
厚労省、介護経営実態調査を再設計|訪問介護の抽出率を1/10→1/8に引き上げ、収支差率の「精度」が2027年度改定を左右
厚労省は2026年2月16日の介護給付費分科会で令和8年度介護事業経営実態調査の実施案を提示。訪問介護の抽出率を1/10から1/8へ引き上げ、移動時間・集合住宅向け訪問・介護テクノロジーの把握を強化する。調査は2026年5月実施、結果は10月頃公表予定で、2027年度介護報酬改定の出発点となる。
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この記事のポイント
厚生労働省は2026年2月16日の社会保障審議会介護給付費分科会(第254回)で、2027年度(令和9年度)の介護報酬改定の基礎資料となる「令和8年度介護事業経営実態調査」の実施案を示した。最大の見直しは訪問介護の抽出率を従来の10分の1から8分の1へ引き上げる点で、ヘルパーの移動時間や集合住宅向け訪問と戸別訪問の区分、介護テクノロジーの導入・維持コストもより細かく把握する。調査は2026年5月に実施し(令和7年度決算が対象)、結果は同年10月頃の公表を予定する。収支差率の「測り方」をどこまで精緻にできるかが、訪問介護で働く人の基本報酬や処遇の議論の土台を左右する。
目次
解説動画
介護報酬の改定議論は、いつも「事業所がいくら儲かっているのか(あるいは赤字なのか)」という収支差率の確認から始まる。その数字を生み出すのが、3年に1度実施される「介護事業経営実態調査」だ。次の2027年度(令和9年度)改定に向けては、令和8年度(2026年度)に行う実態調査がその役割を担う。収支差率が出発点である以上、その数字をどう測るかは、改定の結論そのものを左右する。
注目したいのは、今回の調査が単なる定例実施ではなく、調査の「設計そのもの」に踏み込んだ見直しを伴う点である。とりわけ訪問介護では、サンプル数を増やして規模別・地域別の経営状況を捉え直し、これまで統計上見えにくかったヘルパーの移動時間や集合住宅向けの訪問実態まで把握しようとしている。数字の精度を上げる地道な作業が、実は報酬の行方を大きく動かす。
本記事では、厚労省が2026年2月の介護給付費分科会で示した実施案をもとに、調査の実施時期・抽出率・調査票の変更点を一次資料で確認したうえで、なぜこの「測り方の精緻化」が訪問介護で働く人の処遇や基本報酬の行方に直結するのかを読み解く。速報ではなく、改定議論の出発点となる調査設計を解説する視点でまとめた。
調査の位置づけと実施スケジュール|2026年5月実施・10月頃公表で2027年度改定の土台に
「経営状況を把握し、報酬改定の基礎資料を得る」のが目的
令和8年度介護事業経営実態調査は、厚労省が2026年1月29日の介護事業経営調査委員会(第43回)で実施案を示し、2026年2月16日の社会保障審議会介護給付費分科会(第254回)に報告したものだ。調査の目的は実施案で「各サービス施設・事業所の経営状況を把握し、次期介護保険制度の改正及び介護報酬の改定に必要な基礎資料を得ること」と整理されている。事務局は委員会で「令和9年度の介護報酬改定に向けた基礎資料となる重要な調査」と位置づけた。
調査は2026年5月実施、令和7年度決算が対象
実施案によると、調査票は2026年(令和8年)5月に配付し、直近の経営状況として令和7年度(2025年度)の決算額を調べる。調査対象はすべての介護保険サービスで、地域区分別・利用者数の階級別などで層を設定し、各層から無作為で抽出する「層化無作為抽出法」を採る。これは従来の調査と同じ方式だ。前回の令和5年度実態調査も令和5年5月に令和4年度決算を調べており、3年ごとの定例サイクルに沿った実施となる。
結果公表は2026年10月頃、その後分科会へ報告
