介護職が押さえる医学知識|カルテ用語・バイタルの異常値・薬の名前を読める力をつける
介護職向け

介護職が押さえる医学知識|カルテ用語・バイタルの異常値・薬の名前を読める力をつける

介護職が医療チームと連携するために必要な基礎医学知識を体系化。SOAPやA/Pなどカルテ用語、バイタルの正常値と異常値、降圧剤・抗血栓薬・睡眠薬など代表的な薬剤クラス、白血球・CRP・HbA1cといった検査値の意味、SBARを応用した医師看護師への報告の型まで現場目線でまとめました。

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この記事のポイント

介護職に必要な医学知識は「医療職と意思疎通するための共通言語」です。カルテのSOAP・A/Pといった用語、バイタルの正常範囲と異常時の閾値、降圧剤や抗血栓薬といった薬剤クラスの作用、白血球・CRP・HbA1cなどの検査値の意味、そしてSBARを応用した報告の型を押さえれば、医師や看護師から「報告が早くて正確な介護職」として信頼され、利用者の安全に直結します。

目次

朝の申し送りで看護師が「Aさん、昨日 CRP 上がっててA/Pに抗生剤追加って書いてあるから注意して」と言ったとき、すべての言葉の意味がスッと入ってくるでしょうか。介護現場では医師の指示書、看護師の記録、退院時の診療情報提供書、薬剤情報提供書など、医療用語に触れる場面が日常的にあります。意味がわからないまま流してしまうと、利用者の異変に気づくのが遅れたり、報告が曖昧で医療職を動かせなかったりします。

この記事では、介護職が「医療判断をする」ためではなく「医療職と同じ土俵で会話する」ために必要な医学知識を5つの軸で整理します。診療判断は医師・看護師の役割であり、介護職の役割は事実を正確に観察して言語化することです。その入口となる共通言語を、現場で頻出するものに絞ってまとめました。

医学知識を「読める」とはどういうことか

介護職にとって医学知識を「読める」とは、医師や看護師の言葉・記録・指示の意図を取り違えず、自分の観察した事実を医療用語に翻訳して返せる状態を指します。診断や処方は医療職の業務であり、介護職が勝手に解釈して動くことは禁忌ですが、伝達ロスが利用者の不利益につながるのも事実です。

介護職に医学知識が必要な3つの場面

  • 申し送り・記録の理解:看護師の経過記録、医師の指示、診療情報提供書を読むときに、用語の意味がわからないと「重要な変化」を見落としやすい
  • 状態変化時の判断:いつもと違う発熱、血圧の変動、薬の追加に気づくには、「いつもの数値」と「異常な数値」の幅を知っている必要がある
  • 医療職への報告:曖昧な「なんとなく元気がない」ではなく、バイタル数値や観察事実を医療職が動ける形で伝えられるかどうかで、対応スピードが変わる

踏み込まない領域を線引きする

逆に介護職が踏み込まない領域も明確にしておく必要があります。診断、薬の中止・追加・量変更、医療処置(採血・点滴・注射・吸引の判断)はすべて医療職の判断です。介護職の仕事は、変化を早く正確に伝え、医療職が判断する材料を揃えること。この役割分担を理解した上で、医学知識は「観察と報告の解像度を上げる道具」として身につけます。

カルテと診療情報提供書の用語を読む

看護記録や医師の指示書、退院時に病院から届く診療情報提供書には、医療職共通のフォーマットがあります。代表的な略語と構造を覚えておくと、記録を斜め読みできるようになります。

SOAPで書かれる経過記録

看護師やリハ職、医師の経過記録の多くは「SOAP(ソープ)」形式で書かれます。

  • S(Subjective):利用者本人の訴え。「胸が痛い」「眠れない」など本人の言葉
  • O(Objective):客観的事実。バイタル数値、検査値、見た目の所見など測定・観察できるもの
  • A(Assessment):評価・判断。SとOから何が起きていると考えられるか
  • P(Plan):今後の方針。観察継続、医師に相談、追加検査など

介護記録もこの4要素を意識すると、医療職に伝わる文章になります。介護記録の書き方そのものは「介護記録・申し送りの書き方」で扱っているため、ここでは医療側のフォーマットとして覚えておく程度で十分です。

