
申し送りとは
申し送りとは介護現場でシフト交代時に利用者の状態やケア内容を次の担当者へ引き継ぐ情報共有です。伝える内容項目、口頭と記録の使い分け、5W1Hでまとめるコツをやさしく解説します。
申し送りの定義(要約)
申し送り(もうしおくり)とは、介護現場でシフト(勤務)の交代時に、利用者の体調やケアの実施状況、注意すべき事項などの情報を、次の勤務者へ確実に引き継ぐための情報共有のことです。日勤から夜勤、夜勤から日勤といった交代の節目で行い、ケアの連続性と利用者の安全を守る役割を担います。
目次
申し送りの概要と目的
申し送りとは|介護現場での意味
申し送りとは、勤務交代のタイミングで「前の勤務者がつかんだ情報」を「次の勤務者」へ橋渡しする行為を指します。介護は24時間365日、複数の職員が交代しながら同じ利用者を支える仕事です。誰か一人がすべての時間帯を担当することはできないため、勤務の切れ目で情報が途切れると、ケアの質や利用者の安全に直接影響します。申し送りは、この「人が入れ替わってもケアは途切れさせない」という連続性を担保する仕組みです。
介護現場での申し送りには、主に次の3つの目的があります。
- 利用者の安全を守る:転倒や体調の変化、誤嚥のリスクなど、注意すべき情報を次の勤務者へ伝え、事故の発生や再発を防ぎます。
- ケアの連続性を保つ:実施したケアと未実施のケア、利用者の反応を共有し、次の勤務者が同じ方針で対応を続けられるようにします。
- チームで情報を共有する:一部の職員しか知らない情報をチーム全体の共有財産にし、誰が対応しても一定の質を保てるようにします。
申し送りは口頭だけで完結するものではなく、介護記録(業務日誌・ケース記録など)とセットで運用されるのが一般的です。口頭で要点を伝え、詳細は記録に残すことで、「その場にいなかった職員」や「数日後に確認する職員」にも情報が届きます。なお、申し送りは医療・看護の現場でも同じ言葉で使われ、看護師から介護職、介護職から看護師へといった多職種間の引き継ぎでも重要な役割を果たします。
申し送りで伝える内容項目
申し送りで伝えるべき内容
申し送りで伝える情報は、おおむね次の項目に整理できます。すべてを毎回伝えるのではなく、「次の勤務者が知らないと困ること」「いつもと違うこと」を優先して選びます。
- 基本情報:日付・時間帯・対象となる利用者名・申し送る職員名。誰についての話かを最初に明確にします。
- 体調・バイタルの変化:体温・血圧・脈拍などの数値、発熱や血圧上昇といった普段と異なるサイン。
- 食事・水分・排泄・睡眠:食事や水分の摂取量、排泄の有無や性状、睡眠の様子など生活面の状態。
- 実施したケアと利用者の反応:入浴・服薬・体位変換などの実施状況と、それに対する利用者の反応。
- 未実施・依頼事項:まだ行っていないケアや、次の勤務者にお願いしたい確認・対応。
- 事故・ヒヤリハット・特記事項:転倒やヒヤリハット、利用者同士の関係、家族からの連絡など注意を要する出来事。
これらを伝えるときは、「事実」と「意見・推測」を分けることが大切です。「水分をあまり摂れていなかった(事実)」と「脱水気味かもしれない(推測)」を混ぜずに伝えると、受け手が状況を正しく判断できます。
申し送りの口頭と記録の使い分け
口頭と記録の使い分け
申し送りには「口頭で伝える」方法と「記録に残す」方法があり、それぞれ得意な役割が異なります。両方を組み合わせることで、抜け漏れの少ない引き継ぎになります。
| 観点 | 口頭での申し送り | 記録での申し送り |
|---|---|---|
| 主な場面 | 勤務交代時のミーティング・朝礼 | 業務日誌・ケース記録・連絡ノート |
| 得意なこと | 緊急度の高い情報を即時に共有、その場で質問・確認ができる | 詳細を正確に残し、後から誰でも見返せる |
| 伝える内容 | 優先度の高い要点を簡潔に | 5W1Hで具体的に、経緯も含めて |
| 弱点 | 聞き逃すと情報が消える、記憶に頼る | 読まれないと伝わらない、リアルタイム性が低い |
実務では、「緊急・重要なことは口頭で念押しし、詳細は記録に残す」のが基本です。口頭だけだと聞き逃しや言い間違いが起き、記録だけだと読まれずに見落とされることがあります。近年は介護記録ソフトやタブレットを使い、記録と申し送りを同じ画面で共有する施設も増えており、口頭と記録の橋渡しがしやすくなっています。
申し送りを簡潔に伝えるコツ
申し送りをスムーズに伝えるコツ
申し送りに苦手意識を持つ人は少なくありませんが、いくつかのコツを意識すると要点が整理されます。
- 5W1Hで組み立てる:いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように、を意識すると情報の抜けが減ります。
- 結論から先に伝える:「○○さんが転倒しました。経緯は…」のように、重要な事実を先に言うと受け手が理解しやすくなります。
- 事実・意見・推測を区別する:観察した事実と、自分の判断や予測を分けて伝えます。
- 優先順位をつける:すべてを同じ重みで話さず、緊急度・重要度の高いものから伝えます。
- あいまいな表現を避ける:「特に変わりなし」で済ませず、「15時頃に水分200ml摂取」のように具体的にします。
メモを取りながら勤務し、交代前に要点をまとめておくと、口頭でも記録でも伝えやすくなります。
申し送りのよくある質問
申し送りに関するよくある質問
申し送りと介護記録は何が違いますか?
介護記録は利用者の状態やケアを残す「記録そのもの」で、申し送りはその情報を「次の勤務者へ引き継ぐ行為」を指します。記録は申し送りの土台になり、口頭の申し送りと記録は補い合う関係です。
申し送りと報連相(ほうれんそう)は同じですか?
報連相(報告・連絡・相談)はチーム全体の情報共有の枠組みで、申し送りはそのうち「勤務交代時の引き継ぎ」に特化した場面を指します。申し送りは報連相の一部と位置づけられます。
申し送りに決まった様式はありますか?
法令で全国一律の様式が定められているわけではなく、様式や運用は施設ごとに異なります。多くの現場では業務日誌や連絡ノート、介護記録ソフトの申し送り機能を使い、伝える項目をある程度フォーマット化しています。
新人が申し送りで気をつけることは?
事実を客観的に、優先度の高い情報から簡潔に伝えることです。慣れないうちは伝える項目をメモにまとめ、5W1Hに沿って準備しておくと安心です。わからない点はその場で先輩に確認しましょう。
申し送りの参考資料・出典
- [1]
- [2]介護事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き- 厚生労働省 老健局
記録・情報共有・請求を一気通貫で行うソフト導入のノウハウ。記録に基づく事業所内の情報共有(申し送りを含む)の効率化が対象に含まれる。
- [3]
申し送りのまとめ
まとめ
申し送りとは、勤務交代時に利用者の状態やケア内容を次の担当者へ確実に引き継ぐ情報共有です。利用者の安全とケアの連続性を守るために、伝える内容は事実と推測を分け、優先度の高いものから簡潔に。緊急・重要なことは口頭で念押しし、詳細は介護記録に残す、という口頭と記録の使い分けが基本です。5W1Hを意識して準備すれば、苦手意識があっても抜け漏れの少ない申し送りができるようになります。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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