勤務間インターバルとは

勤務間インターバルとは

勤務間インターバルとは、終業から次の始業までに一定時間以上の休息を確保する仕組みです。労働時間等設定改善法2条1項による努力義務の中身、導入企業割合の最新値、16時間夜勤を組む介護施設で実際に成り立つシフトの作り方を整理します。

ポイント

勤務間インターバルとは

勤務間インターバルとは、1日の勤務が終わってから次の勤務が始まるまでの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保する仕組みです。労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)2条1項により、2019年(平成31年)4月1日から事業主の努力義務となりました。罰則を伴う義務ではありませんが、夜勤明けから次の勤務までの間隔が短くなりやすい介護現場では、睡眠時間を確保するための具体的なシフト設計手段として意味を持ちます。

目次

勤務間インターバルの法的な位置づけ

条文はどう書かれているか

根拠となる労働時間等設定改善法2条1項は、事業主は労働時間等の設定の改善を図るため「業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない」と定めています。このうち「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」が勤務間インターバルにあたります。

努力義務であることの意味

条文の末尾は「努めなければならない」であり、違反しても罰則はありません。何時間空けるかという具体的な数値も法律には書かれておらず、各事業所が就業規則や労働協約で定めます。ただし、努力義務であっても行政指導や助成金の対象とはなり、政府は目標値を掲げて導入を促しています。過労死等の防止のための対策に関する大綱(令和6年8月2日閣議決定)では、労働者30人以上の企業のうち勤務間インターバル制度を導入している企業割合を令和10年までに15%以上とする目標が定められています。

休憩・休日とは別の概念

労働基準法34条の休憩は勤務の途中に与えるもの、35条の休日は暦日単位で労働義務のない日を指します。勤務間インターバルはそのどちらとも異なり、勤務と勤務の「あいだ」の連続した時間を対象とします。休日が確保されていても、夜勤明けの当日夕方から次の勤務に入れば勤務間インターバルは短くなるため、休日の日数だけでは代替できません。

勤務間インターバルの導入状況

厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合は次のとおりです。

  • 導入している: 6.9%(令和6年調査は5.7%)
  • 導入を予定または検討している: 13.8%(同15.6%)
  • 導入予定はなく、検討もしていない: 78.7%(同78.5%)

導入している企業の1企業平均勤務間隔時間は10時間51分でした。企業規模別に見ると、導入している割合は1,000人以上で20.1%、300人から999人で9.6%、100人から299人で7.5%、30人から99人で6.1%と、規模が小さいほど低くなります。

導入しない理由

導入予定がなく検討もしていない企業について理由(複数回答)を見ると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が57.3%で最も高く、「当該制度を知らなかったため」と答えた企業は全企業に対して15.7%でした。制度そのものが知られていないことが、普及が進まない一因になっていることがうかがえます。

勤務間インターバルを確保する2つの方法

厚生労働省のパンフレットは、インターバル時間を確保する方法として次の2つを示しています。

方法1: 翌日の始業時刻を繰り下げる

たとえば11時間のインターバルを定めた事業所で、所定始業が8時、所定終業が17時のところ、残業により23時まで働いた場合、23時から11時間後の翌日10時まで始業を繰り下げます。この場合、繰り下げにより勤務しなかった8時から10時までの時間をどう扱うかは事業所の設計次第で、パンフレットでは「働いたものとみなす」方法も例示されています。

方法2: 一定時刻以降の残業を禁止する

ある時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻より前の勤務を認めないことでインターバル時間を確保する方法です。始業時刻を動かさずに済むため、人員配置基準を満たす必要があり交代要員の調整が難しい介護現場では、こちらのほうが運用しやすい場合があります。

制度設計で決めるべき項目

  • 適用対象(全職員か、特定の職種・雇用区分に限るか)
  • インターバル時間数(何時間確保するか)
  • インターバルを確保できなかった場合の対応
  • 適用除外とするケース(災害その他避けることのできない場合など)
  • 根拠規定の整備(就業規則の改訂、労働協約の締結など)

