
福祉用具プランナーとは
福祉用具プランナーはテクノエイド協会認定の民間資格で、福祉用具専門相談員の上位に位置づけられる100.5時間の専門講習です。取得要件・研修内容・キャリア活用を解説。
この記事のポイント
福祉用具プランナーとは、公益財団法人テクノエイド協会が認定する民間資格で、福祉用具の選定から使用計画作成・モニタリングまで一貫して担う専門家です。福祉用具専門相談員(介護保険上の必置資格)の上位資格に位置づけられ、100.5時間の認定講習を修了することで取得できます。
目次
福祉用具プランナーの定義と位置付け
福祉用具プランナーは、公益財団法人テクノエイド協会が1998年から提唱する民間資格で、福祉用具を必要とする高齢者・障害者に対して、適切な用具の選定援助・使用計画の作成・利用支援・適合状況のモニタリング/評価までを一貫して担える専門家として認定されます。2019年度末までの累計認定者数は15,000人を超え、福祉用具業界では「専門相談員の次に目指すべき資格」として広く認知されています。
介護保険制度上の必置資格である福祉用具専門相談員(指定福祉用具貸与・販売事業所に2名以上の配置が義務付け)が「事業所運営に必須のベース資格」だとすれば、福祉用具プランナーは「より高度なアセスメントと住環境整備までを担う応用資格」という関係性です。福祉用具専門相談員の50時間講習に対して、プランナーは100.5時間と倍の履修時間が求められ、座学に加えて実技演習・ケーススタディ・認定試験が組み込まれている点が特徴です。
主な業務は、(1) 利用者の身体機能・生活環境のアセスメント、(2) 福祉用具の選定と適合判定、(3) 必要に応じた住環境整備の提案、(4) 使用開始後のモニタリングと再評価、の4ステップです。ケアプランや住宅改修との整合性を取りながら、利用者一人ひとりに最適化された福祉用具計画を提案できる点が、専門相談員との大きな違いになります。
福祉用具専門相談員との違い
両資格は名前が似ていますが、性質・取得難易度・担える業務範囲が異なります。福祉用具プランナーは「専門相談員からのキャリアアップ資格」と理解するとわかりやすいでしょう。
| 項目 | 福祉用具専門相談員 | 福祉用具プランナー |
|---|---|---|
| 資格区分 | 公的資格(介護保険指定講習) | 民間資格(テクノエイド協会認定) |
| 受講要件 | 誰でも受講可能 | 専門相談員等として実務2年以上 |
| 講習時間 | 50時間 | 100.5時間(eラーニング48時間+集合52.5時間) |
| 法的位置付け | 福祉用具貸与/販売事業所に2名以上必置 | 配置義務なし(事業所評価で差別化) |
| 主な業務 | 福祉用具の選定相談・モニタリング | 高度なアセスメント・適合判定・住環境整備提案 |
| キャリア活用 | 業界へのエントリー | 主任・管理者・指導者ポジション |
専門相談員が「現場で利用者に対応する基礎資格」だとすれば、プランナーは「ケースの難易度が高い利用者やオーダーメイド対応が必要な場面で力を発揮する上位資格」です。さらに上位には福祉用具プランナー管理指導者があり、プランナー資格取得後に追加講習を受講することで、事業所内の指導・OJT・他職種連携の中核を担うポジションに進むことができます。
取得までのフロー
- 受講資格の確認:以下のいずれかを満たす必要があります。
- 指定福祉用具貸与・販売事業所での専門相談員業務に2年以上従事
- 保健師・看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士・介護支援専門員(ケアマネ)・建築士等の有資格者で、福祉用具関連業務に2年以上従事
- その他テクノエイド協会が認める者
- 認定講習への申し込み:テクノエイド協会または委託先(名古屋市総合リハビリテーション事業団、日本アビリティーズ協会等)の各実施団体に申請。年度ごとに定員枠が設定されています。
- eラーニング受講(48.0時間):福祉用具概論、関連法規、人間工学、医学的基礎、住環境整備、コミュニケーション論など座学を自宅学習。
- 集合講習(52.5時間):実技演習・グループワーク・ケーススタディ・適合演習を対面で実施。福祉用具の実機を用いた採寸・調整・適合判定の実習が含まれます。
- 認定試験:集合講習最終日に実施される修了試験に合格。
- 認定証の交付申請:合格後、申請手続きを経てテクノエイド協会理事長名による「福祉用具プランナー認定証」が交付されます。
- 更新:5年ごとの更新研修が推奨されており、最新の制度・用具情報をアップデートします。
