ケアマネの担当件数上限とは

ケアマネの担当件数上限とは

ケアマネ(介護支援専門員)の担当件数上限は介護報酬の逓減制で規定されます。標準35件、2024年改定でICT活用と事務員配置により45件まで拡大。仕組みと実務影響を解説。

ポイント

この記事のポイント

ケアマネ(介護支援専門員)の担当件数上限は、介護報酬の居宅介護支援費の逓減制で実質的に定められています。常勤専従1人あたり標準35件(要介護者)を基準とし、2024年度介護報酬改定により、ICT活用と事務職員配置を満たす事業所では45件以上から逓減開始に緩和されました。要支援者は1/3カウントとなります。

目次

ケアマネの担当件数上限の定義

「ケアマネの担当件数上限」とは、介護支援専門員1人が同時に受け持つことができる利用者数の実質的な上限のことです。介護保険法や運営基準において件数の絶対上限が明文化されているわけではありませんが、居宅介護支援費の単位数が一定件数を超えると段階的に減算される「逓減制」によって、経営合理性の観点から事実上の上限として機能しています。

居宅介護支援事業所の運営基準(厚生労働省令第38号)では、介護支援専門員の員数を「利用者35人またはその端数を増すごとに1人」と定めており、これが標準担当件数の根拠となっています。つまり、ケアマネ1人あたり35件までは標準体制と評価され、それを超えると業務負荷が過大とみなされて報酬が下げられる仕組みです。

2024年度介護報酬改定では、ICT(ケアプランデータ連携システム等)の活用と事務職員の配置を要件に、逓減制の開始ラインが従来の40件から45件に引き上げられました。これは深刻化するケアマネ不足への対応と、業務効率化を促進する政策意図によるものです。

逓減制の件数区分と単位数

2024年度改定後の居宅介護支援費は、ICT活用・事務職員配置の有無で2つの算定区分に分かれています。

居宅介護支援費(I)通常区分

  • 40件未満:要介護1・2=1,086単位/月、要介護3・4・5=1,411単位/月
  • 40〜59件部分:要介護1・2=544単位、要介護3・4・5=704単位(約50%減)
  • 60件以上部分:要介護1・2=326単位、要介護3・4・5=422単位(約70%減)

居宅介護支援費(II)ICT活用・事務員配置区分

  • 45件未満:(I)と同額
  • 45〜59件部分:約50%減
  • 60件以上部分:約70%減

カウント方法のルール

  • 要介護利用者:1件として計上
  • 要支援利用者:3分の1としてカウント(2024年改定で1/2→1/3に変更)
  • 地域包括支援センターから委託された介護予防支援も同様に1/3カウント

このルールにより、要支援者を多く担当するケアマネは実数で60〜70件程度を抱えても逓減制の対象外となる場合があります。

2024年改定の変更点と2027年見直しの方向

2024年度改定での主な見直し

項目改定前(〜2024年3月)改定後(2024年4月〜)
逓減制開始(通常)40件〜40件〜(変更なし)
逓減制開始(ICT・事務員配置)45件〜45件〜(要件明確化)
要支援者カウント1/21/3
ICT要件任意ケアプランデータ連携システム等の明示
主任ケアマネ配置加算居宅介護支援費(II)算定要件の一部特定事業所加算と連動して維持

主任ケアマネ加算・特定事業所加算との関係

居宅介護支援費(II)を算定するには、ケアプランデータ連携システムの利用と事務職員の配置が必要です。さらに特定事業所加算(I〜III)を取得している事業所は、主任ケアマネを複数配置し、計画的な研修・困難事例検討会を実施しているため、業務効率化と件数拡大の両立が現実的になります。

