入退院支援加算とは

入退院支援加算とは

入退院支援加算は、病院がMSW・看護師による早期介入で在宅・介護施設への円滑な退院を支援した際に算定する診療報酬の加算です。1・2・3の区分・点数・施設基準と、介護事業所側の「入院時情報連携加算」「退院・退所加算」との関係を解説します。

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この記事のポイント

入退院支援加算とは、患者の入院早期から医療ソーシャルワーカー(MSW)や退院支援看護師が介入し、在宅復帰や介護施設への円滑な移行を支援した場合に算定できる診療報酬の加算です。介護報酬ではなく病院側の加算ですが、算定要件に「介護事業所との連携」が含まれており、介護施設・ケアマネ・訪問看護等とのチーム連携が前提となっています。

目次

入退院支援加算の位置づけと制度趣旨

入退院支援加算は、地域包括ケアシステムを推進するために、病院が患者を早期から計画的に退院支援することを評価する診療報酬上の加算です。2016年度(平成28年度)の診療報酬改定で従来の「退院支援加算」を改編し、入院時からの早期介入を重視する形に再設計されました。

背景には、急性期病床の機能分化と「2025年問題」を見据えた在宅医療シフトがあります。これまで「退院間際になってから介護施設を探す」「介護サービスの調整が間に合わずに在宅で困難に陥る」といったケースが多発していました。入退院支援加算は、こうした分断を防ぐため、入院後3日以内のスクリーニング・7日以内の患者面談・関係機関との連携を要件化しています。

算定主体はあくまで病院(一般病棟・療養病棟・地域包括ケア病棟など)であり、介護事業所が直接算定するものではありません。ただし、加算1の施設基準では「20か所以上の連携医療機関等」との顔の見える関係構築が求められるため、地域の介護事業所・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・特別養護老人ホーム・老健などとの平時からの連携が不可欠です。

介護現場で働く職員にとっても、自施設の利用者が入院した際の情報提供(介護事業所側は「入院時情報連携加算」を算定可能)や、退院時カンファレンスへの参加(「退院・退所加算」を算定可能)の場面で、病院側のこの加算と密接にかかわります。

入退院支援加算1・2・3の違い

入退院支援加算は、施設基準・対応体制の充実度に応じて1・2・3の3区分に分かれます。点数も基準も大きく異なるため、自院がどの区分を算定するかは経営上の重要判断となります。

区分主な要件対象連携医療機関等
加算1入退院支援部門を設置/病棟ごとに専従の入退院支援職員配置/3日以内のスクリーニング/7日以内の患者面談/カンファレンス実施退院困難な要因を持つ患者25か所以上と平時から連携・年3回以上の面会
加算2入退院支援部門を設置/専従または専任職員を配置/同じく早期スクリーニング・面談・カンファレンス退院困難な要因を持つ患者連携医療機関等の数の指定なし
加算3新生児集中治療室(NICU)等で長期入院した新生児に対し、退院後の在宅療育を支援NICU等の新生児新生児・小児在宅医療を担う医療機関と連携

加算1は最も手厚い体制を要し点数も最も高い区分です。とくに病棟ごとの専従配置と「25か所以上の連携機関」要件が大きなハードルで、地域中核病院・急性期病院での算定が中心となります。加算2は中小病院や地域包括ケア病棟を持つ病院の多くが算定する標準的な区分です。加算3はNICU・小児病棟を持つ周産期母子医療センター等に限定されます。

※ 連携医療機関等の数は令和6年度改定で加算1が「20か所以上」から「25か所以上」へ引き上げられています。最新の施設基準は厚生労働省の通知を必ず確認してください。

入退院支援加算の点数(令和6年度改定)

令和6年度(2024年度)診療報酬改定における入退院支援加算の基本点数は次のとおりです。退院時1回に限り算定します。

区分一般病棟入院基本料等療養病棟入院基本料等
入退院支援加算1700点1,300点
入退院支援加算2190点635点
入退院支援加算31,200点(新生児)

また本加算には複数の上乗せ加算があります。代表的なものは次のとおりです。

  • 地域連携診療計画加算:300点(連携パスを用いた円滑な情報共有を評価)
  • 小児加算:200点(15歳未満の患者)
  • 入院時支援加算1:240点(入院前から外来でアセスメント・情報共有を行った場合)
  • 入院時支援加算2:200点
  • 総合機能評価加算:50点(高齢者の総合的機能評価を実施)

