介護職の傷病手当金と休職|病気・腰痛・メンタル不調で働けないときの支給額・申請・復職
介護職向け

介護職の傷病手当金と休職|病気・腰痛・メンタル不調で働けないときの支給額・申請・復職

介護職が病気・ケガ・腰痛・メンタル不調で働けなくなったときの傷病手当金と休職・復職を解説。標準報酬月額の約2/3という支給額を介護職の平均月給で試算し、待期3日・通算1年6か月・申請手順・復職の流れまで一次ソースでまとめます。

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この記事のポイント

介護職が病気やケガ、腰痛、メンタル不調で働けず会社を休んだときは、健康保険の傷病手当金で給与の約3分の2が保障されます。連続3日の待期のあと4日目から、支給開始日から通算1年6か月を限度に支給されます。介護職員の平均的な月給(基本給と毎月の手当で約29万円)なら、1日あたりおよそ6,400円、1か月では約19万円が目安です。業務外の傷病が対象で、医師の労務不能の証明と勤務先の証明をそろえて協会けんぽ等へ申請します。

目次

介護の仕事は、腰痛や感染症、夜勤による体調の崩れ、そして利用者対応や人間関係から来る心の疲れと隣り合わせです。令和6年度の介護労働実態調査では、仕事の負担についての悩みとして「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」を挙げた人が24.6%、「精神的にきつい」を挙げた人が22.5%にのぼりました。実際に働けないほど体調を崩したとき、収入が止まる不安から無理を続けてしまう人は少なくありません。

そんなときの支えになるのが、健康保険の傷病手当金です。会社員として健康保険に加入していれば、病気やケガで働けず給与が受けられない間、給与の約3分の2にあたる金額が支給されます。けれど「自分の月給だといくらもらえるのか」「待期3日とは何か」「休職や復職とどうつながるのか」まで具体的に知っている介護職は多くありません。

この記事では、傷病手当金の支給額を介護職の平均的な月給に当てはめて試算し、申請の流れ、休職制度との関係、復職までの実務を、協会けんぽや厚生労働省の一次資料をもとに整理します。療養に専念しながら働き方を立て直すための判断材料として役立ててください。

なぜ介護職こそ傷病手当金と休職を知っておくべきか

傷病手当金そのものは介護職に限らず会社員共通の制度です。しかし介護職こそ、この制度を前もって知っておく必要があります。理由は、働けなくなるリスクが構造的に高い仕事だからです。

介護職の悩みは「体」と「心」の両面に集中している

令和6年度の介護労働実態調査(介護労働安定センター)で、労働条件や仕事の負担についての悩み・不安・不満を尋ねた結果は次のとおりです。

  • 人手が足りない … 49.1%
  • 仕事内容のわりに賃金が低い … 35.3%
  • 身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある) … 24.6%
  • 精神的にきつい … 22.5%

身体的負担と精神的負担を合わせると、介護職の悩みの中核を占めています。腰痛は介護現場の代表的な労災要因であり、移乗や入浴介助の繰り返しで慢性化しやすいものです。心の面でも、利用者や家族との関係、看取りに立ち会う緊張、慢性的な人手不足によるプレッシャーが積み重なり、適応障害やうつ状態で出勤できなくなるケースがあります。

働けなくなったときに収入が止まる前提を変える

体調を崩しても「休んだら収入がゼロになる」と思い込むと、療養を後回しにして症状を悪化させがちです。傷病手当金は、まさにこの「働けない期間の収入の空白」を埋めるための制度です。仕組みと金額の目安を知っておくだけで、早めに休む決断がしやすくなります。腰痛で立てなくなる前に、心が限界を迎える前に、使える保障があると分かっていることが、長く介護の仕事を続けるための土台になります。

傷病手当金とは|介護職が対象になる条件

傷病手当金とは、健康保険の被保険者が病気やケガで仕事を休み、その間の給与を受けられないときに支給される給付金です。会社の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に加入している介護職であれば、正社員だけでなく、要件を満たすパート・契約社員・派遣社員も対象になります。一方、自営や個人事業として加入する国民健康保険には傷病手当金の制度がありません。

支給される4つの条件

協会けんぽの定めでは、次の条件をすべて満たしたときに支給されます。

  1. 業務外の病気やケガの療養のための休業であること。仕事中や通勤途中のケガは労災保険(休業補償給付)の対象となり、傷病手当金ではなく労働基準監督署に請求します。腰痛でも、業務に起因すると認められれば労災の対象になり得ます。
  2. それまで就いていた仕事に就くことができないこと。療養担当者(医師等)の意見をもとに、従前の業務ができない状態か(労務不能か)が判断されます。介護職なら、移乗や入浴介助などの身体介護ができない状態が目安です。
  3. 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかったこと。これがいわゆる「待期3日間」です。
  4. 休んだ期間について給与の支払いがないこと。給与が一部支払われている場合は、その分を差し引いて支給されます。