2027年(次期)改定に向けた議論

  • 逓減制の一律「45件以上」適用:社会保障審議会・介護給付費分科会で、(I)(II)の区分廃止と一律45件起点の方向で議論
  • AI・LIFEデータ活用による更なる緩和:ケアプラン作成のAI支援が普及した場合、上限の更なる引き上げが視野
  • 居宅介護支援費の独立報酬化:利用者自己負担導入と引き換えに件数上限を撤廃する提案も浮上
  • 要支援者の制度分離:総合事業への完全移行で、ケアマネの介護予防支援業務が縮小する可能性

実務上の負担と件数管理のポイント

ケアマネ1人あたりの業務量

35件を担当するケアマネは、月平均で以下の業務を行います。

  • モニタリング訪問:35件×月1回=35回(1日1.5〜2件)
  • サービス担当者会議:新規・更新で月5〜10件
  • 給付管理業務:全件分の月次レセプト作成・国保連伝送
  • 居宅介護支援経過記録:訪問・電話・調整の記録
  • ケアプラン更新:6か月に1回×35件=月平均6件

1日3〜4訪問が実務上の標準で、これに記録・連絡調整・会議準備が加わるため、件数増加が直接労働時間を圧迫します。

件数の重み付けに関する実情

件数カウントは「1人=1件」ですが、実務負荷は利用者の状態で大きく異なります。

  • 認知症利用者:BPSD対応・家族支援で訪問頻度・電話対応が増加
  • 医療必要度が高い利用者:訪問看護・主治医との連携、退院前カンファレンスが頻発
  • 独居・身寄りなしの利用者:成年後見人連携、緊急時の調整役を担う

このため、上限ギリギリまで件数を持つよりも、複雑事例の比率を考慮して件数を抑える事業所も多くあります。

件数管理を効率化する方法

  • ケアプランデータ連携システムの導入(FAX・郵送業務を削減)
  • 事務職員の配置(請求業務・電話一次受けを切り出し)
  • 主任ケアマネによるOJT体制(新人の困難事例対応をサポート)
  • 地域包括ケア会議への定期参加(多職種ネットワーク構築)

よくある質問

Q. ケアマネは何件まで担当できますか?

制度上の絶対上限はありませんが、居宅介護支援費の逓減制により、通常は40件未満、ICT活用と事務職員配置を満たす事業所では45件未満が経営的な目安です。要支援者は3分の1カウントのため、実数では60件以上担当可能なケースもあります。

Q. 標準件数35件はどこに書かれていますか?

厚生労働省令第38号「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第2条において、介護支援専門員の員数を「利用者35人またはその端数を増すごとに1人」と定めており、これが標準件数の根拠です。

Q. 2024年改定で要支援者のカウントが1/2から1/3に変わったのはなぜですか?

要支援者の介護予防支援はサービス内容が比較的単純で、ケアマネの業務負荷も要介護者より軽いため、より多くの利用者を受け持てるよう係数が引き下げられました。ケアマネ不足への対応策の一環でもあります。

Q. 居宅介護支援費(II)を算定するには何が必要ですか?

(1)ケアプランデータ連携システムの活用、(2)事務職員の配置(常勤換算1人以上目安)の2要件を満たす必要があります。これにより逓減制の開始ラインが45件以上に緩和されます。

Q. 主任ケアマネがいると件数上限が上がりますか?

主任ケアマネの配置自体は件数上限を直接引き上げるものではありませんが、特定事業所加算(I〜III)の算定要件となり、加算による収益増で事業所全体の体制強化につながります。結果として複数ケアマネで業務分担しやすくなります。

参考資料

まとめ

ケアマネの担当件数上限は、介護報酬の逓減制によって実質的に定められています。標準は35件、2024年度改定でICT活用と事務職員配置を満たす事業所は45件以上から逓減開始へ緩和されました。要支援者は3分の1カウントとなり、実数では60件超を受け持つケースもあります。2027年の次期改定では一律45件起点への統一やAI活用による更なる緩和が議論されており、ケアマネの働き方は今後も大きく変わる見込みです。件数だけでなく利用者の状態に応じた負荷を考慮した事業所選びが、ケアマネとして長く働く鍵となります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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