特定技能(介護分野)とは
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特定技能(介護分野)とは

特定技能(介護分野)は、技能試験と日本語試験で能力を確認し即戦力として働く在留資格です。1号のみで在留は通算5年、2024年に受入れ見込数13万5,000人へ拡大。試験・業務範囲・訪問介護解禁・育成就労やEPAとの違いを一次ソースで解説します。

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この記事のポイント

特定技能(介護分野)とは、人手不足が深刻な分野で即戦力となる外国人を受け入れるために2019年4月に創設された在留資格「特定技能」のうち、介護分野の区分を指します。介護技能評価試験・介護日本語評価試験などに合格して能力を確認したうえで就労する仕組みで、介護分野は「1号」のみ。在留は通算5年が上限です。2024年には5年間の受入れ見込数が13万5,000人へ大幅拡大されました。

目次

特定技能(介護分野)の制度概要

特定技能は、生産性向上や国内人材確保の取組を行ってもなお人手不足が深刻な「特定産業分野」で、一定の専門性・技能を持つ外国人を即戦力として受け入れるために、2019年4月の改正入管法施行で創設された在留資格です。介護分野は当初からの対象分野で、現在は全16分野のうちの一つに位置づけられています。

特定技能には「1号」と「2号」がありますが、介護分野には特定技能2号がありません。これは、介護福祉士の国家資格を取得すれば在留期間に上限のない別の在留資格「介護」へ移行できる長期就労ルートが用意されているためです。したがって介護で働く外国人の特定技能は、すべて「特定技能1号」となります。

特定技能1号「介護」の主な枠組みは次のとおりです。在留期間は1年・6か月または4か月ごとに更新し、通算5年が上限。雇用形態はフルタイムの直接雇用のみで、労働者派遣は認められません。報酬は日本人と同等額以上が必要で、家族の帯同は基本的に認められません。事業所が受け入れられる人数は、日本人等の常勤介護職員の総数を超えないという上限が設けられています。

制度の出発点となるのが「能力を試験で確認する」という考え方です。母国への技能移転を建前とする技能実習とは異なり、特定技能はあくまで「労働者として即戦力で働く」ことを前提にしているため、入国時点で介護の基礎技能と日本語力が確認されています。この点が、後述する育成就労・EPA・技能実習との最大の違いになります。

技能試験・日本語試験と取得ルート

特定技能(介護)の能力確認は、原則として次の試験で行われます(厚生労働省の試験概要)。いずれもコンピューターで受験するCBT方式です。

  • 介護技能評価試験:全45問・60分(学科40問+実技5問)。「介護の基本」「こころとからだのしくみ」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」から出題。
  • 介護日本語評価試験:全15問・30分。「介護のことば」「介護の会話・声かけ」「介護の文書」から出題。
  • 日本語能力の確認:日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の基準を満たすこと。

受験手数料はいずれも2,000円程度。合格基準は、令和8年(2026年)4月1日から、技能評価試験は総得点の60%以上、日本語評価試験は総得点の73%以上に整理されています。

特定技能(介護)の在留資格を得るルートは試験合格だけではありません。次のいずれかに当てはまる人は、上記の試験が免除されます。

  • 介護職種の技能実習2号を良好に修了した人
  • 介護福祉士養成施設を修了した人
  • EPA介護福祉士候補者として一定期間(3年10か月以上)適切に就労・研修し、直近の国家試験で所定の成績を収めた人

実際には、技能実習からの移行が特定技能1号取得者の多くを占めており、「技能実習→特定技能」が事実上の人材育成ルートとして機能しています。

従事できる業務と訪問介護の解禁

特定技能(介護)で従事できる業務は、利用者の心身の状況に応じた身体介護等(入浴・食事・排せつの介助など)と、これに付随するレクリエーションの実施・機能訓練の補助・介護記録の作成などです。日本人の介護職員とほぼ同等の業務を任せられますが、配膳・清掃・洗濯といった周辺業務だけに従事させることはできません。たんの吸引・経管栄養などの医療的ケアは、所定の研修を修了した範囲でのみ可能です。

就労場所は、介護福祉士国家試験の実務経験として認められる介護施設等が中心です。なお、就労開始直後から一人で夜勤に入ることは避け、一定期間は経験のある職員とチームでケアにあたる体制が求められます(目安として一定期間)。通所介護事業所での宿泊(いわゆるお泊まりデイ)の夜勤などは認められていません。

大きな制度変更が、訪問系サービスへの従事の解禁です。従来、特定技能(介護)は施設サービスに限定され訪問介護は対象外でしたが、2025年4月以降、要件を満たせば訪問介護などの訪問系サービスに従事できるようになりました。ただし施設介護より厳しい上乗せ要件があります。

  • 本人が介護職員初任者研修修了課程等を修了していること
  • 介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること
  • 受入事業所が事前研修・同行訪問によるOJT、緊急時の連絡対応体制(ICT活用を含む)、相談窓口の整備などの遵守事項を満たすこと

訪問介護は有効求人倍率が極めて高く人手不足が深刻なため、この解禁は在宅介護の担い手確保にとって重要な転換点と位置づけられています。

受入れ見込数と在留者数の推移

特定技能制度では分野ごとに「受入れ見込数」が設定され、これが実質的な受入れ上限として運用されます。介護分野の制度開始時(2019〜2023年度)の上限は6万人でしたが、コロナ禍を踏まえ2022年8月に5万900人へ一旦引き下げられました。

