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看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の仕事内容|4機能・医療ケア・給料・向いている人

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の仕事内容|4機能・医療ケア・給料・向いている人

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の仕事内容を4機能別に徹底解説。医療依存度の高い利用者ケア、看護師との連携、小多機との違い、給料、向いている人まで公的データで網羅。

ポイント

この記事のポイント

看護小規模多機能型居宅介護(看多機/かんたき)の仕事内容とは、「通い」「泊まり」「訪問介護」「訪問看護」の4つのサービスを同じ事業所・同じスタッフで一体的に提供する仕事です。最大の特徴は医師の指示書にもとづく医療処置(胃ろう・気管切開の管理、吸引、点滴、看取り等)を介護職と看護師が連携して行う点で、従来の小規模多機能(小多機)では受け入れが難しかった医療依存度の高い利用者を支えます。厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」によると、令和6年10月時点の看多機事業所数は全国1,074事業所、年間実利用者数は約3.8万人と増加中で、在宅医療ニーズの高まりを背景に需要が拡大している注目サービスです。介護職員の平均月給は処遇改善加算込みで約27〜29万円、看護職員との距離の近さが学びの多さに直結し、介護福祉士・認定看護介護士を目指す方に特に向いています。

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは?小多機との決定的な違い

看護小規模多機能型居宅介護(以下「看多機」/読み方は「かんたき」)は、2012年(平成24年)の介護保険法改正で「複合型サービス」として創設され、2015年に現在の名称に改称された地域密着型サービスです。市町村が指定権者となり、事業所のある市町村の住民のみが利用できます。最大の特徴は、1つの事業所で「通い(デイサービス)」「泊まり(ショートステイ)」「訪問介護」「訪問看護」の4つの機能を、利用者1人あたり登録制で柔軟に組み合わせて提供できる点です。公益社団法人日本看護協会の制度解説資料によると、看多機は「従来の小規模多機能では受け入れ困難だった、医療ニーズの高い人・退院直後で状態不安定な人・在宅看取りを希望する人」の在宅療養継続を支える目的で設計されています。

小規模多機能(小多機)との決定的な違いは「訪問看護の有無」

よく混同される「小規模多機能型居宅介護(小多機)」との決定的な違いは、訪問看護機能を含むかどうかの一点に集約されます。小多機は「通い・泊まり・訪問介護」の3機能のみで、看護師は健康管理のために配置されるものの医師の指示書にもとづく医療処置を前面には行いません。一方、看多機は訪問看護ステーションの機能を内包しており、医師の指示書にもとづいて看護職員が医療処置を直接実施できます。このため、胃ろう・経鼻経管栄養、気管切開、在宅酸素療法(HOT)、人工呼吸器、持続点滴、インスリン注射、褥瘡処置、がん末期の疼痛管理、ターミナルケアなど、小多機では断らざるを得なかった医療依存度の高いケースを幅広く受け入れられます。

「登録定員29人まで」「24時間365日」の地域密着サービス

看多機は地域密着型サービスに分類され、利用者は要介護1〜5の認定を受けた方に限定されます(要支援は対象外)。登録定員は29人以下、1日の通い利用定員は登録定員の2分の1から15人の範囲内、泊まりの利用定員は通い定員の3分の1から9人以下と定められています。事業所は24時間365日体制で運営し、利用者の状態や家族の都合に合わせて「今日は日中だけ通い」「来週は家族旅行の間泊まり」「退院直後は訪問看護を毎日」といった組み合わせを同じスタッフが切れ目なく提供します。これにより利用者は複数事業所との契約・調整の負担から解放され、「馴染みのスタッフ」に連続的にケアしてもらえる安心感が生まれます。

厚労省データで見る看多機の急拡大

厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」によると、看多機の事業所数は令和5年10月時点の994カ所から令和6年10月時点で1,074カ所へと前年比+8.0%の増加を記録しました。年間実利用者数(介護給付費等実態統計・令和6年度)も短期利用以外で約3.59万人、短期利用で約0.2万人と合計約3.8万人に達し、前年比+約7%で伸び続けています。背景には団塊世代の後期高齢者入りと在宅看取りニーズの高まりがあり、厚労省の第9期介護保険事業計画関連資料では2026年度までにさらに3.1万人規模(月当たり)への拡大が見込まれています。需要の伸びは求人市場にも直結しており、介護職員にとっては今後10年で安定したキャリア機会が見込める分野です。

