
モニタリング(ケアマネ)とは
ケアマネのモニタリングは、ケアプランが利用者の目標達成に有効か継続的に確認するプロセス。居宅は月1回、施設は3か月に1回の実施が運営基準で義務付けられている。
この記事のポイント
モニタリング(ケアマネ)とは、ケアプランに基づくサービスが利用者の課題解決や目標達成に有効に作用しているかを、ケアマネジャー(介護支援専門員)が継続的に確認するプロセスです。居宅介護支援では「特段の事情がない限り月1回以上の利用者宅訪問と記録」、施設サービス計画では「3か月に1回以上」の実施が運営基準で義務付けられています。アセスメント→ケアプラン作成→サービス提供→モニタリングというPDCAサイクルの「Check」を担う重要業務です。
目次
モニタリングの定義と法的位置づけ
モニタリングとは、ケアプランに位置づけられた介護サービスが、利用者の課題解決や目標達成に有効に作用しているかどうかを継続的に確認・評価する業務です。単なる「様子伺い」ではなく、ケアプランの妥当性そのものを検証し、必要に応じて修正・再アセスメントにつなげる、ケアマネジメント・プロセスの中核を成す行為と位置づけられています。
根拠法令は「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)第13条(指定居宅介護支援の具体的取扱方針)第14号で、介護支援専門員はケアプランの実施状況の把握(モニタリング)を継続的に行い、必要に応じてケアプランの変更や事業者との連絡調整等を行うこととされています。
「継続的に行う」とは、定期的に行うだけでなく、利用者の心身の状況の変化やサービス提供者からの情報を受けて、随時必要な対応を取ることを含みます。モニタリングは「定期モニタリング(月1回等)」と「随時モニタリング(変化発生時)」の二層構造で運用するのが実務上の基本形です。
確認すべき範囲は介護保険サービスだけでなく、利用者が活用している保険外サービス・インフォーマルサポート(家族・近隣・ボランティア等)も含むのが原則です。ケアプランは「介護保険サービスのスケジュール表」ではなく「利用者の生活全体を支える設計図」だからです。
サービス類型別のモニタリング実施頻度
運営基準で定められた最低実施頻度は、サービス類型によって大きく異なります。以下が2026年5月時点で適用される頻度ルールです。
| サービス類型 | 利用者宅訪問 | モニタリング記録 | 根拠基準 |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援 | 特段の事情がない限り月1回以上 | 少なくとも月1回 | 居宅介護支援運営基準 第13条第14号 |
| 介護予防支援 | 少なくとも3か月に1回(サービス利用月以外も継続) | 少なくとも月1回 | 介護予防支援運営基準 第30条 |
| 施設サービス計画(特養・老健・介護医療院) | 定期的に入所者と面接 | 少なくとも3か月に1回 | 各施設運営基準 |
| 地域密着型サービス(小多機・看多機等) | 定期的に利用者と面接 | 少なくとも3か月に1回 | 地域密着型サービス運営基準 |
| テレビ電話モニタリング(2024年度改定で新設) | 居宅は2か月に1回、介護予防は6か月に1回の訪問を維持 | 少なくとも月1回 | 2024年度介護報酬改定 |
「特段の事情」とは、利用者本人の事情(入院・ショートステイ利用中など)により居宅訪問・面接ができないケースを主に指し、ケアマネ側の繁忙やスケジュール都合は含まれません。記録上は「特段の事情の内容と対応経過」を明記する必要があります。
居宅と施設で頻度差があるのは、施設では多職種が日常的に入所者の心身状況を把握できる一方、在宅では介護支援専門員が利用者の状態変化を把握する貴重な機会がモニタリングだからです。
アセスメント・モニタリング・評価の違い
ケアマネジメント・プロセスは「アセスメント→ケアプラン作成→サービス担当者会議→サービス提供→モニタリング→再アセスメント」という循環構造(PDCAサイクル)で動いており、それぞれの工程は目的と時点が明確に異なります。
| 工程 | タイミング | 主な目的 | 使用ツール例 |
|---|---|---|---|
| アセスメント | サービス開始前・状態変化時 | 生活課題(ニーズ)の抽出 | 課題分析標準23項目、ICF、MDS-HC |
| ケアプラン(居宅サービス計画) | アセスメント後 | 長期・短期目標と支援内容の設計 | 第1表〜第7表 |
| モニタリング | サービス開始後、継続的 | 計画通りにサービスが機能しているかの確認 | モニタリング記録、第5表(居宅介護支援経過) |
| 評価(再アセスメント) | 目標期間終了時、状態変化時 | 目標達成度の総括と次期計画への反映 | 評価表、再アセスメントシート |
アセスメントとモニタリングの違いは「時点」にあります。アセスメントは支援開始前または大幅な状態変化時に行う『情報収集と課題抽出』、モニタリングは支援開始後に行う『計画通りの効果が出ているかの確認』です。モニタリングで重大な変化を発見した場合は、即時に再アセスメントへ移行します。
モニタリングと評価の違いは「粒度」と「タイミング」です。モニタリングは月次の継続的な点検、評価は短期目標・長期目標の期間終了時に行う総括的な振り返りで、評価結果がケアプランの更新や終結の判断材料になります。
