
介護福祉経営士とは
介護福祉経営士は、日本介護福祉経営人材教育協会が認定する民間資格。2級は管理者・主任、1級は施設長・経営者クラスを想定し、介護報酬・経営戦略・人事労務まで体系的に学べる。
この記事のポイント
介護福祉経営士は、一般社団法人 日本介護福祉経営人材教育協会が認定する民間資格で、介護施設・事業所の経営とマネジメントを体系的に学ぶための資格です。受験資格に学歴や実務経験の制限はなく、2級(管理者・主任クラス)と1級(施設長・経営者クラス)の2段階に分かれており、介護報酬制度・経営戦略・人事労務・財務会計・リスクマネジメントなどを横断的に習得できます。3年ごとの更新制で、管理職昇進や独立開業を目指す現場リーダーに広く活用されています。
目次
介護福祉経営士の位置づけと目的
介護福祉経営士は、2011年に発足した一般社団法人 日本介護福祉経営人材教育協会が運営・認定する民間資格です。国家資格ではありませんが、介護報酬改定・人材難・経営の複雑化が進むなかで、経営目線を持った介護人材を育成することを目的に設計されています。社会福祉士や介護福祉士のように「対人援助の専門性」を問う資格ではなく、介護事業を持続可能なかたちで運営するためのマネジメント力に特化している点が最大の特徴です。
カリキュラムは、介護保険制度・介護報酬の仕組みから始まり、財務会計、人事労務、組織マネジメント、マーケティング、リスクマネジメント、地域包括ケアシステムにおける役割まで多岐にわたります。社会福祉法人だけでなく、株式会社・医療法人・NPO法人など多様な運営主体が混在する介護業界で、共通言語として通用する経営知識を身につけることを狙いとしています。
取得者は、特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホーム・サービス付き高齢者向け住宅・訪問介護・通所介護など、あらゆる介護サービス事業の管理職・経営層に分布しています。職員配置基準や運営基準の改正、介護DXへの対応、処遇改善加算の戦略的活用など、現場リーダーが直面する判断を制度・財務・人事の三方向から考えられる人材として位置づけられています。
1級・2級の試験要件と概要
介護福祉経営士は2級と1級の2段階制で、2級を取得していることが1級受験の前提です。試験はCBT方式(コンピュータ受験)で、年末年始を除き任意の日程で受験できます。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 想定キャリア | 主任・管理者クラス | 施設長・経営者クラス |
| 受験資格 | 制限なし(学歴・実務経験不問) | 2級正会員であること |
| 科目 | 介護福祉経営学基礎I・II | 実践I・II+総合問題 |
| 問題数 | 40問 | 50問 |
| 試験時間 | 60分 | 80分 |
| 受験料 | 9,000円 | 10,400円 |
| 合格基準 | 得点率60%以上 | 得点率60%以上+実践研修修了 |
| 更新 | 3年ごと | 3年ごと |
※受験料は2024年7月時点。最新の金額は日本介護福祉経営人材教育協会の公式サイトで必ず確認してください。
2級は法規・倫理・介護報酬制度などの基礎が中心、1級は財務会計・組織運営・マーケティングなど、より実務的・戦略的な内容に踏み込みます。1級は試験合格後に実践研修の修了が必須となっており、ペーパーテストだけで完結しない設計です。
取得までの流れ
- 公式テキストで学習:日本介護福祉経営人材教育協会が発行する公式テキストで学習を進めます。2級は基礎I・IIの2巻が中心。学習期間は数か月〜半年が目安です。
- 対策講座・通信講座を受講(任意):独学でも合格は可能ですが、協会または提携団体が実施する試験対策講座(数千円〜数万円規模)を組み合わせる人も多くいます。
- 2級資格認定試験を受験:CBT方式で全国の試験会場から日程と場所を選択。受験料9,000円。試験終了直後にその場で合否が表示されます。
- 2級正会員登録:合格後に登録手続きを行い、正会員となります。1級受験にはこの正会員資格が必須です。
- 1級資格認定試験を受験:2級正会員になった後、1級試験に挑戦。受験料10,400円。試験範囲は財務・組織・マーケティングなど実践寄りです。
- 実践研修を修了して1級認定:1級は試験合格に加え、協会が指定する実践研修の修了が必須です。
- 3年ごとの資格更新:所定の研修や活動実績で更新を行い、知識のアップデートを継続します。
