
膀胱留置カテーテルとは
膀胱留置カテーテルの意味・しくみと、介護現場での管理・観察ポイントをやさしく解説。尿路感染(CAUTI)の予防、介護職ができること・医行為の線引きを厚生労働省通知に基づき整理します。
膀胱留置カテーテルの定義
膀胱留置カテーテルとは、細い管(カテーテル)を尿道から膀胱内に入れたまま留置し、尿を持続的に体外へ排出させる医療機器・処置のことです。先端の小さなバルーン(風船)に滅菌水を入れて膨らませ、膀胱内に固定します。排尿障害や尿閉などで自力排尿が難しい人に用いられ、介護現場では尿量・尿の色の観察や蓄尿バッグの管理を通じて、看護職と連携しながら尿路感染(CAUTI)の予防に取り組みます。
目次
膀胱留置カテーテルの概要
膀胱留置カテーテルとは何か
膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル、尿道留置カテーテルとも呼ばれます)は、尿道口から膀胱まで柔らかい管を通し、先端のバルーンに滅菌水を注入して抜けないように固定する仕組みです。カテーテルの反対側は接続チューブを介して蓄尿バッグ(採尿バッグ)につながり、膀胱にたまった尿が自然に流れ込みます。膀胱とバッグが管でつながった「閉鎖式ドレナージシステム」を保つことが、感染を防ぐうえで基本になります。
どんなときに使われるか
主に次のような場合に、医師の判断で導入されます。
- 前立腺肥大症や尿道狭窄、神経因性膀胱などによる尿閉(尿が出せない状態)
- 脳血管障害・脊髄損傷などで膀胱機能が低下し、自力排尿が難しい場合
- 手術後の一時的な排尿管理や、正確な尿量測定が必要な場合
- 尿失禁による皮膚障害(褥瘡など)の悪化を防ぎたい場合
ただし、留置期間が長くなるほど尿路感染のリスクが高まるため、「必要な間だけ留置し、不要になれば早期に抜去する」のが原則です。介護現場でも、利用者が排尿できる状態に回復していないか、看護職とともに観察を続けることが大切です。
介護現場での位置づけ
カテーテルの挿入・抜去・定期交換は医師または看護職員が行う医行為であり、介護職は実施できません。一方で、尿量・尿の色の確認や蓄尿バッグからの尿の廃棄など、介護職が担える範囲も厚生労働省の通知で明確に示されています。日々の観察で異常の早期発見につなげ、医療職へ報告・連携することが介護職の重要な役割です。
膀胱留置カテーテルで介護職ができること・できないこと
介護職ができること・できないこと(医行為の線引き)
厚生労働省医政局の通知(平成17年通知、令和4年12月1日通知ほか)では、膀胱留置カテーテルに関する行為のうち、原則として医行為に該当しない(=医療資格がなくても行える)ものが整理されています。ただし、病状が不安定で専門的な管理が必要な場合は医行為とされることがあり、実施前に医師・看護職員の確認が必要です。
介護職が行える(原則として医行為でない)行為
- 蓄尿バッグからの尿の廃棄(DIBキャップの開閉を含む)
- 蓄尿バッグの尿量・尿の色の確認
- カテーテル等を留めているテープが外れた場合に、あらかじめ明示された貼付位置へ再度貼付すること
- 専門的管理が必要ないことを医師または看護職員が確認した場合に限り、カテーテル挿入中の利用者の陰部洗浄を行うこと
介護職が行えない(医師・看護職員が行う)行為
- カテーテルの挿入・抜去(カテーテルが抜けても介護職は入れ直せません)
- カテーテルと蓄尿バッグの定期交換(定期交換は医師・看護職員が両方を交換)
- 膀胱洗浄など、専門的な手技を伴う処置
※蓄尿バッグの破損・尿漏れ時や、バッグがカテーテルから外れた際に未開封・未使用の蓄尿バッグを接続する行為は、医師・看護職員の立会いの下で安全に行えることを事前に確認された実施者に限られます。判断に迷う場合は無理に対応せず、必ず医療職へ報告してください。
膀胱留置カテーテルの管理・観察ポイント
介護現場での管理・観察ポイント