A/P(アセスメント/プラン)と既往歴

カルテの右上や指示欄に「A/P」と書かれていれば、Assessment(評価)とPlan(計画)の略です。例えば「A/P:誤嚥性肺炎疑い、抗生剤開始、絶食」と書かれていれば、医師がいま何を考え、何を指示したかが一行で読み取れます。

診療情報提供書に頻出する「既往歴(きおうれき)」は、これまでにかかった病気の履歴です。「現病歴」は今治療中の病気の経過、「家族歴」は血縁者の病歴。介護施設に入所する際の診療情報提供書では、既往歴に高血圧・糖尿病・脳梗塞後遺症・心房細動などが並ぶことが多く、これらが現在の服薬内容や注意すべき症状に直結します。

その他の頻出略語

  • Dr:医師、Ns:看護師、PT/OT/ST:理学療法士/作業療法士/言語聴覚士
  • ADL:日常生活動作、IADL:手段的日常生活動作
  • BT:体温、BP:血圧、HR:心拍数、RR:呼吸数、SpO2:経皮的動脈血酸素飽和度
  • NPO:絶食、DM:糖尿病、HT:高血圧、AF:心房細動、CHF:うっ血性心不全
  • Af変動:心房細動に伴う脈拍の不整、SAS:睡眠時無呼吸症候群

すべてを暗記する必要はなく、申し送りや記録で見かけたものから順番に覚えていけば、半年ほどで主要な略語は自然に理解できるようになります。

バイタルサインの正常値と「報告すべき」異常値の目安

バイタルは「測ることが目的」ではなく、「異常を早く発見して医療職に渡すこと」が目的です。介護現場で押さえておきたい5項目の一般的な正常範囲と、報告閾値の目安を整理します。あくまで一般的な目安であり、施設ごとの基準と利用者個別の「いつもの値」を必ず優先してください。

5つのバイタルと一般的な正常値

項目一般的な正常範囲(成人)高齢者で押さえたい注意点
体温(BT)36.0〜37.0℃平熱が35℃台の人も多い。「いつもより1℃以上高い」が大事
血圧(BP)収縮期130mmHg未満/拡張期80mmHg未満起立性低血圧、入浴前後、内服直後の変動に注意
脈拍(HR)60〜90回/分不整脈の有無、心房細動既往の利用者の脈の触れ方
呼吸(RR)12〜20回/分呼吸補助筋の使用、肩呼吸、努力呼吸の有無
SpO296〜99%COPD既往者は普段から低めのことがある

「すぐ報告」の目安となる数値

以下は多くの施設マニュアルや看護書籍で報告閾値として挙げられるラインです。施設のマニュアルに具体的な基準があれば、必ずそちらを優先してください。

  • 体温:38.0℃以上、または普段より1℃以上高い/低い
  • 収縮期血圧:180mmHg以上 もしくは 90mmHg未満
  • 脈拍:120回/分以上、または50回/分未満、不整が新しく出現
  • 呼吸数:24回/分以上、または10回/分未満、努力呼吸あり
  • SpO2:93%未満(COPD既往なら普段より2〜3%以上低下)
  • 意識レベル:呼びかけへの反応が普段と違う、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)で「I-1」以上の変化

「いつもの値」を知っておく重要性

高齢者のバイタルは個人差が極めて大きく、一律の正常範囲では判断できません。平熱35.5℃の人にとって37.0℃は十分な発熱ですし、普段から血圧160/90mmHgで安定している人の140/80mmHgは「下がりすぎ」かもしれません。重要なのは、利用者ごとの「平常時のベースライン値」を介護記録や看護記録から把握しておき、そこからのズレを報告することです。

頻出する薬剤クラスと介護現場での注意点

利用者の薬袋や薬剤情報提供書を見て、「何のための薬か」「どんな副作用に注意すべきか」が大まかにわかると、与薬時の観察や状態変化への気づきが変わります。介護職は処方の判断や中止には関与しませんが、薬剤クラスごとの作用を理解しておくことで、医療職に「気になる兆候」を渡しやすくなります。

降圧薬(高血圧の薬)

血圧を下げる薬の総称で、Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・利尿薬・β遮断薬などの分類があります。共通して注意すべきは「下がりすぎ」と「立ちくらみによる転倒」です。内服後30〜60分以内の入浴・移乗、起床直後の歩行、夕食前のふらつきは要観察。新しく降圧薬が追加された後の数日は、血圧と起立時の様子をいつもより丁寧に記録します。

