インスリン療法の利用者の介護|介護職ができること・できないこと
介護職向け

インスリン療法の利用者の介護|介護職ができること・できないこと

インスリン療法を受ける高齢者の介護で、介護職ができること・できないこと(厚労省令和4年通知の医行為線引き)を解説。低血糖・高血糖の観察と補食対応、シックデイ、看護師への報告・連携まで現場目線でまとめます。

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この記事のポイント

インスリン療法を受ける利用者の介護で、インスリン注射そのものと指先穿刺による血糖測定は医行為のため、介護職は実施できません(医師・看護職・本人・家族が実施)。一方で、厚生労働省の令和4年通知により、注射の声かけ・見守り・注射器の手渡し・使用後の片付け・血糖値やインスリン量が医師の指示と合致しているかの確認は介護職が行える行為と整理されています。介護職の中心的な役割は、低血糖・高血糖のサインを観察し、必要時に補食(本人が摂取)を促し、記録して看護師・医師へ速やかに報告・連携することです。

目次

糖尿病でインスリン療法を受ける高齢の利用者は、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、訪問介護の現場で珍しくありません。介護職として現場に立つと、「インスリン注射を手伝っていいの?」「血糖を測ってと言われたらどうする?」「ふらついているのは低血糖?」といった判断に迷う場面が必ず出てきます。

ここを曖昧にしたまま対応すると、医師法違反に問われる恐れがあるだけでなく、利用者の命にかかわる重大事故につながりかねません。逆に、線引きと観察ポイントを正しく押さえていれば、介護職は「最も近くで利用者を見ている専門職」として、低血糖や高血糖の早期発見・看護師への橋渡しという大きな役割を果たせます。

この記事では、厚生労働省の通知を一次ソースに、インスリン療法を受ける利用者に対して介護職ができること・できないことを整理したうえで、低血糖・高血糖・シックデイの観察と対応、看護師連携の実務までを現場目線でまとめます。糖尿病全般の生活支援は高齢者の糖尿病ケア、用語の定義は高齢者のインスリン治療とはもあわせてご覧ください。

インスリン療法とは|介護職が知っておきたい基礎

インスリン療法とは、体内で十分に分泌されない(または効きにくくなった)インスリンを、注射で外から補う糖尿病の治療法です。インスリンは血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませ、血糖値を下げる唯一のホルモンで、不足すると高血糖が続き、合併症(腎症・網膜症・神経障害など)が進みます。

インスリン製剤には作用時間の違うタイプがある

介護職が製剤を選んだり量を決めたりすることはありませんが、「いつ・なぜ打つのか」を知っておくと、食事介助のタイミングや低血糖リスクの予測に役立ちます。代表的な分類は次のとおりです。

  • 超速効型・速効型:食事の直前〜直後に打ち、食後の血糖上昇を抑える。打った後に食事がとれないと低血糖になりやすい。
  • 中間型・持効型(持効型溶解):1日を通じた基礎的な血糖を下げる。効果がゆるやかに長く続く。
  • 混合型・配合溶解:上記を組み合わせたもの。

特に注意したいのは、「食前に打つタイプ」を打ったのに食事が進まないケースです。食欲不振や嚥下の問題で食事量が減ると、打ったインスリンに対してブドウ糖が足りず低血糖に傾きます。介護職が食事量の変化にいち早く気づき、看護師へ伝えることが事故予防に直結します。

高齢者のインスリン療法は「下げすぎない」が原則

高齢者では、血糖を下げすぎることのリスク(重症低血糖・転倒・認知機能低下)が重視されます。日本老年医学会・日本糖尿病学会の「高齢者糖尿病診療ガイドライン2023」では、インスリンなど重症低血糖が危惧される薬剤を使う高齢者について、認知機能やADLの状態(カテゴリーI〜III)に応じてHbA1cの目標に「下限」を設けて下げすぎを防ぐ考え方が示されています。たとえば軽度認知障害〜手段的ADL低下のカテゴリーIIでは「8.0%未満(下限7.0%)」、中等度以上の認知症・基本的ADL低下などのカテゴリーIIIでは「8.5%未満(下限7.5%)」が目安とされています(糖尿病情報センター)。