膀胱留置カテーテルで最も注意すべき合併症が、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)です。閉鎖式システムでも留置7〜10日で約25〜50%、30日以上ではほぼ100%に細菌尿がみられるとされ、留置期間が長いほどリスクが高まります。介護現場では次の点を日々確認し、異常があれば速やかに看護職へ報告します。
蓄尿バッグの取り扱い
- 蓄尿バッグは常に膀胱より低い位置に保つ(尿の逆流を防ぐため)。ベッド柵に結ぶなど、床につかないようにする
- 尿の廃棄や移動でバッグを膀胱より高く上げない。やむを得ず上げる場合は一時的にクランプする
- 尿の廃棄時は手指衛生を行い、手袋を着用。排液口はアルコール綿で清拭し、回収容器に触れさせない
カテーテル・チューブの確認
- カテーテルや接続チューブが折れ曲がったり、体の下敷き・ベッド柵で潰れていないか確認する
- カテーテルを引っ張らない(先端のバルーンが膀胱を傷つける恐れ)。固定テープのかぶれ・ずれも確認する
- 接続部はむやみに外さない(閉鎖式システムを保つ)
尿と全身状態の観察
- 尿の色・混濁・浮遊物・血尿・においの変化、尿量の増減を確認する
- 発熱・悪寒、下腹部や腰背部の痛み、尿漏れ、いつもと違う様子(せん妄など)がないか観察する
- 尿が流れずお腹が張る、尿漏れが続く、発熱・血尿・混濁が続く場合は医療職へ報告する
- 水分摂取と尿量の把握も大切(脱水や尿の停滞を防ぐ)。ただし水分制限の指示がある場合は医師の指示を優先する
これらはいずれも「観察と早期報告」が軸です。数値による医学的判断や処置は医療職の役割であり、介護職は気づきを正確に伝える橋渡し役を担います。
膀胱留置カテーテルのよくある質問
よくある質問
Q. 膀胱留置カテーテルが抜けてしまったら、介護職が入れ直してもよいですか?
いいえ。カテーテルの挿入は介護職には認められていません。抜けてしまった場合は無理に対応せず、出血の有無などを確認したうえで速やかに医師・看護職員へ報告してください。
Q. 蓄尿バッグの尿を捨てるのは介護職がやってよいのですか?
はい。蓄尿バッグからの尿の廃棄(DIBキャップの開閉を含む)や、尿量・尿の色の確認は、原則として医行為に該当しない行為として整理されています。手指衛生・手袋着用・排液口の清拭など、感染予防の手順を守って行います。
Q. なぜ蓄尿バッグを膀胱より低い位置に置くのですか?
バッグを膀胱より高くすると、いったん排出された尿が膀胱内へ逆流し、尿路感染の原因になるおそれがあるためです。また床につくとバッグが汚染されるため、床から離して固定します。
Q. カテーテルやバッグはどのくらいで交換しますか?
定期的・頻回な交換だけでは尿路感染を予防できないとされ、閉塞や汚染・破損など臨床的な必要に応じて交換するのが基本です。長期留置では月1回程度を目安に予定することもあります。交換時期と実施は医師・看護職員が判断・実施します。
Q. 介護職として何に一番気をつければよいですか?
「観察と早期報告」です。尿の色・量・においの変化、発熱や痛み、尿漏れ、チューブの折れ曲がりなど、いつもと違う様子に気づいたら自己判断せず医療職へ伝えることが、合併症の重症化を防ぐうえで最も重要です。
膀胱留置カテーテルの参考資料
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膀胱留置カテーテルのまとめ
まとめ
膀胱留置カテーテルは、自力排尿が難しい人の尿を持続的に排出するための医療機器です。挿入・抜去・定期交換は医師・看護職員が行う医行為ですが、尿の廃棄や尿量・色の確認など、介護職が担える行為も厚生労働省の通知で明確にされています。蓄尿バッグを膀胱より低く保つ、チューブの折れ曲がりを防ぐ、尿の性状や発熱を観察するといった日々のケアが、尿路感染(CAUTI)など合併症の早期発見につながります。「観察と早期報告」を徹底し、看護職と連携することが、利用者の安全と生活の質を守る鍵です。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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