その後、2024年3月29日の閣議決定により、2024年度から5年間(令和10年度末まで)の受入れ見込数が13万5,000人へと大幅に引き上げられました。これは特定技能16分野の中でも上位の規模で、政府が介護分野での外国人材活用を人手不足対策の柱に据えていることを示します。

在留者数も急増しています。介護分野の特定技能1号在留者数は、2019年末はわずか19人でしたが、2023年12月末時点で約2万8,400人(速報値)まで増え、その後も増加を続けています。一方で、現状のペースが続けば早期に上限へ到達する可能性も指摘されており、受け入れを検討する事業所では早めの準備が重要になっています。

育成就労・技能実習・EPAとの違い

介護で外国人が働く在留制度は複数あり、混同されがちです。特定技能は「試験で能力を確認した即戦力を受け入れる」点が最大の特徴で、人材を育てながら受け入れる育成就労や技能実習とは設計思想が異なります。

項目特定技能1号(介護)育成就労(2027年4月施行予定)技能実習(廃止予定)EPA
制度の目的人手不足対応(即戦力の確保)人材確保と人材育成の両立母国への技能移転(建前)二国間の経済連携・介護福祉士育成
入国時の試験技能試験・日本語試験あり(移行者は免除)原則なし(入国時に日本語要件)原則なし(介護はN4要件)協定に基づく要件(試験で免除あり)
位置づけ労働者(即戦力)育成しながら就労研修的性格就労・研修しつつ国家試験を目指す
在留期間通算5年(1号のみ)原則3年(特定技能へ移行前提)最長5年原則4年(資格取得後は更新可)
訪問介護要件を満たせば可能(2025年4月〜)制度設計中原則不可可能(要件あり)
転職同一業務区分内で可能一定期間後に可能原則不可原則不可

ポイントは、育成就労が「日本語・技能をこれから育てる人材」を対象とするのに対し、特定技能は「すでに基礎技能と日本語を備えた人材」を受け入れるという違いです。2027年4月に技能実習が育成就労へ移行した後は、「育成就労(3年)→特定技能1号(5年)→介護福祉士取得→在留資格『介護』」という一貫したキャリアパスが想定されています。育成就労の詳細は用語集の別エントリーで解説しています。

介護職としての活かし方・キャリア視点

現場で働く介護職にとって、特定技能の理解は「外国人同僚と協働する力」に直結します。特定技能の同僚は入国時点で介護の基礎技能と日本語が確認されているため、技能実習生に比べて立ち上がりが早い一方、就労初期はチーム配置が前提です。声かけや記録の表現をやさしい日本語に整えると定着がスムーズになります。

キャリアの観点では、特定技能(介護)は介護福祉士国家資格へのステップとして機能します。特定技能1号として実務経験を積み、実務者研修を経て国家試験に合格すれば、在留期間に上限のない在留資格「介護」へ移行でき、家族の帯同も認められます。受け入れ側として資格取得を支援できる職場かどうかは、外国人材の定着を大きく左右します。

転職を考える日本人介護職にとっても、特定技能外国人を計画的に受け入れている事業所は、教育体制や定着支援の仕組みが整っている目印になり得ます。職場選びの際は、外国人材の受け入れ実績や研修体制を確認しておくとよいでしょう。

よくある質問

特定技能(介護)に2号はありますか?

ありません。介護分野は特定技能1号のみです。介護福祉士の国家資格を取得すれば在留資格「介護」へ移行でき、在留期間の上限なく働けるため、別途2号は設けられていません。

在留期間はどのくらいですか?

特定技能1号の在留は原則として通算5年が上限です。一度帰国して再来日し、再び特定技能1号として新たに5年働くことはできません。継続して長く働くには介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ移行する必要があります。

訪問介護に従事できますか?

2025年4月以降、要件を満たせば可能です。本人が介護職員初任者研修などを修了し原則1年以上の実務経験があること、受入事業所が同行OJTや緊急時対応体制などの遵守事項を満たすことが条件です。

技能実習や育成就労とどう違いますか?

特定技能は試験で能力を確認した即戦力の受け入れ、技能実習・育成就労は人材を育てながら受け入れる制度です。2027年4月に技能実習は育成就労へ移行し、育成就労3年→特定技能への移行を前提としたキャリアパスが想定されています。

事業所はどのくらいの人数を受け入れられますか?

受け入れ人数は、日本人等の常勤介護職員の総数を超えない範囲に制限されます。たとえば常勤職員30人の施設なら、特定技能外国人は30人を上限とします。

まとめ

特定技能(介護分野)は、技能試験と日本語試験で能力を確認した外国人を即戦力として受け入れる在留資格で、介護分野は「1号」のみ・在留は通算5年が上限です。2024年に受入れ見込数が13万5,000人へ拡大し、2025年4月には要件付きで訪問介護への従事も解禁されました。人材を育てながら受け入れる育成就労や技能実習とは設計思想が異なり、介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」へ移行して長く働ける点も重要です。現場・採用の双方にとって、制度の正確な理解が外国人材の定着とキャリア形成の出発点になります。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

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