認知症加算とは

認知症加算とは

認知症加算は通所介護・小規模多機能などで認知症の方を積極的に受け入れる体制を評価する加算。2024年改定後の算定要件、単位数、対象サービス、専門ケア加算との違いを介護現場の視点で整理する。

ポイント

この記事のポイント

認知症加算とは、認知症の方を積極的に受け入れる体制を整えた介護事業所を介護報酬で評価する加算です。通所介護・地域密着型通所介護では1日60単位、小規模多機能型居宅介護では月800単位(Ⅰ)/500単位(Ⅱ)が算定でき、2024年度改定では利用者割合要件が20%から15%に緩和される一方、認知症ケアの事例検討会の定期開催が新たに必須化されました。

目次

認知症加算の位置づけと対象サービス

認知症加算は、介護保険法に基づく介護報酬体系のなかで「認知症の方を積極的に受け入れ、専門的なケアを提供する事業所」を評価するために設けられた加算です。厚生労働省が告示する「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」などにより算定要件と単位数が定められており、利用者の中重度の認知症ケアを評価する仕組みとして位置づけられています。

対象サービスは大きく次の4つに分かれます。

  • 通所介護(デイサービス):1日60単位を加算。日常生活自立度Ⅲ以上の利用者に対して算定。
  • 地域密着型通所介護:1日60単位。算定要件は通所介護とほぼ同一。
  • 小規模多機能型居宅介護:月単位で算定(Ⅰ:800単位/月、Ⅱ:500単位/月)。研修修了者の配置数や認知症利用者の割合で区分。
  • 看護小規模多機能型居宅介護:小規模多機能と同様に月単位で算定。

同じ「認知症」を冠する加算でも、訪問介護・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設などで設けられている認知症専門ケア加算とは別物で、対象サービス・要件・単位数の構造が異なります。事業所でどの加算を取得するかは、サービス種別とケアの提供実態によって決まります。

サービス別 単位数早見表(2024年度改定後)

サービス種別区分単位数算定単位
通所介護60単位1日
地域密着型通所介護60単位1日
小規模多機能型居宅介護認知症加算(Ⅰ)800単位1月
小規模多機能型居宅介護認知症加算(Ⅱ)500単位1月
看護小規模多機能型居宅介護認知症加算(Ⅰ)800単位1月
看護小規模多機能型居宅介護認知症加算(Ⅱ)500単位1月

通所系は「1日あたり」、多機能系は「1月あたり」で算定するのが大きな違いです。多機能系の(Ⅰ)と(Ⅱ)の差は、研修修了者の配置数と認知症の利用者割合で区分されます。単位数自体は2024年度改定で変更ありませんが、算定要件は緩和と追加の両方が行われた点に注意が必要です。

算定要件(通所介護・地域密着型通所介護)

通所介護および地域密着型通所介護で認知症加算を算定するには、次の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 人員配置の上乗せ:人員基準で求められる看護職員または介護職員に加えて、常勤換算で2名以上を確保していること。
  2. 認知症利用者の割合:前年度または算定日が属する月の前3カ月間の利用者総数のうち、日常生活自立度Ⅲ以上の認知症の方の割合が15%以上であること(2024年度改定で20%から緩和)。
  3. 専門研修修了者の配置:認知症介護指導者養成研修・認知症介護実践リーダー研修・認知症介護実践者研修のいずれかを修了した職員を、サービス提供時間を通じて1名以上配置していること。
  4. 計画的なケア提供:認知症の症状進行緩和に資するケアを計画的に実施する体制が整っていること。
  5. 事例検討会の定期開催:従業者に対する認知症ケアに関する事例検討や技術指導の会議を定期的に開催すること(2024年度改定で新規追加)。

小規模多機能型居宅介護の場合は、認知症日常生活自立度の利用者割合(Ⅲ以上が50%以上 など)と研修修了者の配置数で(Ⅰ)(Ⅱ)が区分される点が異なります。詳細は厚生労働省の留意事項通知(介護保険最新情報)を参照してください。

