看多機(看護小規模多機能型居宅介護)とは

看多機(看護小規模多機能型居宅介護)とは

看多機(看護小規模多機能型居宅介護)とは何か。法的位置づけ、4機能(通い・訪問介護・訪問看護・宿泊)、小規模多機能との違い、人員基準、包括報酬、2026年改定、事業所数推移を厚労省データで簡潔に解説します。

ポイント

この記事のポイント

看多機(かんたき)とは、「通い・訪問介護・訪問看護・宿泊」の4機能を1つの事業所で提供する地域密着型サービスです(介護保険法上の正式名称は看護小規模多機能型居宅介護)。看護職員の配置が必須で、医療ニーズの高い在宅高齢者に対応できる点が、看護機能を持たない小規模多機能(小多機)との最大の違いです。

目次

看多機の定義と法的位置づけ

看多機は、介護保険法に基づく地域密着型サービス(市町村が指定・監督する小規模なサービス)の一種で、2012年4月に「複合型サービス」として創設され、2015年に現在の「看護小規模多機能型居宅介護」へ名称変更されました。原則として事業所が所在する市町村の住民のみが利用できます。

サービスの根拠条文

介護保険法第8条第23項に「居宅要介護者について、訪問介護、訪問看護、通所介護及び短期入所生活介護の機能を組み合わせて行うもの」と定義されています。1つの事業所・1人のケアマネジャー・なじみの職員チームで4機能を一体的に提供する点に特徴があります。

創設の背景

退院直後で病状が不安定な高齢者や、がん末期・在宅看取りなど医療ニーズの高い在宅生活を支える受け皿として、訪問看護を含む小多機の上位互換サービスとして設計されました。主治医との連携のもと24時間365日対応するのが原則です。

看多機の4機能(通い・訪問介護・訪問看護・宿泊)

看多機は以下の4機能を、利用者の状態と家族の状況に応じてオーダーメイドで組み合わせ提供します。

  1. 通い(デイサービス機能):日中、事業所に通って入浴・食事・機能訓練・医療処置を受ける。
  2. 訪問介護:自宅へヘルパーが訪問し、身体介護・生活援助を行う。
  3. 訪問看護:看護師が訪問し、点滴・喀痰吸引・褥瘡処置・服薬管理など医療的ケアを行う。
  4. 宿泊(ショートステイ機能):体調不良時や家族のレスパイト時に事業所で宿泊できる。

4機能はすべて同じ事業所の同じスタッフが提供するため、訪問介護・訪問看護・デイ・ショートを別々に契約する場合と異なり、情報共有の漏れや「初めての職員に介助される不安」が起きにくい点が利用者メリットです。

看多機・小規模多機能・訪問看護の違い

類似サービスとの違いを整理すると以下のとおりです。

項目 看多機 小規模多機能(小多機) 訪問看護ステーション
看護職員の配置必置(常勤含む)1名以上(兼務可)必置(中心職種)
提供機能通い・訪問介護・訪問看護・宿泊通い・訪問介護・宿泊(訪問看護なし)訪問看護のみ
対象者要介護1〜5(医療依存度高い人も可)要支援1〜要介護5要支援・要介護・医療保険対象者
報酬体系月額包括報酬月額包括報酬出来高(訪問1回ごと)
ケアマネ事業所所属事業所所属外部の居宅介護支援事業所
事業所数(2024年)約1,062事業所約5,567事業所18,042事業所

最大の違いは「訪問看護を内包しているか」。看多機は1つの契約・1人のケアマネで医療と介護の両方をワンストップで受けられるのに対し、小多機の場合は別途訪問看護ステーションと契約する必要があります。

事業所数の推移と人員基準・介護報酬

事業所数の推移(厚労省「介護サービス施設・事業所調査」より)

  • 2018年:約400事業所
  • 2020年:約677事業所
  • 2022年:901事業所(前年比+10.3%)
  • 2024年:1,062事業所(前年比+10%前後)

看多機は地域密着型サービスのなかでもっとも増加率の高いサービスの1つで、医療ニーズの高い在宅高齢者の増加を背景に毎年100事業所前後のペースで増えていますが、訪問介護(37,264事業所)や通所介護(24,585事業所)と比べると規模はまだ小さく、整備途上の段階です。