看多機の介護職の仕事内容|4機能別に徹底解説

看多機で働く介護職員(介護士)の最大の特徴は、「1人のスタッフが4つのサービスを横断して担当する」という点にあります。朝はデイサービスのように通い利用者を迎え入れ、昼過ぎに訪問介護で利用者宅へ出向き、夕方に事業所へ戻って泊まり利用者の夜の準備をする――こうした「サービス間を行き来する働き方」は、特養・老健・訪問介護単体のどの事業所にもない看多機独自のリズムです。以下、4つの機能ごとに具体的な仕事内容を解説します。

1. 通い(デイサービス機能)での仕事

通いは、利用者が日中に事業所へ来所して過ごすサービスです。介護職員は朝のお迎え送迎から始まり、バイタル測定補助、お茶出し、入浴介助、排泄介助、食事介助、口腔ケア、機能訓練の補助、レクリエーションの企画・進行、昼寝の見守り、おやつの準備、夕方の送迎までを担当します。一般的なデイサービスと異なるのは、医療依存度の高い利用者が同じ空間で過ごしている点です。胃ろうから注入中の方、吸引が必要な方、酸素マスクを装着した方を、看護師と連携しながらケアします。介護職員は看護師の医療処置の準備・後片付け・声かけ・体位変換補助など、チームの一員として医療的ケアの現場に密に関わります。

2. 泊まり(ショートステイ機能)での仕事

泊まりは、利用者が事業所に宿泊して夜間ケアを受けるサービスで、個室または個室以外(7.43㎡以上)の宿泊室で過ごします。介護職員は夕食介助、服薬介助、就寝準備、夜間の巡視・見守り、オムツ交換、体位変換、ナースコール対応、早朝の起床介助、朝食介助を担当します。夜勤は時間帯を通じて1人以上の配置が義務づけられており、事業所の規模によっては宿直職員1人と合わせた2人体制での運営が一般的です。看護師はオンコール体制の場合が多く、夜間に医療的判断が必要になれば電話相談や緊急駆けつけで連携します。家族の急用や介護疲れに応えるレスパイト入所も多く、家族支援の最前線としての役割を担います。

3. 訪問介護機能での仕事

訪問介護では、介護職員が利用者の自宅を訪問し、身体介護(排泄・入浴・清拭・食事・更衣・体位変換)や生活援助(調理・掃除・洗濯・買い物代行)を提供します。通常の訪問介護事業所との違いは、「同じ利用者を通い・泊まりでも担当している」ことで、自宅の様子・家族関係・服薬状況を総合的に把握した上で訪問できる点です。1日に複数回の短時間訪問(朝の排泄介助、昼の食事介助、夜の就寝介助など)も柔軟に設定でき、医師の指示書にもとづいて看護師が訪問する日と役割分担しながら在宅生活を支えます。1人での訪問となるため、独立した判断力と緊急時の対応力が求められます。

4. 訪問看護との連携業務

訪問看護は看護師の専門領域ですが、介護職員も密接に関わります。通いの時間に看護師が医療処置をする際の補助、訪問看護師が収集した情報の申し送り、服薬管理表の共有、バイタル推移の観察、状態変化時の一次報告などが代表例です。看多機では看護職員が常勤換算2.5人以上(うち1人は常勤の看護師または保健師)配置されており、介護職員との距離が非常に近いのが特徴です。日本看護協会の平成29年度調査データでは、看多機1事業所あたりの看護職員数は常勤換算で4.6人(小多機の1.0人の4倍以上)と圧倒的に手厚く、介護職員が医療知識を日常業務の中で学べる環境が整っています。これは他業態にはない大きなメリットです。

1日の流れ(モデルケース)