抗血栓薬(血をサラサラにする薬)

脳梗塞や心房細動の利用者で頻出するクラスで、抗血小板薬と抗凝固薬の総称です。一番の注意点は「出血しやすくなる」こと。歯磨きでの歯肉出血、皮下出血(青あざ)、便の色(黒色便は消化管出血のサイン)、転倒時の頭部打撲は通常より重く扱う必要があります。打撲後に頭痛や嘔気が出てきた場合は数時間〜数日経ってからの慢性硬膜下血腫のリスクもあり、医療職への速やかな報告対象です。

睡眠薬・抗不安薬

ベンゾジアゼピン系を中心としたグループは、ふらつき・転倒・日中の傾眠・せん妄誘発のリスクがあります。夜間トイレ移動時の転倒は睡眠薬関連が大半。新しく睡眠薬が始まった、量が増えた、種類が変わった直後は、夜間の覚醒状況・起床時のふらつき・日中の覚醒度を意識的に記録します。

糖尿病治療薬・インスリン

共通して低血糖のリスクがあります。冷汗、手のふるえ、強い空腹感、ぼんやりする、急に元気がなくなる、といったサインは低血糖を疑います。食事量が普段より少なかった日、嘔吐や下痢で食事が摂れなかった日は特に注意。すぐに看護師へ報告し、施設のマニュアルに従ったブドウ糖・補食対応に繋ぎます。

利尿薬

体内の余分な水分を尿として出す薬で、心不全や高血圧の利用者に多く処方されます。脱水・電解質異常・頻尿による睡眠分断・夜間トイレ移動時の転倒が観察ポイント。夏場や発熱時、下痢の日は普段より脱水リスクが上がります。

抗認知症薬・抗精神病薬

抗認知症薬は食欲低下や徐脈、抗精神病薬は転倒・嚥下機能低下・誤嚥性肺炎リスクの増加が知られています。薬剤調整があった前後は、食事量・歩行・口腔内のむせを丁寧に観察して記録に残します。

個別の商品名を覚える必要はなく、「この人の薬は降圧薬と抗血栓薬と睡眠薬」というクラスレベルでの理解で十分です。薬の判断は薬剤師・医師・看護師の役割であり、介護職は「クラスごとの主な副作用を観察する」のが守備範囲です。

検査値の意味を「読める」ようにする

看護師の記録や診療情報提供書には、血液検査の数値が並ぶことがあります。介護職が値を細かく解釈する必要はありませんが、「何を見ている検査か」「上がる/下がるとどんな状態か」を知っておくと、申し送りや退院後のケアプラン理解が格段にスムーズになります。

感染・炎症の指標

項目何を見るか介護現場での意味
WBC(白血球数)感染や炎症で増えやすい高値が続くなら感染進行中の可能性。発熱や局所所見と合わせて観察
CRP炎症の強さの目安0.3mg/dL以下が一般的目安。数値が高い・上昇傾向なら肺炎・尿路感染・蜂窩織炎などを医師が疑う段階
体温・呼吸状態検査値と並行して経過を観察

糖尿病・栄養の指標

項目何を見るか介護現場での意味
HbA1c過去1〜2か月の血糖コントロール糖尿病既往者の管理状況。低くなりすぎれば低血糖リスクが上がる
血糖値(BS/GLU)採血時点の血糖食事との関係、低血糖症状の有無と合わせて見る
Alb(アルブミン)栄養状態3.5g/dL以下が続くと低栄養・褥瘡リスク・むくみの背景となる

腎機能・電解質

項目何を見るか介護現場での意味
BUN/Cr腎機能悪化していれば脱水や腎機能低下の可能性。水分摂取と排尿量の観察が重要
Na/K(電解質)ナトリウム・カリウム利尿薬や下痢・嘔吐後に乱れやすい。倦怠感・脱力・不整脈と関連
Hb(ヘモグロビン)貧血の有無低値ならふらつき・転倒・易疲労の背景。抗血栓薬服用中の利用者は要注意

