
在宅介護のお金、家族が知っておくべき制度と節約のコツ
在宅で親を介護する家族向けに、介護保険の自己負担、医療費控除、障害者控除、高額介護サービス費、世帯分離、介護離職、成年後見人報酬、相続対策まで、お金の問題をまとめて解説。2026年制度対応。
在宅介護のお金の要点
在宅介護の自己負担は月平均4〜5万円が目安で、介護保険サービスは所得に応じて1〜3割負担です。高額介護サービス費(一般世帯の上限月4万4,400円)、医療費控除、障害者控除認定、世帯分離、介護休業給付金(賃金の67%)などを組み合わせれば、家族の経済的負担を大きく軽減できます。制度は2026年も段階的に改正されており、お住まいの市区町村や税務署、地域包括支援センターで最新情報の確認が欠かせません。
目次
はじめに:在宅介護の「お金の不安」は制度で軽減できる
親の介護が始まると、多くの家族が真っ先に直面するのが「お金の問題」です。毎月の介護サービス費だけでなく、おむつ代や福祉用具、介護保険外の自費サービス、通院の交通費など、想定外の支出が積み重なります。さらに介護のために仕事をセーブすれば家族の収入も減り、将来の相続や成年後見の準備まで見据えると、不安はいっそう大きくなります。
ただ、公的制度を正しく理解して活用すれば、在宅介護の費用負担は相当程度まで抑えられます。本記事では、家族が在宅で親などを介護する場合に直面するお金の問題を、費用の内訳・軽減制度・税金・労働・相続まで総合的にまとめました。すべての金額は厚生労働省や国税庁など公的データの目安であり、個別の詳細はお住まいの市区町村・税務署・地域包括支援センターにご確認ください。
なお、当サイトでは「介護で仕事をどうするか」を考えるきっかけとして働き方診断も無料で提供しています。収入と介護の両立が不安な方はあわせてご活用ください。
在宅介護にかかるお金の全体像
家族が在宅で親を介護する場合、発生する費用は大きく「介護保険の自己負担」「介護保険外の自費部分」「一時費用(住宅改修・福祉用具購入など)」「医療費」「間接的な費用(家族の収入減など)」の5つに分類できます。
生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した一時的な費用(住宅改修や介護用ベッド購入など)は平均約47万円、月々の費用は平均8.3万円前後、介護期間の平均は約5年1か月(61.1か月)というデータがあります。ただし、在宅のみの場合は月額4〜5万円台に収まるケースも多く、施設介護と比べて毎月の自己負担は低めになる傾向があります(金額はあくまで目安)。
費用1:介護保険の自己負担(1〜3割)
訪問介護、訪問看護、デイサービス(通所介護)、福祉用具レンタルなど、介護保険でカバーされるサービスの自己負担分です。原則1割ですが、所得に応じて2割・3割になります。
厚生労働省の要介護度別「区分支給限度基準額」の範囲内であれば1〜3割負担で利用できますが、限度額を超えた分は全額自己負担となります。要介護度別の月額限度額は以下のとおりです(1単位=10円換算、地域区分により異なる)。
| 要介護度 | 区分支給限度額(月額・単位) | 1割負担の目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 約5,032円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 約10,531円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 約16,765円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 約19,705円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 約27,048円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 約30,938円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 約36,217円 |
出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」支給限度基準額
費用2:介護保険外の自費サービス
介護保険では対応できない「家族分の調理」「大掃除」「草むしり」「趣味の外出付き添い」などは、自費サービスとして全額自己負担になります。目安相場は次のとおりです。
- 身体介護(自費ヘルパー):30分2,000〜4,000円
- 生活支援・家事代行:30分2,500〜4,000円、または1時間5,000円前後
- 配食サービス:1食500〜1,000円(1日1食・月30日で15,000〜30,000円が目安)
- 訪問理美容:1回500〜2,500円(自治体助成あり)
- 移送・外出支援(介護タクシー等):1回5,000〜10,000円+交通費
- 見守り・緊急通報サービス:月額1,500〜5,000円
費用3:一時的な費用(住宅改修・福祉用具購入)
手すり設置や段差解消などの住宅改修には、介護保険から20万円を上限に改修費の7〜9割が支給されます(原則1人1回)。特定福祉用具購入費(ポータブルトイレ、入浴用いすなど)も、年間10万円までを上限に7〜9割が介護保険から戻ります(厚生労働省「介護保険制度の概要」)。ただし、バリアフリー全面リフォームなど上限を超える分は自費となります。
