同一建物減算とは
介護職向け

同一建物減算とは

同一建物減算とは、訪問介護・訪問看護などで事業所と同じ建物や集合住宅の利用者にサービス提供する際の介護報酬減算。10%・15%減算の要件と、2024年度改定で新設された訪問介護の12%減算を解説します。

ポイント

この記事のポイント

同一建物減算とは、訪問介護・訪問看護などの訪問系サービスで、事業所と同一敷地内の建物や、利用者が多数居住する集合住宅にサービスを提供する場合に、移動効率がよい分だけ介護報酬を引き下げる仕組みです。減算率は10%(90/100)または15%(85/100)が基本で、2024年度改定では訪問介護に12%(88/100)減算の新区分が加わりました。

目次

同一建物減算の基本的な考え方

同一建物減算(集合住宅減算とも呼ばれます)は、訪問系の介護サービスにおいて、事業所と同一の建物や、利用者が集中して住む集合住宅へサービスを提供する場合に適用される介護報酬の減算です。2012年度の介護報酬改定で導入され、その後の改定でたびたび見直されてきました。

戸建てに住む利用者を一軒ずつ訪問する場合と比べ、同じ建物の中で複数の利用者を続けて訪問できる場合は、移動時間や移動コストが大幅に削減できます。この効率性を介護報酬に反映させ、戸建ての利用者との公平性を保つことが減算の目的です。あわせて、限られた介護給付費を適正に配分し、介護保険制度の持続可能性を高める狙いもあります。

判定の鍵になるのが「同一敷地内建物等」という概念です。これは、(1) 事業所と構造上・外形上一体的な建築物(同じ建物の別フロアに事業所がある等)、(2) 同一敷地内または隣接する敷地にあり効率的なサービス提供が可能な建物(渡り廊下でつながった別棟、幅の狭い道路を挟んで隣接する建物等)を指します。広大な敷地に建物が点在する場合や、道路・河川で隔てられ迂回が必要な場合は、効率化につながらないため減算対象外となります。

訪問介護の減算率(2024年度改定後)

訪問介護では、2024年度(令和6年度)介護報酬改定で「利用者の割合」に基づく新区分が加わり、減算は次の4パターンに整理されました。

  • 10%減算(所定単位数×90/100):事業所と同一敷地内建物等に居住する利用者にサービス提供する場合(下記の15%・12%に該当する場合を除く)。
  • 10%減算(所定単位数×90/100):同一敷地内建物等以外の建物で、1か月あたり20人以上の利用者が居住する集合住宅等の利用者にサービス提供する場合。
  • 15%減算(所定単位数×85/100):同一敷地内建物等に1か月あたり50人以上の利用者が居住する場合。
  • 12%減算(所定単位数×88/100)【2024年度新設】:正当な理由なく、前6か月間に提供した訪問介護の総数のうち、同一敷地内建物等に居住する者へ提供した割合が90%以上である場合(上記の月50人以上=15%減算に該当する利用者を除く)。

新設された12%減算は2024年4月1日に告示されましたが、実際の適用開始は2024年(令和6年)11月1日からです。前6か月の実績で割合を判定し、年2回の届出が必要になります。

訪問看護の減算率(2024年度改定で変更なし)

訪問看護(介護保険・介護予防訪問看護とも)の同一建物減算は、2024年度改定では単位数・算定要件ともに変更はありませんでした。区分は次の3つです。

  • 10%減算(所定単位数×90/100):同一敷地内建物等以外の建物で、1か月あたり20人以上の利用者が居住する集合住宅等の利用者にサービス提供する場合。
  • 10%減算(所定単位数×90/100):同一敷地内建物等に居住する利用者にサービス提供する場合(下記の50人以上に該当する場合を除く)。
  • 15%減算(所定単位数×85/100):同一敷地内建物等に1か月あたり50人以上の利用者が居住する場合。

