74項目と特記事項が含まれます。
  3. 主治医意見書:医療機関が作成し市町村に提出する意見書。これまで紙ベースだったものが電子的に流通します。
  4. ケアプラン(居宅・施設):居宅サービス計画書(第1表〜第7表)、施設サービス計画書(第1表〜第3表)が共有対象。
  5. LIFE情報:科学的介護情報システムに提出したアセスメント・フィードバック票。事業所間や医療機関と共有可能になります。
  6. 介護レセプト(請求・給付情報):給付管理票や介護給付費請求書の情報。利用実績の見える化に役立ちます。
  7. 住宅改修費・福祉用具購入費の利用情報:給付実績の履歴。引っ越し後や事業所変更後の重複申請防止に効果が期待されます。

LIFE・ケアプランデータ連携システムとの違い

介護情報基盤と混同されやすい既存の電子システムが「LIFE(科学的介護情報システム)」と「ケアプランデータ連携システム」です。役割と立ち位置を整理します。

仕組み役割主な利用者運用開始
介護情報基盤介護関連情報を一元管理し関係機関で電子共有する全国ネットワーク利用者・市町村・介護事業所・医療機関2026年4月から順次
LIFE科学的介護を進めるためのアセスメントデータ提出・フィードバックの基盤主に介護事業所2021年度〜(2026年5月に国保中央会へ移管)
ケアプランデータ連携システム居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間でケアプランをCSV連携ケアマネジャー・サービス事業所2023年度〜

LIFEとケアプランデータ連携システムは事業者同士の業務効率化が中心ですが、介護情報基盤は利用者・市町村・医療機関までを含めた包括的な情報共有が目的です。今後はLIFEデータが介護情報基盤を介して医療機関にも共有されるなど、各システムが相互連携していく構造になります。

介護情報基盤で現場業務はこう変わる

介護情報基盤の本格稼働により、介護職・ケアマネジャー・看護職の日常業務は次のように変化していくと見込まれます。

  • 退院後の在宅サービス移行がスムーズに:病院が利用者の要介護度・ケアプラン・LIFE情報を即時参照できるため、退院前カンファレンスでの情報突き合わせ作業が削減されます。
  • 救急搬送時の対応強化:搬送先の医療機関が既往歴やADLをすぐに確認でき、安全な処置につながります。
  • 転居・事業所変更時の引き継ぎが短縮:認定情報や住宅改修履歴が引き継がれ、新しい事業所での再アセスメント負担が軽くなります。
  • ペーパーレス化と書類業務の削減:紙のFAXやコピーで行っていた情報共有が電子化され、月単位で削減効果が期待されます。
  • 多職種連携の質向上:医師・看護師・ケアマネ・介護職が同じデータを見ながら議論できるため、サービス担当者会議の生産性が上がります。

一方で、現場には「マイナンバーカード読み取り端末の導入」「利用者からの電子的同意の取得手順整備」「個人情報保護研修の実施」といった準備が求められます。導入初期は二重運用(紙+電子)が発生する事業所も多く、移行計画を早めに立てることが重要です。

介護情報基盤に関するよくある質問

Q. 介護情報基盤は2026年4月から全国一斉に始まるのですか?
A. いいえ。準備が整った市町村から順次開始される段階的導入です。システム標準化対応とマイナンバー読み取り環境の整備が前提となるため、自治体ごとに開始時期が異なります。
Q. 利用者の同意なく情報が共有されることはありますか?
A. 原則として共有には利用者本人の同意が必要です。どの情報をどの相手に開示するか、同意の取得方法も含めて厚生労働省で運用ルールが整備されています。
Q. 介護事業所側で何を準備すればよいですか?
A. マイナンバーカード読み取り端末の導入、介護ソフトの介護情報基盤対応版へのアップデート、職員への個人情報保護研修、同意取得フローの整備が主な準備項目です。事業者向け補助金や助成金も整備されつつあります。
Q. LIFEや既存システムと何が違うのですか?
A. LIFEは事業所が国にデータを提出する仕組み、ケアプランデータ連携システムは事業所間のCSV連携に特化しています。介護情報基盤はこれらを束ね、医療機関や市町村まで含めた情報共有のハブとなる位置づけです。
Q. 利用者にとってのメリットは何ですか?
A. 引っ越しや事業所変更時にも情報が引き継がれ、過去のケア履歴や認定結果を毎回説明する手間が減ります。救急搬送時に医療機関が即座に介護情報を参照できるため、安全性も向上します。

参考資料・出典

  • 厚生労働省「介護情報基盤について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59231.html(2026年4月時点最新)
  • 厚生労働省「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第31号)
  • 社会保障審議会介護保険部会 議事資料「介護情報基盤の整備について」(厚生労働省)
  • 公益社団法人国民健康保険中央会「介護情報基盤ポータル」https://www.kaigo-kiban-portal.jp/
  • 厚生労働省「介護保険最新情報 vol.1497」(2026年4月28日発出)

まとめ|介護情報基盤を理解して2026年に備える

介護情報基盤は、介護保険制度のデジタル化を象徴する全国規模のインフラです。2026年4月から準備の整った市町村で順次稼働し、要介護認定情報・LIFE・ケアプラン・主治医意見書など7項目のデータを、利用者本人の同意のもとで医療機関や他事業所と共有する仕組みが動き始めます。介護現場で働く人にとっては、書類業務の削減や多職種連携の質向上といった恩恵がある一方、マイナンバー読み取り環境の整備や同意取得フローの構築といった実務対応も求められます。自分の働く事業所が対応スケジュールのどの段階にいるかを把握し、情報共有の主役として変化に備えましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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