人員基準(厚労省「指定地域密着型サービス基準」)

  • 看護職員:常勤換算2.5以上のうち1名以上は保健師または看護師(必置)
  • 介護職員:日中は通い利用者3:1、訪問1:1、夜勤1名+宿直1名
  • ケアマネジャー:1名以上(看多機計画作成担当者研修修了者)
  • 登録定員:1事業所あたり29名以下

介護報酬(包括報酬)

看多機は「要介護度に応じた月額定額制」で、利用回数によって金額は変わりません。要介護1で月額約12,500単位、要介護5で月額約32,000単位前後(2024年改定後)。1月以内の追加サービスは事業所の経営判断で柔軟に提供でき、利用者にとっては使うほどお得な仕組みになっています。

2026年介護報酬改定での扱い

2026年6月施行の令和8年度介護報酬改定(期中改定)では、看多機の基本報酬単位数の変更はありませんが、介護職員等処遇改善加算の加算率が引き上げられます。

  • 加算Ⅰ「イ」:14.9% → 16.8%(+1.9ポイント)
  • 加算Ⅰ「ロ」(新区分):17.7%(生産性向上推進体制加算取得が要件)
  • 加算Ⅱ「イ」:14.6% → 16.5%
  • 加算Ⅲ:13.4% → 15.3%
  • 加算Ⅳ:10.6% → 12.5%

賃金改善の目安は介護職員1人あたり月+1万円(定期昇給込みで最大+1.9万円)。2024年度改定でも「総合マネジメント体制強化加算」「専門性の高い看護師による計画的管理の評価」「ターミナルケア加算引き上げ」など看多機の評価が強化されており、医療ニーズ対応サービスとしての制度的位置づけは年々高まっています。

看多機に関するよくある質問

Q. 看多機は誰でも利用できますか?

A. 要介護1〜5の認定を受けた方が対象です。要支援の方は利用できません。また地域密着型サービスのため、原則として事業所が所在する市町村に住民票がある方に限られます。

Q. 看多機を利用すると他の介護サービスは併用できますか?

A. 看多機は包括報酬のため、訪問介護・訪問看護・デイサービス・ショートステイ・小規模多機能との併用はできません。一方で福祉用具貸与・住宅改修・訪問リハビリ・通所リハビリは併用可能です。

Q. 小多機との違いを一言で言うと?

A. 「訪問看護があるかないか」です。看多機には看護師が必置で配置され、医療処置(点滴、喀痰吸引、褥瘡処置など)や看取り対応ができます。小多機は介護中心のサービスで、医療的ケアが必要な場合は別途訪問看護を契約する必要があります。

Q. 介護職として看多機で働くメリットは?

A. 看護師と日常的に連携できるため医療知識・観察力が身につくこと、4機能を経験できるため幅広いスキルが身につくこと、利用者と長期的な関係を築けることが挙げられます。詳しくは看多機の仕事内容ガイドをご覧ください。

Q. 看多機の費用はどのくらい?

A. 1割負担の場合、要介護1で月額約12,500円、要介護5で月額約32,000円が目安(食費・宿泊費は別途実費)。利用回数によらず定額のため、頻繁に通い・訪問・宿泊を組み合わせる方ほど割安になります。

参考文献・出典

関連記事

看多機での具体的な仕事内容や求人傾向、向いている人の特徴については上記の関連記事で詳しく解説しています。

まとめ

看多機(看護小規模多機能型居宅介護)は、「通い・訪問介護・訪問看護・宿泊」の4機能を1事業所で提供する地域密着型サービスです。看護師の必置配置により医療ニーズの高い在宅高齢者を支えられる点が、訪問看護を持たない小規模多機能(小多機)との決定的な違いです。

2024年時点で全国約1,062事業所まで増加し、2026年介護報酬改定でも処遇改善加算の引き上げで評価が強化されるなど、地域包括ケアシステムの中核サービスとして位置づけが高まっています。「医療と介護を一体で経験したい」介護職にとって、看多機はキャリアの幅を広げる注目の職場です。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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