調査結果は、介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会で2026年(令和8年)10月頃に公表される予定で、その後、介護給付費分科会に報告される。前回の令和5年度実態調査の公表が2023年11月だったことを踏まえると、ほぼ同程度のスケジュールだ。この公表された収支差率が、2027年度改定で各サービスの基本報酬や加算を議論する際の最も基礎的な材料となる。秋に数字が出てから、年末にかけて改定の方向性が固まっていくのが通例の流れだ。
なお実施案には、本調査が政府統計(一般統計調査)であるため総務大臣の承認を受ける必要があり、その審査の過程で抽出率など調査事項に変更があり得る、との留意点も明記されている。つまり以下で扱う数値は、現時点の実施案ベースの設計である点に注意したい。実態調査が改定の「出発点」と呼ばれるのは、ここで示される収支の実態が、その後の報酬水準や加算の設計を縛る最も客観的な土台になるからだ。数字が独り歩きしないよう、設計段階での精度確保が一層重要になっている。
見直しの核心|訪問介護の抽出率1/8、移動時間・集合住宅・介護テクノロジーを把握強化
訪問介護の抽出率を1/10から1/8へ引き上げ
今回の設計見直しで最も象徴的なのが、訪問介護の抽出率の引き上げだ。実施案の別表では、訪問介護の事業所数(母集団)は35,497事業所とされ、抽出率は令和5年度実態調査の「10分の1」から「8分の1」に引き上げられる。厚労省は委員会で、訪問介護は事業所数が多い一方で有効回答率が全体平均より低い現状があるため、予算との兼ね合いも踏まえて「少しでも多くサンプル数を確保するため」に引き上げると説明した。
訪問介護以外のサービスは、令和5年度実態調査と同じ抽出率に据え置かれる。たとえば訪問看護(母集団16,874事業所)や通所介護(24,526事業所)は1/10、居宅介護支援(35,943事業所)は1/20、介護老人福祉施設(8,540施設)は1/4、認知症対応型共同生活介護(14,233事業所)は1/12のままだ。定期巡回・随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護のように母集団が小さいサービスは従来どおり全数(1/1)調査となる。抽出率を引き上げたのは訪問介護だけで、それだけ訪問介護の実態把握が改定議論の焦点になっていることを示している。
ヘルパーの移動手段・移動時間、集合住宅と戸別の区分を把握
調査票の中身も見直される。実施案では「訪問系及び通所系サービスにおけるサービス提供状況に関する項目」として、令和7年度概況調査で追加した訪問先の状況・移動手段・移動時間の把握を令和8年度実態調査にも反映するとした。さらに「訪問回数における訪問先の状況をより精緻に把握できるよう見直す」としており、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームなどの集合住宅への訪問と、戸別の自宅への訪問とを区分して延べ訪問回数を捉える方向だ。通所系サービスについても送迎時間など同様の項目を追加する。
移動時間は、訪問介護の人件費や生産性を左右する重要な要素でありながら、これまで収支の統計上は明確に表れにくかった領域だ。集合住宅向けの効率的な訪問と、移動に時間がかかる戸別訪問とでは採算構造が大きく異なるため、両者を分けて把握できれば、平均値に隠れていた採算差が初めて数字として見えるようになる。集合住宅に併設・隣接して短い移動で多くの訪問を回す事業所と、利用者宅が点在する地域で1件ごとに移動する事業所とでは、同じ「訪問介護」でも収支の構造がまるで違うからだ。
介護テクノロジーは機器別のランニングコストまで把握
介護ロボットやICTなどの介護テクノロジーについても、令和7年度概況調査で追加した導入状況や保守・点検等のランニングコストの把握を引き継ぎ、令和8年度実態調査では「介護テクノロジーの機器別に保守・点検等のランニングコストを把握できるよう見直す」とした。導入時の補助金だけでなく、導入後に継続的にかかる維持コストを機器ごとに捉えることで、生産性向上の投資が経営に与える実質的な負担が分析できるようになる。
