唾液腺マッサージとは

唾液腺マッサージとは

唾液腺マッサージは耳下腺・顎下腺・舌下腺の3大唾液腺を刺激して唾液分泌を促すケア。口腔乾燥の緩和や食事前の嚥下準備に使う手順と注意点を解説します。

ポイント

唾液腺マッサージの定義(直接回答)

唾液腺マッサージとは、耳下腺・顎下腺・舌下腺の「3大唾液腺」を外側からやさしく圧迫・刺激して唾液の分泌を促すケアです。口の中の乾燥(口腔乾燥・ドライマウス)をやわらげ、食事前に行うと食べ物がまとまりやすく飲み込みやすくなるため、嚥下の準備や口腔ケアの導入として高齢者ケアの現場で広く用いられます。

目次

唾液腺マッサージの概要と3大唾液腺

唾液腺マッサージとは何か

口の中には大小さまざまな唾液腺がありますが、唾液の大部分を分泌するのが耳下腺(じかせん)・顎下腺(がくかせん)・舌下腺(ぜっかせん)の3つで、これらを「3大唾液腺」と呼びます。加齢や薬の副作用、口を動かす機会の減少などで唾液の分泌が減ると、口の中が乾いてむせやすくなったり、食べ物が飲み込みにくくなったりします。

唾液腺マッサージは、この3大唾液腺を皮膚の上からやさしく刺激することで唾液の分泌を促す方法です。日本歯科医師会もオーラルフレイル(口の機能の衰え)対策の口腔体操の一つとして紹介しており、特別な道具を使わず手指だけで行えるのが特徴です。

唾液が果たす役割

唾液には食べ物をまとめて飲み込みやすくする、口の中を洗い流して清潔に保つ、細菌の増殖を抑えるといった働きがあります。唾液が減ると誤嚥や口腔内の汚れ、口臭、味覚低下などにつながりやすいため、唾液腺マッサージは口腔乾燥対策と誤嚥予防の両面で意味を持ちます。

3大唾液腺の位置

  • 耳下腺:耳の前、上の奥歯のあたり(ほおの上部)にある最も大きな唾液腺。さらさらした唾液を多く分泌します。
  • 顎下腺:あごの骨の内側、エラから少し前のやわらかい部分にあります。安静時の唾液の多くを担います。
  • 舌下腺:あごの先の内側、舌の付け根の真下あたりにある最も小さな唾液腺です。

唾液腺マッサージの手順(3大唾液腺別)

唾液腺マッサージの基本手順

いずれも痛みを感じない程度の弱い力で、皮膚をこするのではなく押す・回すように行います。食事の前に行うと唾液の準備が整い、食べ物を飲み込みやすくなります。

  1. 耳下腺マッサージ:人差し指から小指までの指数本を、耳の前(上の奥歯のあたり)のほおに当て、後ろから前へ円を描くように10回ほどやさしくマッサージします。
  2. 顎下腺マッサージ:あごの骨の内側のやわらかいくぼみに親指を当て、耳の下からあごの先に向かって3〜4か所を順に、舌を押し上げるように各5回ほど押します。
  3. 舌下腺マッサージ:あごの先のすぐ内側(舌の付け根の真下)に両手の親指をそろえて当て、上方向にゆっくり10回ほど押し上げます。

所要時間は全体で1〜2分程度です。1日に複数回、特に毎食前のタイミングで習慣にすると効果が安定しやすくなります。

唾液腺マッサージと口腔ケア・嚥下体操の違い

口腔ケア・嚥下体操との違い

似た場面で行われるケアと混同されやすいため、目的の違いを整理します。

ケア主な目的働きかける対象
唾液腺マッサージ唾液の分泌を促し口腔乾燥をやわらげる・嚥下準備3大唾液腺(外側から刺激)
口腔ケア口の中の清掃・細菌コントロール・誤嚥性肺炎予防歯・歯ぐき・舌・粘膜
嚥下体操(パタカラ体操など)飲み込みに使う筋肉や舌の動きの訓練口唇・舌・頬・喉の筋肉

唾液腺マッサージは「唾液を出す」ことに特化した手技で、口腔ケアの前に行うとケアへの拒否がやわらいだり、嚥下体操とあわせると食事前の準備として相乗効果が期待できます。

唾液腺マッサージの適応・場面と注意点

どんな場面で使うか(適応)

  • 口の中が乾く・ねばつく(口腔乾燥・ドライマウス)
  • 食事の前の準備として、むせや飲み込みにくさを軽減したいとき
  • 口腔ケアを嫌がる方への導入として、口を動かしやすくしたいとき
  • 薬の副作用や緊張などで一時的に唾液が出にくいとき

注意点(控えるべき場合)

次のような場合は自己判断で行わず、医師・歯科医師・看護師に相談してください。

  • 口腔がん・咽頭がん・唾液腺腫瘍、唾液腺炎などがある、またはその治療後の方
  • 顔やあごに腫れ・痛み・炎症がある部位
  • 強い力で押す、長時間こすり続けるなど刺激が過剰になること(皮膚や粘膜を傷つけないよう、あくまでやさしく)

マッサージはあくまで補助的なケアです。慢性的な口腔乾燥が続く場合は、薬剤の影響や全身疾患が背景にあることもあるため、歯科・医科への相談が基本となります。

唾液腺マッサージのよくある質問

よくある質問

Q. 唾液腺マッサージはいつ行うのが効果的ですか?

食事の前がおすすめです。唾液の分泌が促されて食べ物がまとまりやすくなり、むせや飲み込みにくさの軽減につながります。1日複数回、毎食前の習慣にすると安定しやすくなります。

Q. 力はどのくらい入れればよいですか?

痛みを感じない弱い力で十分です。皮膚をこするのではなく、やさしく押す・円を描くように刺激します。強すぎる刺激は皮膚や粘膜を傷つけるおそれがあります。

Q. 介護される本人が自分で行ってもよいですか?

手順を理解できれば本人が行っても構いません。難しい場合は介助者が行ったり、声かけしながら一緒に行うとよいでしょう。

Q. やってはいけない人はいますか?

唾液腺の腫瘍・炎症、口腔・咽頭のがんやその治療後の方、顔やあごに腫れや痛みがある方は控え、医師・歯科医師に相談してください。

Q. どのくらいで効果が出ますか?

マッサージ直後から唾液が出やすくなることがありますが、根本的な口腔乾燥の改善には水分摂取やよく噛むこと、原因への対応も合わせて続けることが大切です。

唾液腺マッサージの参考資料

唾液腺マッサージのまとめ

まとめ

唾液腺マッサージは、耳下腺・顎下腺・舌下腺の3大唾液腺をやさしく刺激して唾液の分泌を促すシンプルなケアです。口腔乾燥の緩和や食事前の嚥下準備、口腔ケアの導入として高齢者ケアの現場で役立ちます。痛みのない弱い力で行うこと、腫瘍や炎症がある場合は控えて専門職に相談することを守りながら、毎食前の習慣として取り入れてみましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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