
訪問リハビリテーションとは
訪問リハビリテーションは、PT・OT・STが自宅を訪問して機能回復を支援する介護保険サービスです。基本単位数・算定要件・通所リハとの違い・2024年改定の新設加算までやさしく解説します。
この記事のポイント
訪問リハビリテーションとは、医師の指示のもとで理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が利用者の自宅を訪問し、心身機能の維持回復と日常生活の自立を支援する介護保険サービスです。通所リハと違って通院が困難な方でも自宅環境に合わせた個別訓練を受けられるのが特徴です。
目次
訪問リハビリテーションの定義と法的位置づけ
訪問リハビリテーションは、介護保険法に基づき要介護1〜5の認定を受けた在宅高齢者を対象に提供されるサービスです。病院・診療所・介護老人保健施設(老健)・介護医療院に所属するPT・OT・STが、医師の指示書に従って利用者の居宅を訪問します。1回20分・40分・60分の単位で実施され、ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画(ケアプラン)に位置づけられた上で利用します。
要支援1・2の方には介護予防訪問リハビリテーションとして同様のサービスが提供されます。提供主体は「みなし指定」の医療機関と、独立した訪問リハビリテーション事業所の2形態があり、後者には専任の常勤医師の配置が必要です。利用者は床ずれの予防、嚥下機能の維持、立ち上がり・歩行訓練、福祉用具の調整、家族への介護指導など、自宅で生活を続けるための具体的な動作練習を受けられます。
訪問看護ステーションからのリハ職員による訪問は「訪問看護費(I)5」として訪問看護の枠組みで提供されるため、制度上は別サービスです。本記事で扱うのはサービスコード「14」の訪問リハビリテーションで、医師の診察を踏まえたリハビリテーション計画書に基づく点が訪問看護のリハ訪問との大きな違いです。
基本単位数と主な加算(2024年6月改定後)
訪問リハビリテーションは1回(20分)あたりの単位数で算定します。週6回(120分相当)が上限です。
| 区分 | 単位数 | 備考 |
|---|---|---|
| 基本報酬(介護) | 308単位/回 | 20分実施を1回として算定 |
| 基本報酬(介護予防) | 298単位/回 | 要支援1・2が対象 |
| リハビリテーションマネジメント加算(イ) | 180単位/月 | 計画的な評価・会議・見直しを実施 |
| リハビリテーションマネジメント加算(ロ) | 213単位/月 | イの要件+LIFEへのデータ提出 |
| 医師による説明加算 | +270単位 | 医師が利用者・家族へ直接説明(イ・ロに上乗せ) |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 退院につき1回まで(2024年新設) |
| 認知症短期集中リハ実施加算 | 240単位/日 | 週2回まで(2024年新設) |
| 口腔連携強化加算 | 50単位/回 | 月1回まで(2024年新設) |
| 短期集中リハ実施加算 | 200単位/日 | 退院・退所日から3か月以内 |
2024年改定では業務継続計画(BCP)未策定の場合の減算(所定単位数の1/100)も導入されました。さらに令和8年度(2026年)の期中改定で、訪問リハビリテーションも処遇改善加算の対象に組み込まれることが決定しています。
通所リハ・訪問看護のリハとの違い
「自宅でリハビリを受けたい」と考えたとき、選択肢は複数あります。それぞれの違いを整理しました。
| サービス | 提供場所 | 実施者 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 訪問リハビリテーション | 利用者の自宅 | PT・OT・ST(医師の指示) | 個別対応・自宅環境に合わせた動作練習 |
| 通所リハビリテーション(デイケア) | 老健・病院などの施設 | PT・OT・ST+介護職 | 機器を使った訓練・他者交流・送迎あり |
| 訪問看護からのリハ訪問 | 利用者の自宅 | PT・OT・ST(看護師の指示の下) | 医療ニーズが主体・訪問看護の枠組み |
| 外来リハビリ(医療保険) | 病院・診療所 | PT・OT・ST | 疾患別リハ(脳血管・運動器など) |