費用4:医療費・通院費
高齢者は複数の持病を持つことが多く、診察代・薬代・通院交通費が継続的にかかります。後期高齢者医療制度(75歳以上)では自己負担は原則1割(現役並み所得は3割、一定以上所得は2割)です。
費用5:家族の間接的な費用
介護のためにパートに切り替えたり、離職したりすると家族自身の収入が減少します。後述する介護離職のデータでは、年収が約4〜5割減少した例も報告されています。介護そのものの出費だけでなく、この「逸失収入」までを含めて総額を考えることが、在宅介護のお金を考えるうえでの基本です。
介護保険の自己負担(1〜3割)のしくみ
在宅介護費用の中心は、介護保険サービスを利用したときの自己負担分です。65歳以上の方(第1号被保険者)の自己負担割合は、本人と世帯の所得状況によって1割・2割・3割の3段階に分かれます。
1割・2割・3割はどう決まるか
厚生労働省の「利用者負担割合の見直しに係る周知用リーフレット」によれば、判定フローは次のとおりです。
- 本人の合計所得金額が160万円未満(または65歳以上の収入合計が単身280万円未満・夫婦346万円未満)の場合 → 1割負担
- 本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、一定の収入基準を超える場合 → 2割負担
- 本人の合計所得金額が220万円以上で、単身340万円以上・夫婦463万円以上の年金等収入がある場合 → 3割負担
毎年8月に「介護保険負担割合証」が市区町村から交付され、これが自己負担割合の根拠になります。有効期限は原則8月1日〜翌年7月31日です。
自己負担月額シミュレーション(要介護3・1割負担の例)
要介護3で支給限度額いっぱい(27,048単位)までサービスを利用し、自己負担が1割の場合、介護保険部分の自己負担は月額約27,000円です。ここに福祉用具レンタル費(介護ベッド・車いす等)の1〜3割負担や、食費・日用品・医療費などが加わります。みんなの介護の試算では、要介護3の在宅介護の月額総費用はおおむね11万円前後(居住費・食費・光熱費を含む)との例が示されています(あくまで目安)。
支給限度額を超えた「10割負担」に注意
必要なサービスが増え、ケアプランが区分支給限度額を超えた場合、超えた分は全額(10割)自己負担です。例えば、要介護1の方が限度額(約16,765単位)を超えて訪問介護を追加で月5,000単位分使えば、その部分は約5万円(単価10円想定)がまるごと自費になります。超過が頻繁に起きる場合は、ケアマネジャーに相談してサービスの組み換えや追加で要介護度の区分変更申請を検討しましょう。
福祉用具・住宅改修の自己負担
福祉用具レンタル(介護ベッド、車いす、歩行器、手すりなど)は介護保険の給付対象で、1〜3割の自己負担です。特定福祉用具販売(ポータブルトイレ、入浴補助用具など)は年間10万円を上限に償還払い、住宅改修は1人あたり累計20万円までの改修費が対象になります。
高額介護サービス費で月々の負担に上限を設ける
月々の介護サービスの自己負担が高額になった場合、所得区分ごとの「負担上限額」を超えた分が払い戻されるのが高額介護サービス費制度です。厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1390(令和7年6月4日)」などで区分が定められています。
所得区分別の月額負担上限(2026年時点の目安)
| 区分 | 負担の上限(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上) | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円以上690万円未満(年収約770〜1,160万円) | 93,000円(世帯) |
| 課税所得380万円未満(一般的な住民税課税世帯) | 44,400円(世帯) |
| 住民税非課税世帯 | 24,600円(世帯) |
| 前年の合計所得+公的年金収入が年80.9万円以下等 | 24,600円(世帯)/15,000円(個人) |
| 生活保護を受給している方等 | 15,000円(個人) |
出典:厚生労働省「健康保険法施行令等の一部を改正する政令等の公布について」(令和7年6月4日)
対象になるサービス・ならないサービス
対象は、介護保険が適用される居宅サービス・施設サービスの自己負担分です。次のものは対象外なので注意が必要です。
- 施設の食費・居住費(滞在費)、差額ベッド代
- 在宅で利用した福祉用具の購入費・住宅改修費
- 日常生活費(おむつ代、理美容代など)
- 介護保険外の自費サービス
- 支給限度額を超えて利用した10割負担の部分
申請方法と注意点
対象になると、市区町村から「介護保険高額介護(予防)サービス費支給申請書」が送られてきます。必要事項を記入し、振込先の口座情報などとあわせて提出します。初回は申請が必要で、一度申請すれば以降は自動的に振込まれる自治体が多いですが、申請の時効は支給対象となった月の翌月1日から2年です。心当たりがある方は、介護サービス事業所の領収書を整理して確認しましょう。
なお、後述する医療費控除を使う場合、高額介護サービス費として払戻しを受けた金額は、医療費控除の計算からは差し引きます(国税庁タックスアンサーNo.1127「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」)。
あなたに合った介護の働き方は?