このほか、施設系サービスでは食費に計上される食事提供回数を把握する項目を追加し、収入面では「介護保険事業費補助金」について、賃金引き上げに係る補助金やサービス継続支援に係る補助金の収入額を記載する欄を新設する。これは、令和8年度の臨時改定で拡充された処遇改善の補助金などが、事業所の収支のどこにどれだけ入ったのかを切り分けて把握し、賃上げ支援策の効果を収支データと突き合わせて検証できるようにする狙いだ。補助金を含めた収支と含めない収支を分けて見られるようにすることで、報酬本体と補助金のどちらで現場を支えるべきかという議論にもデータで答えられるようになる。
なぜ「測り方」が重要か|収支差率と有効回答率が抱えてきた課題
収支差率は報酬水準の議論に直結する
実態調査が算出する中心的な指標が「収支差率」だ。これは(介護サービスの収入額-支出額)÷収入額で計算され、事業所が手元にどれだけ残せているかを示す。前回の令和5年度実態調査では、全サービス平均の収支差率は税引前で約3%台、訪問介護は補助金を含む税引前で7.8%(令和4年度決算)と公表された。この数字が高い・低いという評価が、各サービスの基本報酬を引き上げるか抑えるかの議論に直接つながる。
2027年度改定に向けては、財政当局が利益率の高いサービスの報酬適正化を求める一方、現場側は物価高騰や人件費上昇で実際の経営は厳しいと訴える構図がある。どちらの主張も、出発点は同じ収支差率のデータだ。だからこそ、その数字が実態をどれだけ正確に映しているかが問われる。収支差率の算定方法は実態調査ごとに細部が見直されており、たとえば本部費繰入などの特別損益をどう扱うかといった技術的な論点も、結果として表に出る数字を左右してきた。
訪問介護は「平均値」では実態が見えにくい
訪問介護は事業所の規模や運営モデルの幅が極端に広い。大規模で集合住宅向けに効率的な訪問を回す事業所もあれば、中山間地で移動に時間をかけて戸別訪問する小規模事業所もある。これらを一括りにした平均の収支差率だけを見ると、好調な事業所の数字に小規模・地方の苦境が埋もれてしまう懸念がある。委員会でも「訪問介護は地域インフラの側面を持つ。平均値だけでなく規模や運営モデルの違いを丁寧に分析すべき」との意見が出されたとされる。抽出率の引き上げは、こうした「埋もれる小規模事業所」を統計に反映させるための布石だ。サンプルが増えれば、規模別・地域別に層を分けても各層に十分な事業所数が確保でき、分布の偏りまで分析できるようになる。
有効回答率の低さという積年の課題
もう一つの課題が回答率だ。実施案の参考値によれば、実態調査の有効回答率は令和2年度45.2%から令和5年度48.3%へとわずかに改善したものの、依然として半数に届かない。訪問介護に限ると令和5年度実態調査の有効回答率は43.1%(有効回答数515)と全体平均をさらに下回っていた。回答率が低いほど、回答した事業所に偏りが生じ、収支差率の信頼性が揺らぐ。
厚労省はこの課題に対し、介護保険総合データベースを活用して休廃止した事業所への調査票配布を減らす、毎年変わりにくい建物の面積などはあらかじめ印字(プレプリント)して記入負担を軽くする、紙に加えてオンライン調査を促進し電子調査票の回答期限を紙より1週間程度延伸する、といった回収率向上策を併せて講じる。抽出率引き上げと回収率対策の両輪で、訪問介護のデータ精度を底上げしようとしている。サンプルを増やしても回答が集まらなければ精度は上がらないため、両者はセットで意味を持つ。
サンプル数と回答率という二つの精度要素がそろって初めて、規模別・地域別の収支差率は政策判断に耐えるデータになる。今回の見直しは、その両方に同時に手を入れた点に意味がある。
3つの「経営調査」の役割分担|実態調査・概況調査・処遇状況等調査の違い
3年サイクルで噛み合う実態調査と概況調査