「業務外」の傷病が対象という線引き

傷病手当金は業務外の傷病、つまりプライベートでの病気やケガが対象です。介護の現場では、業務中の腰痛やハラスメントによる心身の不調など、業務が原因かどうかの判断が難しいケースもあります。業務に起因すると認められれば労災(休業補償給付は給付基礎日額の約8割)が優先されます。どちらに当たるか迷うときは、勤務先の担当者や労働基準監督署、協会けんぽに確認しましょう。なお、美容整形など健康保険の対象にならない治療のための療養は傷病手当金の対象外です。

待期3日間の数え方|シフト勤務での注意点

傷病手当金でつまずきやすいのが「待期3日間」の数え方です。介護職はシフト勤務で公休や夜勤明けが入り組むため、ここを正しく理解しておく必要があります。

連続して3日休んで、はじめて待期が完成する

待期は、療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間で完成します。この3日間には有給休暇や土日・祝日などの公休も含まれます。つまり、給与の支払いがあったかどうかは関係なく、休んだ日が連続して3日続いているかが判断基準です。待期が完成すると、4日目以降の働けなかった日が支給の対象になります。

注意したいのは「連続」という点です。2日休んだ後に1日出勤し、また休んだ場合は、待期3日間が成立しません。体調が中途半端なときに無理に出勤して1日働くと、待期が振り出しに戻ってしまうことがあります。介護のシフトでは「人手が足りないから1日だけ出てほしい」と頼まれることもありますが、待期完成前の出勤は傷病手当金の開始を遅らせる可能性があると知っておきましょう。

シフト勤務での待期の考え方の例

パターン1日目2日目3日目4日目待期
連続して休む完成(4日目から支給対象)
3日目に出勤未完成(やり直し)
公休をはさむ休(公休)完成(公休も待期に含む)

就業時間中に業務外の事由で発症して働けなくなった場合は、その日を待期の初日として数えます。診断書をもらった日付や、医師が労務不能と認めた期間が、後の申請でそのまま使われるため、休み始めた日を正確に記録しておくことが大切です。

介護職の月給で試算する傷病手当金の支給額

「給与の約3分の2」と言われても、自分の場合いくらになるのかは分かりにくいものです。ここでは協会けんぽの算定式に、介護職員の実際の平均給与を当てはめて目安を示します。

計算式の基本

傷病手当金の1日あたりの支給額は、次の式で求めます。

1日あたりの額=支給開始日以前の直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2

標準報酬月額とは、社会保険料を計算するときに使う「給与の区切り」のことで、基本給に通勤手当・夜勤手当・住宅手当などを含めた月収に近い金額です。残業や夜勤の多い月・少ない月をならした平均をもとに、1日あたりの単価を出すイメージです。

介護職員の平均月給で試算してみる

令和6年度介護従事者処遇状況等調査によると、月給・常勤の介護職員の平均給与額は、基本給が192,660円、毎月の手当(夜勤手当などの変動分を含む)が97,980円で、合計すると毎月の給与はおよそ290,640円です。これを標準報酬月額の目安として算定式に当てはめると、次のようになります。

項目金額の目安
平均的な月給(標準報酬月額の目安)約290,000円
30で割った1日あたりの単価約9,667円
その3分の2=1日あたり支給額約6,400円
1か月(30日分)の目安約19万円

つまり、介護職員の平均的な月給で働けなくなった場合、傷病手当金として1か月あたり約19万円が支給される計算になります。普段の月給の約3分の2の水準で、療養に専念しながら一定の生活費を確保できることが分かります。

これはあくまで全国平均の月給をもとにした目安です。実際の額は、夜勤回数や手当の多い人ほど高く、パートで勤務時間が短い人ほど低くなります。正確な金額は、給与明細や社会保険の通知に記載された自分の標準報酬月額をもとに「÷30×3分の2」で計算するか、勤務先の担当者や協会けんぽに確認してください。なお、加入期間が12か月に満たない場合は、加入後の平均額か、全被保険者の平均(支給開始日が令和7年4月1日以降は月額32万円)のいずれか低い額で計算します。