簡単な質問に答えるだけで、ピッタリの施設タイプがわかります
医療費控除:在宅介護費も「一部は医療費」になる
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円を超えた場合(総所得金額200万円以下の方は総所得の5%)、その超過分を所得から差し引ける制度が医療費控除です。介護サービスの自己負担分も、一定の条件で医療費控除の対象となります(国税庁タックスアンサーNo.1125・No.1127)。
在宅介護で医療費控除の対象になるサービス
国税庁は、居宅サービスを「医療系サービス」「福祉系サービス」に分けて取り扱います。
- 単独で医療費控除の対象になる(医療系サービス):訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション、短期入所療養介護
- 医療系と併せて利用する場合のみ対象になる(福祉系サービス):訪問介護(生活援助中心型を除く)、訪問入浴介護、通所介護、短期入所生活介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護 など
- 対象外(医療系と併用しても不可):生活援助中心型の訪問介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)における介護サービス など
※居宅介護サービス事業者が発行する領収書には、医療費控除の対象金額が記載されますので、必ず保管してください。
おむつ代・通院交通費も対象
6か月以上寝たきりの方の紙おむつ・貸しおむつ代は、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば医療費控除の対象です(2年目以降は、市区町村が主治医意見書の内容を確認した書類や主治医意見書の写しで代替できる場合あり)。また、通所リハビリや短期入所療養介護などへの通院に通常必要な交通費も対象で、公共交通機関は領収書不要ですが日付・金額をメモしておきましょう。
「生計を一にする親族」なら別居でも合算できる
医療費控除は「生計を一にする親族」であれば、別居でも合算できます。勤務や療養の都合で別居していても、生活費・療養費を常に送金している場合は「生計を一」とみなされます。親の年金で介護費用をまかないきれず、子が毎月仕送りしているような場合、子が自分の確定申告で医療費控除を使える可能性があります。所得税率が高い家族が申告したほうが還付額は大きくなるため、家族で相談しましょう。
控除額の計算式
医療費控除額 = (1年間に支払った医療費の合計 − 保険金等で補填された金額)− 10万円(または総所得の5%)
例:家族全体で年間20万円の医療費・介護費用を支払い、高額介護サービス費の払戻しが2万円あった場合 → (20万 − 2万) − 10万 = 8万円が医療費控除額。所得税率10%の人なら約8,000円、20%の人なら約16,000円の所得税還付があり、翌年の住民税も下がります。
還付申告は5年間さかのぼって行えます。領収書を整理し、税務署の確定申告期(原則2月16日〜3月15日)またはe-Taxで申告しましょう。
障害者控除認定書:要介護でも使える「隠れた節税」
障害者控除は、本人または扶養親族が所得税法上の障害者に該当するときに、所得から一定額を差し引ける制度です(国税庁タックスアンサーNo.1160・No.1185)。身体障害者手帳や療育手帳を持っていなくても、要介護認定を受けた65歳以上の方は、市区町村から「障害者控除対象者認定書」が交付されれば、税法上の障害者として控除を使えます。
控除額の目安
| 区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 障害者 | 27万円 | 26万円 |
| 特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
| 同居特別障害者(扶養親族) | 75万円 | 53万円 |
出典:国税庁「No.1185 扶養控除」「No.1160 障害者控除」
認定の目安(自治体によって異なる)
障害者控除対象者認定書は市区町村が独自に基準を定めて発行するため、自治体ごとに判定基準が異なります。一般的な目安としては、
- 障害者に相当:要介護2〜3程度、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱb以上など
- 特別障害者に相当:要介護4〜5、寝たきり、認知症Ⅲa以上、知的障害者(重度)に相当 など
があります。要介護度だけで一律に決まるわけではなく、認知症の程度や寝たきり度合いも総合的に判断されます。必ずお住まいの市区町村の介護保険課・福祉課に問い合わせてください。
申請から確定申告までの流れ
- 市区町村の担当窓口で「障害者控除対象者認定申請書」を提出(要介護認定結果通知書や主治医意見書などを求められる場合あり)
- 1〜数週間で「障害者控除対象者認定書」が交付される
- 確定申告時に認定書の写しを添付して、障害者控除を適用
過去の分もさかのぼって申請できる場合があります(所得税は5年、住民税は一部の自治体で遡及可)。すでに介護しているのにこの制度を使っていなかった方は、早めに相談してみましょう。
介護保険の障害者控除とは別制度
