みなし残業(固定残業代)とは

みなし残業(固定残業代)とは

みなし残業は一定時間の残業代を毎月固定額で支払う仕組み。介護分野でも導入増加。月◯時間込みの表記を見抜くポイントと超過分の請求権を解説。

ポイント

この記事のポイント

みなし残業(固定残業代)は、一定時間分の残業代を毎月の給与に組み込んで定額で支払う制度です。介護分野でも一部事業所で導入されており、「月給25万円(みなし残業20時間分含む)」のような表記で求人票に登場します。みなし時間を超える残業分は別途請求できる権利があり、超過分の請求漏れは介護分野でも珍しくありません。求人票の「月給」が実は基本給+みなし残業代の合算であるケースを見抜くことが重要です。

目次

みなし残業制度の法的位置づけ

みなし残業は労働基準法第37条の解釈で認められる固定残業代制度ですが、次の3要件を満たす必要があります。

3要件(最高裁・テックジャパン事件 平成24年判決)

  1. 残業代部分と通常賃金部分が明確に区別されている:「基本給20万円+固定残業代5万円(月30時間相当)」のように内訳明示
  2. 固定残業代が法定の計算式以上の金額になっている:「基本給20万円÷月所定170時間×1.25×30時間≒4.4万円」より固定残業代5万円が大きい等
  3. 超過分は別途支払う:みなし時間(30時間)を超えた分は実時間で算定して別途支払

違法なみなし残業の例

  • 「月給25万円(残業代込み)」のみの記載で内訳明示なし → 違法
  • 「みなし残業60時間込み」(過労死ライン超え) → 違法の可能性高
  • みなし時間超過分を支払わない → 違法(労働基準法第37条違反)

求人票でみなし残業を見抜くコツ

1. 月給の内訳を必ず確認

「月給25万円」とだけ書いてある場合、内訳を質問。「基本給18万円+夜勤手当5万円+みなし残業2万円(10時間相当)」のような表現が出てくる事業所は要警戒。

2. 「みなし◯時間」と「実残業◯時間」のギャップ

みなし20時間と書いてあって実残業40時間なら、超過20時間分は別途請求可能。逆にみなし60時間込みで実残業30時間なら時給換算で割安。

3. 固定残業代を別出しした基本給で比較

事業所A「月給25万円(みなし20時間込み)」と事業所B「基本給20万円+実残業代別途」を比較する際は、両者の「基本給」「実残業時間」「総月収」を揃えて計算。

4. 「裁量労働制」「事業場外みなし」との混同に注意

みなし残業は「固定残業代」、裁量労働制は「労働時間制」、事業場外みなし労働は外回り業務のみなし。介護現場では裁量労働制は適用できないため、「裁量労働制」と書かれた介護求人は法令違反の可能性高。

超過分を請求する方法

1. 実残業時間の記録

タイムカード・勤怠管理システム・自己メモで毎日の実残業時間を記録。「みなし20時間に対し実残業35時間」のように差が確認できる状態にする。

2. 給与明細での確認

給与明細で「固定残業代」と「割増賃金(残業代)」の項目を確認。みなし時間超過分が「割増賃金」欄に計上されているか。

3. 計算式の確認

超過分1時間あたりの単価=「基本給÷月所定労働時間×1.25」。例:基本給20万円・月所定170時間なら、超過1時間1,470円。みなし20時間超の15時間分なら22,050円が別途支給されるべき。

4. 不払いの場合

事業所に未払賃金請求書を提出。応じない場合は労働基準監督署に「申告」(無料)、または弁護士・労働組合経由で訴訟。未払賃金は2年間(2020年改正で当面3年間)まで遡及請求可能。

みなし残業のよくある質問

Q. みなし残業の時間まで残業しなくても給与は減りませんか?

A. 減りません。みなし残業は「最低◯時間は残業代を払う」という労働者保護の制度のため、実残業がゼロでも固定残業代は満額支給。

Q. 介護施設の介護職員にみなし残業は適用されますか?

A. 適用可能ですが、実残業時間の管理は厳格に行う必要あり。タイムカード・記録の正確性が重要。介護分野では夜勤・残業の常態化があるためトラブルになりやすい制度です。

Q. みなし時間が60時間と非常に長い求人は問題ですか?

A. 厚労省は月45時間を超える残業を「過労死ライン」として警戒。みなし60時間込みの求人は実残業もそれ以上になる可能性があり、健康面で要警戒。年間720時間(特別条項付き36協定でも上限)を超える残業は労基法違反です。

参考文献・出典

まとめ

みなし残業(固定残業代)は労働者保護の制度ですが、悪用すると「定額働かせ放題」になりかねません。求人票で「月給◯万円」と書かれていても内訳に固定残業代が含まれているケースが介護分野でも増加しており、入職前の確認が重要です。みなし時間を超過した分は別途請求できる労働者の権利であり、不払いには労基署経由で2〜3年遡及請求できます。実残業時間の記録と給与明細の確認を習慣にし、自分の労働対価を正しく受け取る姿勢を持ちましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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