つまり高齢の利用者では、「血糖をしっかり下げる」よりも「低血糖を起こさず安全に保つ」ことが治療方針になっていることが多い、と理解しておくとよいでしょう。

介護職が「できること」「できないこと」の線引き

ここが本記事の核心です。インスリン療法に関わる行為は、医行為(医師・看護職、または本人・家族が行う)と、医行為ではない行為(介護職が行える)に分かれます。判断の根拠は、厚生労働省の通知とグレーゾーン解消制度の回答です。「頼まれたから」「これくらいなら」という現場の善意が、結果として医師法違反や重大事故につながらないよう、ここをチーム全員で共有しておくことが重要です。

介護職が「できないこと」(医行為)

  • インスリン注射そのものを打つ(皮下に注射する行為)
  • 指先などに針を刺して血液を採る血糖測定(自己穿刺の代行)
  • 注射器(ペン型含む)の針を抜く・付け替える行為
  • 血糖値や体調からインスリン量を判断・調整する行為

これらは「医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為」にあたり、無資格の介護職が業として行うと医師法第17条に違反します。たとえ利用者や家族に頼まれても、自己判断で実施してはいけません。なお、喀痰吸引等研修を修了し登録特定行為事業者で働く介護職でも、認定されている特定行為は喀痰吸引と経管栄養に限られ、インスリン注射や穿刺による血糖測定は研修修了者であっても実施できない点に注意が必要です。

介護職が「できること」(医行為ではない行為)

厚生労働省は令和4年12月1日の通知(医政発1201第4号)で、インスリン注射・血糖測定に関連する次の行為を「医行為ではない」と整理しました。

  • あらかじめ医師から指示されたタイミングでの注射実施の声かけ・見守り
  • 本人への未使用の注射器の手渡し
  • 使用後の注射器の片付け(針を抜く行為は除く)
  • 本人が測定した血糖値が、インスリン注射を実施してよい範囲(医師の指示)と合致しているかの確認
  • 本人が準備したインスリン量が、医師の指示量と合致しているかの確認(ダブルチェック)
  • 持続血糖測定器(CGM)のセンサーの貼付および測定値の読み取り

あわせて、血糖測定器やセンサー・消毒綿などの準備、本人が測定器にセンサーをセットするのが難しい場合の誘導・促しも、厚労省のグレーゾーン解消制度の回答で「医師法第17条に違反しない」と確認されています。これらはいずれも「人体に直接侵襲を加えない」行為であり、最終的に針を刺し薬を体に入れる判断と行為は本人(または医療職)が担う、という考え方で一貫しています。

在宅での自己注射サポートの具体的な流れ(厚労省回答より)

厚労省の回答事例では、訪問介護の現場で次の手順までは医行為に当たらないとされています。

  1. 食事の準備をし、注射を忘れないよう声をかける
  2. 血糖測定器とセンサーを準備し、本人がセットする(難しければ誘導・促し、またはセットを介助)
  3. 本人が自分で指に針を刺し、血液を測定器につける(刺すのは本人
  4. 表示された血糖値を本人と一緒に確認し、数値を読み上げる
  5. 医師の指示範囲と合致しているかダブルチェックする
  6. 未使用の注射器を本人に手渡す
  7. 本人が単位を合わせたら、指示量と合っているか確認する
  8. 本人が腹部などに自分で注射する様子を見守る
  9. 使い終わった注射器を片付ける(針抜き・廃棄は本人/家族)
  10. 配膳・食事量の確認・服薬介助・記録を行う

ポイントは、「刺す・打つ・量を決める」は常に本人(または医師・看護職)で、介護職はその前後を支えるという構図が一貫していることです。本人が認知症などで自分で打てない場合は、訪問看護や家族が担うことになり、介護職が代わりに打つことはできません。施設で迷ったら、必ず看護職に確認しましょう。確認すること自体は専門職として当然の行動であり、決して評価を下げるものではありません。

低血糖の観察と対応|介護職が最初に気づく専門職

インスリン療法で最も警戒すべきは低血糖です。血糖が下がりすぎると、冷や汗・動悸・手のふるえといった症状から始まり、進行すると意識障害・けいれんに至り、対応が遅れれば生命の危険があります。高齢者では典型的な症状が出にくく見逃されやすいため、最も近くで見ている介護職の観察が決め手になります。