訪問リハと通所リハの最大の違いは「個別性」です。訪問リハは自宅の段差・浴室・トイレで実際の動作を反復練習できる一方、通所リハは平行棒・トレッドミルなどの設備を使った訓練と他利用者との交流が魅力です。両方を組み合わせる「併用」も可能で、ケアマネが状態に応じてプランを調整します。
なお、医療保険のリハと介護保険の訪問リハは原則併用できません。要介護認定を受けると介護保険が優先されます(一部の急性期疾患で例外あり)。
訪問リハビリ利用開始までの流れ
- 要介護・要支援認定の申請:市区町村窓口で要介護認定を受ける(未取得の場合)。
- かかりつけ医に相談:訪問リハの必要性を医師に伝え、診療情報提供書(指示書)を作成してもらう。
- ケアマネへの相談:居宅介護支援事業所のケアマネジャーへ意向を伝え、ケアプランに位置づけてもらう。
- 訪問リハ事業所の選定・契約:医療機関や老健併設の事業所と契約。リハ職と医師による初回評価を実施。
- リハビリテーション計画書の作成:目標・内容・頻度を記した計画書を作成し、利用者・家族の同意を得る。
- 訪問開始:週1〜6回の頻度で訪問。3か月ごとにリハビリテーション会議で見直す。
利用料は基本1割負担(所得に応じて2〜3割)。1回20分・308単位の場合、地域単価10円換算で自己負担は約308円(1割負担時)です。
介護現場・キャリア視点での活用ポイント
訪問リハは介護職にとっても重要な連携先です。ケアプランで訪問リハが位置づけられると、ヘルパーや施設スタッフが日々の介助で取り入れるべき動作の留意点(立ち上がりの介助方向、嚥下の姿勢など)をリハ職から共有してもらえます。サービス担当者会議で具体的な家庭内動作を伝えることが、リハの効果を高める最大のコツです。
PT・OT・STのキャリアという視点では、訪問リハは「1対1で利用者と向き合える」「自宅の現実に即したリハを設計できる」点で人気です。一方で1人で利用者宅に出向くため判断力と自立性が求められ、新人より経験3〜5年以上のリハ職が中心となる職場が多い傾向です。2026年度から処遇改善加算の対象になることで、訪問リハ職員の給与改善にも期待が寄せられています。
よくある質問
Q1. 訪問リハと訪問看護のリハ訪問はどちらが良い?
A. 医療ニーズの強さで使い分けます。医師の指示で計画的にリハ目標を達成したいなら訪問リハ、病状管理と一体でリハを行いたい場合は訪問看護のリハ訪問が向きます。ケアマネが利用者の状態に応じて提案します。
Q2. 何回まで利用できますか?
A. 介護保険上は週6回(120分相当)が上限です。要介護度に応じた区分支給限度基準額の範囲内で、ほかのサービスとの組み合わせで頻度が決まります。
Q3. PT・OT・STのうち誰が訪問してくれますか?
A. 主目的に応じて事業所が判断します。歩行・移乗の機能訓練ならPT、食事・着替えなどの日常生活動作ならOT、嚥下・発話ならSTが担当します。同じ事業所内で複数職種が関わるケースもあります。
Q4. 介護予防訪問リハはどう違いますか?
A. 要支援1・2の方が対象で、基本報酬が298単位/回とやや低く、目標は介護予防(要介護への進行抑制)に置かれます。1回あたりの内容は介護給付の訪問リハと同様です。
Q5. 自費で訪問リハを受けられますか?
A. 介護保険外の自費リハビリも提供事業所が増えています。脳卒中後の長期集中リハや、要介護認定外の方の利用に活用されています。
参考資料
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まとめ
訪問リハビリテーションは、PT・OT・STが医師の指示のもと自宅を訪問して機能維持と自立支援を行う介護保険サービスです。基本報酬は1回20分・308単位で、リハマネ加算や2024年新設の退院時共同指導加算・認知症短期集中リハ加算などを組み合わせて算定します。通所リハの集団的訓練に対し、訪問リハは自宅環境に即した個別練習が強みです。2026年度の期中改定で処遇改善加算の対象となる動きもあり、リハ職のキャリア選択肢としても注目度が高まっています。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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