
予防給付とは
予防給付は、要支援1・2と認定された人が受けられる介護保険の給付。要介護への移行を防ぐ目的で、介護予防訪問看護や福祉用具貸与、住宅改修などのサービスが対象。介護給付との違い、総合事業への移行、支給限度額をやさしく解説。
この記事のポイント
予防給付(よぼうきゅうふ)とは、介護保険制度において要支援1または要支援2と認定された人が利用できる保険給付です。要介護状態になることを防ぐため、介護予防に資するサービスを提供します。介護予防訪問看護や福祉用具貸与、住宅改修、介護予防支援(ケアマネジメント)などが対象で、要介護者向けの「介護給付」とはサービス種類や支給限度額が異なります。なお、訪問介護・通所介護は2017年度末までに市町村の総合事業へ移行しています。
目次
予防給付の位置づけと対象者
予防給付は、介護保険法に基づく保険給付の3類型(介護給付・予防給付・市町村特別給付)のうち、軽度の要介護リスクを抱える高齢者を対象とする給付区分です。被保険者のうち要支援1または要支援2の認定を受けた人が利用でき、心身機能の維持・改善を通じて要介護状態への移行を予防することを目的としています。
要支援は、現時点で日常生活を概ね自立して送れるものの、入浴や買い物などの一部に支援が必要、または立ち上がりや歩行に不安定さがある状態を指します。要支援1は基本的にひとりで生活できるが家事や身支度の一部に介助が必要なレベル、要支援2はそれよりやや支援量が多く、要介護1の境界に近い状態と整理されます。
予防給付の特徴は、「できないことを補う」介護ではなく「できることを維持する」自立支援に重点が置かれている点です。ケアマネジメント(介護予防支援)は地域包括支援センターが中核となって担い、利用者本人が目標を設定して取り組む「予防プラン」が作成されます。サービス提供事業者にも、機能の代替ではなく機能の維持・向上を促す関わりが求められます。
予防給付の財源構成は介護給付と同様で、公費(国・都道府県・市町村)50%と保険料(第1号・第2号被保険者)50%。利用者は原則1割(一定所得以上は2〜3割)の自己負担でサービスを受けられます。
予防給付の対象サービス一覧
予防給付で利用できるサービスは、都道府県が指定・監督する「介護予防サービス」と市町村が指定・監督する「地域密着型介護予防サービス」に大別されます。要介護者向けの「居宅サービス」「地域密着型サービス」と名前が似ていますが、すべてのサービス名に「介護予防」が冠されている点が目印です。
介護予防サービス(都道府県指定)
- 介護予防訪問入浴介護
- 介護予防訪問看護
- 介護予防訪問リハビリテーション
- 介護予防居宅療養管理指導
- 介護予防通所リハビリテーション
- 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
- 介護予防短期入所療養介護
- 介護予防特定施設入居者生活介護
- 介護予防福祉用具貸与
- 特定介護予防福祉用具販売
- 介護予防住宅改修費の支給
地域密着型介護予防サービス(市町村指定)
- 介護予防認知症対応型通所介護
- 介護予防小規模多機能型居宅介護
- 介護予防認知症対応型共同生活介護(要支援2のみ・グループホーム)
介護予防支援(ケアマネジメント)
- 地域包括支援センターまたは委託先の指定居宅介護支援事業所が、予防プランの作成と給付管理を担当
注意点として、要介護者が利用する施設サービス(特養・老健・介護医療院)は予防給付では利用できません。施設入所が必要な状態は要介護認定の対象となります。
予防給付と介護給付の違い
予防給付と介護給付は同じ介護保険の保険給付ですが、対象者・サービス範囲・支給限度額に明確な違いがあります。
| 比較項目 | 予防給付 | 介護給付 |
|---|---|---|
| 対象者 | 要支援1・2 | 要介護1〜5 |
| 目的 | 要介護状態への移行予防・心身機能の維持改善 | 要介護状態の悪化防止と生活支援 |
| ケアマネジメント主体 | 地域包括支援センター(介護予防支援) | 居宅介護支援事業所のケアマネジャー |
| 区分支給限度基準額 | 要支援1:5,032単位/月 要支援2:10,531単位/月 | 要介護1:16,765単位 〜要介護5:36,217単位/月 |