低血糖を疑うサイン(観察ポイント)

  • 冷や汗をかいている、顔色が悪い、手がふるえる、動悸を訴える
  • 急にぼんやりする、生あくび、ろれつが回らない、目がかすむ
  • 「なんだか元気がない」「いつもと様子が違う」「機嫌が悪い」など非典型的な変化
  • 食事量が少なかった、食後に注射した後で活動量が多かった

高齢者は「汗・動悸・ふるえ」といった自律神経症状が出にくく、いきなり「ぼんやり」「元気がない」といった中枢神経の症状で現れることがあります(糖尿病情報センター)。さらに低血糖を繰り返すと前ぶれを感じにくくなる無自覚性低血糖もあり、「いつもと違う」という気づきが命を守ります。

低血糖を疑ったときの対応手順

  1. すぐに看護師・医師へ報告する(施設なら看護職、訪問なら指示された連絡先)。一人で抱え込まない。
  2. 意識があり自分で飲み込める場合は、医師・看護師の指示のもと、本人にブドウ糖を摂取してもらう。ブドウ糖は5〜10g、砂糖ならその倍量、またはブドウ糖を含む清涼飲料水150〜200mlが目安とされます(愛知県薬剤師会・日本糖尿病学会)。介護職が口に流し込むのではなく、本人が自分で飲食できる状態かを見極める。
  3. α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)を服用している人は砂糖では効きにくいため、必ずブドウ糖を用いる(この判断は医療職)。
  4. 意識がない・反応が鈍い・むせる・飲み込めない場合は、無理に飲食させない。窒息・誤嚥の危険があるため、すぐに救急要請(必要に応じて119番)し、看護師・医師の指示を仰ぐ。意識のない人へのブドウ糖静脈注射やグルカゴン投与は医療職の対応。
  5. 回復後も再発することがあるため、経過を観察し記録する。

低血糖時に介護職が単独で「血糖を測って判断」したり「インスリンを打つ・調整する」ことはできません。できるのは、気づく・本人の補食を促す・即報告する・記録すること。この4つを確実に行うのが介護職の役割です。

高血糖・シックデイの観察と対応

低血糖ほど急ではありませんが、高血糖とその延長にあるシックデイも介護職が観察すべき重要ポイントです。

高血糖を疑うサイン

  • のどの渇き、水分を多く欲しがる、尿量・トイレの回数が増える
  • だるさ・倦怠感、食欲低下、ぼんやりする
  • (重症)意識がもうろうとする、呼吸が荒い、果物のような口臭 → 緊急性が高く即報告・受診

これらは血糖が高い状態が続いているサインのことがあります。介護職が血糖値で診断することはできませんが、上記の変化に気づいて看護師に伝えることで、早期の受診や治療調整につながります。

シックデイ(体調不良の日)への対応

シックデイとは、糖尿病の人が発熱・下痢・嘔吐や食欲不振で食事がとれない状態を指します。このとき、感染などの影響で食事をとれなくても高血糖になることがあり、逆に食事がとれず低血糖になることもあるため、血糖が乱れやすく特別な注意が必要です(糖尿病情報センター)。

介護職が押さえておくべき原則は次のとおりです。

  • インスリンを自己判断で中断しない。特に持効型インスリンや1型糖尿病の人が勝手に中止すると、ケトアシドーシスという危険な状態になることがあります。中止・減量の判断は必ず医師・看護師が行います。
  • 食事がとれなくても水分(お茶・湯ざましなど)をこまめにとってもらい、脱水を防ぐ。おかゆ・スープ・ゼリー飲料など、口当たりがよく消化のよいものを勧める。
  • 発熱・嘔吐・下痢が続く、食事がまったくとれない、意識がおかしいなどのときはすぐに看護師・医師へ連絡する。受診の目安(どの症状が出たら連絡するか)は、あらかじめ主治医・看護師と決めておくのが理想です。
  • SGLT2阻害薬やビグアナイド薬などは脱水時に中止が必要なことがありますが、薬の調整はすべて医療職の判断。介護職は「何を・どれだけ食べ飲みできたか」「体温・症状」を観察して伝える役割に徹します。

