流動食とは

流動食とは

流動食は固形物を除いた液状の食事です。重湯やスープ、濃厚流動食などの種類、術後や嚥下機能低下時の適応、嚥下調整食やミキサー食との違い、低栄養への注意までやさしく解説します。

ポイント

流動食とは(直接回答)

流動食とは、固形物を取り除いた液状の食事のことです。重湯(おもゆ)や具のない野菜スープ、果汁、牛乳などが代表で、噛まずに飲み込め、消化がよく刺激が少ないのが特徴です。手術後や絶食からの回復期、急性期、咀嚼や嚥下の機能が一時的に落ちたときに用います。少量で高エネルギー・高たんぱくを補える「濃厚流動食」もあります。

目次

流動食の概要と位置づけ

流動食とはどんな食事か

流動食は、固形物を除いて流動タイプにした食事の総称です。公益財団法人長寿科学振興財団の「健康長寿ネット」では、流動食を「固形物を除去した流動タイプの食事」と定義し、具のない野菜スープ、重湯、ジュース、牛乳、くず湯などを利用すると説明しています。共通する条件は、咀嚼(そしゃく、噛むこと)をしなくても食べられること、消化がよいこと、刺激が少なく味が淡泊であること、口当たりがよいことです。

流動食が選ばれる主な目的は二つあります。ひとつは、噛む力や飲み込む力が一時的に落ちている人でも、水分とわずかな栄養を口から取れるようにすること。もうひとつは、消化管への負担を抑えながら、固形の食事へ段階的に戻していく「橋渡し」の役割です。水分が多いため、食事をしながら水分補給もできる利点があります。

一方で、流動食は水分の割合が高いぶん、同じ量を食べても得られるエネルギーやたんぱく質が少なくなりがちです。流動食だけを長く続けると低栄養になりやすいため、回復に合わせてできるだけ早く次の食形態へ移すか、後述する濃厚流動食や栄養補助食品で補う配慮が欠かせません。

流動食の主な種類

流動食は、目的と栄養設計の違いから大きく次の3種類に分けられます。

  • 普通流動食:病院などで、術後や絶食後に普通食へ戻すまでの一定期間や、固形物を噛めないときに用いる手作りの流動食。主食はお粥の上澄み液である重湯(おもゆ)のほか、具なしの野菜スープ、果汁、牛乳、ポタージュなど。たんぱく質を補うときは茶碗蒸しやヨーグルトも使います。
  • 濃厚流動食:1mL当たり1kcal以上のエネルギーを取れるように設計された流動食。少量で高エネルギーに加え、たんぱく質・ビタミン・ミネラルのバランスが整っています。市販品は1本(200mL)で200〜400kcalを補えるものが多く、食が細い人や栄養が不足しがちな人に使われます。
  • 特殊流動食:病態に合わせて成分を調整した流動食。腎臓病の低たんぱく質食、膵炎の低脂肪食、循環器疾患のナトリウム制限食などが該当し、医師・管理栄養士の指示のもとで用います。

流動食が使われる場面(適応)

流動食は、固形の食事を一時的に控える必要がある人や、噛む・飲み込む動作に負担がある人に用います。代表的な場面は次のとおりです。

  • 手術後・絶食後の回復期:消化管の安静を保ちつつ、普通食へ戻す前の段階で少しずつ口から取り始めるとき。
  • 急性期・発熱時など全身状態が不安定なとき:固形物の摂取が難しく、水分とエネルギーの確保を優先したいとき。
  • 咀嚼や嚥下の機能が一時的に低下しているとき:歯科治療後や口腔内のトラブルなどで噛めない場合。
  • 食欲低下や食が細い高齢者の栄養補給:濃厚流動食を間食代わりに足して、少量で必要なエネルギーを補うとき。

なお、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類2021」では、口腔や食道の器質的な通過障害(口腔外傷、頭頸部の術後、食道狭窄など)が主で誤嚥のリスクが少ない場合には、むしろ液状に近いものや液体が最も適切なことが多いと整理されています。つまり「噛めない・飲み込みにくい原因が何か」によって、流動食が適するか嚥下調整食が適するかが変わります。

流動食と嚥下調整食・ミキサー食の違い

どれも「やわらかい・飲み込みやすい食事」というイメージが重なりますが、設計の出発点が異なります。流動食は「固形物を除いた液状」という形態で決まるのに対し、嚥下調整食は「どの程度の嚥下機能の人が安全に飲み込めるか」という機能のレベルで段階づけられます。