| 施設サービス | 利用不可 | 特養(要介護3以上)・老健・介護医療院 |
| 定期巡回・夜間対応型訪問介護 | 対象外 | 対象 |
| 訪問介護・通所介護 | 総合事業へ移行済み(2017年度末) | 引き続き介護給付で提供 |
支給限度額を超えた分は全額自己負担となります。1単位は10円が標準ですが、地域区分によって10.00円〜11.40円まで変動します。
総合事業への移行と現在の予防給付の範囲
予防給付の歴史的な転換点として押さえておきたいのが、2014年改正介護保険法による「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」への一部移行です。
2017年度末までに、それまで予防給付で提供されていた介護予防訪問介護と介護予防通所介護の2サービスは、市町村が運営する地域支援事業(総合事業)へ全面移行しました。これにより、要支援者がホームヘルパーやデイサービスを利用する際は、現在は予防給付ではなく総合事業の「訪問型サービス」「通所型サービス」を使う仕組みになっています。
総合事業に移行したのは、地域の実情に応じて多様な担い手(NPO・ボランティア・住民主体の活動など)がサービスを提供できる柔軟な仕組みを整えるためです。財源構成は予防給付と同じ(公費50%+保険料50%)ですが、料金や運営基準は市町村が地域ごとに設定できます。
一方、訪問看護・訪問リハビリ・福祉用具貸与・住宅改修・短期入所などの医療系・専門性の高いサービスは、引き続き予防給付として全国共通の基準で提供されています。介護現場で働く人や家族介護者にとっては、要支援者が使うサービスごとに「これは予防給付か、総合事業か」を区別して理解する必要があります。
よくある質問
Q. 予防給付のケアプランは誰が作りますか?
地域包括支援センターが「介護予防支援」として作成・管理します。地域包括支援センターから指定居宅介護支援事業所のケアマネジャーへ委託される場合もあります。
Q. 要支援1と要支援2では、利用できるサービスに違いがありますか?
サービスの種類は概ね共通ですが、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の介護予防版は要支援2のみ利用可能です。また、区分支給限度基準額が異なるため、要支援2の方がより多くのサービス量を使えます。
Q. 訪問介護や通所介護は予防給付で使えないのですか?
介護給付(要介護者向け)では現在も予防給付に類するメニューがありますが、要支援者向けの訪問介護・通所介護は2017年度末で予防給付から市町村の総合事業へ移行しました。要支援1・2の人は総合事業の訪問型・通所型サービスを利用します。
Q. 自己負担割合は介護給付と同じですか?
同じです。原則1割負担、一定所得以上は2割または3割負担となります。区分支給限度基準額を超えた利用分は全額自己負担です。
Q. 福祉用具のうち、要支援者が使えないものはありますか?
車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・移動用リフトなどは原則として要介護2以上が対象です。要支援1・2でも、医師の意見書などにより必要性が認められれば例外給付が可能な場合があります。
まとめ
予防給付は、要支援1・2の認定を受けた人が要介護状態への移行を防ぐために利用する介護保険給付です。訪問看護・福祉用具貸与・住宅改修などの専門サービスを全国共通の基準で受けられる一方、訪問介護・通所介護は2017年度末から市町村の総合事業へ移行しました。介護給付と比べると支給限度額やサービス種類は限定的ですが、自立支援に重点を置いた制度設計になっています。介護現場で働く人や家族介護者は、要支援者が利用するサービスが「予防給付」か「総合事業」かを区別して理解しておくと、ケアプランや報酬の仕組みをよりスムーズに把握できます。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
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