ある看多機介護職員の日勤シフトの例をご紹介します。8:30 出勤・申し送り(夜勤者から泊まり利用者の状態共有)→9:00 通い利用者の送迎→9:30 バイタル測定補助・朝の会→10:00 入浴介助(2〜3名/看護師と連携)→12:00 昼食介助・服薬介助→13:00 口腔ケア・休憩→13:30 訪問介護(2件/自宅訪問で排泄・清拭)→15:30 事業所戻り・おやつ→16:00 レクリエーション→17:00 通い利用者の送迎→17:30 泊まり利用者の夕食準備・申し送り→17:30 退勤。このように「通い」と「訪問」を1日のうちに行き来するのが看多機ならではの働き方で、単調になりにくく幅広いスキルが身につきます。

看多機で対応する医療依存度の高い利用者ケアの実際

看多機が他の介護サービスと一線を画す最大の理由は、医師の指示書にもとづく医療処置を看護職員が日常的に提供できる点です。日本看護協会の公式資料「”看多機”とは -創設の背景、制度の概要、サービスの動向-」では、看多機で対応する医療ニーズを「医療機器を利用する方」「リハビリが必要な方」「褥瘡などがある方」「認知症の方」「終末期の方」「家族や介護者の支援」の6つに整理しています。介護職員はこれらのケースに看護師とチームで向き合う立場となるため、どのような医療的ケアが行われるかを理解しておくことが非常に重要です。

胃ろう・経鼻経管栄養・気管切開の管理

看多機では、胃ろうから栄養剤を注入している利用者を日常的に受け入れます。栄養剤の注入自体は一定の研修を修了した介護職員(喀痰吸引等研修修了者)も行えますが、胃ろうチューブの交換・トラブル対応・注入速度の医療的判断は看護師の業務です。介護職員は注入準備の声かけ、体位保持(ファウラー位)、注入後30分の上半身挙上維持、刺入部の観察と看護師への報告を担当します。気管切開の方に対しては、看護師が主体となってカニューレ管理・吸引・皮膚トラブル対応を行い、介護職員は吸引物品の準備、吸引後の体位調整、呼吸状態の観察補助を担います。喀痰吸引等研修(第1号・2号)を修了している介護職員であれば、一定条件下で口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の吸引も実施可能です。

在宅酸素療法(HOT)・人工呼吸器

在宅酸素療法を受けている利用者が通いを利用する場合、介護職員は酸素ボンベのバッグ付き持参・到着後の集中方式への切り替え・SpO2モニタリング補助・体動時の流量確認などをサポートします。人工呼吸器装着者については看護師が管理責任を持ちますが、介護職員は回路外れや誤動作時の一次対応(アンビューバッグ換気の準備など)、入浴・清拭時の呼吸状態観察で重要な役割を果たします。これらの処置に日常的に関わる経験は、特養や一般デイでは得られない貴重なキャリア資産です。

褥瘡処置・創傷ケア

褥瘡(床ずれ)のある利用者への対応も看多機の得意分野です。看護師が医師の指示のもとで創部洗浄・ドレッシング材の選択・被覆材交換を行い、介護職員は2時間ごとの体位変換、エアマット・ポジショニングクッションの適切な使用、栄養・水分摂取の確認、おむつ内の湿潤管理を担当します。看護師から「なぜこの体位が褥瘡悪化を防ぐのか」を日々学べる環境は、介護福祉士国家試験や現場でのケアの質向上に直結します。

がん末期・看取りケア(ターミナルケア)

看多機では在宅看取りを希望する利用者を多く受け入れます。厚労省の介護サービス情報公表制度の加算データでも、看多機は「ターミナルケア加算」の算定事業所が多く、看取り体制加算の取得率が高い傾向にあります。介護職員は疼痛コントロール中の体位調整、口腔保湿、清拭、家族への声かけ、最期の時間の見守りといった「人生の最終段階」に寄り添う仕事を経験します。精神的な負担も大きい反面、「家で最期を迎えたい」という利用者の願いを支え切ったときの達成感は他のサービスでは得難いものです。職場によっては看取り後のデスカンファレンス(振り返り)を定期的に開催し、スタッフのグリーフケアにも取り組んでいます。

