認知症介護実践者研修とは
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認知症介護実践者研修とは

認知症介護実践者研修は、介護現場で2年程度の実務経験を持つ職員が対象の都道府県知事指定研修。30時間程度の講義・演習と職場実習で構成され、修了によりグループホームや小規模多機能型居宅介護の配置要件・各種加算算定要件を満たす。上位研修「実践リーダー研修」への登竜門。

ポイント

この記事のポイント

認知症介護実践者研修は、都道府県知事が指定する認知症ケアの専門研修で、介護現場で概ね2年以上の実務経験を持つ介護職員が対象です。講義・演習と職場実習を合わせて約30時間〜2か月のカリキュラムで構成され、修了するとグループホームや小規模多機能型居宅介護の配置要件、認知症加算や認知症専門ケア加算の算定要件を満たせます。

目次

認知症介護実践者研修の制度的位置づけ

認知症介護実践者研修は、厚生労働省の認知症介護実践者等養成事業実施要綱に基づき、各都道府県・指定都市が知事指定で実施する公的な研修制度です。介護保険施設や認知症対応サービス事業所に従事する介護職員のうち、概ね2年以上の実務経験を持つ者が対象で、認知症ケアの理論と実践技術を体系的に習得することを目的としています。

研修体系は3段階で構成され、「認知症介護基礎研修(無資格者向け・義務化済み)」を入口として、本研修を中位、その上に「認知症介護実践リーダー研修」「認知症介護指導者養成研修」が積み上がります。実践者研修は、現場で認知症ケアの中核を担う職員を育てる位置にあり、修了者は所属事業所内で他職員への助言や認知症ケアの質向上をリードすることが期待されます。

カリキュラムは全国共通で、認知症介護研究・研修センター(仙台・東京・大府の3拠点)が監修しています。研修は外部委託で実施されることが多く、社会福祉協議会や福祉関連法人、職能団体などが県の指定を受けて運営しています。

受講要件・カリキュラム・費用の主な要素

  • 受講対象者:介護保険施設・事業者等に従事し、認知症介護基礎研修修了者またはそれと同等以上の能力を有する者で、概ね2年程度の実務経験がある介護職員。施設長や管理者の推薦が必要なケースが多い。
  • 研修時間:講義・演習が約30時間(6〜7日間)+自施設での職場実習が2〜4週間。レポート提出を含めて修了まで2〜3か月程度。
  • カリキュラム内容:認知症の医学的理解、パーソン・センタード・ケアの理念、BPSDへの対応、コミュニケーション技術、アセスメントとケア計画作成、家族支援、権利擁護、生活環境づくりなど。
  • 受講料:自治体ごとに大きく差がある。東京都は基本無料、多くの県で1万5,000円〜3万円、一部では3万5,000円以上。テキスト代が別途必要な場合あり。
  • 実施主体:都道府県・指定都市が指定する研修実施機関(社会福祉協議会・民間福祉法人・職能団体など)。カリキュラム監修は認知症介護研究・研修センター(仙台/東京/大府)。
  • 修了評価:修了試験はなく、全カリキュラム受講+実習報告書の提出で修了証が交付される。

基礎研修・実践リーダー研修との違い

認知症介護に関する都道府県研修は3段階で積み上がる構造になっており、それぞれ対象者・期待される役割・必要な実務経験が異なります。

研修名対象者の実務経験研修時間の目安主な期待役割
認知症介護基礎研修原則すべての介護従事者(無資格者は義務)約3時間(eラーニング)認知症ケアの基礎的理解
認知症介護実践者研修概ね2年以上講義30時間+実習2〜4週間現場での実践的なケア提供と所属事業所での助言
認知症介護実践リーダー研修概ね5年以上+実践者研修修了後1年以上約60時間+実習チームケアのリーダー、認知症専門ケア加算(I)の配置要件
認知症介護指導者養成研修実践リーダー研修修了者9〜10週間都道府県研修の講師・地域指導者

