物理療法とは

物理療法とは

物理療法とは、温熱・寒冷・電気・水・光などの物理的エネルギーを使い痛みの緩和や機能改善を図る理学療法の一種。主な5種類と運動療法との違い、実施者や介護現場での関わりをわかりやすく解説します。

ポイント

物理療法の定義(直接回答)

物理療法とは、温熱・寒冷・電気・水・光線・超音波などの物理的エネルギーを身体に加え、痛みの緩和や血行改善、機能の回復をめざす治療法です。理学療法のうち「運動療法」と並ぶもう一つの柱で、医師の指示のもと主に理学療法士(PT)が実施します。

目次

物理療法とは何かの概要

物理療法とは

物理療法とは、温熱・寒冷・電気・水・光線・超音波といった「物理的なエネルギー(物理的手段)」を身体に加えることで、痛みの軽減・血行の改善・筋肉の緊張緩和・組織の治癒促進などをはかる治療法です。リハビリテーションの分野で広く用いられ、整形外科のクリニックから病院、介護保険施設、訪問リハビリまで、さまざまな現場で行われています。

物理療法は理学療法(Physical Therapy)の一種に位置づけられます。「理学療法士及び作業療法士法」第2条は理学療法を「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること」と定義しており、このうち後半の「物理的手段を加えること」が物理療法にあたります。

物理療法そのものは身体を動かす訓練ではなく、外部からエネルギーを与えて身体に働きかける点が特徴です。痛みやこわばりをやわらげて動きやすい状態をつくり、運動療法を効果的に進めるための「準備」として組み合わせて使われることも多くあります。実施にあたっては医療行為として医師の指示が必要で、主に理学療法士が担当します。

物理療法の主な種類一覧

物理療法の主な種類

物理療法は使うエネルギーの種類によって、おおまかに次のように分類されます。患者の症状や目的に応じて単独で、あるいは組み合わせて用いられます。

  • 温熱療法:ホットパック・マイクロ波(極超短波)・超音波などで患部を温め、血行を促して筋肉の緊張や痛み、こわばりをやわらげる。
  • 寒冷療法:アイスパックなどで患部を冷やし、急性の炎症やケガ直後の痛み・腫れを抑える。
  • 電気療法:低周波・中周波などの電気刺激を与え、痛みの緩和や筋肉のリラックス、筋力低下の予防をはかる。
  • 水治療法:温水・冷水や水流・気泡を利用し、血流改善やマッサージ効果で痛みやこわばりをやわらげる(渦流浴・ウォーターベッド型機器など)。
  • 光線療法:赤外線・レーザーなどの光のエネルギーで温熱効果や痛みの軽減をはかる。
  • 牽引療法:頚椎・腰椎などをゆるやかに引っ張り、神経への圧迫をやわらげて痛みやしびれを軽減する。

超音波療法のように温熱効果と組織への機械的刺激を併せ持つものもあり、どの方法を選ぶかは医師と理学療法士が患者の状態を確認しながら判断します。

物理療法と運動療法の違い比較

物理療法と運動療法の違い

理学療法は大きく「物理療法」と「運動療法」の2つに分けられます。どちらも身体機能の回復をめざしますが、アプローチが異なります。

項目物理療法運動療法
アプローチ温熱・電気・水・光などの物理的エネルギーを外部から加える身体を実際に動かして機能を高める
主な目的痛みの緩和・血行改善・筋緊張の緩和・組織治癒の促進関節可動域の拡大・筋力や持久力の増強・基本動作の改善
患者の動作受け身(機器による刺激を受ける)が中心能動的に運動・動作を行う
具体例ホットパック・低周波治療・牽引・超音波関節可動域練習・筋力増強練習・歩行訓練・バランス訓練

両者は対立するものではなく、たとえば温熱療法で筋肉をやわらげてから運動療法に移るなど、組み合わせて相乗効果を狙うことがよくあります。物理療法で動きやすい状態をつくり、運動療法で機能を高めるという役割分担と理解するとわかりやすいでしょう。

物理療法と介護現場の関わり

介護現場での物理療法の関わり方

物理療法は医師の指示のもと理学療法士が行う医療行為のため、介護職員が機器を操作して治療を行うことはありません。ただし、利用者が通所リハビリや訪問リハビリ、医療機関で物理療法を受けている場面に介護職が立ち会うことは少なくありません。

たとえば、温熱療法や牽引のあとは身体がリラックスして動かしやすくなっていることが多いため、その流れを活かして離床や歩行の声かけにつなげる、痛みの訴えや皮膚の状態の変化に気づいたら理学療法士や看護師へ共有する、といった多職種連携が現場では大切になります。物理療法の種類と目的を理解しておくと、リハビリ職や看護職との情報共有がスムーズになり、利用者の生活機能の維持・向上に貢献しやすくなります。

物理療法のよくある質問

よくある質問

物理療法は誰が行うのですか?
医療行為に位置づけられており、医師の指示のもと主に理学療法士(PT)が実施します。介護職員が治療として機器を操作することはありません。
物理療法と運動療法はどう違いますか?
物理療法は温熱・電気・水・光などのエネルギーを外部から加えるのに対し、運動療法は身体を実際に動かして機能を高めます。どちらも理学療法に含まれ、組み合わせて使われることもあります。
物理療法にはどんな種類がありますか?
温熱療法・寒冷療法・電気療法・水治療法・光線療法・牽引療法などが代表的で、超音波療法のように複数の効果を併せ持つものもあります。
介護保険でも物理療法は受けられますか?
通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションなど、介護保険のリハビリサービスの中で医師の指示に基づき行われる場合があります。利用についてはかかりつけ医やケアマネジャーに相談します。

物理療法の参考資料

  • [1]
    理学療法とは- 公益社団法人 日本理学療法士協会

    理学療法の定義(運動・温熱・電気・水・光線などの物理的手段を用いる治療法)と理学療法士及び作業療法士法第2条の条文を解説

  • [2]
    理学療法士及び作業療法士法- e-Gov法令検索

    第2条で理学療法を「電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること」と定義する根拠法令

  • [3]
    物理療法とは- 公立南砺中央病院 リハビリテーション科

    温熱・水治・電気・光線・牽引などの物理療法の種類と目的を医療機関が解説

  • [4]
    理学療法とは?主な目的・2種類の方法・対象者など- 専門学校 医校・医専

    理学療法を運動療法と物理療法に分類し、それぞれの種類・特徴を整理

物理療法のまとめ

まとめ

物理療法は、温熱・寒冷・電気・水・光線・超音波・牽引などの物理的エネルギーを使って痛みの緩和や機能回復をめざす理学療法の一種です。身体を動かす運動療法と組み合わせることで、より効果的なリハビリにつながります。介護現場では治療そのものを担うことはなくても、その目的や種類を理解しておくことで多職種連携や利用者の生活支援に役立ちます。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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