介護職員が医療的ケアに関わるための研修

看多機で活躍するうえで強力な武器になるのが「喀痰吸引等研修」です。この研修(第1号研修・第2号研修・第3号研修)を修了すれば、一定条件下で喀痰吸引・経管栄養といった医行為の一部を介護職員が実施できるようになります。厚生労働省の制度情報によると、多くの看多機事業所は未修了者の入職後に法人内で受講機会を設けており、資格取得によって手当が上乗せされる職場も少なくありません。医療的ケアに強い介護職員は他業態でも引く手あまたで、転職市場での希少価値が非常に高まります。

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看多機の給料・年収|公的データで見る実態

看多機を職場として検討するうえで最も気になるのが給料水準です。看多機単体の給与統計は厚労省の主要調査では独立区分されていませんが、「介護従事者処遇状況等調査」の地域密着型サービスの区分と、「介護サービス施設・事業所調査」の職員数データから、おおまかな水準を読み解くことができます。当サイトが複数の公的データを独自にクロス分析した結果を以下に整理します。

介護職員の平均月給:約26〜29万円(処遇改善加算込み)

厚生労働省「令和5年度介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員(常勤・月給)の平均給与額(基本給+手当+一時金1/12)は処遇改善加算取得事業所で月額約31.8万円、介護サービス全体の平均が月額31.8万円前後となっています。看多機は地域密着型サービスの中でも医療依存度が高く、夜勤手当・処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の取得率が相対的に高い傾向があります。介護福祉士資格保有者の常勤であれば、月額27〜30万円程度(賞与込み年収で約360〜400万円)が一般的な水準と推計されます。喀痰吸引等研修修了者・認定介護福祉士などの資格が加われば、さらに月5,000〜15,000円の資格手当が加算される事業所もあります。

夜勤手当:1回あたり5,000〜8,000円

泊まり機能を持つ看多機では夜勤勤務が発生します。厚労省の賃金構造基本統計調査や介護労働安定センター「介護労働実態調査」の集計を参考にすると、介護職員の夜勤手当は1回あたり5,000〜8,000円が相場で、月4〜5回の夜勤に入ると月額20,000〜40,000円が夜勤手当として上乗せされます。ただし看多機の夜勤は利用者数が少ない(泊まり定員最大9人)ため、特養夜勤と比べて体力的負担が軽いと感じる職員も多く、「夜勤手当と負担のバランスが良い」と評価される働き方です。

処遇改善加算・特定処遇改善加算の算定状況

WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)の介護サービス情報公表システムを確認すると、看多機は2024年度の介護報酬改定で処遇改善関連加算が一本化された「介護職員等処遇改善加算」の上位区分(加算Ⅰ〜Ⅱ)の算定率が高い傾向があります。加算Ⅰ取得事業所では介護職員1人あたり月額約2〜3万円の賃金上乗せ原資が確保されており、これが月給や一時金に反映されます。看多機事業所を選ぶ際は必ず処遇改善加算の算定区分を確認することが、給与水準を見極めるうえでの鉄則です。

小多機との給与比較:月額差1〜2万円

当サイトが厚労省の各種統計を独自に分析したところ、看多機と小多機では介護職員の月給に月額約1〜2万円の差が生じる傾向があります。これは、①看多機の方が医療的ケアの対応が多く資格手当が付きやすい、②看護職員の人件費が高く運営コストが全体的に底上げされている、③訪問看護の医療保険報酬が事業所収益に加算される、などの構造的な理由によります。年収ベースでは看多機の方が12〜24万円程度高くなる計算で、「同じ介護職でもより高待遇を目指したい」なら看多機への転職は合理的な選択と言えます。

キャリアパス別の年収目安

・無資格未経験の入職時:月給20〜22万円、年収270〜300万円。・初任者研修修了・経験1〜3年:月給22〜24万円、年収300〜330万円。・実務者研修修了・喀痰吸引等研修修了:月給24〜27万円、年収330〜370万円。・介護福祉士・経験5年以上:月給27〜30万円、年収370〜410万円。・ユニットリーダー・管理者候補:月給30〜35万円、年収420〜480万円。医療的ケアに強い介護福祉士は看多機内での昇給スピードも速く、30代で年収400万円到達も十分現実的です。

看多機 vs 小多機 vs 特養|介護職の働き方を徹底比較

看多機への転職を検討する際、最も多い質問が「小多機や特養と何が違うのか」です。ここでは介護職員の視点から、看多機・小多機・特別養護老人ホーム(特養)の3業態を定量的に比較します。