検査値を見るときの3つのコツ

  • 絶対値より変化:先週との比較・3か月前との比較で「上がっているか下がっているか」のトレンドを見る
  • 単独で解釈しない:CRPが高くても、体温・症状・他の値と総合判断するのが医療職。介護職は数値と利用者の様子のセットで申し送る
  • 正常範囲はあくまで目安:高齢者・基礎疾患のある人では「その人にとっての正常」を医師と共有する

SBARを応用した医療職への報告テンプレート

医療職への報告で「結局何が言いたいの?」「もう一回最初から」と聞き返された経験はありませんか。医療現場で広く使われる報告フォーマットSBAR(エスバー)を介護職向けに翻訳すると、医師・看護師に動いてもらえる伝え方が型として身につきます。

SBARの4ステップ

  • S(Situation・状況):誰の何が起きているか、を一文で。「3階のAさん、夕方からSpO2が下がってきています」
  • B(Background・背景):いつもの状態と、関係しそうな既往・薬。「いつもSpO2 96〜97%です。心不全と心房細動の既往があり、利尿薬と抗凝固薬を内服中です」
  • A(Assessment・評価):介護職としての観察と懸念。「現在SpO2 91%、呼吸数28回、努力呼吸あり、下肢のむくみが昨日より強くなっています。心不全の悪化が心配です」
  • R(Request・依頼):医療職にしてほしいことを具体的に。「往診依頼が必要か、酸素投与の指示があるか、判断をお願いします」

介護職版SBAR報告の3つのコツ

1. 「いつもとの差」を必ず数値か具体事象で示す

「なんとなく元気がない」は医療職を動かせません。「いつもは食事を全量摂取するのに、今朝は2割しか食べていない」「いつもの脈拍は70台ですが、現在110台です」のように、ベースラインとの差を具体化します。

2. 評価は「○○が心配」「○○の可能性が頭に浮かんでいる」で表現

介護職が診断名を断定するのはNGですが、「誤嚥性肺炎が心配」「低血糖が心配で食事量を確認してほしい」と懸念を伝えるのは適切な業務範囲です。これにより医療職が判断する観察軸が共有されます。

3. 依頼内容を具体化する

「ちょっと見に来てもらえますか」より「次の巡回前に一度確認をお願いできますか」「往診相談が必要か判断をお願いします」のように、相手の行動が思い浮かぶレベルで依頼します。緊急度に応じて「今すぐ」「30分以内」「次の訪問時」と時間軸も添えます。

口頭報告と記録のセット

口頭でSBARを伝えたら、その内容を介護記録にも残します。「○時△分、看護師Bへ電話報告。SpO2 91%、努力呼吸あり、心不全増悪を懸念、往診相談の判断を依頼」のように記録すると、夜勤帯への引き継ぎや事後の振り返り、医療事故の検証にも耐える情報になります。

医療職に伝わらない報告・伝わる報告の違い

同じ事象でも、報告の仕方ひとつで医療職の動き方は大きく変わります。介護現場でよく見かける「伝わらないパターン」と「伝わるパターン」を、ケースごとに対比して整理しておきます。明日からの言い換えのヒントとして使ってください。

ケース1:発熱を見つけたとき

伝わらない例「Aさん、熱があります」だけで電話を切る。→ 看護師は何度なのか、いつから上がったのか、本人の様子はどうかが分からず、追加質問の往復で時間を失います。

伝わる例「Aさん、14時の検温で38.2℃、午前中は36.8℃でした。普段の平熱は36.5℃前後です。咳と痰の増加が朝から見られ、食事は5割程度。呼吸数22回、SpO2 94%です。誤嚥性肺炎が心配で、診察の判断をお願いします」。S・B・A・Rが順番に揃っているため、看護師は次の動きをすぐ決められます。

ケース2:転倒を発見したとき

伝わらない例「Bさんが転んでました」→ 打撲部位・意識・現在のバイタル・抗血栓薬服用の有無といった、医療判断に必要な情報が抜けています。

伝わる例「Bさん、トイレ前で発見、本人は『立ち上がろうとして膝が崩れた』と話しています。右側頭部に軽度発赤、意識清明、見当識保たれています。バイタルは血圧138/82、脈拍78、SpO2 97%。抗凝固薬を内服中のため頭部打撲の経過観察が必要と判断し、看護師の確認をお願いします」。抗血栓薬服用中の頭部打撲は介護職が見逃してはいけないポイントとして必ず添えます。

