家庭血圧測定とは

家庭血圧測定とは

家庭血圧測定とは自宅で血圧を測り記録すること。高齢者の正しい測り方(朝晩2回・姿勢・カフ位置)、家庭血圧135/85の基準値、白衣高血圧・仮面高血圧との違い、記録と受診時の活用、起立性低血圧の注意を解説。

ポイント

家庭血圧測定の定義(直接回答)

家庭血圧測定とは、自宅で上腕式の血圧計を使って自分の血圧を測り、記録することです。日本高血圧学会のガイドラインでは、診察室で測る血圧よりも家庭血圧のほうが心血管病の予測に優れ、高血圧の判定では家庭血圧を優先するとされています。原則として朝と晩の1日2回、座った姿勢で測り、家庭血圧で135/85mmHg以上が高血圧の目安です。

目次

家庭血圧測定の概要と高齢者にとっての意義

家庭血圧測定とは何か

血圧は、睡眠・起床・食事・入浴・運動などによって1日の中で大きく変動します。そのため、医療機関の診察室で年に数回測る血圧だけでは、本当の血圧の状態を把握しきれません。家庭血圧測定は、毎日決まった条件で自宅の血圧を記録することで、その人の「普段の血圧」をとらえる方法です。

日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは、診察室血圧よりも家庭血圧のほうが脳卒中や心筋梗塞といった心血管病の発症をよく予測すると評価されており、高血圧の診断や治療効果の判定では家庭血圧を優先して用いるとされています。すでに高血圧と診断されて服薬している人にとっても、降圧薬が効きすぎていないか、逆に不十分でないかを確認する手がかりになります。

高齢者でとくに重要な理由

高齢になるほど血圧は変動しやすく、診察室では緊張で高めに出る一方、家庭では落ち着いて低めに出ることも珍しくありません。また、降圧薬を複数服用している人では、薬が効きすぎて立ちくらみや転倒につながる「過剰な降圧」も起こりえます。家庭で朝晩の血圧を記録しておくと、こうした日内変動や薬の効きすぎ・効き不足を主治医が判断しやすくなります。

介護の現場では、利用者や家族が測った家庭血圧の記録が、看護師や医師への重要な情報源になります。数値そのものだけでなく、いつ・どんな状況で測ったかをあわせて伝えることが、適切なケアや受診判断につながります。

家庭血圧の正しい測り方の手順

家庭血圧の正しい測り方

家庭血圧は、測定条件が変わると10〜20mmHg程度の誤差が出ることもあります。毎日できるだけ同じ条件で測ることが、信頼できる記録の基本です。日本高血圧学会が推奨する測り方を整理します。

1. 血圧計は上腕にカフを巻くタイプを使う

心臓の高さに近い上腕で測ると値が安定します。手首式や指先式は誤差が大きくなりやすいため、上腕カフ式の自動電子血圧計を選びます。カフは衣服の上からではなく、素肌または薄い肌着の上に、心臓の高さでしっかり巻きます。

2. 朝と晩の1日2回測る

朝は起床後1時間以内、排尿をすませ、朝食前・服薬前に測ります。晩は就寝前に、入浴や飲酒の直後を避けて測ります。朝の値は早朝の血圧上昇や薬の効果の確認に、晩の値は1日の終わりの状態の確認に役立ちます。

3. 座って1〜2分安静にしてから測る

椅子に腰かけ、背もたれに軽く寄りかかり、足を組まずに床につけます。腕は机などに乗せて心臓の高さに保ち、体の力を抜いて1〜2分間静かに待ってから測定します。歩いた直後・喫煙・コーヒーや食事の直後は値が上がるため避けます。測定中は会話をしないようにします。

4. できれば各回2回測り平均を記録する

朝晩それぞれ2回測って平均をとると、より安定した値になります。1回しか測れない場合でも、その値をそのまま記録して構いません。大切なのは1回ごとの数字に一喜一憂せず、長く続けて傾向をみることです。

家庭血圧の基準値・分類一覧

家庭血圧の基準値と分類

日本高血圧学会のガイドラインでは、血圧を診察室血圧と家庭血圧の両方で分類しています。家庭血圧は診察室血圧より収縮期・拡張期ともにおおむね5mmHg低い基準で評価します。家庭血圧の判定は、5〜7日間以上測った値の平均で行います。

分類家庭血圧(mmHg)参考:診察室血圧(mmHg)
正常血圧115未満 かつ 75未満120未満 かつ 80未満
正常高値血圧115〜124 かつ 75未満120〜129 かつ 80未満
高値血圧125〜134 または 75〜84130〜139 または 80〜89
1度高血圧135〜144 または 85〜89140〜159 または 90〜99
2度高血圧145〜159 または 90〜99160〜179 または 100〜109
3度高血圧160以上 または 100以上180以上 または 110以上

家庭血圧で135/85mmHg以上が高血圧の目安です。なお、これは「高血圧と診断する基準」であり、実際にどこまで血圧を下げるか(降圧目標)は年齢や持病によって主治医が個別に判断します。糖尿病やたんぱく尿のある慢性腎臓病など、より低めの管理が望ましいケースもあるため、自己判断はせず主治医の指示に従ってください。