介護の夜勤シフトに勤務間インターバルを組み込む

16時間夜勤では終業時刻から逆算する

2交代制で夕方から翌朝までの長時間夜勤を組む施設では、夜勤の終業時刻が翌日の午前中になります。仮に翌朝9時に夜勤が終わる場合、11時間のインターバルを確保するには次の勤務の開始が同日20時以降になります。つまり夜勤明けの当日に日勤や遅番を入れることは事実上できず、夜勤明けの日は勤務を入れないという運用が前提になります。

問題が起きやすいのは夜勤明けの「翌日」

夜勤明け当日を休みにしていても、その翌日の早番に入ると、夜勤終了からの間隔は空いていても実際の睡眠は分断されがちです。勤務間インターバルは連続した休息時間を確保する仕組みなので、夜勤明けを休みにするだけでなく、その後にどの勤務を置くかまで含めて設計すると効果が出やすくなります。

短いインターバルから始める選択肢

法律はインターバル時間数を定めていないため、11時間にこだわらず、まず9時間や10時間から始めて段階的に延ばす設計も可能です。実際、令和7年就労条件総合調査で導入企業の1企業平均勤務間隔時間は10時間51分であり、11時間ちょうどに揃っているわけではありません。

助成金の活用

厚生労働省は、生産性を高めながら労働時間の縮減などに取り組む中小企業を対象とした働き方改革推進支援助成金を設けており、勤務間インターバル制度の導入もその対象に含まれています。詳細な要件は年度ごとに変わるため、都道府県労働局(雇用環境・均等部室)に確認するのが確実です。

勤務間インターバルのよくある質問

Q勤務間インターバルは法律上の義務ですか。

努力義務です。労働時間等設定改善法2条1項が「講ずるように努めなければならない」と定めており、違反しても罰則はありません。ただし過労死等の防止のための対策に関する大綱では、令和10年までに導入企業割合を15%以上とする目標が掲げられています。

Q何時間空ければよいのですか。

法律に具体的な時間数の定めはなく、各事業所が就業規則や労働協約で決めます。厚生労働省のパンフレットでは11時間の例が示されており、令和7年就労条件総合調査では導入企業の1企業平均勤務間隔時間は10時間51分でした。

Q夜勤明けの日に日勤を入れるのは違法ですか。

勤務間インターバルは努力義務なので、それ自体が直ちに違法になるわけではありません。ただし労働基準法32条の法定労働時間や36協定で定めた上限、休憩・休日の規定は別途守る必要があります。健康確保の観点からも、夜勤明け当日に次の勤務を入れる運用は見直しの対象になります。

Qインターバルを確保するために始業を繰り下げた時間分の賃金はどうなりますか。

事業所の制度設計によります。厚生労働省のパンフレットは、繰り下げによって勤務しなかった時間を「働いたものとみなす」方法も例示しています。就業規則でどう定めているかを確認してください。

Q休憩や休日を十分に与えていれば勤務間インターバルは不要ですか。

別の概念です。休憩は勤務の途中に与えるもの、休日は暦日単位の概念で、勤務間インターバルは勤務と勤務のあいだの連続した休息時間を指します。休日を確保していても、夜勤明けから次の勤務までの間隔が短ければインターバルは短いままです。

勤務間インターバルの参考資料

勤務間インターバルのまとめ

勤務間インターバルは、労働時間等設定改善法2条1項に基づく事業主の努力義務であり、何時間空けるかは各事業所が決めます。導入企業割合は令和7年調査で6.9%にとどまり、制度自体を知らない企業も残っています。介護現場では、夜勤の終業時刻から逆算して次の勤務開始時刻を決めるという形で、シフト表に直接落とし込めるのが特徴です。まず自施設の夜勤明けから次の勤務までの実際の間隔を測ってみることが、導入検討の出発点になります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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