
在宅看取り加算とは
在宅看取り加算は、訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険2万5000円)と介護保険のターミナルケア加算(2500単位)の総称。算定要件・併用ルール・24時間体制の整備をやさしく解説。
この記事のポイント
在宅看取り加算とは、訪問看護師が在宅でターミナル期の利用者を看取った際に算定できる報酬の総称で、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費(2万5,000円)と介護保険のターミナルケア加算(2,500単位)の2系統があります。死亡日および死亡前14日以内に2回以上の訪問と、24時間連絡体制、人生の最終段階における意思決定支援が共通の算定要件です。
目次
在宅看取り加算の位置づけ
「在宅看取り加算」は法令上の正式名称ではなく、訪問看護現場で在宅死を支援した際に算定する報酬の総称として使われる通称です。実務上は次の2つを指します。
- 訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険) — 末期がん患者・難病等が対象。1人につき2万5,000円。診療報酬の枠組みで支払われ、点数ではなく定額の療養費として算定。
- ターミナルケア加算(介護保険) — 要介護者が対象。2024年度改定で2,000単位から2,500単位に引き上げ。1単位10円換算で2万5,000円相当。
どちらも在宅で最期を迎える利用者に対し、24時間体制で訪問看護を提供した事業所の努力を評価する仕組みです。同一利用者に対し医療保険・介護保険の併算定は不可で、死亡前2週間の保険適用区分によって自動的にどちらかが選ばれます(末期がんは医療保険優先)。在宅看取り率は全死亡の約14%(2022年人口動態統計)で増加傾向にあり、訪問看護ステーションが在宅看取りを支える中核機関として位置づけられています。
算定要件と単位数(2024年度改定後)
| 項目 | 訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険) | ターミナルケア加算(介護保険) |
|---|---|---|
| 金額・単位 | 2万5,000円/人 | 2,500単位/月(2024年度改定で500単位増) |
| 対象者 | 末期がん・特掲難病等で医療保険適用の利用者 | 要介護者(要支援者は対象外) |
| 訪問頻度 | 死亡日および死亡日前14日以内に2回以上 | 死亡日および死亡日前14日以内に2日以上(特掲難病は1日でも可) |
| 体制要件 | 24時間対応体制加算の届出 | 緊急時訪問看護加算の届出+24時間連絡体制 |
| 意思決定支援 | 厚労省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に基づくACPの実施・記録 | |
| 必要書類 | ターミナルケア計画書、訪問看護記録書、看取り経過記録、死亡確認時刻・状況の記録 | |
| 算定タイミング | 死亡日に算定(死亡前24時間以内の最終訪問は必須ではないが多くの事業所で実施) | |
1人の利用者につき1事業所のみ算定可能です。複数の訪問看護ステーションが関わっていた場合は、死亡日に最も関与した事業所が算定します。なお、特養・老健などの施設入所中は算定不可で、その場合は施設側の「看取り介護加算」が適用されます。
ターミナルケア加算・看取り介護加算との違い
「在宅看取り加算」と混同しやすい3つの加算を整理します。いずれも終末期の評価という共通点はあるものの、算定主体と保険区分が異なるため併用関係を理解することが重要です。
| 加算名 | 算定主体 | 保険 | 場所 | 金額目安 |
|---|---|---|---|---|
| 訪問看護ターミナルケア療養費 | 訪問看護ステーション | 医療保険 | 自宅 | 2万5,000円 |
| ターミナルケア加算(訪問看護) | 訪問看護ステーション | 介護保険 | 自宅 | 2,500単位(約2万5,000円) |
| 在宅ターミナルケア加算(往診) | 在宅医療機関 | 医療保険 | 自宅 | 3,500〜6,500点 |
| 看取り介護加算 | 特養・GH等の施設 | 介護保険 | 施設 | 72〜1,580単位/日 |
