指輪っかテストとは

指輪っかテストとは

指輪っかテストは両手の親指と人差し指で作った輪でふくらはぎを囲み、サルコペニアやフレイルのリスクを簡易評価する方法。東大の柏スタディで考案された実施法・エビデンス・限界・介護現場での活用を解説します。

ポイント

指輪っかテストの定義

指輪っかテストとは、両手の親指と人差し指で輪を作り、利き足ではない方のふくらはぎの一番太い部分を力を入れずに軽く囲んで、サルコペニア(加齢による筋肉量・筋力の低下)やフレイルのリスクを簡易評価する方法です。東京大学高齢社会総合研究機構が実施した「柏スタディ」をもとに考案されました。囲めずに指が届かない人よりも、囲んで隙間ができる人のほうがリスクが高いと判定します。

目次

指輪っかテストの概要

指輪っかテストの全体像

指輪っかテストは、ふくらはぎ(下腿)の太さを、器具を使わず自分の指の輪で簡易的に測る方法です。ふくらはぎには全身の筋肉量を反映しやすい筋肉が集まっており、その太さが細いほど、全身の骨格筋量が減っているサルコペニアの可能性が高まると考えられています。メジャーや体組成計がなくても、その場ですぐにできる手軽さが最大の特長です。

考案の背景にあるのが、東京大学高齢社会総合研究機構が千葉県柏市で行った大規模な高齢者調査「柏スタディ」です。飯島勝矢氏らのフレイル研究チームが、地域高齢者の筋肉量とふくらはぎの太さの関係を分析し、指の輪という身近な道具でサルコペニアのリスクをふるい分けられることを示しました。

判定は3段階です。ふくらはぎが太くて指の輪で「囲めない」人はリスクが低く、「ちょうど囲める」人は中間、指の輪とふくらはぎの間に「隙間ができる」人はリスクが高いと判断します。あくまでスクリーニング(ふるい分け)であり、診断ではない点が重要です。

指輪っかテストの実施方法

実施方法

  1. 両手の親指と人差し指で輪を作ります。
  2. 利き足ではない方(力を入れていない側)のふくらはぎの、一番太い部分を選びます。
  3. 力を入れず、軽くその部分を指の輪で囲みます。ふくらはぎに力を入れると太くなるため、自然な状態で行うのがポイントです。

判定は次の3段階です。

  • 囲めない:ふくらはぎが太く、指の輪が届かない。サルコペニアのリスクは低い。
  • ちょうど囲める:指の輪とふくらはぎがぴったり。中間的な状態。
  • 隙間ができる:指の輪とふくらはぎの間にすき間があく。サルコペニアのリスクが高い。

指輪っかテストのエビデンス(柏スタディ)

柏スタディが示したエビデンス

指輪っかテストの根拠となったのは、千葉県柏市に住む高齢者2,044人を対象とした東京大学高齢社会総合研究機構の追跡調査「柏スタディ」です。おもな結果は次のとおりです。

  • ふくらはぎに「隙間ができる」グループは、「囲めない」グループに比べて、調査時点でサルコペニアに該当する割合が約6.6倍高かった。
  • 2年間の追跡では、「隙間ができる」グループが新たにサルコペニアを発症する割合は約3.4倍高かった。
  • 4年間の追跡では、「隙間ができる」グループの総死亡(あらゆる原因による死亡)の割合が約3.2倍高かった。

指1本の輪という単純な方法で、その後のサルコペニア発症や死亡のリスクをある程度予測できたことが、このテストが広く紹介されるようになった理由です。ふくらはぎの太さが、全身の筋肉の状態を映す鏡になっていることを示す結果といえます。

指輪っかテストの介護現場での活用

介護現場・介護予防での活用

気づきのきっかけとして:指輪っかテストは道具も測定技術もいらないため、地域の介護予防教室や通所リハビリ、健康講座などで、利用者本人や家族が自分の筋肉の状態に気づく入り口として使えます。「隙間ができた」ことをきっかけに、運動や栄養を見直す動機づけにつながります。

フレイルチェックの一部として:東大の取り組みでは、指輪っかテストは「イレブンチェック」など複数の項目と組み合わせた総合的なフレイルチェックの一部として位置づけられています。単独で断定するのではなく、歩行速度・握力・食事・社会参加の状況とあわせて総合的に見ます。

介護職の観察につなげる:ふくらはぎが細くなってきた、隙間が広がってきたといった変化は、低栄養や活動量低下のサインのことがあります。介護職が日常のケアの中で気づき、管理栄養士や機能訓練指導員、看護師につなぐ材料として活用できます。

指輪っかテストの限界と注意点

限界と注意点

  • あくまでスクリーニング:指輪っかテストはリスクをふるい分ける簡易法であり、サルコペニアの確定診断ではありません。「隙間ができる」場合は、握力や歩行速度、体組成の測定など、正式な評価につなぐことが望まれます。
  • 指の太さの個人差:手や指の大きさは人それぞれで、輪の大きさも変わります。同じふくらはぎでも指が細い人と太い人では判定が変わり得るため、絶対的な基準ではありません。
  • むくみ・脂肪の影響:ふくらはぎのむくみ(浮腫)や皮下脂肪が多いと、筋肉量が少なくても太く見え、リスクを見逃すことがあります。逆もあり得ます。
  • 測る位置と力の入れ方:一番太い部分を、力を入れずに測ることが前提です。位置や力の入れ方がずれると結果が変わります。

これらをふまえ、結果に一喜一憂せず、気づきのきっかけとして使い、必要に応じて専門職の評価につなげることが大切です。

指輪っかテストのよくある質問

よくある質問

どちらの足で行いますか?

利き足ではない側、つまり普段あまり力を入れていない側のふくらはぎで行います。一番太い部分を、力を入れずに軽く囲みます。

「隙間ができる」と必ずサルコペニアですか?

いいえ。指輪っかテストはリスクをふるい分ける簡易法で、診断ではありません。隙間ができた場合はリスクが高めと考え、握力や歩行速度の測定など専門職の評価につなげる目安にします。

「囲めない」なら安心ですか?

囲めない人はサルコペニアのリスクが相対的に低いと考えられますが、むくみや脂肪で太く見えている場合もあります。テストの結果だけで安心せず、食事や運動、活動量の維持を続けることが大切です。

誰が考案したテストですか?

東京大学高齢社会総合研究機構が千葉県柏市で行った「柏スタディ」をもとに、飯島勝矢氏らのフレイル研究チームが考案・普及させたものです。

指輪っかテストの参考資料

指輪っかテストのまとめ

まとめ

指輪っかテストは、両手の指で作った輪でふくらはぎを囲むだけで、サルコペニアやフレイルのリスクを簡易的にふるい分ける方法です。東大の柏スタディでは、隙間ができる人はサルコペニア該当が約6.6倍、4年後の死亡が約3.2倍という結果が示されました。道具がいらず本人も家族も気づける一方、あくまでスクリーニングであり、隙間ができたら握力や歩行速度など専門職の評価につなぐことが、早期の介護予防につながります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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