FIM(機能的自立度評価表)とは

FIM(機能的自立度評価表)とは

FIM(機能的自立度評価表)の定義、運動13項目+認知5項目=18項目を各7段階・126点満点で評価する仕組み、Barthel Indexとの違い、回復期リハや介護現場での活用ポイントをやさしく解説します。

ポイント

この記事のポイント

FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価表)は、運動13項目+認知5項目の計18項目を、1〜7点の7段階で評価する日常生活動作(ADL)の評価尺度です。合計点は最低18点〜最高126点で、点数が高いほど自立度が高いことを示します。「できるADL」ではなく実際に「しているADL」を介助量で測るのが特徴で、回復期リハビリテーション病棟の成果指標としても用いられます。

目次

FIMの位置づけと開発背景

FIM(Functional Independence Measure)は、1983年に米国ニューヨーク州立大学バッファロー校のGrangerらを中心とする研究チームによって開発されたADL評価法です。日本語では「機能的自立度評価表」または「機能的自立度評価法」と呼ばれます。それまでBarthel Index(BI)など複数の評価法が併用されていましたが、医療・リハビリテーション分野で共通言語として標準化することを目的に作られました。

評価項目は「運動項目13項目」と「認知項目5項目」の合計18項目で、各項目を1〜7点の7段階で採点します。合計点は18点〜126点の範囲を取り、点数が高いほど介助量が少なく、日常生活が自立していることを意味します。原則として7歳以上であれば疾患を問わず適用でき、医療従事者だけでなく介護職や家族でも、研修を受ければ評価者になれます。

FIMの最大の特徴は、「能力(できるADL)」ではなく「実行状況(しているADL)」を評価する点にあります。たとえば「歩こうと思えば歩ける」状態でも、実際の生活で車いすを使っているなら、評価は車いす移動の介助量に基づいて行います。これにより、自宅復帰後の生活像をより正確に予測できるとされています。

2016年度の診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料の「アウトカム評価(実績指数)」にFIMが組み込まれ、入棟時と退棟時のFIM運動項目の変化が病棟の質指標として位置づけられました。介護分野でも、リハビリ計画書や個別機能訓練計画書の現状把握にFIMが活用されています。

FIMの評価項目18項目(運動13+認知5)

FIMは大きく「運動項目」と「認知項目」の2領域に分かれ、さらにサブカテゴリーごとに細項目が定義されています。介護現場で「どの動作が、どれだけ自立しているか」を可視化する地図と捉えると分かりやすいでしょう。

運動項目(13項目/13〜91点)

  • セルフケア(6項目)
    • 食事:咀嚼・嚥下を含む摂食動作
    • 整容:洗顔・歯磨き・整髪・髭剃り・化粧
    • 清拭(入浴):首から下を洗う動作
    • 更衣(上半身):腰より上の着脱と義肢装具
    • 更衣(下半身):腰より下の着脱と義肢装具
    • トイレ動作:衣服の上げ下ろし、清拭、月経処理
  • 排泄コントロール(2項目)
    • 排尿管理:失禁の有無、用具・薬剤の使用状況
    • 排便管理:失禁の有無、用具・薬剤の使用状況
  • 移乗(3項目)
    • ベッド・椅子・車いす間の移乗
    • トイレへの移乗
    • 浴槽・シャワーへの移乗
  • 移動(2項目)
    • 歩行・車いす移動(普段使用している方法で評価)
    • 階段昇降(12〜14段)

認知項目(5項目/5〜35点)

  • コミュニケーション(2項目)
    • 理解:話し言葉・書き言葉の理解
    • 表出:話し言葉・書き言葉での意思表現
  • 社会的認知(3項目)
    • 社会的交流:他者と適切に関わる能力
    • 問題解決:日常生活上の課題に対処する能力
    • 記憶:人・日課・指示を覚えている能力

運動項目の合計は13〜91点、認知項目の合計は5〜35点で、両者を足した18〜126点が総合FIMスコアとなります。

7段階評価の採点基準

FIMでは各項目を介助の必要度に応じて1〜7点で採点します。5点以下は他者の関わりが必要な「介助」6点以上は自立の領域です。「介助量がどのくらいか」を割合で判断するのがコツです。

点数区分本人が行う割合状態の目安
7点完全自立100%補助具・介助なし、安全に時間内で完遂
6点修正自立100%補助具使用・時間延長・安全性配慮があるが介助は不要
5点監視・準備100%実施見守り・声かけ・準備のみ。身体接触なし
4点最小介助75%以上触れる程度の介助で完了
3点中等度介助50%以上75%未満半分強を本人が行う
2点最大介助25%以上50%未満本人の関与は4分の1〜半分
1点全介助25%未満ほぼ介助者が実施、または評価不能