いつまでもらえる?支給期間は通算1年6か月

傷病手当金は無期限にもらえるわけではありません。支給期間には上限があり、2022年(令和4年)1月の法改正で数え方が変わりました。

支給開始日から「通算」して1年6か月

傷病手当金は、支給が始まった日(支給開始日)から、実際に支給された期間を通算して1年6か月を限度に支給されます。以前は支給開始から暦のうえで1年6か月が経つと、その間に出勤した期間があっても打ち切られていました。現在は通算方式になったため、途中で復職して傷病手当金が支給されなかった期間は、1年6か月のカウントから外れます。

これは介護職にとって実務上の意味が大きい改正です。たとえばメンタル不調で休職し、いったん復職したものの再び症状が悪化して休む、というケースでも、復職して働いていた期間はカウントされず、同じ傷病について通算1年6か月分まで使える計算になります。療養と復職を行き来しながら、無理のないペースで仕事復帰を目指せるようになりました。

同じ傷病か、別の傷病かで扱いが変わる

通算1年6か月の上限は「同一の傷病」ごとに数えます。腰痛で1年6か月分を使い切った後に、まったく別の病気(たとえば別の内臓疾患)で働けなくなった場合は、その新しい傷病について改めて傷病手当金を受けられます。一方、同じ傷病が続いている場合は、いったん仕事に就ける状態に回復した後に再び悪化しても、通算の上限を超えて支給されることはありません。うつ病などは回復と再発の判断が難しいため、医師の診断と労務不能の証明が重要になります。

支給開始のタイミング

支給は待期3日が完成した後の4日目以降が対象です。申請してから実際に振り込まれるまでは、書類に不備がなければおおむね2週間程度が目安です。最初の振り込みまでに時間がかかるため、休み始めの当面の生活費は、貯蓄や有給休暇である程度カバーしておくと安心です。

傷病手当金の申請方法と退職後の継続給付

傷病手当金は自動的に振り込まれるわけではなく、自分で申請する必要があります。申請には本人・勤務先・医師の3者が記入する欄があるため、段取りを知っておくとスムーズです。

申請の流れ(4ステップ)

  1. 支給申請書を入手する。協会けんぽのホームページや、勤務先の総務・人事から「健康保険傷病手当金支給申請書」を入手します。用紙は被保険者記入用・事業主記入用・療養担当者記入用に分かれています。
  2. 医師(療養担当者)に証明をもらう。療養担当者記入用の欄に、傷病名・労務不能と認めた期間などを医師に記入してもらいます。診断書とは別に、この申請書への記入が必要です。受診のたびに依頼すると手間が少なくて済みます。
  3. 勤務先に事業主証明をもらう。事業主記入用の欄に、勤務状況や給与の支払い状況を勤務先に記入してもらいます。証明は申請期間が過ぎた後の日付で行うため、締め日のあとに依頼します。
  4. 協会けんぽ(または健康保険組合)へ提出する。3者の記入がそろった申請書を保険者へ郵送または電子申請で提出します。不備がなければおおむね2週間程度で支給されます。

申請のサイクルとコツ

長期間休む場合は、給与の支払い状況について事業主の証明が必要になるため、給与の締め日ごとに1か月単位で申請するのがおすすめです。まとめて申請しようとすると、その間の生活費が立て替えになってしまいます。

協会けんぽでは2026年1月から各種申請の電子申請が利用できるようになり、マイナンバーカードがあれば被保険者本人がオンラインで手続きできます。郵送の手間や記入漏れによる返戻を減らせるため、対象の人は活用を検討するとよいでしょう。なお、申請にあたって出勤簿や賃金台帳の写しは添付不要です。

退職することになった場合の継続給付

休職中に退職した場合でも、一定の条件を満たせば退職後も引き続き傷病手当金を受けられます(継続給付)。条件は、退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること、退職日の前日までに連続3日以上休んでいて退職日も休んでいること、退職日時点で傷病手当金を受けているか受けられる状態であることなどです。ただし、いったん働ける状態に回復するとその後は再び支給されない点や、失業給付(雇用保険の基本手当)とは同時に受けられない点に注意が必要です。失業給付は「働ける人」への給付のため、療養中は受給期間の延長手続きをしておき、回復後に受け取る流れが基本です。

休職制度と傷病手当金の関係|休む前に確認すること

傷病手当金は「健康保険からお金が出る制度」ですが、実際に休む枠組みになるのが勤務先の「休職制度」です。両者は別物で、組み合わせて使うことになります。

休職は会社の制度、傷病手当金は健康保険の給付

休職とは、従業員が病気などの事情で働けない間、雇用関係を続けたまま一定期間労働の義務を免除してもらう制度です。法律で一律に定められたものではなく、休職できる期間や条件は勤務先の就業規則によって決まります。多くの場合、休職期間中は給与が支払われません。その「無給で休んでいる期間」の生活を支えるのが、健康保険から出る傷病手当金です。