比較表|5つの軸で見る違い

比較項目看多機(かんたき)小多機(小規模多機能)特養(特別養護老人ホーム)
主な機能通い・泊まり・訪問介護・訪問看護通い・泊まり・訪問介護入所(長期生活)
医療依存度の受入◎ 高い(胃ろう・人工呼吸器・看取り対応)△ 中程度(経管栄養・吸引は条件付)○ 中〜高(施設により差)
看護職員数(常勤換算)4.6人/事業所1.0人/事業所3人以上/入所定員100人
利用者数規模登録定員29人以下登録定員29人以下入所定員50〜100人以上が主流
介護職員の平均月給(推計)27〜30万円25〜28万円26〜29万円
事業所数(令和6年)1,074カ所約5,700カ所約8,400カ所
夜勤頻度月4〜5回(泊まり定員9人以下)月4〜5回(泊まり定員9人以下)月4〜6回(利用者20人前後担当)
向いている働き方医療ケアを学びたい・少人数ケア志向地域密着で幅広く関わりたい安定した勤務シフト志向

データの読み解き:看多機ならではの「看護職員の手厚さ」

この表で最も注目すべきは看護職員の配置密度です。日本看護協会の平成29年度介護サービス・施設事業所調査データによると、看多機1事業所あたりの看護職員は常勤換算4.6人で、小多機の1.0人の4.6倍もの手厚さを誇ります。介護職員にとってこの数字が意味するのは、「日常業務のあらゆる場面で看護師に相談できる」「医療知識を実地で学べる」という圧倒的な学習環境です。特養も看護師は配置されていますが、看護師1人あたりの入所者数が看多機の10倍以上となる施設も珍しくなく、相談しづらい現場もあります。看多機は「介護職としての医療的スキルを最短で伸ばしたい」人に最適な職場です。

特養との違い:少人数・馴染みの関係

特養の入所定員は50〜100人以上が主流で、ユニット型でも1ユニット10人単位のケアが中心です。対して看多機は登録定員29人以下で、1日に顔を合わせる利用者は通い+泊まりを合わせても10〜20人程度。「利用者全員の名前・家族構成・病歴・好みの食べ物を全部把握している」という小規模ならではの濃密な関係性が築けます。利用者のご家族とも日常的に会話する機会が多く、「まるで家族の一員のように関わる」働き方を望む方に強く支持されています。

訪問介護単体との違い:孤独感が少なく、バックアップが手厚い

訪問介護事業所単体で働く場合、ヘルパーは1人で利用者宅を訪問するため孤独感が大きく、緊急時の判断を自分1人で下す必要があります。看多機では同じ利用者を通い・泊まりでもケアしているため情報共有が密で、訪問時にトラブルが起きても事業所の看護師に即座に電話相談できます。訪問介護の柔軟性と通所・宿泊のチームケアを両立できる点が、看多機の大きな魅力です。

看多機に向いている人・向いていない人

看多機は他の介護業態にはない独自の働き方を持つため、向き不向きがはっきり分かれる職場でもあります。日本看護協会の制度解説資料、介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」の従事者意識調査、複数の求人媒体の現場インタビュー情報をもとに、看多機に向いている人・向いていない人の特徴を整理します。

看多機に向いている人の特徴

1. 医療的ケアに興味があり、看護師と連携して学びたい人:看多機の最大の魅力は、看護師との距離の近さです。胃ろう・吸引・人工呼吸器・看取りケアに日常的に関わる経験を通じて、介護福祉士としての専門性を大きく伸ばせます。「将来はケアマネや認定介護福祉士を目指したい」「医療依存度の高い方を支えられる介護職になりたい」という向上心のある方に最適です。

2. 同じ作業の繰り返しが苦手で、変化のある仕事がしたい人:通い・泊まり・訪問を1日のうちに行き来する看多機の働き方は、ルーティンに飽きやすい方にぴったりです。特養やデイのように「同じ空間で同じ業務」の単調さがなく、毎日刺激があります。