シックデイは判断が難しく急変もしやすいため、「いつもと違う」と感じたら早めに医療職へつなぐことが、何よりの安全策です。

早見表|インスリン療法で介護職ができること・できないこと

現場で迷ったときに見返せるよう、行為ごとに整理しました。判断に迷う場合は、必ず看護師・サービス提供責任者に確認してください。

行為介護職の可否誰が行うか
注射のタイミングの声かけ・見守り○ できる介護職可
未使用の注射器を本人に手渡す○ できる介護職可
使用後の注射器の片付け(針抜きを除く)○ できる介護職可
血糖値が医師の指示範囲と合うかの確認○ できる介護職可
インスリン量が指示量と合うかの確認(ダブルチェック)○ できる介護職可
血糖測定器・センサー・消毒綿の準備○ できる介護職可
持続血糖測定器(CGM)のセンサー貼付・値の読み取り○ できる介護職可
低血糖時、本人にブドウ糖摂取を促す(本人が飲食)○ できる(医療職の指示下)介護職可
インスリン注射を打つ× できない(医行為)本人・家族・看護職・医師
指先に針を刺す血糖測定(自己穿刺の代行)× できない(医行為)本人・家族・看護職・医師
注射器の針を抜く・付け替える× できない(医行為)本人・家族・看護職・医師
血糖値からインスリン量を判断・調整する× できない(医行為)医師・看護職
意識のない人へのブドウ糖静注・グルカゴン投与× できない(医行為)医師・看護職

「準備・声かけ・見守り・片付け・確認・観察・記録・報告」は介護職、「刺す・打つ・量を決める・抜く」は本人または医療職、と覚えると整理しやすくなります。

看護師連携と記録|介護職の観察を「伝わる情報」にする

インスリン療法を受ける利用者を安全に支える鍵は、介護職の観察を、看護師・医師に正確に伝えることです。介護職は血糖の判断や薬の調整はできませんが、「いつ・どんな様子だったか」という一次情報を最も多く持っています。これを的確に共有できれば、医療職は適切な判断ができます。

記録・申し送りで押さえるべき項目

  • 食事量(主食・副食を割合で。とくに注射後に食べられなかった場合は必ず)
  • 注射・血糖測定の実施状況(本人が予定どおり実施できたか、見守りの所見)
  • 体調の変化(発熱・嘔吐・下痢・倦怠感・活動量、いつから)
  • 低血糖・高血糖を疑うサインと、その時刻・対応・回復の有無
  • 水分摂取量(シックデイ時はとくに重要)

施設と在宅で異なる「連携の形」

連携のあり方は職場によって大きく変わります。介護老人保健施設(老健)や介護医療院のように看護職が手厚く配置され、常に相談できる環境もあれば、特別養護老人ホームのように看護職の夜間配置がなくオンコール対応となる施設、訪問介護のように単独訪問でその場に医療職がいない働き方もあります。インスリン療法の利用者を担当するなら、「困ったときに誰に・どの手段で・どのくらいの速さで連絡できるか」を事前に確認しておくことが安全の前提になります。とくに訪問介護では、急変時の連絡先・受診の目安・低血糖時の手順を、サービス提供責任者や訪問看護と書面で共有しておくと安心です。

独自視点|「観察結果」をSBARで伝えると医療職が動きやすい

当サイトの見解として、介護職の報告はSBAR(エスバー)のフレームに沿うと、忙しい看護師にも瞬時に伝わります。SBARは医療・看護の連携で使われる伝達方法です。

  • S(状況):「○号室の△△さん、昼食後にぼんやりして反応が鈍いです」
  • B(背景):「昼に超速効型を打ちましたが、主食を3割しか食べていません」
  • A(評価):「低血糖を疑っています」
  • R(依頼):「すぐに見ていただけますか/血糖測定をお願いできますか」

「なんとなく元気がない」で終わらせず、事実+いつから+食事や注射との関係をセットで伝えるだけで、医療職の初動が大きく変わります。逆に、事実と推測が混ざった報告や、時刻のない報告は、医療職が状況を再構成するのに時間がかかり、初動が遅れます。介護職が血糖値を測れなくても、この「観察と伝達の質」こそが、インスリン療法のチームケアにおける介護職最大の専門性だと言えます。日々の小さな気づきを言語化して残す習慣が、重症低血糖や高血糖性の急変を未然に防ぐ最大の武器になります。