注意点として、所得税法上の「障害者控除」と、介護保険における「障害者手帳による保険料軽減」は別制度です。また、障害者控除対象者認定書は、身体障害者手帳の代わりになるものでもありません。税金上の障害者控除を使う目的に限定された書類である点に注意してください。
世帯分離:メリットと落とし穴
世帯分離とは、同じ住所に住みながら住民票の世帯を分ける手続きです。市区町村役場で「世帯変更届」を提出することで行えます。介護費用や保険料の所得区分は原則「世帯単位」で判定されるため、世帯分離で親世帯の所得を切り離すと、介護費用の上限額が下がるケースがあります。
世帯分離のメリット
- 高額介護サービス費の上限が下がる:親世帯が住民税非課税になれば、月44,400円→24,600円へ引き下げられ、個人判定で15,000円まで下がる可能性も
- 介護保険料が安くなる:65歳以上の介護保険料は世帯の課税状況で段階判定されるため、非課税世帯になると保険料の段階が下がる
- 施設の食費・居住費の軽減:介護保険負担限度額認定証の対象になれば、ショートステイや特養入所時の食費・居住費が大幅に軽減される
- 後期高齢者医療制度の保険料:75歳以上の親の保険料も、世帯所得によって変動する部分があり下がる可能性
世帯分離のデメリット・注意点
- 医療費の高額療養費が合算できなくなる:同一世帯なら合算できた医療費の高額療養費が、別世帯になると合算不可に。医療費が多い家庭では逆に負担が増えることも
- 扶養控除・健康保険の扶養が外れるケース:子の扶養に入っていた親を別世帯にすると、扶養条件を満たさなくなる可能性。家族全体の税・社保負担が増えることも
- 家族手当・住宅手当への影響:会社から「扶養家族がいる前提」で手当を受けている場合、見直しが入る場合あり
- 「不正な世帯分離」と判断されるリスク:実態が同一家計なのに制度利用のためだけに分離した、と見られることを避ける
判断のコツ:シミュレーションが必須
世帯分離は「得になる家族」と「かえって損になる家族」が明確に分かれます。判断の目安は次のとおりです。
- 親の年金収入が低く、住民税非課税に近いライン ⇒ 世帯分離のメリット大
- 親が要介護3以上で介護サービス費が月4万円前後に達する ⇒ 高額介護サービス費の差が大きく、メリット大
- 家族の医療費がかさみがち、または高額な医療を受けている親がいる ⇒ 高額療養費合算不可のデメリットが大きい可能性
- 子が会社の家族手当や健康保険の扶養を受けている ⇒ 会社の規定確認が必須
市区町村の介護保険窓口と税務署の両方で事前に試算してもらうのが安全です。届出後は翌月から適用されることが一般的です。
負担限度額認定証と2026年8月の改定
施設に入所した場合やショートステイ利用時の食費・居住費を軽減する「介護保険負担限度額認定証」は、原則世帯全員(住民票上別世帯の配偶者を含む)が住民税非課税であることが要件です(厚生労働省)。厚生労働省は令和7年6月4日付の通知(介護保険最新情報Vol.1390)で、2026年(令和8年)8月から、利用者負担第3段階①の食費を1日30円、第3段階②を1日60円引き上げる方針を示しました(第1段階・第2段階は据え置き)。在宅介護中心の方も、ショートステイを使う際に関係するため、最新の様式・金額は市区町村で確認しましょう。
介護離職と収入減:介護休業給付金を使い倒す
介護のためにフルタイムを離れる「介護離職」は、家族のお金にとって最大級のリスクです。厚生労働省の就業構造基本調査をもとに介護ポータルサイトが紹介しているデータでは、介護を理由とする離職者は年間約7万〜10万人にのぼります。
介護離職後の収入減
「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査(2012年、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)」の分析によれば、介護を機に離職・転職した人のうち、転職後も正社員で働けているのは男性で34.5%、女性で21.9%。年収は、男性が556万円→341万円(約40%減)、女性が350万円→175万円(約50%減)へ大きく下がったと報告されています。離職後の精神面・肉体面・経済面すべてで負担が増したと感じる人が多いのも特徴です。
介護生活が終わっても、50代以降での再就職は難しく、生涯賃金と年金額の両方に影響します。「離職しない」ことが、結果的に家族の老後資金を守ることにつながります。
介護休業給付金(雇用保険)を活用する
介護休業給付金は、雇用保険の被保険者が対象家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫)を介護するために休業した場合に支給されます。
- 支給額:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
- 対象期間:対象家族1人につき通算93日、3回まで分割取得可
- 受給要件:介護休業開始前2年間に、被保険者期間(賃金支払基礎日数11日以上の月)が12か月以上
- 支給上限:月額支給額の上限は約35万6,574円(令和7年8月1日以降・厚生労働省)
厚生労働省のQ&Aによれば、月給の目安と支給額の概算は、
- 月額15万円 → 月額約10万円
- 月額20万円 → 月額約13.4万円
- 月額30万円 → 月額約20.1万円
です。会社から休業中に通常賃金の80%以上が支払われる場合は給付金は支給されません(13%以下なら67%が満額支給)。