講習期間は実施団体により異なりますが、概ね6か月〜1年程度で全課程を修了できる設計です。受講料は団体により10万〜15万円程度が相場で、事業所負担で受講させるケースが増えています。
活かせるキャリアパスと業界
福祉用具プランナーは「福祉用具貸与事業所のなかでの昇格」だけでなく、隣接業界への横展開でも評価されやすい資格です。代表的な活用パターンを紹介します。
- 福祉用具貸与/販売事業所のリーダー職:プランナー有資格者を配置することで、事業所として高度なアセスメント力を打ち出せます。事業所の差別化要素として求人票に明記される例が増えています。
- 住宅メーカー・リフォーム業界:介護保険の住宅改修(手すり設置・段差解消・浴室改修等)を扱う工務店やリフォーム会社で、福祉住環境コーディネーターとセットで重宝されます。建築士+プランナーの二刀流は特に強いポジション。
- ケアマネージャー業務との接続:居宅介護支援事業所のケアマネがプランナー資格を持つと、福祉用具と住宅改修を含めたケアプラン作成の質が大きく向上します。多職種連携の場でも信頼を得やすいです。
- 医療職(PT・OT・看護師)からのスキル拡張:リハ職や看護師がプランナー資格を取得すると、退院支援・地域包括ケアの場で福祉用具導入のキーパーソンとなれます。訪問リハビリ事業所での差別化にも有効。
- 介護報酬上の評価:事業所として福祉用具専門相談員指定講習を担当する講師資格にもつながり、特定事業所加算の算定要件である「研修体制」の充実に寄与します。
プランナー資格を取得した後にさらに上位を目指す場合は、福祉用具プランナー管理指導者講習を受講するルートがあります。事業所内研修の企画・OJTの設計・複雑ケースへのスーパーバイズなどを担う、業界トップ層の資格です。
よくある質問
Q1. 福祉用具専門相談員を持っていなくても受講できますか?
専門相談員資格自体は必須ではありませんが、受講要件として「福祉用具専門相談員業務または福祉用具関連業務に2年以上の従事経験」が必要です。看護師・PT・OT・ケアマネ・建築士等の関連職種で、福祉用具に関わる業務を2年以上行っている場合は受講対象となります。
Q2. eラーニングだけで完結しますか?
いいえ。座学48.0時間はeラーニングですが、実技・演習・認定試験の52.5時間は集合形式での出席が必須です。福祉用具の実機を使った採寸・適合判定の演習があるため、対面講習は省略できません。
Q3. 受講料はいくらかかりますか?
実施団体によりますが、おおむね10万〜15万円程度が相場です。事業所が研修費として負担するケースが多く、求人選びの際に「資格取得支援あり」と明示している事業所を選ぶと自己負担を抑えられます。
Q4. 給料は上がりますか?
プランナー資格そのものを対象とした介護報酬上の加算はありませんが、事業所の差別化要素として手当(月5,000〜15,000円程度)を支給するところが増えています。また、主任・管理者ポジションへの昇格要件としている事業所もあり、年収ベースで30万〜60万円の差が出ることもあります。
Q5. 介護福祉士からプランナーを目指すルートは?
介護福祉士として福祉用具貸与事業所等で2年以上の関連業務経験を積んでから受講するルートが標準的です。介護福祉士→福祉用具専門相談員(同時受講可)→2年実務→プランナー、という流れが最短の現実的ルートになります。
参考資料
- [1]福祉用具プランナー情報|公益財団法人テクノエイド協会- テクノエイド協会
- [2]福祉用具プランナー認定講習 年度実施予定- テクノエイド協会
- [3]福祉用具|厚生労働省- 厚生労働省
- [4]福祉用具プランナー認定講習|名古屋市総合リハビリテーション事業団- 名古屋市総合リハビリテーション事業団
- [5]福祉用具プランナー認定講習|日本アビリティーズ協会- 日本アビリティーズ協会
まとめ
福祉用具プランナーは、福祉用具専門相談員の上位資格として、より高度なアセスメント・適合判定・住環境整備までを担える民間資格です。100.5時間の認定講習と実務2年以上の受講要件は決して軽くありませんが、取得後は事業所内での昇格・他業界(住宅・リフォーム・医療)への横展開・管理指導者へのさらなる上位化など、複数のキャリアパスが開かれます。福祉用具業界で長期的に専門性を高めたい方や、ケアマネ・PT・OT・看護師として福祉用具導入のキーパーソンを目指したい方にとって、投資価値の高い資格と言えるでしょう。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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