入浴介助加算とは

入浴介助加算とは

入浴介助加算(Ⅰ・Ⅱ)の算定要件・単位数・通所介護での実務留意点を、2024年度改定後の最新ルールに沿って解説。研修義務化や個別計画書、訪問評価のICT活用など現場で迷いやすいポイントを整理します。

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この記事のポイント

入浴介助加算は、通所介護や短期入所などで入浴介助を行った場合に算定できる加算で、(Ⅰ)40単位/日と(Ⅱ)55単位/日の2区分があります。(Ⅰ)は基本的な入浴介助に研修実施などが要件、(Ⅱ)は利用者宅の浴室環境を評価したうえで、自宅入浴の自立を目指した個別入浴計画を作成・実施することが必要です。両者の同時算定はできません。

目次

入浴介助加算の基本:制度上の位置づけと算定対象サービス

入浴介助加算は、介護保険制度上の通所介護費等の加算として位置づけられ、利用者が事業所で入浴介助を受けた場合に1日につき算定できる仕組みです。対象は通所介護(デイサービス)、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、短期入所生活介護、短期入所療養介護などで、入浴設備と人員基準を満たす事業所が対象になります。

2021年度改定で従来の50単位/日が(Ⅰ)40単位・(Ⅱ)55単位の二段階に再編され、2024年度改定でさらに(Ⅰ)の研修要件追加と(Ⅱ)の訪問評価の柔軟化が行われました。背景には「事業所での入浴」を、ただ清潔保持のためだけでなく自宅で入浴を続けられる状態を維持する自立支援に位置づけ直す意図があります。

算定単位は要介護度別の基本報酬に上乗せされる形で、利用者は1割〜3割をその区分に応じて自己負担します。区分支給限度基準額(区分限度額)の計算対象に含まれるため、入浴介助加算を多く算定する利用者ほど他のサービス利用余地が圧迫される点も実務上の論点です。なお、入浴介助を行わなかった日や、感染症等で清拭のみで終わった日には算定できません。

入浴介助加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い

2024年度改定後の通所介護における算定要件は次のとおりです。

項目入浴介助加算(Ⅰ)入浴介助加算(Ⅱ)
単位数40単位/日55単位/日
人員・設備適切な入浴介助に必要な人員・設備(Ⅰ)と同じ
計画通所介護計画等に基づく入浴介助利用者ごとの個別の入浴計画を作成
研修2024年度より入浴介助に関する研修等の実施が要件化(Ⅰ)の要件をすべて満たす
訪問評価不要医師・理学療法士・作業療法士・看護職員・介護支援専門員・福祉用具専門相談員等が利用者の自宅浴室を訪問評価し助言。ICT機器活用での代替も可能
目的事業所での安全な入浴介助自宅での入浴自立を目指した自立支援

両加算の同時算定はできず、いずれか一方を選択して算定します。一般に(Ⅱ)は手間がかかる代わりに15単位高く設定されており、自宅入浴の継続が目標として明確な利用者で算定するのが原則です。単に単位数の高さだけで(Ⅱ)を選ぶと、訪問評価・個別計画の運用が形骸化し、実地指導での返戻リスクにつながります。

(Ⅱ)算定で必要な個別入浴計画の必須項目

入浴介助加算(Ⅱ)を算定するには、利用者ごとに個別の入浴計画を作成する必要があります。計画には少なくとも次の項目を盛り込みます。

  • 利用者の状態評価:心身機能、ADL、入浴に関わる動作(衣服の着脱・浴槽またぎ・洗体)、認知機能
  • 自宅浴室の環境評価結果:浴槽の高さ・幅、手すりの有無、洗い場の段差、暖房の有無、滑りやすさなど
  • 自宅で入浴を続けるうえでの課題:環境面・身体面・介助者面それぞれを記載
  • 事業所での入浴介助の方針:自宅環境を再現する設備の使い方や、自立を促す介助の手順
  • 福祉用具・住宅改修の提案:必要に応じた手すり設置・浴槽内椅子・入浴用リフト等
  • 計画の見直し時期:原則3カ月ごとなど