現場で使える実践ポイント

  • 食事介助とセットで考える:食前に打つインスリンの利用者は、「打ったのに食べられない」が最大のリスク。食事量が減ったら必ず看護師へ。配膳・声かけのタイミングを注射と合わせる。
  • ブドウ糖・補食をすぐ出せる場所に:低血糖は時間との勝負。本人用のブドウ糖やジュースの保管場所を、チーム全員が把握しておく。
  • 「いつもと違う」を言葉にする習慣:高齢者の低血糖は非典型的。元気がない・反応が鈍い・機嫌が悪い、を見過ごさず申し送りに残す。
  • 勝手に判断しない:頼まれても注射・穿刺・量の調整は不可。迷ったら看護師・サービス提供責任者に確認するのが正解で、確認することは決して評価を下げない。
  • 医療連携が手厚い職場を選ぶ:看護師の配置やオンコール体制が整った職場ほど、介護職は安心してインスリン療法の利用者を支えられる。職場選びの視点として重要。

よくある質問(FAQ)

Q. 利用者に「インスリンを打って」と頼まれたら打ってもいいですか?

いいえ。インスリン注射そのものは医行為で、介護職は実施できません。本人が打てない場合は、看護師・医師、または家族が行います。頼まれても自己判断で打たず、看護職に相談してください。

Q. 血糖測定はしてもいいですか?

指先などに針を刺して血液を採る血糖測定は医行為のため、介護職が本人の代わりに刺すことはできません。一方で、測定器やセンサーの準備、本人がセットするのが難しいときの誘導・促し、表示された値の読み上げ・確認は行えます。持続血糖測定器(CGM)のセンサー貼付と値の読み取りは、令和4年通知で医行為ではないと整理されています。

Q. 低血糖でブドウ糖を口に入れてあげてもいいですか?

本人に意識があり自分で飲み込める場合は、医療職の指示のもと、本人に飲食してもらう形で補食を促せます。ただし、意識がない・むせる・反応が鈍いときは誤嚥・窒息の危険があるため無理に飲食させず、すぐに救急要請と看護師・医師への連絡を行ってください。

Q. シックデイのとき、インスリンは中止していいですか?

介護職や本人の自己判断で中止してはいけません。特に持効型インスリンを勝手に止めると危険な状態(ケトアシドーシス)になることがあります。中止・減量は医師・看護師が判断します。介護職は食事・水分・症状を観察し、早めに医療職へつなぎます。

Q. 注射や測定を介護職がしてしまったらどうなりますか?

医行為を無資格で業として行うと医師法第17条違反となり、最悪の場合は送検される可能性があります。それ以上に、量の誤りや低血糖の見落としは利用者の命にかかわります。線引きを守ることが利用者と自分の双方を守ります。

参考文献・出典

まとめ

インスリン療法を受ける利用者の介護で、介護職が押さえるべき要点を整理します。

  • 注射・穿刺による血糖測定・量の調整・針抜きは医行為で、介護職は実施できない(本人・家族・看護職・医師が行う)。
  • 声かけ・見守り・注射器の手渡し・使用後の片付け・血糖値やインスリン量が指示と合うかの確認・CGMのセンサー貼付と読み取りは、厚労省の令和4年通知で医行為ではないと整理されており介護職が行える。
  • 最大の役割は低血糖・高血糖の早期発見。高齢者は症状が出にくいため「いつもと違う」を見逃さない。
  • 低血糖は本人の補食を促し即報告、シックデイはインスリンを勝手に中止せず水分と観察、いずれも記録して看護師・医師へ正確に伝える

介護職は血糖値を測れなくても、利用者の変化に最初に気づける専門職です。線引きを守りながら観察と連携の質を高めることが、安全なチームケアにつながります。インスリン療法の利用者に安心して向き合える職場かどうか(看護配置・医療連携体制)は、働き方を選ぶ大切な視点です。自分に合った働き方を考えたい方は、無料の働き方診断もぜひ活用してください。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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