つまり流れとしては、(1)体調を崩して働けなくなる →(2)医師の診断を受けて勤務先に休職を申し出る →(3)就業規則に沿って休職に入る →(4)無給期間について傷病手当金を申請する、という形になります。介護施設や事業所では、まず施設長や管理者、人事担当に相談し、休職の手続きと並行して傷病手当金の申請を進めるのが一般的です。

休職前に確認しておきたいこと

  • 就業規則の休職規定。休職できる期間の上限、勤続年数による条件、休職期間が満了したときの扱い(自然退職になるかなど)を確認します。
  • 社会保険料の支払い。休職中も健康保険・厚生年金の保険料は発生します。給与天引きができないため、勤務先に立て替えてもらい後で精算する、振込で納めるなど、支払い方法を事前に決めておきます。傷病手当金は社会保険料が差し引かれずに支給されるので、その中から保険料を納めることになります。
  • 有給休暇の使い方。待期3日や支給開始までの期間に有給を充てるかどうかを考えます。ただし有給で給与が出る日は、その分傷病手当金が減額または不支給になります。
  • 診断書の準備。休職を申し出る際は医師の診断書が求められるのが通常です。労務不能の期間が明記されたものを用意します。

傷病手当金は非課税、税や住民税への影響

傷病手当金は所得税の課税対象にならない非課税の給付です。そのため、休職して傷病手当金だけを受け取っている期間は、その分が翌年の所得には算入されません。一方で、住民税は前年の所得をもとに課税されるため、休職中でも前年に働いていれば納税が発生します。給与天引きができなくなる分は、普通徴収(自分で納付)に切り替わることがあるので、市区町村からの通知に注意しておきましょう。

介護現場ならではの休職理由と注意点

傷病手当金は会社員共通の制度ですが、介護の現場ならではの休職理由や注意点があります。代表的なケースを整理しておきましょう。

腰痛・身体の故障で働けなくなったとき

移乗や入浴介助で腰を痛め、ヘルニアなどで身体介護ができなくなるのは介護現場で多いケースです。プライベートでの発症や慢性的な負担によるものは傷病手当金の対象になります。ただし、特定の業務動作が原因と医学的に認められる場合は、労災(業務上疾病)として扱われる可能性があります。労災なら自己負担なしの治療と休業補償(給付基礎日額の約8割)が受けられ、傷病手当金より手厚くなります。腰痛で休む際は、発症の経緯を医師に正確に伝え、業務起因性があるかを相談しましょう。

メンタル不調(うつ・適応障害)で働けなくなったとき

傷病手当金はうつ病や適応障害などの精神疾患も対象です。介護職は利用者対応や人間関係、看取りの緊張などが重なりやすく、心の不調で出勤できなくなることがあります。診断書で労務不能と認められれば、身体の病気と同じように傷病手当金を受けられます。なお、職場のパワーハラスメントなど業務に起因して精神疾患になった場合は、労災と認定される可能性があります。その場合は労災の休業補償が優先されます。

夜勤・シフト勤務ならではの注意点

介護はシフト制で公休や夜勤明けが入り組むため、待期3日の数え方を間違えやすい働き方です。前述のとおり、待期完成前に「人手が足りないから1日だけ」と出勤すると、待期がやり直しになり支給開始が遅れることがあります。体調が回復していないうちは、無理に1日だけ出るより、医師と相談して連続して休む方が制度上は有利です。

人手不足のなかで「休みづらい」と感じたら

介護現場は慢性的な人手不足で、「自分が休むと現場が回らない」と責任を感じて休めない人が少なくありません。しかし、無理を続けて症状が悪化すれば、結果的に長期離脱や離職につながります。傷病手当金と休職は、こうした事態を防ぐために用意された正当な権利です。診断書をもとに必要な休養を取ることは、長く働き続けるための投資だと考えましょう。どうしても休職や復職の調整が難しい職場なら、療養後に働き方や職場そのものを見直す選択肢もあります。

休職から復職までの流れと働き方の見直し

傷病手当金で療養期間を支えながら、最終的に目指すのは仕事への復帰です。とくにメンタル不調からの復職は段階を踏むことが回復のカギになります。

復職までの一般的な流れ

  1. 主治医の復職可能の判断。症状が安定し、就労に耐えられる状態になったら、主治医に復職の可否を相談します。労務可能とする診断書や意見書をもらいます。
  2. 勤務先との面談・調整。施設長や人事と面談し、復職日や勤務形態を相談します。いきなりフルタイム・夜勤ありに戻すのではなく、日勤のみ・時短から段階的に戻す配慮を求められる場合があります。
  3. 段階的な復帰(リハビリ出勤など)。職場によっては、短時間勤務や軽作業から始める試し出勤の制度があります。心身の負担を確かめながら、無理のないペースで業務量を戻していきます。
  4. 本格復帰と再発予防。元の業務に戻った後も、定期的な通院や上司との面談を続け、再発の兆しを早めにキャッチします。