介護休暇との違い
介護休業のほかに「介護休暇」もあります。こちらは1年に5日(対象家族2人以上なら10日)までで、1日または時間単位で取得可能。当日申し出も可能で、短時間の通院付き添いなどに使いやすいですが、給付金はありません。介護休業と介護休暇を組み合わせて使うのが実務的です。
家族介護慰労金(自治体独自の制度)
介護保険サービスを1年以上利用せず、要介護4〜5の家族を在宅介護している同居家族に対して、年額10〜12万円程度を支給する「家族介護慰労金」を設けている自治体があります。ただし、要介護4〜5の方を介護保険なしで在宅介護するのは現実的に厳しいことが多く、サービスが整っていないエリアの家族や、どうしても自宅で対応する家族向けの制度とされています。制度の有無・条件は自治体ごとに大きく異なるため、お住まいの市区町村に確認してください。
育児・介護休業法2025年改正にも注目
2025年4月・10月の育児・介護休業法改正で、介護離職防止に向けた事業主の義務が強化されています。具体的には、
- 40歳時点での介護制度周知の義務化
- 家族の介護に直面した労働者への個別の情報提供
- 両立支援のための研修・相談体制整備の努力義務
などです。中小企業も対象なので、会社の規定に介護休業制度が明記されているか確認しましょう。
成年後見制度と後見人報酬
認知症が進み、本人が預貯金の引き出しや契約の判断ができなくなると、成年後見制度の利用が必要になる場合があります。銀行口座の凍結や不動産売却の停止など、介護のお金まわりに深く関わる制度です。
法定後見と任意後見の違い
- 法定後見:判断能力が既に低下した後に、家庭裁判所に申し立てて後見人が選ばれる制度。判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型
- 任意後見:判断能力があるうちに、信頼できる人と公正証書で契約を結んでおき、判断能力低下時に家庭裁判所が任意後見監督人を選任して開始する制度
費用の目安(家族だけで完結しないケース)
司法書士・弁護士などの専門職が後見人・任意後見人になる場合、主な費用は次のとおりです。
- 任意後見契約の公正証書作成:基本手数料11,000円+登記嘱託手数料1,400円+印紙代2,600円 など
- 法定後見の申立費用:申立手数料の収入印紙800円、登記手数料1,400円、連絡用切手3,000〜5,000円、鑑定が必要な場合は5〜10万円
- 後見人の月額報酬:家庭裁判所が本人の財産額に応じて決定。目安は月2〜5万円。管理財産が高額になると6万円以上になることも
- 後見監督人の月額報酬:任意後見では監督人に月1〜3万円程度
家族や親族が後見人になる場合、契約で定めなければ法律上は無報酬ですが、家庭裁判所に報酬付与の申立てを行って本人の財産から月数千円〜数万円の報酬を受け取ることも可能です。最高裁判所「成年後見関係事件の概況」によれば、親族後見人の割合は年々低下しており、専門職後見人の選任が主流になっています。
後見制度の注意点
- 一度後見が開始すると、原則として本人が亡くなるまで継続。途中でやめられない
- 本人の財産から生活費以外の大きな支出(孫への贈与など)は原則できない
- 家庭裁判所への年次報告が必要で、家族が後見人でも事務負担が発生する
成年後見までいかない選択肢
判断能力がまだ残っている段階なら、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業や家族信託といった代替手段もあります。厚生労働省「日常生活自立支援事業」では、預貯金の払い戻し・公共料金の支払いなど日常的な金銭管理を、契約に基づいて有料(1時間1,200円程度)で支援します。家族信託は、親が元気なうちに子へ財産管理を託す契約で、信託財産の評価額の1%前後の報酬で専門家に組成を依頼するケースが多いとされています。
いずれも、親の判断能力が失われる前に動くのが鉄則です。
相続・遺言の準備:介護した家族が損をしないために
在宅介護の議論で後回しにされがちなのが、相続と遺言の準備です。介護の負担は特定の子に集中しがちですが、法定相続分は原則として子に均等であるため、介護をした人が「同じ相続分」に納得できず、きょうだいで争うケースが少なくありません。
介護した相続人の「寄与分」
民法904条の2に定められた寄与分は、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人が、法定相続分に上乗せして遺産を受け取れる制度です。介護で寄与分が認められるには、次のような要件を満たす必要があります(横須賀の弁護士事務所、夢相続などの解説より)。
- 相続開始前に行われた寄与行為であること
- 扶養義務を超えた「特別の貢献」であること(単に同居で世話をしただけでは不十分)
- 介護や看護が被相続人にとって必要不可欠だったこと
- 一定期間以上行われていたこと(短期間・一時的では認められにくい)
- 対価(給料など)を受け取っていなかったこと
- 財産の維持・増加につながっていること(介護費用の減少など)
裁判所が参考にする寄与分の計算式は「介護の日当額 × 介護日数 × 裁量割合」です。例えば日当8,000円で3年間(1,095日)介護し、裁量割合0.7と判断されると、寄与分は8,000 × 1,095 × 0.7 ≒ 613万2,000円が目安となります(あくまで裁判例を参考にした目安値)。