  • 流動食:固形物を除いた液状の食事。消化のよさや消化管の安静、術後の橋渡しが主な目的。誤嚥のしやすさを段階で管理する仕組みは持たない。
  • 嚥下調整食:噛む・飲み込む力の低下に合わせて、かたさ・粘度・まとまりやすさを調整した食事。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の学会分類2021では、コード0〜4の段階で表します。
  • ミキサー食:食材をミキサーにかけてなめらかにした食事。学会分類2021ではコード2前後に位置づけられることが多く、嚥下調整食の一形態です。

注意したいのは、サラサラの液体はかえって喉を速く流れ、嚥下機能が落ちた人では誤嚥の危険が高まる点です。学会分類2021では、とろみがついていてもゆるく「drink(飲む)」できるような流動性の高いものは、コード2ではなくコード4に該当するとされています。飲み込みに不安がある人には、流動食より、とろみや形態を機能に合わせた嚥下調整食のほうが安全な場合が多くあります。流動食は「消化や消化管の安静が目的」、嚥下調整食は「飲み込みの安全が目的」と整理すると違いがわかりやすくなります。

流動食を使うときの注意点(低栄養と濃厚流動食・経腸栄養)

低栄養に注意し、濃厚流動食や経腸栄養も知っておく

流動食は水分が多いぶん、見た目の量のわりに取れるエネルギーやたんぱく質が少なくなりがちです。普通流動食だけを長く続けると、体重減少や筋力低下といった低栄養のリスクが高まります。そこで現場では、次のような工夫で栄養の不足を補います。

  • 濃厚流動食を活用する:1mL当たり1kcal以上で設計された製品を間食や主食の一部に足し、少量で必要なエネルギー・たんぱく質を確保します。
  • 流動食でとれる栄養素を意識する:牛乳や乳製品でたんぱく質を、果汁でビタミンを補うなど、淡泊になりがちな内容に栄養の視点を加えます。
  • できるだけ早く次の食形態へ移す:回復に合わせて、嚥下調整食や軟らかい普通食へ段階的に切り替え、口から食べる力を保ちます。

口から十分に取れない状態が続く場合は、鼻や胃に通したチューブから栄養剤を入れる経腸栄養(経管栄養)が検討されることもあります。このとき使う流動状の栄養剤を経腸栄養剤と呼び、濃厚流動食と近い設計のものが用いられます。どの方法を選ぶかは、栄養状態や全身状態をふまえて医師・管理栄養士・看護師など多職種で判断します。介護職は、むせの有無や食べた量、体重の変化などを観察し、気づきを医療職へ伝える役割を担います。

流動食のよくある質問

流動食に関するよくある質問

流動食と嚥下調整食は同じものですか?

いいえ。流動食は「固形物を除いた液状の食事」という形態で決まり、消化のよさや消化管の安静を目的とします。嚥下調整食は「噛む・飲み込む力のレベル」に合わせてかたさや粘度を調整した食事で、誤嚥を防ぐ安全性が目的です。飲み込みに不安がある人には、流動食より嚥下調整食が適することが多くあります。

流動食だけで栄養は足りますか?

普通流動食は水分が多く、長く続けると低栄養になりやすい食事です。栄養を確保するには、1mL当たり1kcal以上の濃厚流動食や栄養補助食品を足したり、回復に合わせて早めに次の食形態へ移したりする工夫が必要です。

濃厚流動食とはどんなものですか?

少量で高エネルギー・高たんぱくを取れるように設計された流動食です。市販品は1本(200mL)で200〜400kcalを補えるものが多く、食が細い人や栄養が不足しがちな人に使われます。

流動食はどんなときに使いますか?

手術後や絶食からの回復期、急性期で全身状態が不安定なとき、咀嚼や嚥下の機能が一時的に落ちたときなどです。口から少しずつ取り始め、普通食へ戻すための橋渡しとして用いられます。

とろみをつければ流動食でも安全に飲み込めますか?

とろみは助けになりますが、ゆるすぎると喉を速く流れて誤嚥の危険が残ります。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の学会分類2021でも、とろみがゆるく飲めてしまうものは別の段階として扱われます。飲み込みに不安がある場合は、自己判断せず医師や言語聴覚士、管理栄養士に相談してください。

流動食の参考資料・出典

流動食のまとめ

まとめ

流動食は、固形物を除いた液状の食事で、術後や急性期、咀嚼・嚥下が一時的に難しいときに、消化への負担を抑えながら口から栄養と水分を取るために使われます。普通流動食・濃厚流動食・特殊流動食の3種類があり、水分が多く低栄養になりやすいため、濃厚流動食や栄養補助食品で補い、回復に合わせて早めに次の食形態へ移すことが大切です。飲み込みの安全が課題なら、形態で決まる流動食ではなく、機能に合わせた嚥下調整食を検討します。判断に迷うときは、医師・管理栄養士・言語聴覚士など多職種に相談しましょう。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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