家庭血圧と診察室血圧の違い・白衣高血圧と仮面高血圧

診察室血圧との違いと、見つかる高血圧のタイプ

病院では緊張で血圧が上がりやすいため、家庭血圧は診察室血圧よりも収縮期・拡張期ともにおおむね5mmHg低めに出ます。両方を測ることで、診察室だけでは見つけられない高血圧のタイプを把握できます。

タイプ状態主なリスク
白衣高血圧診察室では高いが、家庭では正常多くは降圧薬による治療は不要だが、将来本格的な高血圧に進む可能性があるため定期的な測定が必要
仮面高血圧診察室では正常だが、家庭や職場で高い(早朝高血圧・夜間高血圧・昼間高血圧を含む)診察室と家庭の両方が高い持続性高血圧と同程度に脳・心臓・腎臓の障害が進みやすく、治療が必要なことが多い
持続性高血圧診察室でも家庭でも高い明確な高血圧。生活習慣の改善と必要に応じた治療の対象

とくに早朝の血圧が高い「早朝高血圧」は、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高いと報告されています。診察室血圧が正常でも、家庭で測ると高いことがあるため、自覚症状がなくても朝晩の測定を続ける意味があります。喫煙者やストレスの多い人、お酒をよく飲む人は仮面高血圧になりやすいとされます。

家庭血圧の記録・受診活用と起立性低血圧の注意点

記録のしかたと受診時の活用

家庭血圧は1回の数字ではなく、一定期間の平均と傾向で評価します。血圧手帳やスマートフォンのアプリに、日付・朝晩・収縮期/拡張期の値を記録しましょう。Bluetooth対応の血圧計なら自動で記録できます。いつもより高い・低い値が出た日は、睡眠不足・外食・飲酒・体調などのメモを添えておくと、主治医が原因を判断しやすくなります。

受診時には、朝と晩それぞれの平均値、値が高かった日とその要因、服薬の時間との関係を伝えるのがポイントです。こうした情報があると、降圧薬の種類や服薬のタイミング、生活指導の精度が上がります。「血圧計を寝室や洗面所など毎日目に入る場所に置く」「歯磨きや就寝前のストレッチとセットにする」といった工夫で、無理なく測定を習慣化できます。

起立性低血圧への注意

高齢者では、座った姿勢や横になった姿勢から立ち上がったときに血圧が大きく下がる「起立性低血圧」が起こりやすくなります。立ち上がってから3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上下がる状態をいい、後期高齢者ではおよそ1〜2割にみられるという報告があります。降圧薬を複数服用している人や、糖尿病・パーキンソン病などの持病がある人で起こりやすくなります。

ふらつき・立ちくらみ・めまい・目の前が暗くなる感じがある場合は注意が必要です。症状がなくても転倒リスクが高いことがあり、転倒は骨折から寝たきり・要介護につながりかねません。立ち上がる直後の様子(手をつく、顔色が悪くなるなど)に気づいたら、かかりつけ医に相談しましょう。立ち上がるときはゆっくり動作する、いったん端座位で間をおくといった配慮が転倒予防に役立ちます。なお、家庭血圧の測定や数値の評価、薬の調整は自己判断で行わず、必ず主治医の指示に従ってください。

家庭血圧測定のよくある質問

よくある質問

Q. 家庭血圧はいつ測ればよいですか。

朝と晩の1日2回が原則です。朝は起床後1時間以内・排尿後・朝食前・服薬前に、晩は就寝前(入浴や飲酒の直後を避けて)測ります。いずれも座って1〜2分安静にしてから測定します。

Q. 家庭血圧で高血圧の目安はいくつですか。

家庭血圧では135/85mmHg以上が高血圧の目安です。診察室血圧の140/90mmHg以上より低めの基準になっています。判定は5〜7日以上測った平均値で行います。

Q. 手首式の血圧計でもよいですか。

上腕にカフを巻くタイプをおすすめします。手首式や指先式は誤差が大きくなりやすいためです。心臓の高さに近い上腕で測ると値が安定します。

Q. 1回ごとに値がばらつきます。どう考えればよいですか。

血圧は1日の中でも変動するため、1回の数字に一喜一憂する必要はありません。毎日同じ条件で測り続け、一定期間の平均と傾向で評価することが大切です。各回2回測って平均をとると、より安定します。

Q. 立ち上がるとふらつきます。受診の目安は。

立ち上がった直後にふらつき・立ちくらみ・目の前が暗くなる感じがある場合は、起立性低血圧の可能性があります。症状がなくても転倒リスクが高いことがあるため、気になる場合はかかりつけ医に相談してください。

家庭血圧測定の参考資料

家庭血圧測定のまとめ

まとめ

家庭血圧測定は、自宅で朝晩の血圧を同じ条件で測って記録し、その人の普段の血圧をとらえる方法です。上腕カフ式の血圧計を使い、座って1〜2分安静にしてから、朝(起床後1時間以内・服薬前)と晩(就寝前)に測ります。家庭血圧では135/85mmHg以上が高血圧の目安で、診察室血圧より優先して用いられます。白衣高血圧や仮面高血圧を見つける手がかりにもなり、記録を受診時に持参すると治療の精度が上がります。高齢者では起立性低血圧による転倒にも注意し、数値の評価や薬の調整は自己判断せず、必ず主治医に相談してください。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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