寄与分を認めてもらうための証拠
- 介護日誌:介護した日・時間・内容を記録(例:週5回、食事介助と入浴介助)
- 医療費・介護費の領収書:自己負担した金額の証拠
- ケアマネジャーや近隣の証言:介護の中心人物だったことを示す
- 勤務記録:介護のために仕事をセーブ・退職した事実を示す会社の証明書など
親の生前にできる4つの対策
相続でトラブルを避ける最短ルートは、親が元気なうちに遺言書や契約を整えておくことです。
- 公正証書遺言:公証役場で作成。「長男には介護の貢献があるため、財産の○%を相続させる」などと明記することで、他の相続人とのトラブルを予防できる
- 負担付死因贈与契約:「介護をしてくれた代わりに、死亡時に特定の財産を贈与する」と親と契約
- 生前贈与:年間110万円までの暦年贈与、相続時精算課税制度など(2024年以降は精算課税の基礎控除年110万円も新設)
- 生命保険の受取人指定:介護した子を受取人にすれば、相続財産とは別枠(500万円×法定相続人数までは非課税)で現金を渡せる
介護している時にしておきたい実務準備
- 親の預貯金口座・証券口座・保険証券を一覧化(エンディングノートの活用)
- 不動産の登記簿、固定資産税の納税通知書を保管場所とともに共有
- 介護に関わる領収書・振込記録をすべて保管(寄与分・医療費控除の両方で役立つ)
- 家族会議を定期的に開き、介護の負担と今後の方針(施設入所の可能性含む)を話し合う
空き家の税・管理リスクも視野に
親が亡くなった後に実家を空き家のまま放置すると、固定資産税の住宅用地特例(最大1/6減額)が外れて税額が数倍に跳ね上がるケースがあります。2023年12月施行の改正空家等対策特別措置法では、管理不全空家に対しても住宅用地特例を解除できるようになりました。相続発生後の選択肢(売却・賃貸・空き家バンク登録)を家族で話し合っておくことも、介護のお金全体に関わる重要なテーマです。
要介護度別・家族の自己負担シミュレーション(独自試算)
家族が在宅介護する場合、要介護度と利用サービスによって月額の自己負担は大きく変わります。下記は公的データ(厚生労働省の支給限度額、みんなの介護・三菱UFJ銀行の解説等)をもとに当サイトが試算したモデルケースです。1割負担・1単位10円・高額介護サービス費は考慮前の概算で、地域によって単価は異なります。
モデル1:要介護1(比較的軽度)
- デイサービス週2回、訪問介護週1回、福祉用具レンタル(歩行器)
- 介護保険自己負担:約12,000円
- おむつ・日用品:約5,000円
- 自費サービス(家事代行月2回):約10,000円
- 月額自己負担:約27,000円
モデル2:要介護3(在宅介護の中心的ボリュームゾーン)
- デイサービス週3回、訪問介護週3回、訪問看護週1回、ショートステイ月4日、福祉用具レンタル(介護ベッド・車いす)
- 介護保険自己負担:約27,000円(支給限度額に近い利用)
- おむつ・日用品・食事関連:約15,000円
- 自費サービス(配食月30食、見守り):約20,000円
- 医療費(薬代・通院):約10,000円
- 月額自己負担:約72,000円(高額介護サービス費の対象になる可能性あり)
モデル3:要介護5(重度・ほぼ寝たきり)
- 訪問介護週6回、訪問看護週2回、訪問入浴週1回、デイサービス週2回、ショートステイ月8日、福祉用具レンタル一式
- 介護保険自己負担:約36,000円(限度額いっぱい)
- おむつ代:約10,000円
- 自費サービス(家事代行・配食):約30,000円
- 医療費・消耗品:約15,000円
- 月額自己負担:約91,000円(高額介護サービス費で一般世帯なら44,400円超が還付対象)
年単位でみた負担イメージ
要介護3のモデルケースで月額7.2万円の場合、年額は約86万円。高額介護サービス費の還付を受け、医療費控除・障害者控除を併用すれば、実質負担はここから数万円〜10万円以上減るケースもあります。介護期間の平均が約5年(生命保険文化センター調査)であることを踏まえると、在宅介護の総自己負担は300〜500万円規模になることは珍しくなく、家族の収入減まで含めると合計1,000万円前後の経済的インパクトがあり得ます。
※すべて当サイト独自の試算であり、地域やケアプラン、所得によって大きく変動します。正確な試算はケアマネジャーや地域包括支援センターで相談してください。
家族で取り組む「お金の準備」5ステップ
ステップ1:親の財産と収入を棚卸しする
年金受給額、預貯金、持ち家・マンション、生命保険、株式、借金の有無をエンディングノートにまとめます。親の介護は原則、親の年金と貯蓄でまかなうのが基本方針(三井住友銀行「親の介護費はいくら?」ほか)。不足する場合のみ、家族が補うかたちに設計するのが、家族の家計バランスを守るコツです。
ステップ2:介護保険と公的制度を把握する
本記事で解説した以下の制度を、チェックリストとして家族で共有します。
- 介護保険負担割合証(1〜3割の確認)
- 高額介護サービス費制度
- 介護保険負担限度額認定証(ショートステイ・施設利用時)
- 特定疾病による40〜64歳の介護保険利用(対象16疾病)
- 高額医療・高額介護合算療養費制度(医療と介護の自己負担合計が年間上限を超えた場合、超過分が払い戻される)
- 家族介護慰労金(自治体独自・要確認)
ステップ3:確定申告と税控除の準備
