
区分支給限度基準額とは
区分支給限度基準額は、要介護認定者が在宅介護サービスを月にどれだけ使えるかを示す上限です。要支援1の5,032単位から要介護5の36,217単位まで7区分で設定され、超過分は全額自己負担になります。
この記事のポイント
区分支給限度基準額とは、要介護認定を受けた人が、訪問介護やデイサービスなどの居宅サービスを1か月に利用できる上限を「単位」で定めたものです。要支援1の5,032単位から要介護5の36,217単位まで7区分が設けられ、限度額の範囲内なら原則1〜3割負担、超過分はすべて全額自己負担になります。
目次
区分支給限度基準額の仕組みと法令上の位置づけ
区分支給限度基準額は、介護保険法第43条に基づく「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額」のことで、在宅で介護サービスを受ける人が1か月に給付の対象となるサービス量の上限を示します。要介護度(要支援1〜要介護5の7区分)ごとに国が単位数で設定しており、利用者は限度額の範囲内であれば所得に応じて1〜3割の自己負担でサービスを使えます。
金額ではなく「単位」で定められているのは、サービス種類や地域によって人件費が違うため、地域単価(1単位=10円〜10.7円)を掛け合わせて実際の費用に換算する仕組みになっているためです。たとえば訪問介護を東京23区で利用する場合と地方都市で利用する場合では同じ単位数でも金額が変わります。
限度額の対象は、訪問介護・通所介護・短期入所・福祉用具貸与など主に居宅サービスです。一方で居宅療養管理指導や特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、介護保険施設の食費・居住費などは、別枠で計算されたり限度額の対象外となったりします。ケアマネジャーはこの単位数の上限を踏まえて、利用者の状態と希望に合うようケアプランを組み立てています。
要介護度別の区分支給限度基準額一覧
2024年度(令和6年度)介護報酬改定時点での、要介護度別の月額上限単位数と1単位=10円換算の目安額は次のとおりです。実際の金額は地域区分(1〜7級地・その他)によって変動します。
| 区分 | 月額上限(単位) | 金額換算の目安(1単位10円) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 |
要支援1と要介護5では上限に約7.2倍の開きがあり、状態が重くなるほど多くのサービスを使えるよう設計されています。介護報酬改定で単位数が変わると、各区分の上限もそのまま改定されるのが原則です。
限度額を超えたときの自己負担の計算方法
1か月の利用単位数が区分支給限度基準額を超えると、超過分はすべて全額(10割)自己負担になります。たとえば要介護2の人(上限19,705単位)が、月に21,000単位分のサービスを利用した場合、計算は次のようになります。
- 限度額内の19,705単位分は通常どおり1〜3割負担(自己負担割合に応じて)
- 超過分の1,295単位(21,000−19,705)は全額自己負担
- 1単位=10円とすると、超過分だけで12,950円が追加負担となる
注意点として、利用者本人がそうと気づかないまま限度額を超えてしまうケースがあります。月途中で短期入所(ショートステイ)を急きょ追加した場合や、福祉用具貸与の組み合わせで枠を圧迫しているとき、ケアマネジャーが利用調整やサービス区分の見直しを提案することが一般的です。区分支給限度基準額の対象外となるサービス(居宅療養管理指導、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護など)に切り替えれば、上限を圧迫しない設計に直せる場合もあります。
区分支給限度基準額と他の支給限度額の違い
介護保険制度には「支給限度額」と名のつく仕組みがいくつかあります。混同しやすいので整理しておきましょう。
| 名称 | 対象 | 限度額の単位 |
|---|---|---|
| 区分支給限度基準額 | 居宅サービス全般(訪問・通所・短期入所など) | 要介護度別に月単位 |
| 福祉用具購入費の支給限度基準額 | 腰掛便座・入浴補助用具など特定福祉用具の購入 | 年間10万円(4月〜翌3月) |
| 住宅改修費の支給限度基準額 | 手すり設置・段差解消などの住宅改修 | 生涯20万円(原則1人1住宅) |
区分支給限度基準額が「毎月の枠」であるのに対し、福祉用具購入費は年間枠、住宅改修費は生涯枠という違いがあります。これらは互いに独立した制度なので、区分支給限度基準額を使い切っていても、福祉用具購入や住宅改修は別途利用できます。介護現場の職員が利用者家族から相談を受けた際は、どの限度額の話かを確認することが大切です。
介護職が知っておきたい実務での活かし方
区分支給限度基準額は、ケアマネジャーだけでなく、現場の介護職にとっても理解しておくと役立つ知識です。
- サービス追加の相談を受けたとき:利用者や家族から「もう少し訪問の回数を増やしたい」という希望があれば、ケアマネジャーに上限の余裕を確認してもらう必要があります。残単位数を見ずに増やすと月末に超過が発覚することがあります。
- 新人ヘルパー教育で:報酬請求の仕組みを説明する際、「単位×地域単価」の計算と区分支給限度基準額をセットで伝えると、自分が提供する1時間のサービスがいくらの単位を消費しているかが理解でき、業務への納得感が高まります。
- 看取り期や急変時のケアプラン見直し:状態が急に悪化したケースでは、短期入所や福祉用具のレンタル増で限度額を圧迫しがちです。区分変更申請(要介護度の見直し)を視野に入れることも選択肢になります。
制度の数字を覚えるよりも、「上限を超えると全額自己負担になる」「区分が上がれば上限も上がる」という構造を押さえておくと、利用者家族への説明がスムーズになります。
区分支給限度基準額に関するよくある質問
Q1. 区分支給限度基準額は毎年改定されますか?
原則として3年に一度の介護報酬改定のタイミングで見直されます。直近では2024年度改定で各区分の単位数が更新されました。次回は2027年度改定が予定されています。
Q2. 限度額を超えそうなときはどうすればいいですか?
まずはケアマネジャーに相談してください。サービスの組み合わせ変更、区分支給限度基準額の対象外サービス(居宅療養管理指導など)への切り替え、状態に応じた要介護認定区分変更申請などの選択肢があります。
Q3. 加算が付くと限度額の消費単位も増えますか?
はい。サービスに加算(処遇改善加算・特定処遇改善加算など)が付くと、その分だけ消費する単位数も増えます。ただし2015年度改定以降、処遇改善加算の単位数は区分支給限度基準額の枠外で計算される扱いになりました。
Q4. 要介護認定を申請中でまだ結果が出ていない場合は?
暫定ケアプランでサービスを利用できますが、認定結果が想定より軽度になった場合、暫定で使った分が限度額を超えていると超過分が全額自己負担になります。事前にケアマネジャーと負担リスクを確認しておきましょう。
Q5. 介護保険施設に入所した場合も区分支給限度基準額は適用されますか?
いいえ。介護老人福祉施設(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院などの施設入所サービスは、区分支給限度基準額の枠外で別途報酬体系が組まれています。食費・居住費は全額自己負担で、所得に応じた負担限度額認定の制度があります。
まとめ
区分支給限度基準額は、要介護認定者が在宅介護サービスを月にどれだけ給付対象として使えるかを示す上限です。要支援1の5,032単位から要介護5の36,217単位まで7区分に分かれ、超過分は全額自己負担になる仕組みです。介護現場で利用者家族の負担を考えながらケアを組み立てるために、現場の介護職にも理解しておく価値のある制度といえます。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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