実践者研修は基礎研修と上位のリーダー研修をつなぐ中核の位置にあり、「現場リーダー候補」を育成するキャリアの分岐点として機能します。

受講から修了までの流れ

  1. 事業所内で受講候補者を選定:施設長・管理者の推薦が必要。所属事業所の研修計画にあわせて応募者を決定する。
  2. 都道府県・指定都市の募集情報を確認:年1〜2回の募集が一般的で、定員は地域により30〜100名程度。応募が定員を超えると施設単位での優先順位調整が行われる。
  3. 申込書類の提出:受講申込書・実務経歴書・推薦書を実施機関へ提出。基礎研修修了証の写しを求められる自治体もある。
  4. 講義・演習(6〜7日間):認知症の医学的理解、パーソン・センタード・ケア、BPSD対応、ケア計画、家族支援などを集合形式またはオンラインで受講。グループ演習を含む。
  5. 自施設での職場実習(2〜4週間):特定の認知症利用者を対象にアセスメント・ケア計画立案・実践・評価を行う。
  6. レポート・実習報告書を提出:実施機関が内容を確認し、要件を満たせば修了証が交付される。
  7. 事業所への共有:修了者は事業所内のケア改善や新人指導に活用される。1年以上の経過と概ね5年以上の実務経験で認知症介護実践リーダー研修の受講資格が得られる。

修了が活きる加算と配置要件

本研修の修了者は、複数の介護報酬加算の算定要件や事業所の配置基準に関わります。事業所側にとっては経営インパクトが大きく、職員のキャリア面でも給与改善につながりやすいポイントです。

  • 認知症加算(通所介護など):認知症利用者割合や職員配置に加え、実践者研修修了者の配置が要件のひとつ。
  • 認知症専門ケア加算(Ⅰ):認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の利用者割合に加え、実践者研修修了者を一定数以上配置し、認知症ケアに関する事業所内研修を計画的に実施することが要件。なお加算(Ⅱ)には実践リーダー研修修了者の配置が必要。
  • グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の管理者要件:管理者は実践者研修修了相当の知識・経験が求められ、事実上の必須要件として運用される。
  • 小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護:計画作成担当者や管理者の要件として、本研修修了が事実上の標準となっている。
  • キャリアパス制度との接続:処遇改善加算の上位区分の取得を目指す事業所では、職員のキャリアラダーに本研修を組み込むケースが多い。修了が手当や昇格の要件になることもある。

修了証は全国共通の効力を持つため、転職時にも有効。応募書類や面接で「実践者研修修了」を提示すると、認知症対応サービスの管理職候補として歓迎されやすい。

よくある質問

Q. 認知症介護基礎研修との違いは何ですか?

基礎研修は無資格を含むすべての介護従事者を対象とした入門研修で、約3時間のeラーニングが中心です。一方、実践者研修は2年程度の実務経験者を対象に約30時間の講義・演習と職場実習を行う中位の研修で、認知症ケアを主導できる人材の育成を目的としています。

Q. 介護福祉士の資格がなくても受講できますか?

制度上は介護福祉士資格の保有は必須要件ではありません。介護保険サービス事業所等で概ね2年程度の実務経験があり、認知症介護基礎研修を修了していれば応募できます。ただし、事業所の推薦が必要なため、職場での実務評価が前提となります。

Q. 受講料は自分で負担するのですか?

多くの事業所では研修費を法人が負担します。法定研修としての位置づけが強く、修了者の存在が加算算定に直結するため、事業所側に投資メリットがあるためです。応募前に勤務先の研修制度を確認しましょう。

Q. 修了証に有効期限はありますか?

修了証に有効期限はありません。一度取得すれば全国共通で生涯有効です。ただし、認知症ケアの知見はアップデートされるため、最新の動向は継続教育で補う必要があります。

Q. オンラインで受講できますか?

講義部分はオンライン(ライブ配信またはオンデマンド)で実施する自治体が増えています。ただし演習や職場実習は対面・実地で行うため、完全オンライン完結ではありません。

出典・参考資料

  • 厚生労働省「認知症介護実践者等養成事業実施要綱」(mhlw.go.jp PDF
  • 厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課「介護保険最新情報 Vol.1224(令和6年3月)」(mhlw.go.jp PDF
  • 認知症介護研究・研修センター(東京・仙台・大府)公式情報
  • 大阪府「令和7年度 認知症介護実践研修(実践者研修・実践リーダー研修)」案内(pref.osaka.lg.jp
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定 認知症専門ケア加算・認知症チームケア推進加算 算定要件」

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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