採点上のポイントは次の通りです。

  • 「している」動作で評価:能力ではなく直近3日〜1週間の実行状況を見る
  • 低い方の点数を採用:時間帯によって介助量が異なる場合は低い方
  • 補助具の使用は減点しない:杖・車いす・補聴器・眼鏡などは6点扱い
  • 安全性も評価軸:転倒リスクが高い動作は完全自立にはならない

FIMとBarthel Index(BI)の違い

ADL評価でよく比較されるのが、1965年に開発されたBarthel Index(BI/バーセル指数)です。介護現場ではFIMよりBIの方が短時間で実施でき広く普及していますが、評価の粒度と思想に違いがあります。

項目FIMBarthel Index(BI)
評価対象「している」ADL(実行状況)「できる」ADL(能力)
項目数18項目(運動13+認知5)10項目(運動のみ)
段階7段階2〜4段階(項目により0/5/10/15)
満点126点100点
認知機能含む(5項目)含まない
所要時間30〜40分(慣れれば15分)5〜10分
主な用途回復期リハ、アウトカム評価、研究急性期スクリーニング、介護現場の経過観察

使い分けの目安は、「介助量を細かく追いたいときはFIM、短時間で全体像を把握したいときはBI」です。回復期リハ病棟ではFIMが診療報酬の実績指数に組み込まれているため必須ですが、特養や訪問介護では負担の少ないBIや独自のADL評価表が選ばれることもあります。

介護現場での活用ポイント

FIMは医療現場で標準化されている指標ですが、介護現場でも次のような場面で役立ちます。点数の絶対値より「変化(FIM利得)」を見るのが基本です。

  • リハビリ計画書・個別機能訓練計画書の現状把握:項目別の得点で介助の重点領域が一目で分かる
  • カンファレンスでの共通言語化:「移乗が3点」と言えば中等度介助が必要と多職種が即座に理解できる
  • 在宅復帰判定の目安:総合FIMが概ね90点以上で在宅生活の可能性が高まるとされる(疾患・家族環境で変動)
  • 退院・退所前後の比較:入棟時と退棟時の差分(FIM利得)で介入効果を可視化
  • 家族への説明資料:1〜7点の数値化で「どの動作にどれだけ手助けが必要か」を共有しやすい

注意点として、FIMの正確な評価には講習会の受講と認定(FIM認定セラピスト・FIMインストラクターなど)が望ましいとされています。介護職が単独で採点する場合は、リハビリ職や看護師と協働し、評価のばらつきを抑える運用が現実的です。

よくある質問

Q1. FIMは誰でも採点できますか?

制度上は医療従事者以外でも採点できますが、評価の信頼性を確保するには講習会の受講や認定資格が推奨されます。回復期リハ病棟のアウトカム評価に用いる場合は、研修を受けたセラピストや看護師が評価するのが一般的です。

Q2. FIMの「在宅復帰の目安」は何点ですか?

絶対的な基準はありませんが、文献では総合FIM90点以上、または運動FIM65点以上が在宅復帰の一つの目安とされることが多いです。ただし家族の介護力や住環境、認知機能の状態で大きく変動するため、点数だけで判断せず多職種で総合評価します。

Q3. FIMとBI(Barthel Index)はどちらを使うべきですか?

回復期リハ病棟や研究目的ではFIM、急性期や特養・訪問介護で短時間に状態を把握したいときはBIが選ばれる傾向です。両者を併用する施設もあります。

Q4. FIMは「できるADL」と「しているADL」のどちらを評価しますか?

FIMは「しているADL(実行状況)」を評価します。能力的にできても普段していない場合は、実際の介助量に基づいて低い点数になります。

Q5. 認知症の方のFIMは正確に評価できますか?

FIMには認知項目(理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶)が含まれており、認知症の方の生活機能も数値化できます。ただし日内変動が大きい場合は低い方の点数を採用し、評価期間(直近3日〜1週間)を明確にすることで安定した評価が可能になります。

まとめ

FIM(機能的自立度評価表)は、運動13項目と認知5項目の計18項目を1〜7点の7段階で評価し、合計18〜126点で日常生活の自立度を可視化するADL評価尺度です。「できるADL」ではなく「しているADL」を測る点と、認知機能まで含めて多角的に評価できる点が特徴で、回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価にも採用されています。介護現場ではBI(Barthel Index)との使い分けやFIM利得の活用、多職種カンファレンスでの共通言語化が実務的なポイントです。看護師・リハビリ職と協働しながら、利用者一人ひとりの「介助量の変化」を数値で追えるツールとして活用しましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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