地域区分とは

地域区分とは

地域区分は、介護報酬の1単位の単価を決める地域分類で、1級地〜7級地+その他の8区分。所在地の物価・人件費水準に応じて単価が10〜11.40円の範囲で変動する。令和6〜8年度の区分一覧と仕組みを整理する。

ポイント

この記事のポイント

地域区分とは、介護報酬の1単位あたりの単価を決めるために、市町村を物価・人件費水準で8段階(1級地〜7級地+その他)に分類した制度です。1単位の単価は最も高い1級地で11.40円、その他で10.00円となり、地域によって最大14%の差が生じます。

目次

地域区分の位置づけ

地域区分は、厚生労働大臣告示「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(地域区分)」で定められています。介護報酬は全国共通の単位数で決まりますが、東京と地方では物価や人件費が大きく異なるため、地域差を「1単位の単価」に反映させて公平性を保つ仕組みです。

地域区分は国家公務員の地域手当の支給地域・支給割合を基準に、3年ごとに見直されています。令和6〜8年度(2024〜2026年度)の区分は2024年4月から適用されており、各市町村が1級地から7級地までのいずれか、もしくは「その他」に振り分けられています。

サービスごとの人件費割合(45%・55%・70%・その他)と組み合わせることで、最終的な1単位の単価が決まります。サービスの性格上、人件費比率が高い訪問系ほど地域区分の影響が大きくなります。

級地と上乗せ割合(令和6〜8年度)

級地上乗せ割合該当地域の例
1級地20%東京23区
2級地16%東京都町田市・狛江市、横浜市、川崎市など
3級地15%千葉市、さいたま市、大阪市など
4級地12%名古屋市、京都市など
5級地10%福岡市、神戸市の一部など
6級地6%仙台市、広島市など
7級地3%札幌市、岡山市など
その他0%上記以外の市町村

※ 該当地域は概算例。最新の正式な区分は厚労省告示「地域区分について」を確認してください。

1単位単価の計算(人件費割合別)

1単位の単価は次の式で算出されます。

1単位の単価 = 10円 + 10円 × 上乗せ割合 × 人件費割合

地域区分人件費70%人件費55%人件費45%
1級地11.40円11.10円10.90円
2級地11.12円10.88円10.72円
その他10.00円10.00円10.00円

訪問介護や訪問看護のような人件費70%サービスで、特に地域差が大きく出ます。

自事業所の地域区分を確認する流れ

  1. 所在市町村を確認:事業所の住所がどの市町村か特定。
  2. 厚労省告示を参照:「地域区分について」(厚労省老健局通知)で該当級地を確認。
  3. サービス種別の人件費割合を確認:訪問介護70%、通所介護45%など、サービスごとの設定を確認。
  4. 1単位の単価表で照合:厚労省が公表する級地×人件費割合の単価表で正確な単価を取得。
  5. 介護ソフトに登録:請求ソフトに地域区分を設定し、単価が自動反映されるか確認。

現場で押さえたいポイント

  • 同じ事業所名でも、複数拠点を持つ場合は拠点ごとに地域区分が異なる。サービス提供地域=事業所所在地で判定する。
  • 区分が変わる年度は経過措置が設けられることが多い(公平性に配慮するため)。
  • 令和6〜8年度は経過措置として一部市町村で「現行の級地を維持できる特例」がある。事業所が特例対象か必ず確認する。
  • 賃金設計や事業計画では、自事業所の地域区分と人件費割合に基づく単価を前提に組み立てる。

よくある質問

Q. 1級地と「その他」では報酬がどれくらい違いますか

A. 人件費70%のサービスで比較すると、1単位あたり11.40円vs10.00円なので約14%の差です。月100万単位を算定する事業所なら年間で約170万円の差が出る計算です。

Q. 地域区分は何年ごとに見直されますか

A. 介護報酬改定と同じく3年ごとに見直されます。令和6〜8年度は同じ区分が継続適用されます。

Q. 利用者の自己負担も地域で違いますか

A. はい。同じ単位数のサービスでも単価が違うため、自己負担額(1〜3割)も地域で変わります。

参考資料

  • 厚生労働省「地域区分について」社会保障審議会介護給付費分科会資料
  • 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(介護報酬告示)
  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

まとめ

地域区分は、市町村ごとの物価・人件費差を介護報酬に反映するための8段階区分です。1単位の単価は10〜11.40円の幅となり、所在地とサービス種別の人件費割合の組み合わせで決まります。事業所経営や賃金水準を考えるうえで土台となる仕組みなので、3年に一度の改定タイミングでは最新の区分を必ず確認しましょう。

この用語に関連する記事

特養で広がる入居拒否|「空床でも受け入れ不可」、人手不足が招く施設の選別と地域格差

特養で広がる入居拒否|「空床でも受け入れ不可」、人手不足が招く施設の選別と地域格差

特養や有料老人ホームで、空床があっても人手不足を理由に入居希望者を選別・受け入れ拒否する実態が拡大。AERA報道と処遇改善加算・人員配置基準の制度背景を介護職キャリア視点で読み解く。

都民ファースト、介護職の居住支援手当「拡大継続」を表明|後藤政調会長「対象を事務・調理・送迎にも」

都民ファースト、介護職の居住支援手当「拡大継続」を表明|後藤政調会長「対象を事務・調理・送迎にも」

都民ファーストの会の後藤なみ政務調査会長が、東京都独自の介護・福祉職員向け「居住支援特別手当」(最大月2万円)の来年度以降の拡大継続を表明。対象を事務職・調理員・送迎ドライバー等にも広げる構想を示した。有効求人倍率7.95倍の東京で「東京価格」に賃金が追いつかない現状と、国の処遇改善の限界を読み解く。

NCCU、介護報酬「抜本引き上げ」へ50万筆署名を開始|村上副会長「低賃金の元凶は介護報酬の設定」

NCCU、介護報酬「抜本引き上げ」へ50万筆署名を開始|村上副会長「低賃金の元凶は介護報酬の設定」

日本介護クラフトユニオン(NCCU)が2027年度の介護報酬改定に向け50万筆署名を開始。村上久美子副会長は低賃金の元凶を介護報酬の設定と指摘。目標数・しめきり・提出先と、処遇改善加算と基本報酬の構造を中立に解説。

介護職の老後資金とiDeCo・企業型DC|退職金が手薄な職場の備え方

介護職の老後資金とiDeCo・企業型DC|退職金が手薄な職場の備え方

退職金制度が手薄な事業所もある介護職こそ自助の老後資金準備が重要。iDeCoの仕組みと3つの税制メリット、企業型DCとの違い・併用、2024年12月の掛金上限見直し、退職金共済との関係を公的資料で中立に解説。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。