介護報酬改定の基礎資料となる調査は、性格の異なるものが組み合わさっている。まず「介護事業経営実態調査」は、改定の前年に1年分の決算を詳しく調べる本調査だ。今回の令和8年度実態調査は令和7年度決算(1年分)を対象とし、2027年度改定の中心的な材料になる。一方、その前年に実施された「介護事業経営概況調査」は、令和7年5月に令和5年度・令和6年度の2年分の決算を調べたもので、改定をまたぐ前後の変化を捉える役割を持つ。今回の実態調査が令和7年度概況調査の調査項目を土台に設計されているのは、この2つが連続したシリーズだからだ。移動時間や介護テクノロジーの項目は、まず概況調査で試行的に導入され、今回の実態調査でさらに精緻化されるという段階を踏んでいる。
処遇状況等調査は「賃金がどう動いたか」を別建てで追う
これらとは別に、賃金や処遇改善加算の効果を見る「介護従事者処遇状況等調査」がある。令和8年度はこの調査も実施案が示され(介護事業経営調査委員会 第44回・令和8年4月8日)、調査は令和8年7月に行い、結果は同年11月頃に公表される予定だ。令和8年度からは処遇改善加算の対象に加わった訪問看護・訪問リハビリも調査対象に追加される。経営実態調査が事業所単位の収支を、処遇状況等調査が従事者単位の賃金を捉える、という役割分担になっている。働く人の手取りに直結するのは後者だが、その原資が事業所にあるかを示すのは前者であり、両方がそろって初めて改定の全体像が描ける。
収支データと賃金データを突き合わせて改定を設計する
2027年度改定の議論では、経営実態調査が示す収支差率と、処遇状況等調査が示す賃金水準の両方が突き合わされる。たとえば訪問介護で収支差率に余裕があるのに賃金が伸びていなければ「原資が処遇に回っていない」という指摘につながり、逆に収支が厳しいのに賃上げを続けていれば「基本報酬の底上げが必要」という主張の根拠になる。今回の実態調査で訪問介護の把握精度を高めることは、この2つのデータを規模別・地域別に重ね合わせ、より実態に即した改定設計を可能にする前提整備でもある。精度の低いデータの上にどれだけ議論を重ねても、結論の説得力は上がらない。調査設計の見直しは、地味だが改定の質を左右する土台づくりなのだ。
調査設計そのものが論点になってきた歴史
実態調査は過去にも、その設計の妥当性が繰り返し論点になってきた。たとえば収支差率に「事業所から本部への繰入」という特別損失が反映される一方で特別利益が反映されず、収支に偏りが生じるとの指摘を受け、特別利益を把握する項目が追加された経緯がある。記入者の負担が重いという声を受けて、利用頻度の低い項目を削る簡素化も行われてきた。つまり実態調査は、「より正確に、より負担少なく」という相反する要請のあいだで毎回チューニングされている。今回の訪問介護の抽出率引き上げや移動時間・集合住宅の把握も、その延長線上にある改善であり、現場の実態に統計を近づける継続的な取り組みの一環と捉えられる。
【独自視点】把握精度の向上は、訪問介護で働く人の基本報酬・処遇にどう効くか
「移動時間が見える」ことが基本報酬の根拠になる
今回の見直しを働く人の視点で読み解くと、最も大きな意味を持つのが移動時間の把握だ。訪問介護のヘルパーにとって移動は無視できない拘束時間でありながら、これまで収支統計の中では支出として明確に区分されてこなかった。移動時間が地域別・事業所別のデータとして可視化されれば、「同じ訪問件数でも移動コストの重い地域・事業所は採算が厳しい」という実態が初めて数字で裏づけられる。これは2027年度改定で、移動を伴う訪問への基本報酬の評価や、中山間地・離島の加算を議論する際の客観的な根拠になり得る。働く人にとっては、移動の負担が「報酬で評価される」道筋が一歩近づくと言える。
集合住宅と戸別の区分が、報酬の二極化議論を呼ぶ可能性
集合住宅向け訪問と戸別訪問を分けて把握する見直しは、両者の採算差を明らかにする。仮に集合住宅向けの効率的な訪問の収支差率が高いと示されれば、財政当局はその部分の報酬適正化を主張する材料に使うだろう。一方で戸別訪問や小規模事業所の厳しさが数字で出れば、現場側はそこへの底上げを求める根拠を得る。つまりこの区分は、訪問介護の報酬を一律ではなく「実態に応じて分ける」議論を加速させる可能性がある。訪問介護で働く人にとっては、自分の働く事業所がどちらの類型に位置づけられるかで、将来の処遇の方向性が変わってくる論点だ。サ高住併設型で効率重視の働き方をするのか、地域を広く回る戸別訪問中心で働くのかは、求人を選ぶ段階から意識しておきたい視点になる。