訪問看護には、訪問介護で新設されたような「割合90%以上による12%減算」は導入されていません。同一建物減算の対象サービスは幅広く、訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・定期巡回随時対応型訪問介護看護・夜間対応型訪問介護のほか、通所介護や通所リハビリテーション等にも同種の減算が設けられています。

「人数による減算」と「割合による減算(12%)」の違い

2024年度改定で訪問介護に12%減算が加わったことで、判定軸が「建物の居住人数」と「事業所の提供割合」の2系統になりました。混同しやすいので整理します。

区分判定の軸主な要件減算率
従来の人数ベース建物ごとの居住人数同一敷地内建物等、または20人以上の集合住宅10%
従来の人数ベース(大規模)建物ごとの居住人数同一敷地内建物等に月50人以上15%
2024年新設の割合ベース事業所全体の提供割合前6か月の提供総数のうち同一敷地内建物等への提供が90%以上(月50人以上を除く)12%

ポイントは、12%減算が個々の建物ではなく事業所全体の事業構造を見ている点です。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームと一体運営し、入居者にサービスが偏っている事業所をより強く適正化する趣旨です。なお、特別地域訪問介護加算を受けている、判定期間の月平均訪問回数が200回以下の小規模事業所である、などの「正当な理由」があれば、都道府県知事への届出により減算が免除される場合があります。

現場で働く人が知っておきたいこと

同一建物減算は事業所の収入に直結するため、訪問介護員・看護師・サービス提供責任者として働くうえでも知っておくと役立ちます。

  • 減算は利用者ごとに判定される:12%減算の届出は事業所単位ですが、減算が適用されるのは同一敷地内建物等に居住する利用者へのサービスのみで、戸建てや一般の集合住宅に住む利用者は対象外です。
  • 区分支給限度基準額には減算前の単位数を使う:利用者の支給限度額を計算する際は減算前の単位数で算定するため、減算によって利用者が使えるサービス量が減ることはありません。
  • サ高住・有料老人ホーム併設事業所では特に重要:入居者中心の事業所は12%減算の対象になりやすいため、求人を見る際は「どんな利用者層を担当するか」を確認すると、報酬体系や事業の安定性をイメージしやすくなります。

よくある質問

同一建物減算の減算率は何%ですか?

基本は10%(所定単位数×90/100)と15%(同×85/100)の2種類です。15%は同一敷地内建物等に月50人以上が居住する場合に適用されます。加えて訪問介護では、2024年度改定で「事業所の提供割合が90%以上」の場合の12%(同×88/100)減算が新設されました。

訪問看護にも12%減算はありますか?

ありません。12%減算は訪問介護で新設された区分です。訪問看護の同一建物減算は2024年度改定では変更がなく、10%(90/100)と15%(85/100)の2区分のままです。

12%減算はいつから適用されますか?

2024年4月1日の告示後、実際の適用開始は2024年11月1日からです。前6か月間の実績で同一敷地内建物等への提供割合が90%以上かを判定し、年2回(前期・後期)の届出を行います。

「同一敷地内建物等」とは具体的に何を指しますか?

事業所と構造上・外形上一体的な建物(同じ建物の別フロアに事業所がある等)や、同一・隣接敷地にあり効率的にサービス提供できる建物(渡り廊下でつながった別棟、狭い道路を挟んで隣接する建物等)を指します。道路や河川で隔てられ迂回が必要な場合は対象外です。

まとめ

同一建物減算は、事業所と同じ建物や集合住宅の利用者へ効率的にサービス提供する場合に、戸建て利用者との公平性を保つために介護報酬を引き下げる仕組みです。減算率は10%・15%が基本で、2024年度改定では訪問介護に「提供割合90%以上で12%減算」の新区分が加わりました(適用は2024年11月1日から)。訪問看護は今回変更なしです。サ高住や有料老人ホーム併設の事業所ではとくに影響が大きいため、求人選びや事業所の安定性を見るうえでも押さえておきたい制度です。

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執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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