
体圧分散マットレスとは
体圧分散マットレスはエアセル・ウレタン・ハイブリッド等で骨突出部の圧を分散し褥瘡を予防する福祉用具。介護保険でレンタル可能で要介護度・褥瘡リスクで機種を選ぶ。
この記事のポイント
体圧分散マットレスは、エアセル・ウレタンフォーム・ジェル素材などにより骨突出部の圧力を広い面に分散し、褥瘡(床ずれ)の発生を予防する福祉用具です。介護保険の福祉用具貸与(特殊寝台付属品)として要介護2以上で原則レンタル可能で、要介護1や要支援でも医師の意見書があれば例外的に対象になります。利用者の体型・褥瘡リスクに応じて圧切替型エアマットレス・上敷ウレタンなどから選択します。
目次
体圧分散マットレスの基礎知識
褥瘡(床ずれ)は、寝たきりや車椅子生活で同じ部位に長時間圧力がかかることで皮膚と皮下組織が壊死する状態です。骨突出部位(仙骨・大転子・踵)に発生しやすく、進行すると深部組織や骨にまで及び治療が長期化します。
体圧分散マットレスは「同じ場所に持続的に高い圧がかかる」状況を、面で圧を受け止めて分散することで予防する用具です。ヨーロッパで開発された褥瘡予防ガイドラインでは、褥瘡リスクのある利用者へ早期から体圧分散用具を導入することが強く推奨されています。
日本では介護保険制度の福祉用具貸与に「床ずれ防止用具」として位置づけられ、保険適用で月数百円〜数千円の自己負担でレンタル可能です。介護報酬の特殊寝台付属品と同じ枠に含まれます。
主な種類4つと特徴
1. 圧切替型エアマットレス(高機能)
複数のエアセルが自動で交互に膨張・収縮を繰り返し、圧迫部位を一定時間ごとに変える。深い褥瘡や寝たきり度の高い利用者向け。電源必須。
2. 静止型エアマットレス(中機能)
エアセルが連続して空気で満たされ、面で体圧を分散。電動部がなく動作音が静か。中等度の褥瘡リスク利用者向け。
3. ウレタンフォームマットレス(軽量・電源不要)
多層構造のウレタンで体圧を分散。電源不要で扱いやすく、軽度〜中等度のリスク利用者や訪問入浴前後の一時利用に向く。
4. ハイブリッド型
エアセル+ウレタンの複合構造。エア機能で再配置、ウレタンで安定性を確保。最近の主流機種。
選び方とレンタル手続き
体圧分散マットレスは利用者の褥瘡リスクと身体状況に合わせて機種を選定します。
1. リスク評価(ブレーデンスケール等)
看護師・ケアマネジャーがブレーデンスケールやK式スケールで褥瘡リスクを評価。高リスク(ブレーデン14点以下)は圧切替型、中リスクは静止型エア・ハイブリッド、低リスクはウレタンが目安です。
2. 体重・体型の確認
機種ごとに体重の適応範囲(多くは40〜120kg)が設定されています。痩せた高齢者・骨突出が顕著なケースでは沈み込みが大きい機種を、肥満者では支持性の高い機種を選びます。
3. 福祉用具貸与の手続き
ケアプランへの位置づけ → 福祉用具専門相談員と契約 → 試用 → 本契約 の流れ。要介護2以上が原則だが、要介護1・要支援でも医師意見書で例外給付が可能です。
体圧分散マットレスのよくある質問
Q. レンタル料金はいくらかかりますか?
A. 介護保険適用後の自己負担は月500〜2,500円程度(機種・自己負担割合により異なる)。高機能エアマットレスでも月3,000円程度が上限です。1割負担の方なら月1,000円前後が目安です。
Q. 電動エアマットレスは停電時にどうなりますか?
A. 多くの機種に「停電モード」が搭載されており、自動で静止型エアモードに切り替わります。エアセルが膨らんだまま固定され、復電まで圧分散機能を維持します。
Q. 訪問入浴の時はどうしますか?
A. 圧切替型エアマットレスは入浴中の体重移動で空気圧が変動するため、入浴前に「CPR(緊急減圧)ボタン」または「静止モード」に切り替えると安全です。福祉用具専門相談員に操作方法の指導を依頼しましょう。
参考文献・出典
- [1]褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版- 日本褥瘡学会
- [2]福祉用具貸与の対象種目- 厚生労働省
- [3]福祉用具専門相談員研修テキスト- 全国福祉用具専門相談員協会
- [4]指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準- 令和6年厚生労働省告示
- [5]高齢者福祉用具の基準寸法と国際分類- 日本福祉用具供給協会
まとめ
体圧分散マットレスは、寝たきり・長期臥床の高齢者の褥瘡予防に不可欠な福祉用具です。「とりあえずエアマット」ではなく利用者のリスク評価・体型・自立度を踏まえた機種選定が、QOLと予防効果を左右します。福祉用具専門相談員と看護師・ケアマネジャーが連携し、定期的にマットレスの調整とポジショニングの指導を行う体制を整えると、褥瘡発生率は大きく下がります。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
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