モニタリング訪問時のチェック項目
厚生労働省が示す課題分析標準23項目に対応する形で、現場では以下の観点を継続的にチェックします。すべてを毎回確認する必要はなく、利用者の状況とケアプラン目標に応じて重点項目を絞るのが実務的です。
1. 目標達成度の確認
- 短期目標は予定通りに達成に向かっているか
- 長期目標との乖離が生じていないか
- 目標期間の延長・修正が必要か
2. サービス内容の妥当性
- 位置づけた介護保険サービス・保険外サービスは、ケアプランの意図通り提供されているか
- 過剰・過少なサービス利用になっていないか
- 新たに追加すべき/削除すべきサービスはないか
3. 利用者・家族の意向と満足度
- サービス利用に対する満足度・不満点
- 新たな希望や生活ニーズの変化
- 家族の介護負担感(バーンアウト兆候の有無)
4. 心身状態の変化
- ADL/IADLの変化(着替え・移動・調理など)
- 認知機能の変化(記憶・判断力・BPSD出現)
- 疾患の悪化・新規発症、服薬状況
- 体重・食事量・睡眠の変化
5. 環境・社会関係の変化
- 住環境の変化(手すり追加要否、段差等)
- 主介護者の状況変化(就労・体調・転居)
- 近隣・友人・地域とのつながり
6. 新たな課題・リスクの発見
- 転倒・誤嚥・脱水などのリスク兆候
- 虐待・経済的困窮・セルフネグレクトの兆候
- サービス事業者間で連携できていない情報
これらは居宅介護支援経過(第5表)またはモニタリング記録票に記録します。記録は単なるチェックリストではなく、「次のアクションにつながる判断と根拠」を残すことが重要です。
モニタリングに関するよくある質問
Q1. モニタリングを月1回実施しなかった場合、どうなりますか?
居宅介護支援において「特段の事情」がないのに月1回の利用者宅訪問・記録を怠ると、運営基準違反となり、実地指導や監査で指摘を受けます。重大な場合は居宅介護支援費の返還(過誤調整)や運営基準減算の対象となります。減算は所定単位数の50/100相当(運営基準減算が2か月以上継続すると100/100)に達する可能性があり、事業所経営上のインパクトが大きい違反です。
Q2. テレビ電話モニタリングを使えば、訪問は完全に不要になりますか?
いいえ。2024年度介護報酬改定でテレビ電話モニタリングが認められましたが、居宅では2か月に1回(介護予防支援は6か月に1回)の対面訪問は必須です。また、利用者の文書同意、サービス担当者会議での合意、認知機能低下がないこと等の要件をすべて満たす必要があります。テレビ電話で異変を察知した場合は、特段の事情に該当しないため即時の訪問対応が求められます。
Q3. 利用者が入院中の月もモニタリング訪問が必要ですか?
入院は「特段の事情」に該当するため、入院期間中の利用者宅訪問は不要ですが、記録は省略できません。入院先や入院期間、退院後の在宅復帰に向けた医療機関・サービス事業者との連絡調整の内容を居宅介護支援経過(第5表)に詳細に記録します。退院前カンファレンス参加や退院前訪問指導との連動が、減算回避と継続的な計画見直しの双方に効きます。
Q4. モニタリングと「居宅介護支援経過(第5表)」は同じものですか?
厳密には異なります。居宅介護支援経過(第5表)はケアマネジメント全般の経過記録で、モニタリング訪問・電話連絡・サービス事業者との連絡調整・サ担会議など全活動を時系列で記載します。一方モニタリング記録(モニタリング表)は月1回の評価結果を構造化して残す書式です。多くの事業所では第5表に集約しつつ、月次でモニタリング表を別途作成する運用が主流です。
Q5. モニタリング項目に決まった様式はありますか?
厚生労働省が指定する標準様式はなく、各事業所が任意の様式を使用できます。ただし課題分析標準23項目に対応した観点をカバーし、目標達成度・サービス内容の妥当性・利用者意向・新たな課題の有無が確認できる構造が求められます。地域包括支援センターや国保連の研修資料、職能団体(日本介護支援専門員協会)が公開している様式例を参考にする事業所が多いです。
参考文献・公的資料
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まとめ
モニタリングは、ケアプランを「立てて終わり」にせず、利用者の目標達成に有効に作用しているかを継続的に検証するケアマネジメントの中核業務です。居宅介護支援は月1回以上、施設・地域密着型は3か月に1回の頻度ルールを確実に守り、月次のチェック項目を構造化して記録することが、運営基準減算の回避と質の高い支援の両立につながります。2024年度改定で導入されたテレビ電話モニタリングは業務効率化の選択肢ですが、対面訪問の最低頻度・利用者同意・サ担会議での合意という3要件を満たして初めて運用可能です。アセスメント→計画→モニタリング→評価のPDCAサイクルを意識し、変化を捉えた瞬間に再アセスメントへ戻る柔軟さが、ケアマネジャーに求められる専門性の核心です。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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