計画は個別の通所介護計画書とは別に作成することが望ましく、医師・理学療法士・作業療法士・看護職員・介護支援専門員・福祉用具専門相談員などの多職種関与が事実上前提となります。実地指導では「計画の作成日・関与した職種・利用者の同意」のサインが揃っているかをチェックされやすいポイントです。

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2024年度改定で変わったポイント

2024年度(令和6年度)介護報酬改定では、入浴介助加算の運用に2つの大きな変更が入りました。

1. 入浴介助加算(Ⅰ)に研修要件が追加
これまで(Ⅰ)は「適切な人員・設備」「通所介護計画に基づく介助」が中心要件でしたが、改定後は入浴介助に関する研修等を実施することが明記されました。研修は事業所内研修・外部研修いずれも可で、入浴介助に関わる職員(介護職員・看護職員等)が継続的に学ぶ機会を確保することが求められます。研修記録(実施日・参加者・内容)を整備し、実地指導に備える必要があります。

2. 入浴介助加算(Ⅱ)の訪問評価がICTで代替可能に
従来は医師・理学療法士・作業療法士・看護職員・介護支援専門員・福祉用具専門相談員等が利用者宅を訪問して浴室環境を評価することが必須でした。改定後は、これらの専門職に代わって事業所の介護職員等が利用者宅を訪問し、ICT機器(タブレット端末・カメラ等)で浴室の状況を撮影・共有し、医師等がそれを基に評価・助言を行う方法でも算定可能になりました。これにより、訪問の実施が事実上難しかった事業所でも(Ⅱ)算定への道が開きやすくなりました。

ただしICT活用の場合も、医師等の評価・助言の記録を必ず残し、その指示が個別入浴計画にどう反映されたかを書面で説明できる状態にしておく必要があります。

よくある質問

よくある質問

Q. (Ⅰ)と(Ⅱ)は同じ日に両方算定できますか?

A. できません。同一日に両方を算定することは認められておらず、利用者ごとにいずれか一方を選択します。事業所として全員一律に(Ⅰ)または(Ⅱ)に揃える必要はなく、利用者の自宅入浴目標の有無に応じて使い分けが可能です。

Q. 清拭のみの日や入浴を中止した日も算定できますか?

A. 算定できません。入浴介助加算は実際に入浴介助を行った日のみ算定対象で、体調不良で清拭に切り替えた日や入浴自体を中止した日は加算対象外です。

Q. 訪問入浴介護や介護老人福祉施設にも入浴介助加算はありますか?

A. 訪問入浴介護は介助そのものがサービスの中心のため入浴介助加算は設定されていません。介護老人福祉施設(特養)には入浴介助加算はなく、特浴に関する別の評価体系があります。一方、短期入所生活介護・短期入所療養介護には入浴介助加算が設定されています。

Q. 個別入浴計画は誰がサインすればよいですか?

A. 計画作成に関与した多職種(医師・看護職員・理学療法士・介護支援専門員・福祉用具専門相談員等のうち実際に関与した職種)と、利用者本人(または家族)の同意署名を残すのが一般的です。実地指導では関与職種の特定と利用者同意の有無が確認されます。

まとめ

入浴介助加算は、通所介護や短期入所などで入浴介助を行った場合に算定できる加算で、(Ⅰ)40単位・(Ⅱ)55単位の二段階構成です。(Ⅰ)は2024年度改定で研修要件が追加され、(Ⅱ)は訪問評価がICT機器活用で代替可能になりました。(Ⅱ)の算定には利用者ごとの個別入浴計画と多職種関与が必要で、単に単位数の高さだけで選ぶと実地指導で指摘されるリスクがあります。自宅入浴の自立支援を本気で目指す利用者で(Ⅱ)、それ以外は(Ⅰ)と整理し、研修記録・計画書・訪問評価記録を揃えておくのが現場対応の基本となります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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