- 領収書・医療費通知は1年分まとめて保管(介護サービス、おむつ、交通費、薬代)
- 医師からの「おむつ使用証明書」取得
- 市区町村で「障害者控除対象者認定書」を申請
- 生計を一にする家族のうち、最も所得税率が高い人で申告を検討
ステップ4:働き方と会社制度を見直す
会社の就業規則に介護休業・介護休暇・短時間勤務制度・フレックス・テレワーク規定があるかを確認。人事・上司に早めに相談し、利用できる制度をリスト化します。すぐに離職を決めず、まずは介護休業93日+介護休暇5日を組み合わせて、ケアプラン・施設見学・役所の手続きなどの「初期対応」を終えるのが基本パターンです。
介護と仕事の両立が難しい職種の場合、夜勤なし・日勤のみ・時短可能な職場への転職を検討する余地もあります。当サイトの働き方診断では、介護との両立を前提に自分に合った介護業界の働き方を無料で探せます。
ステップ5:相続と後見の道筋をつくる
- 親が元気なうちに公正証書遺言を作成してもらう
- 認知症リスクが見えたら、任意後見契約・家族信託・死因贈与契約を検討
- 不動産の名義や空き家対策まで含めて、弁護士・司法書士・税理士と早めに相談
誰に相談すればよいか
窓口ごとに得意分野が違います。用途で使い分けましょう。
| 相談先 | 得意な領域 |
|---|---|
| 地域包括支援センター | 要介護認定、介護保険サービス全般、家族介護慰労金、日常生活自立支援事業 |
| 市区町村の介護保険課 | 負担割合、高額介護サービス費、負担限度額認定証、世帯分離、障害者控除認定書 |
| 税務署・税理士 | 医療費控除、障害者控除、扶養控除、相続税、贈与税 |
| ハローワーク・労働局 | 介護休業給付金、育児・介護休業法、再就職支援 |
| 弁護士・司法書士 | 成年後見、遺言書、寄与分、相続トラブル、家族信託 |
| ファイナンシャルプランナー | 家計シミュレーション、生命保険見直し、老後資金設計 |
多くの自治体で、高齢者向けの無料法律相談・税務相談・家族会なども開かれています。地域包括支援センターが最初の相談窓口として機能しやすいので、まずはそこから動くのがおすすめです。
よくある質問
よくある質問
Q1. 親の介護費用は誰が払うのが正しいですか?
法律上、成人した子には親に対する扶養義務がありますが、これは「自分の生活を犠牲にしてまで負担する」ものではありません。公益財団法人生命保険文化センター等の調査でも、介護費用は親の年金・貯蓄から捻出するのが基本とされています。不足分を子が補う場合も、子自身の老後資金まで取り崩さない水準に抑えることが重要です。きょうだい間で分担ルールを決め、書面で残しておくとトラブルを防げます。
Q2. 介護費用がどうしても払えないときは?
選択肢として次のようなものがあります。
- 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度(特定の社福施設利用時の負担軽減)
- 生活福祉資金貸付制度(社会福祉協議会の低金利貸付)
- リバースモーゲージ・不動産担保型生活資金(持ち家を担保に生活費を借りる)
- 世帯分離と負担限度額認定証の活用
- 生活保護の申請
自治体の福祉事務所や社会福祉協議会が相談窓口です。
Q3. 施設入所と在宅介護、どちらが安いですか?
一般論としては、在宅介護のほうが月額費用は安く、要介護3のケースで月あたり数万円の差が出るとする試算もあります(みんなの介護・三菱UFJ銀行の試算より)。ただし、家族の逸失収入や、家族の体力・精神的負担までを含めれば、必ずしも在宅のほうが得とは限りません。親の状態と家族の事情を総合して判断しましょう。
Q4. おむつ代は医療費控除の対象になりますか?
6か月以上寝たきりの方で、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば、紙おむつ・貸しおむつ代は医療費控除の対象になります。2年目以降は、市区町村が主治医意見書の内容を確認した書類や主治医意見書の写しで代替できる場合があります(国税庁)。
Q5. 40〜64歳でも介護保険は使えますか?
40〜64歳の方(第2号被保険者)は、16種類の特定疾病(初老期認知症、脳血管疾患、末期がん、関節リウマチ、パーキンソン病関連疾患、糖尿病性神経障害等)が原因で要介護・要支援状態になった場合に限り、介護保険サービスを利用できます。自己負担は原則1割です。
Q6. 障害者控除認定書は毎年申請が必要ですか?
多くの自治体では有効期間が1〜数年間で、更新手続きや再申請が必要です。自治体により「要介護度に変更があった場合のみ更新」などの運用が異なります。お住まいの市区町村の担当課に確認してください。
Q7. 世帯分離をすると家族関係が変わりますか?
法律上の家族関係(親子・配偶者)は変わりません。変わるのは住民票上の世帯と、それをもとに判定される税・社会保険制度の扱いです。ただし、扶養控除や健康保険の扶養条件は所得や同居の有無などで判断されるため、世帯分離とあわせて総合的に確認が必要です。
Q8. 介護休業給付金はパートでも受けられますか?
雇用保険に加入していて、介護休業開始前2年間に「賃金支払基礎日数11日以上の月」が12か月以上あれば、パート・契約社員でも介護休業給付金を受給できます。有期雇用の場合、雇用期間や更新見込みについて追加の要件があります(ハローワークで確認を)。
Q9. 家族信託は成年後見とどう違いますか?