テキスト代・受験料・対策講座・実践研修費まで合計すると、2級・1級両方を取得する場合はおおむね数万円〜十数万円規模の自己投資が必要です。費用は協会の改定で変動するため、申し込み前に必ず公式の最新情報を確認してください。
キャリアへの活かし方と他資格との位置付け
介護福祉経営士は、現場の介護スキルではなく事業を回す側のリテラシーを可視化する資格です。次のような場面で効力を発揮します。
- 管理職への昇進材料:主任から管理者・施設長へステップアップする際、介護報酬と運営基準を体系的に理解していることを示せます。
- 新規開設・M&Aの実務:特養・有料老人ホーム・通所介護・サ高住など新規施設立ち上げや事業承継の場面で、収支シミュレーション・人員配置設計・運営基準遵守を一気通貫で検討できます。
- 株式会社系運営法人でのキャリア:エリアマネージャー・運営本部スタッフなど、複数事業所を統括するポジションで共通の経営言語として活用できます。
- 独立・開業の準備:訪問介護・通所介護・グループホームなどを自ら立ち上げる前に、最低限の経営知識を体系的にインプットできます。
他資格との位置付けは次のとおりです。
- 社会福祉士:相談援助の国家資格。対人援助・ソーシャルワークが中心で、経営知識は限定的。
- 認定介護福祉士:介護福祉士の上位資格でチームマネジメントを学びますが、財務会計・経営戦略までは踏み込まない設計です。
- MBA:経営学全般の修士。網羅性は高いものの介護報酬・運営基準など業界固有領域は薄く、学費は数百万円規模で時間投資も大きい。
- 認知症介護実践者研修・実践リーダー研修:認知症ケアの実践力を高める研修。介護福祉経営士とは目的が異なり、両立することで現場力と経営力の両輪が揃います。
介護福祉経営士は、これらの資格を置き換えるものではなく、「現場資格+経営資格」の組み合わせでキャリアの幅を広げる位置にあります。
よくある質問
- Q. 介護福祉経営士は国家資格ですか?
- A. いいえ、民間資格です。一般社団法人 日本介護福祉経営人材教育協会が認定する資格で、介護施設や事業所の経営・マネジメントに必要な知識を体系化することを目的としています。
- Q. 介護現場の実務経験がなくても受験できますか?
- A. 2級は受験資格に学歴・実務経験の制限がなく、誰でも受験できます。ただし試験範囲が介護報酬や運営基準など業界固有のテーマに踏み込むため、未経験者は公式テキストでの学習が必須です。1級は2級正会員であることが受験要件です。
- Q. 介護福祉士や社会福祉士と、どちらを先に取るべきですか?
- A. 現場で利用者支援を主に行うなら介護福祉士・社会福祉士などの国家資格が優先です。介護福祉経営士はマネジメント側の資格なので、主任〜管理者を目指すタイミングで上乗せ取得するのが一般的なルートです。
- Q. 取得すれば年収はどれくらい上がりますか?
- A. 資格手当として直接支給する事業所はそれほど多くなく、年収上昇は役職昇進や転職時のアピール材料を介した間接的な効果が中心です。施設長・エリアマネージャー級ポストへの登用で年収レンジが変わるケースが想定されます。
- Q. 試験はどこで受けられますか?
- A. CBT方式で全国のテストセンターから日程と会場を選択して受験します。年末年始を除き任意のタイミングで受けられ、その場で合否が表示されます。最新の会場・日程は協会の公式サイトで確認してください。
参考資料
- [1]介護福祉経営士(認定資格)- 一般社団法人 日本介護福祉経営人材教育協会
- [2]介護・高齢者福祉(介護保険制度・介護報酬)- 厚生労働省
- [3]WAM NET(介護事業の経営指標・公的データ)- 独立行政法人 福祉医療機構
- [4]認知症介護実践者研修・実践リーダー研修- 厚生労働省
まとめ
介護福祉経営士は、現場の介護スキルではなく事業を運営する側の知識を体系的に獲得するための民間資格です。2級で基礎、1級で実践と進む2段階制で、介護報酬・人事労務・財務・リスクマネジメントなど経営に必要な領域を一度に学べます。受験資格に学歴・実務経験の制限がないため、主任クラスから施設長・経営者まで幅広い層がチャレンジ可能です。介護福祉士・社会福祉士・認定介護福祉士などの現場資格と組み合わせることで、現場力と経営力の両方を備えた人材としてキャリアの選択肢を大きく広げられます。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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