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認知症専門ケア加算・認知症チームケア推進加算との違い

「認知症加算」は、似た名称の加算と混同されやすいため、現場での請求業務やキャリア選択の前に整理しておくことが重要です。

加算名主な対象サービス評価の中心必要な専門研修
認知症加算通所介護・地域密着型通所介護・小規模多機能・看多機認知症の方を一定割合受け入れる事業所体制認知症介護実践者研修以上
認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ)訪問介護・特養・老健・介護医療院・GHなど認知症介護実践リーダー研修・指導者養成研修修了者の配置と指導体制実践リーダー研修・指導者養成研修
認知症チームケア推進加算(2024年新設)特養・老健などの施設系多職種チームでBPSDの予防・軽減に取り組む体制所定の研修+BPSD評価ツールの活用

同じ事業所内で「認知症加算」と「認知症専門ケア加算」を併算定できないケースもあるため、運営基準と算定告示の併算定可否は必ず確認が必要です。求職者目線では、これらの加算をきちんと算定している事業所は「研修体制が整備されており、専門性を高めやすい職場」と判断する材料になります。

2024年度改定のポイントと現場・キャリアへの影響

2024年度(令和6年度)介護報酬改定では、認知症加算は「取得しやすくしつつ、ケアの質も高める」方向で見直されました。実務に直結するポイントは次の3つです。

  • 利用者割合要件の緩和(20%→15%):これまで「認知症の方の割合が20%以上」というハードルで取得をあきらめていた中規模デイなどでも、新たに算定可能になるケースが増えました。
  • 事例検討会の定期開催が必須化:単なる体制整備では足りず、現場の認知症ケアに関する事例検討や技術指導の会議を継続して回す必要があります。会議録・参加者・テーマの記録が指導監査でも確認されるため、運営側の工数は増加します。
  • 認知症チームケア推進加算の新設:施設系では別系統の新加算が登場し、BPSD(行動・心理症状)の予防・軽減を多職種で評価する流れが本格化しました。認知症加算と組み合わせて全体像を理解することが重要です。

介護職としての視点で見ると、認知症加算を算定している事業所は「認知症介護実践者研修以上の研修費用を法人が負担している」「事例検討会で経験を共有できる」可能性が高く、認知症ケアのスキルを伸ばしたい人にとっては事業所選びの一つの目安になります。求人票や面接で「認知症加算は取得していますか」「事例検討会の頻度は」と確認することは、実質的な研修体制を見抜く質問にもなります。

よくある質問

よくある質問

Q1. 認知症加算は介護職員自身に支給される手当ですか?

いいえ。認知症加算は事業所が介護報酬として受け取るもので、介護職員に直接支給される手当ではありません。ただし加算分は事業所の収入を押し上げるため、賞与原資や処遇改善加算など他の仕組みを通じて間接的に職員へ還元される可能性があります。

Q2. 全ての通所介護事業所で算定できますか?

いいえ。日常生活自立度Ⅲ以上の認知症の利用者の割合が15%以上であることや、認知症介護実践者研修などを修了した職員を配置していることなど、複数の要件を満たした事業所のみ算定できます。

Q3. 認知症加算と認知症専門ケア加算は同時に算定できますか?

サービス種別と加算ごとに併算定の可否が異なります。例えば訪問介護・特別養護老人ホーム等で算定する認知症専門ケア加算と、通所介護で算定する認知症加算は別サービスの加算であり、それぞれの基準で別個に取得します。同一サービスでの重複算定は告示で制限されているケースがあるため、事業所の運営基準を確認してください。

Q4. 認知症介護実践者研修はどこで受けられますか?

認知症介護実践者研修は各都道府県・指定都市が指定する研修機関が実施しています。修了することで認知症加算・認知症専門ケア加算の算定要件を満たすほか、リーダー研修や指導者養成研修へのステップアップにつながります。

まとめ

認知症加算は、認知症の方を一定割合受け入れ、専門研修修了者の配置と事例検討会の運営を継続している事業所を介護報酬で評価する制度です。2024年度改定で利用者割合要件が緩和されたことで取得可能な事業所が広がる一方、事例検討会の定期開催が必須化され、ケアの質を担保する仕組みへと再設計されました。算定状況は、その事業所が認知症ケアにどれだけ本気で投資しているかを測る指標にもなります。求人を選ぶ際や現場で算定要件を確認する際の判断材料として活用してください。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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