地域生活支援拠点等とは

地域生活支援拠点等とは

地域生活支援拠点等とは、障害者の重度化・高齢化や「親なき後」に備え、相談・緊急時受入・体験・専門人材・地域連携の5機能を地域で備える体制。整備類型や報酬上の評価まで解説します。

ポイント

地域生活支援拠点等の定義(要点)

地域生活支援拠点等とは、障害者・障害児の重度化・高齢化や「親なき後」を見据え、相談/緊急時の受入れ・対応/体験の機会・場/専門的人材の確保・養成/地域の体制づくりという5つの機能を地域全体で備える支援体制のことです。障害のある人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、市町村が整備します。

目次

地域生活支援拠点等の概要と整備の経緯

地域生活支援拠点等とは何か

地域生活支援拠点等は、厚生労働省が「障害児者の重度化・高齢化や『親なき後』を見据え、居住支援のための機能(相談、緊急時の受け入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくり)を、地域の実情に応じた創意工夫により整備し、障害児者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築すること」と位置づけている仕組みです。特定の建物を指す名称ではなく、複数の機能を束ねた「場所や体制」を指すため、語尾に「等」が付いています。

大きな目的は2つあります。1つは緊急時の迅速・確実な相談支援と短期入所等の活用によって、地域生活の安心感を担保すること。もう1つは体験の機会の提供を通じて、施設や親元からグループホーム・一人暮らしなどへ生活の場を移しやすくする体制を整えることです。医療的ケアが必要な重症心身障害や、強度行動障害、高次脳機能障害など、支援が難しいケースにも多職種連携で対応できる協力体制を地域につくることが重視されています。

整備が進められてきた経緯

制度の起点は平成24年(2012年)の障害者総合支援法成立時の附帯決議にさかのぼります。その後、第4期障害福祉計画(平成27〜29年度)の国の基本指針で「平成29年度末までに各市町村または各圏域に少なくとも1つを整備する」という成果目標が初めて掲げられ、整備が本格化しました。

さらに令和6年度(2024年度)の障害者総合支援法改正により、市町村に対して地域生活支援拠点等の整備が努力義務として明確に位置づけられ、機能の充実が一段と求められるようになっています。

地域生活支援拠点等の5つの機能

地域生活支援拠点等が備える5つの機能

整備にあたっては、原則として次の5つの機能すべてを備えることとされ、最終的な必要機能の判断は市町村(特別区を含む)が地域の実情を踏まえて行います。

  1. 相談 ― 基幹相談支援センターや委託相談支援事業等を活用してコーディネーターを配置し、緊急時の支援が見込めない世帯を事前に把握・登録したうえで常時の連絡体制を確保。障害の特性に起因して生じた緊急事態に、必要なサービスのコーディネートや相談を行います。
  2. 緊急時の受け入れ・対応 ― 短期入所を活用した常時の緊急受入体制を確保し、介護者の急病や障害者の状態変化など緊急時の受け入れ、医療機関への連絡などを行います。
  3. 体験の機会・場 ― 地域移行支援や親元からの自立にあたって、共同生活援助(グループホーム)などの利用や、一人暮らしの体験の機会・場を提供します。
  4. 専門的人材の確保・養成 ― 医療的ケアが必要な人や行動障害のある人、高齢化に伴い重度化した障害者に専門的対応ができる体制を確保し、人材を養成します。
  5. 地域の体制づくり ― コーディネーターを配置し、地域のさまざまなニーズに対応できるサービス提供体制の確保や、関係機関の連携体制の構築を行います。

このほか、権利擁護・成年後見制度の利用促進、障害者虐待への対応といった「生活の維持を図る機能」を、地域の実情に応じて創意工夫で付加することも想定されています。

地域生活支援拠点等の整備類型と地域包括支援センターとの違い

整備の3類型

地域生活支援拠点等の整備手法には、おおむね次の類型が示されています。地域のニーズや既存サービスの状況に応じ、自由に組み合わせて構いません。

類型特徴
多機能拠点整備型グループホームや障害者支援施設等に5つの機能を集約して付加する形
面的整備型地域の複数の機関が機能を分担して担う体制をつくる形
組み合わせ型多機能拠点整備型と面的整備型を組み合わせる形

令和4年4月1日時点で、全国1,741市町村のうち1,048市町村が整備済みで、多くは面的整備型を採用しています。

「地域包括支援センター」との違い

名称が似ているため混同されがちですが、対象と根拠法が異なります。

項目地域生活支援拠点等地域包括支援センター
主な対象障害者・障害児高齢者(おおむね65歳以上)
根拠障害者総合支援法(障害福祉計画)介護保険法
主眼緊急時対応・地域移行・親なき後の備え介護予防・総合相談・権利擁護

障害のある人が高齢化していく局面では、両者の連携が欠かせません。

地域生活支援拠点等と8050問題・親なき後への備え

「親なき後」「8050問題」との関係

障害のある子を持つ家庭では、親が高齢化・病気・死亡したときに本人の暮らしをどう支えるかという「親なき後」の不安が長年の課題でした。親が80代、障害のある子が50代といった世帯が孤立する、いわゆる「8050問題」とも重なります。

地域生活支援拠点等は、こうした世帯をあらかじめ把握・登録し、介護者が急病や入院になっても短期入所などで本人を緊急受入できる体制を平時から用意しておく点に大きな意味があります。さらに、親が元気なうちからグループホームや一人暮らしを「体験」しておくことで、いざというときの環境変化の負担を和らげられます。

介護・福祉の現場で働く人にとっては、高齢者介護と障害福祉の制度が交差する領域であり、相談支援専門員・サービス管理責任者・基幹相談支援センター職員などが連携の要を担います。

地域生活支援拠点等のよくある質問

よくある質問

Q. 地域生活支援拠点等はどこにありますか?

特定の1施設を指すとは限りません。グループホームや障害者支援施設に機能を集約した「多機能拠点整備型」のほか、地域の複数の機関が機能を分担する「面的整備型」もあります。整備状況や窓口は、お住まいの市町村の障害福祉担当課に確認してください。

Q. 誰が利用できますか?

障害者・障害児が対象です。特に、医療的ケアが必要な人、行動障害のある人、高齢化に伴い重度化した人など、支援が難しいケースを受け止めることが想定されています。

Q. 緊急時にはどんな支援が受けられますか?

介護者の急病などの緊急時に、短期入所を活用した受け入れや、医療機関への連絡などの対応が受けられます。事前に登録し常時の連絡体制を確保しておくことが前提になります。

Q. 介護保険の地域包括支援センターとは違うのですか?

はい。地域生活支援拠点等は障害者総合支援法にもとづく障害者・障害児向けの体制で、介護保険法にもとづく高齢者向けの地域包括支援センターとは対象も根拠も異なります。

Q. 報酬上の評価はありますか?

令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定で、コーディネーター配置を評価する「地域生活支援拠点等機能強化加算」や、緊急時の受入れを評価する「緊急時受入加算」などが新設されました。

地域生活支援拠点等の参考資料

地域生活支援拠点等のまとめ

まとめ

地域生活支援拠点等は、障害者・障害児の重度化・高齢化や「親なき後」に備え、相談・緊急時受入・体験・専門人材・地域連携の5機能を地域全体で備える体制です。平成27年度以降の障害福祉計画で整備が進み、令和6年度には市町村の努力義務として位置づけられました。高齢者介護と障害福祉が交差する重要なテーマであり、現場で連携の要を担う専門職の役割がますます高まっています。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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