ケース3:食事量の減少が続くとき

伝わらない例「Cさん、最近食欲ないみたいです」→ 「最近」がいつからか、どの程度減ったかが不明確で、医療職は優先度を判断できません。

伝わる例「Cさん、3日前から食事摂取量が普段の8割から4割に低下しています。便は3日出ていません、嘔気は本人否定、体温・血圧は普段通り。脱水と便秘の悪化が心配で、水分摂取量の指示と便秘薬の見直しが必要か相談したいです」。期間・程度・関連症状・依頼内容の4点セットで伝えます。

3ケース共通の型

  • 主観(本人の訴え)と客観(数値・観察事実)を分ける
  • 「普段の状態」をベースラインとして必ず添える
  • 既往歴・内服薬で関連しそうなものを一行入れる
  • 「○○が心配なので△△の判断をお願いします」と懸念と依頼をセットで結ぶ

よくある質問

Q. 介護職が医学知識を勉強する一番効率の良い方法は?

業務外に分厚い医学書を読むより、「自分が担当している利用者のカルテと薬」を理解する方向から始めるのが近道です。担当利用者の既往歴・現在の処方・最近の検査値を看護師に聞き、わからない用語をその場で確認していく方法が最も実務に直結します。施設内の事例検討会や看護師主催の勉強会があれば積極的に参加し、わからなかった単語を1日3つメモする習慣を持つだけでも、半年で語彙が大きく広がります。

Q. 看護師が忙しそうで報告のタイミングがつかめません

緊急度を見極めて伝え方を変えるのが基本です。バイタルが大きく崩れている/意識レベルの変化/転倒や打撲などはタイミングを問わず即時報告。一方、食事量がやや少ない・便秘が3日続いているといった「観察継続レベル」の情報は、申し送り時間や巡回タイミングに合わせて伝えます。判断に迷ったら「相談したいことが1つあるのですが、30秒だけよろしいですか」と切り出すと、相手も時間を切り取りやすくなります。

Q. 薬の名前を全部覚える必要はありますか?

商品名を全部覚える必要はありません。利用者ごとの「クラスレベルでの理解」(降圧薬・抗血栓薬・睡眠薬・糖尿病薬・利尿薬といったグループ)と、それぞれの主な副作用を押さえれば、観察すべきポイントが見えます。詳細な薬効・相互作用は薬剤師・看護師の専門領域なので、疑問があれば質問する側に回りましょう。

Q. カルテを「読める」レベルになるにはどれくらいかかりますか?

個人差はありますが、SOAP・A/P・主要略語・バイタルの正常範囲・薬剤クラス・代表的な検査値という今回扱った範囲は、意識して半年ほど現場で触れていれば自然に身につきます。重要なのは「わからない用語を放置しないこと」と「医療職に質問することを恥ずかしがらないこと」です。

Q. 医療判断に踏み込まないとは具体的にどこまでですか?

診断(病名を決めること)、処方の判断(薬を増やす・減らす・止める)、医療処置の判断(点滴・採血・吸引などの実施可否)は介護職の業務範囲外です。介護職が行うのは、観察・記録・報告・指示された範囲内のケア。判断は医療職、観察と伝達は介護職、という線引きが利用者の安全を守ります。

参考文献・出典

まとめ:医療職と同じ言葉で会話する力をつける

介護職にとっての医学知識は「医療判断をするため」ではなく「医療職と同じ言葉で会話するため」にあります。SOAP・A/P・既往歴といったカルテ用語、バイタルの正常範囲と異常時の閾値、降圧薬・抗血栓薬・睡眠薬といった薬剤クラスの作用、白血球やCRP・HbA1cといった検査値の意味、そしてSBARを応用した報告の型——この5つを押さえれば、看護師から「あの人の報告は的確だから動きやすい」と評価される介護職に近づけます。

明日からの一歩としておすすめなのは、担当利用者の薬袋と最新の検査結果を改めて見て、「何の薬で」「何の値が今どのトレンドにあるか」を1人分だけでも整理してみることです。わからない用語が出てきたら、その場で看護師に質問する習慣を持つ。この積み重ねが、医療連携の解像度を最も早く上げてくれます。多職種連携の全体像や、カンファレンスでの発言の組み立て方、申し送りの書き方は別記事でも扱っていますので、合わせて活用してみてください。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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