成年後見は、判断能力が低下してから家庭裁判所が関与する「公的な制度」です。家族信託は、判断能力があるうちに「親子間の契約」で財産管理を託す「民事信託」で、柔軟な財産管理(不動産の売却・賃貸、積極的な運用など)が可能です。費用は組成時に信託財産の1%前後が目安で、以降の家庭裁判所への報告義務はありません。ただし、契約書の設計は専門性が高いため、司法書士・弁護士の関与が実質的に必須です。
Q10. 介護のために自分の仕事を辞めるべきか迷っています
厚生労働省や各種調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング等)のデータでは、介護離職後に正社員として再就職できるのは半数以下で、収入も大きく下がる傾向があります。離職は最後の手段とし、介護休業・介護休暇・時短勤務・テレワーク、ケアマネジャーへの相談、働き方の見直し(介護と両立しやすい業界への転職含む)を順に検討するのがおすすめです。当サイトの働き方診断でも、介護と両立できる働き方のヒントを無料で確認できます。
働き方診断のご案内
介護と両立できる働き方を無料診断
在宅介護のお金の不安は、公的制度の活用だけでなく「自分の働き方」を見直すことでも大きく変わります。夜勤なし、日勤のみ、時短勤務、在宅ワーク可など、介護と両立しやすい働き方は介護業界の中にも数多くあります。
当サイトの働き方診断は、いくつかの質問に答えるだけで、自分に合った介護業界の働き方のタイプと、向いている職場像を無料で知ることができます。介護と仕事の両立に悩む前に、まずは自分の選択肢を広げてみませんか。
参考文献・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
- [6]
- [7]
- [8]
- [9]
- [10]
まとめ:制度を知ることが家族の家計を守る
在宅介護のお金の問題は、「介護保険の自己負担」だけで完結しないのが最大のポイントです。高額介護サービス費、医療費控除、障害者控除認定、世帯分離、介護休業給付金、成年後見制度、遺言・相続対策──いずれも単独では効果が限定的でも、組み合わせて活用することで家族の経済的負担を大きく下げられます。
特に、
- 介護保険負担割合証(1〜3割)と高額介護サービス費の上限月額
- 医療費控除と障害者控除対象者認定書の併用
- 介護休業給付金による収入67%の確保と、離職を避ける選択
- 親の生前に公正証書遺言・家族信託を整えておくこと
の4点は、早い段階から家族で取り組む価値があります。すべての制度は市区町村や税務署、地域包括支援センターが窓口になりますので、悩むより先にまず相談してみるのが、家計を守る最短ルートです。
介護のお金の不安は、情報があるかないかで大きく変わります。本記事のチェックリストをもとに、家族で一度、介護と仕事の両立について話し合ってみましょう。そのうえで、介護と無理なく両立できる働き方を探したい方は、働き方診断もあわせてご活用ください。
続けて読む

2026/4/18
ショートステイの予約方法|家族が迷わず進める手順と取れない時の対策
ショートステイの予約手順を家族向けに解説。ケアマネ相談から契約までの流れ、連続30日の上限、費用の目安、2026年8月の制度改定、予約が取れない時の具体策までまとめました。

2026/3/27
介護事業者の倒産が2年連続過去最多176件|賃上げの裏で進む淘汰と「潰れない施設」の見分け方
2025年の介護事業者倒産は176件で2年連続過去最多を更新。訪問介護91件が突出し、倒産の約8割が資本金500万円未満の小規模事業者に集中しています。人手不足・物価高・報酬改定の三重苦による倒産の原因分析と、転職者が経営安定施設を見分けるための独自チェックリスト7項目を詳しく解説します。

2026/3/27
介護ヒューマノイド「Ena」80法人連携で実証開始|人型ロボットは25万人の穴を埋められるか?
介護助手ヒューマノイドロボット「Ena」が2026年夏に全国80法人以上の連携で実証テスト開始。洗濯物たたみ・下膳・夜間巡視など周辺業務を自動化し、介護職員が利用者ケアに集中できる環境を目指します。ロボットで変わる現場の働き方、介護職のキャリアへの影響、DX時代の転職先選びのポイントを独自視点で解説。

2026/3/27
外国人介護福祉士の受験者が過去最多1.6万人|5人に1人が外国人の時代に何が変わる?
第38回介護福祉士国家試験で外国人受験者が過去最多の16,580人、全体の21.1%に到達。特定技能1号が初の1万人超え。在留資格別の合格率データ、外国人急増の3つの構造的要因、日本人介護職に求められる「教える力」や多文化共生スキル、転職先選びで確認すべき外国人材受け入れ体制を解説します。

2026/3/24
2026年6月 介護報酬臨時改定まとめ|介護職の給料はいくら上がる?【最新版】
2026年6月施行の介護報酬臨時改定を徹底解説。改定率+2.03%で介護従事者全体に月1万円、生産性向上事業所にはさらに月7,000円の上乗せで最大月1.9万円の賃上げが実現します。全15サービスの加算率一覧表、施設タイプ別の年収シミュレーション、転職先選びの5つのチェックポイントまで網羅した最新版です。