3. 少人数ケア・馴染みの関係性を大切にしたい人:登録定員29人以下の小規模だからこそ、1人ひとりの利用者と深く関われます。「流れ作業的に介助するのは嫌」「名前を呼んで語りかけたい」という人間味のあるケアを志向する方におすすめです。

4. 看取りケアに関心がある人:在宅看取りの最前線で「人生の最終章」に寄り添う経験は、他の業態では得難いものです。「人の終わりに寄り添いたい」「家族の支えになりたい」という志を持つ方には強いやりがいが得られます。

5. チームワークを重視する人:看多機は介護職・看護師・ケアマネ・管理者が毎日密にコミュニケーションを取りながら運営する職場です。「1人で黙々と働く」よりも「チームで支え合う」ことに喜びを感じる方に向いています。

看多機に向いていない人の特徴

1. 決まったルーティンで安定的に働きたい人:看多機は日替わりで担当業務が変わるため、「毎日同じ時間に同じ業務」を好む方にはストレスになる可能性があります。安定重視ならユニット型特養が向いているでしょう。

2. 医療的ケアに強い苦手意識がある人:吸引・経管栄養・看取りといった場面が日常的に発生するため、血や痰、終末期の身体の変化に強い拒否感がある方は辛さを感じやすいです。

3. 訪問が苦手(1人で利用者宅に行くのが不安)な人:看多機では訪問介護業務も必須です。1人で利用者宅に上がり込むことに心理的抵抗がある方は、最初の数カ月がきつく感じるかもしれません。

4. 大規模施設でキャリアを積みたい人:看多機は少人数ゆえに同期・先輩の数も限られます。「同世代の仲間と一緒に成長したい」という方は特養や有料老人ホームの方が合うこともあります。

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看多機の仕事に関するよくある質問

看多機の仕事に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 看多機は未経験・無資格でも働けますか?

A. はい、未経験・無資格でも入職可能です。看多機の人員配置基準では、介護職員の資格要件は特に定められていません(管理者は認知症対応型サービス事業管理者研修の修了等が必要)。ただし医療依存度の高い利用者が多い職場のため、入職後すみやかに介護職員初任者研修→介護福祉士実務者研修→喀痰吸引等研修の順で資格取得を進めることを強くおすすめします。多くの看多機事業所は研修費補助や勤務時間内の受講を認めており、働きながらキャリアアップできる環境が整っています。

Q2. 看多機の夜勤はきついですか?

A. 特養の夜勤と比べると相対的に負担が軽いという声が多いです。理由は①泊まり利用者が最大9人と少人数、②夜勤は1人以上配置+宿直1人の2人体制が一般的、③看護師とオンコール連携できるため緊急時も1人で抱え込まない、の3点です。ただし医療依存度の高い方が泊まることもあるため、観察眼と判断力は特養以上に必要です。夜勤手当は1回5,000〜8,000円が相場です。

Q3. 看多機と訪問看護ステーションの併設事業所で働く場合、仕事内容はどう変わりますか?

A. 訪問看護ステーションと一体的に運営している看多機では、看護職員が両事業を兼務できます。介護職員側の仕事内容は基本的に変わりませんが、看護師の人数がさらに手厚くなるため医療的ケアの質が上がりやすい傾向があります。また、訪問看護師と同じ事務所で働くことで、在宅医療の知識を幅広く吸収できる環境が得られます。

Q4. 看多機のケアマネ(介護支援専門員)の仕事は一般のケアマネと違いますか?

A. 看多機のケアマネは専従で1人以上の配置が義務づけられており、担当する利用者は看多機登録者に限定されます(外部の居宅介護支援事業所のケアプラン担当から引き継ぎます)。4機能を柔軟に組み合わせるため、一般的な居宅ケアマネよりもケアプラン変更の頻度が高く、看護師・介護職・家族・主治医との調整業務が日常的に発生します。介護職員から看多機ケアマネへのキャリアパスは、実務経験5年+介護支援専門員試験合格で目指せます。

Q5. 看多機は看護師が主役で、介護職は補助的な立場ですか?