再発・再休職に備える

復職後に再び症状が悪化することは珍しくありません。前述のとおり、傷病手当金は通算1年6か月までなら、復職して支給が止まった期間を除いて再び使えます。一度復職してみてやはり難しいと感じたら、無理を重ねるより早めに主治医に相談し、必要なら再休職を検討しましょう。働く期間はカウントから外れるため、回復のペースに合わせて使える設計になっています。

復職か、それとも働き方の見直しか

療養を通じて「今の職場・働き方を続けるのが体調にとって難しい」と感じることもあります。腰への負担が大きい身体介護中心の現場から、訪問・通所やケアマネジャー、相談員など身体負担の少ない職種へ移る、夜勤のない働き方に変える、といった選択肢もあります。復職を第一に考えつつ、それが難しければ、自分の体調に合った働き方を選び直すことも、介護の仕事を長く続けるための前向きな判断です。療養が落ち着いた段階で、これからの働き方をあらためて整理してみるとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. パートやアルバイトの介護職でも傷病手当金はもらえますか?

勤務先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に被保険者として加入していれば、パートや契約社員、派遣社員でも対象になります。逆に、勤務時間が短く健康保険に加入していない場合や、国民健康保険の場合は傷病手当金の制度がありません。まず自分がどの健康保険に加入しているかを確認しましょう。

Q. 有給休暇と傷病手当金はどちらを先に使うべきですか?

有給で給与が出る日は、その分傷病手当金が減額または不支給になります。長期に休む見込みなら、待期3日や支給開始までのつなぎに有給を使い、その後は傷病手当金に切り替えるのが一般的です。傷病手当金は給与の約3分の2のため、当面の収入を満額に近づけたい最初の数日に有給を充てる人もいます。職場の制度や自分の状況に合わせて選びましょう。

Q. 傷病手当金をもらうと税金や社会保険料はどうなりますか?

傷病手当金は非課税で、所得税はかかりません。一方、健康保険・厚生年金の社会保険料は休職中も発生します。給与天引きができないため、勤務先と支払い方法を相談しておきましょう。住民税は前年の所得をもとに課税されるので、休職中でも納付が必要になることがあります。

Q. 退職したら傷病手当金は止まりますか?

一定の条件(被保険者期間が継続して1年以上、退職日に受給または受給できる状態など)を満たせば、退職後も残りの期間について継続して受けられます。ただし、いったん働ける状態に回復するとその後は支給されず、失業給付とは同時に受け取れません。退職を考えるときは、継続給付の条件を満たすか事前に協会けんぽへ確認しましょう。

Q. 申請してからどのくらいで振り込まれますか?

本人・勤務先・医師の記入がそろった申請書を提出し、不備がなければおおむね2週間程度で支給されます。長期休職では給与の締め日ごとに1か月単位で申請するのが基本です。最初の振り込みまで時間がかかるため、休み始めの生活費は貯蓄などで備えておくと安心です。

参考文献・出典

まとめ|休む権利と保障を知って長く働く

介護職は、腰痛などの身体的負担と、利用者対応や人間関係から来る精神的負担の両方を抱えやすい仕事です。令和6年度の調査でも、身体的負担が大きいと答えた人が24.6%、精神的にきついと答えた人が22.5%にのぼりました。働けないほど体調を崩したとき、収入が止まる不安から無理を重ねるのではなく、使える保障を知っておくことが大切です。

傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けず給与が受けられないとき、給与の約3分の2を、連続3日の待期のあと通算1年6か月まで支えてくれる制度です。介護職員の平均的な月給で試算すると1か月あたり約19万円が目安になります。会社の休職制度と組み合わせ、医師と勤務先の証明をそろえて申請すれば、療養に専念しながら一定の生活費を確保できます。

復職は段階を踏むことが回復のカギです。通算方式のおかげで、復職と再休職を行き来しながら回復のペースに合わせて使えるようになりました。療養を経て、元の職場への復帰が難しいと感じたら、身体負担の少ない職種や夜勤のない働き方へ切り替える道もあります。自分の体調に合った働き方を選び直すことも、介護の仕事を長く続けるための前向きな一歩です。まずは体調を崩したら早めに医師に相談し、休む権利と保障があることを思い出してください。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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