同一利用者の在宅看取りでは、訪問診療医・訪問看護師・薬剤師がそれぞれ独立して算定可能です。たとえば末期がん患者を自宅で看取った場合、訪問看護ステーションは2万5,000円(医療保険)、在宅療養支援診療所は在宅ターミナルケア加算と看取り加算をそれぞれ算定するという構造になります。一方、施設入所者の看取りでは施設の「看取り介護加算」と外部の訪問看護加算は併算定不可で、施設側に一本化されます。
算定漏れを防ぐ実務ポイント
1. ターミナルケア計画書を死亡前14日以前に作成する
意思決定支援のプロセスとして、利用者・家族の意向確認、看取りの場の希望、急変時対応の合意を計画書に明記します。死亡後に遡って作成した計画書は算定根拠として認められません。地域によっては実地指導で返戻対象となるため、訪問看護記録書とセットで日付・サインを残します。
2. 24時間連絡体制を「届出+運用」で整備する
24時間対応体制加算または緊急時訪問看護加算の届出が前提です。届出のみで実際の緊急訪問体制が機能していないと、運営指導で減算対象になります。看護師のオンコール手当・緊急訪問手当の規程整備が求められます。
3. 死亡確認時刻と最終訪問の記録を分けて記載する
死亡前24時間以内の最終訪問は算定要件ではありませんが、家族の安心と算定根拠の明確化のため多くのステーションが実施しています。死亡確認は医師の専権事項のため、看護師は「死亡を疑う状態の発見」までを記録し、主治医に連絡した時刻を残します。
4. 介護保険と医療保険の切替えを意識する
末期がんと診断された時点で訪問看護は医療保険優先に切り替わります。要介護認定を受けていても、診断書に「末期の悪性腫瘍」と記載があれば医療保険で訪問看護を実施し、ターミナルケア療養費(医療保険)を算定します。
よくある質問
Q1. 「在宅看取り加算」という名称の加算は法令上存在しますか?
正式名称ではなく、訪問看護現場で訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険)とターミナルケア加算(介護保険)をまとめて指す通称です。請求書・運営指導の文書では、それぞれの正式名称を使い分ける必要があります。
Q2. 死亡前24時間以内に訪問できなかった場合は算定不可ですか?
算定要件は「死亡日および死亡日前14日以内に2回以上の訪問」であり、死亡前24時間以内の訪問は必須ではありません。ただし家族からの緊急連絡に対応できる体制があったかが運営指導でチェックされます。
Q3. 在宅看取り率はどのくらい増えていますか?
厚生労働省「人口動態統計」によると、2022年の在宅死亡率は約17.4%(自宅+介護施設)で、2010年の12.6%から増加傾向にあります。コロナ禍以降の在宅志向の高まりも背景にあります。
Q4. 介護家族にとってのメリットは何ですか?
24時間連絡体制が義務付けられているため、急変時に看護師へ電話できる安心感が得られます。また計画的なターミナルケア(疼痛管理、家族ケア、グリーフケア)が制度的に担保されるため、「ひとりで看取らずに済む」体制が整います。利用者負担は通常の訪問看護費に含まれ追加負担はありません。
Q5. 訪問看護師として在宅看取りを担当する際に必要なスキルは?
疼痛コントロール、家族支援、ACP(人生会議)のファシリテーション、死亡直前症状の観察スキルが求められます。日本看護協会の「訪問看護師研修」や緩和ケア研修会の受講が推奨されます。
参考資料
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まとめ
在宅看取り加算は、訪問看護ステーションが在宅死を支える対価として、医療保険(ターミナルケア療養費2万5,000円)と介護保険(ターミナルケア加算2,500単位)の2系統で評価される報酬の総称です。2024年度改定で介護保険側が500単位引き上げられ、在宅看取り体制の整備が国策として後押しされています。算定には死亡前14日以内に2回以上の訪問・24時間連絡体制・ターミナルケア計画書による意思決定支援が必須で、計画書を死亡後に作成するなどの不備は算定根拠を失います。訪問看護師として在宅看取りに関わるなら、疼痛管理・家族支援・ACPファシリテーションのスキルを継続的に高めていくことが、利用者と家族の「最期の14日間」を支える力になります。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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