小規模事業所の実態が反映されれば、底上げの議論に厚みが出る
抽出率を1/8に引き上げてサンプルを増やす最大の狙いは、規模別・地域別の分析精度の向上にある。これまで平均値に埋もれていた小規模事業所の経営状況が統計に反映されれば、「全体平均は黒字でも、小規模・地方は赤字が多い」といった分布の偏りが明確になる。改定議論では、平均の収支差率が一定水準でも、分布の下半分が苦しいなら基本報酬の底上げが必要だという主張が説得力を持つ。これは、人手不足が深刻な小規模・地方の訪問介護事業所で働く人の処遇改善につながる土台となる。逆に、精度が上がった結果として小規模でも一定の採算が確認されれば、底上げの議論は鈍るかもしれない。いずれにせよ、これまで「見えなかった」ものが数字になることで、議論は感覚論から実態論へと移る。
介護テクノロジーの維持コスト把握は「生産性向上=処遇原資」の検証につながる
介護テクノロジーの機器別ランニングコストを把握する見直しも、働く人と無関係ではない。近年の改定は、生産性向上の取り組みを処遇改善の上乗せ要件に組み込む方向にある。だが導入後の維持コストが重ければ、生産性向上で浮いた原資が機器の保守費に消え、賃上げに回らない恐れもある。維持コストが数字で見えるようになれば、「テクノロジー投資が本当に処遇の原資を生んでいるか」を検証できる。2027年度改定で生産性向上加算の設計を精緻化するうえで、現場の負担実態に即した制度設計を促す材料になるだろう。働く人にとっては、職場が導入する見守りセンサーやインカムが、自分の負担軽減と賃上げのどちらにつながっているのかを問い直す手がかりにもなる。
働く人が今からできる「データの読み方」
調査結果が出るのは2026年秋だが、働く人の側で今からできる準備もある。求人や転職を検討する際に、その事業所が集合住宅併設型なのか地域を広く回る戸別訪問型なのか、規模はどの程度かを意識して見ておくことだ。秋に公表される収支差率を規模別・類型別に読めば、自分の働く事業所が統計上どのあたりに位置するのかが推測でき、2027年度改定でその類型の報酬がどう動きそうかを先回りして読める。制度のニュースを「遠い話」ではなく「自分の待遇の前触れ」として捉える視点が、これからのキャリア選択ではますます重要になる。調査設計の見直しは、その読み解きの解像度を一段上げてくれるはずだ。
参考資料
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要- 厚生労働省
- [5]
- [6]
まとめ
令和8年度介護事業経営実態調査は、2026年5月に実施され、令和7年度決算をもとに2026年10月頃に結果が公表される。今回は訪問介護の抽出率を1/10から1/8へ引き上げ、ヘルパーの移動時間や集合住宅向け訪問と戸別訪問の区分、介護テクノロジーの機器別維持コストまで踏み込んで把握する。いずれも、これまで平均値に埋もれていた採算の差を「見える化」する設計変更だ。
収支差率という一つの数字が、報酬を上げるか抑えるかの議論の出発点になる以上、その測り方を精緻にすることは、訪問介護で働く人の基本報酬や処遇の行方に直結する。移動の負担や小規模・地方の苦境が数字で裏づけられれば、底上げを求める根拠が厚くなる。逆に効率的な事業所の好調が示されれば、その部分の適正化が論点になる。どちらに転んでも、議論の質はデータの精度にかかっている。
2027年度改定の議論を追ううえで、まずはこの調査がどんな実態を映し出すかに注目したい。あなたが働く(あるいはこれから働く)事業所は、集合住宅型か戸別型か、大規模か小規模か。その違いが、これからの待遇を左右する時代に入りつつある。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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