A. いいえ、誤解です。看多機は「看護師と介護職の対等なチームケア」を理想とするサービスで、介護職員こそが日常生活支援・心のケア・家族とのコミュニケーションの主役です。看護師は医療処置の専門家ですが、利用者と過ごす時間が最も長いのは介護職員であり、利用者の小さな変化に最初に気づくのも介護職員です。チームにおける役割分担は明確ですが、上下関係ではなく役割の違いと捉えるのが正解です。

Q6. 看多機の求人を探すコツは?

A. 全国に1,074事業所(令和6年10月時点)と数が限られるため、大手の総合介護求人サイトに加え、地域密着型サービス専門の求人媒体や、WAM NETの介護サービス情報公表システムで近隣の看多機事業所を直接調べる方法がおすすめです。求人票で確認すべきポイントは、①処遇改善加算の算定区分、②夜勤回数と手当、③喀痰吸引等研修の受講支援、④看取り加算の算定実績、⑤看護職員の配置数、の5点です。

Q7. 看多機はきつい・しんどいと聞きますが本当ですか?

A. 看多機特有のきつさとして「業務の幅が広い」「医療的ケアが多い」「看取りの精神的負担」が挙げられます。一方で「利用者との関係性が濃い」「看護師と学べる」「変化があって飽きない」というポジティブな声も多く、合う人には天職の職場です。介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」でも、地域密着型多機能系サービスは「仕事のやりがい」の満足度が他業態より高い傾向が報告されています。

まとめ|看多機は「医療と介護の交差点」で成長したい人の最良の選択

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の仕事内容を、4つの機能・医療依存度の高い利用者ケア・看護師との連携・給料・向いている人という視点から徹底的に解説しました。最後に、本記事の要点を改めて整理します。

本記事の要点

1. 看多機は「通い・泊まり・訪問介護・訪問看護」の4機能を1つの事業所で一体的に提供する地域密着型サービスです。2012年に創設され、2025年時点で全国1,074事業所、年間実利用者約3.8万人まで拡大しており、在宅医療ニーズの高まりを背景に今後も成長が見込まれます。

2. 小多機との決定的な違いは「訪問看護機能の有無」であり、これにより胃ろう・気管切開・在宅酸素・人工呼吸器・がん末期の看取りなど、医療依存度の高い利用者を受け入れられます。看多機1事業所あたりの看護職員数は常勤換算4.6人と小多機の4.6倍で、介護職員にとっては「医療知識を日常的に学べる理想の環境」です。

3. 介護職員の仕事内容は、通いでの入浴・食事・レク、泊まりでの夜勤・見守り、訪問での身体介護・生活援助、そして看護師の医療処置補助と多岐にわたります。1日の中で複数の機能を行き来する柔軟な働き方は、ルーティンに飽きやすい人や幅広いスキルを伸ばしたい人に最適です。

4. 給料水準は月額27〜30万円(介護福祉士・常勤)、年収換算で360〜410万円が目安で、小多機より月額1〜2万円高い傾向があります。処遇改善加算の算定区分や喀痰吸引等研修修了の有無で手当が大きく変わるため、求人選びでは加算情報の確認が不可欠です。

5. 看多機に向いているのは「医療的ケアを学びたい」「少人数で濃密な関係を築きたい」「看取りに寄り添いたい」「変化のある仕事がしたい」「チームで働くのが好き」な方です。逆に決まったルーティン志向や医療的ケアへの苦手意識が強い方は、特養や一般デイの方が合う可能性があります。

次のアクション

看多機への転職に興味を持った方は、次のステップで準備を進めましょう。①無料の働き方診断で自分の適性を確認する、②WAM NETの介護サービス情報公表システムで近隣の看多機事業所を調べる、③求人票で処遇改善加算の算定区分・夜勤回数・研修支援制度を確認する、④気になる事業所の見学を申し込む、⑤介護福祉士実務者研修や喀痰吸引等研修の受講を検討する、の5ステップです。

看多機は「介護職として医療の専門性を深めたい」「人生の最終章に寄り添う仕事に誇りを持ちたい」という想いを持つ方にとって、他のどの業態にも代えがたい成長環境を提供してくれます。今まさに成長中の分野ですから、早めに一歩を踏み出すほど、あなた自身のキャリアにとっての先行者利益は大きくなります。この記事が、あなたの次の一歩を後押しできれば幸いです。

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公開日: 2026年4月11日最終更新: 2026年4月11日

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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