これらを組み合わせると、加算1(一般病棟)で入院時支援加算1・小児加算等を上乗せした場合、退院時に1,000点超を算定できるケースもあります。1点=10円換算なので、1患者あたり数千〜1万円規模の収益となり、病院経営上のインパクトは大きい加算です。

介護事業所が押さえておきたい連携実務

入退院支援加算は病院側の加算ですが、介護事業所側にも連携によって算定できる加算があります。両者の動きを噛み合わせることで、地域での「顔の見える関係」と収益の双方を高められます。

1. 入院時情報連携加算(居宅介護支援)

ケアマネジャーが担当利用者の入院を知ってから3日以内に病院へ情報提供すると250単位、7日以内なら200単位を算定できます。病院の入退院支援部門が早期スクリーニングを進める前提となる重要な情報源です。情報提供書の様式は地域で共通化されている場合が多く、入院時の生活背景・ADL・服薬・キーパーソンを簡潔にまとめます。

2. 退院・退所加算(居宅介護支援)

退院時カンファレンスへの参加・情報収集の回数に応じ450〜900単位を算定できます。カンファレンス参加(医師参加なしで450単位、医師参加で600単位)を組み合わせるほど加算が高くなる構造です。病院の入退院支援加算1の算定要件と相互に補完する関係にあります。

3. 訪問看護・訪問介護事業所からの参加

訪問系サービスは退院前カンファレンスに参加することで、退院当日からのスムーズなサービス開始が可能になります。訪問看護では退院時共同指導加算(8,000円相当)等、訪問系にも病院連携を評価する加算が用意されています。

4. 「連携医療機関等」リストへの登録

病院が加算1を算定するには「25か所以上の連携医療機関等」要件があり、ここに登録される介護事業所は安定的に紹介を受けられる立場になります。地域連携室・退院支援部門へ平時から訪問し、自施設の受け入れ条件・空床情況を共有しておくと、紹介経路の優先度が上がります。

入退院支援加算に関するよくある質問

Q. 入退院支援加算は介護報酬の加算ですか?

いいえ、診療報酬の加算です。算定するのは病院側で、患者の医療費(点数)として計上されます。介護事業所側で対応するのは「入院時情報連携加算」「退院・退所加算」(いずれも介護報酬)です。

Q. 一般病棟と療養病棟で点数が違うのはなぜ?

療養病棟は長期入院患者が多く、退院支援に要する時間と関係者調整の負担が大きいことから、加算1で1,300点、加算2で635点と一般病棟より高く設定されています。

Q. 「退院困難な要因」とは具体的にどんなケースですか?

悪性腫瘍・認知症・誤嚥性肺炎の繰り返し・緊急入院・要介護状態の悪化・独居や老老介護・虐待が疑われるケース・生活困窮など、退院後の生活継続に支援が必要なケースが該当します。施設基準で詳細に列挙されています。

Q. 加算1の「25か所以上の連携医療機関等」には介護事業所も入りますか?

はい、介護保険施設・居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・地域包括支援センターなどが含まれます。年3回以上の面会と情報共有が求められます。

Q. ケアマネが退院前カンファレンスに参加できなかった場合は?

退院・退所加算は「情報収集」回数でも算定可能ですが、カンファレンス未参加だと点数は最も低くなります。スケジュール調整が困難な場合はオンライン会議の活用も認められています。

まとめ

入退院支援加算は、病院が早期から在宅復帰・施設移行を計画的に支援することを評価する診療報酬の加算で、1(700点/療養病棟1,300点)・2(190点/同635点)・3(NICU新生児1,200点)の3区分で構成されます。算定要件には介護事業所との連携が組み込まれており、ケアマネ側の「入院時情報連携加算」「退院・退所加算」と表裏一体の関係です。

介護現場の職員にとっては、入院時の情報提供・退院前カンファレンスへの参加・「連携医療機関等」リストへの登録が、加算算定だけでなく利用者の安心した在宅復帰につながる重要な接点になります。地域包括ケアの推進に向け、平時から病院の地域連携室・退院支援部門と顔の見える関係を築くことが、両者の質と収益を高める近道です。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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