
フレイル健診(後期高齢者の質問票)とは
フレイル健診は75歳以上を対象にフレイルの兆候を早く見つける健診の通称。2020年度導入の後期高齢者の質問票15項目・10領域と、メタボ健診との違い、介護予防につなぐ流れを解説します。
フレイル健診(後期高齢者の質問票)の定義
フレイル健診とは、75歳以上の後期高齢者を対象に、フレイル(加齢に伴う心身の虚弱)の兆候を早く見つけることをねらいとした健診の通称です。2020年度(令和2年度)から導入された「後期高齢者の質問票」(15項目・10領域)を用いて健康状態を総合的に把握し、結果を介護予防や通いの場、地域の支援につなげる仕組みを指します。
目次
フレイル健診(後期高齢者の質問票)の概要
フレイル健診とはどんな健診か
「フレイル健診」は法令上の正式名称ではなく、後期高齢者医療制度に基づく健康診査のなかで、フレイルに着目した問診を行う運用をわかりやすく呼んだ通称です。中心となるのが、厚生労働省が2019年に策定し、2020年度から全国の市町村で順次使われている「後期高齢者の質問票」です。
従来の健診(特定健診、いわゆるメタボ健診)は、生活習慣病の重症化予防を主な目的として腹囲や血圧、血糖などを測ります。これに対してフレイル健診は、加齢に伴って心身の機能が弱り、要介護の手前にある状態(フレイル)を早く見つけ、悪化を防ぐことに重点を置いている点が大きな違いです。
質問票は、健康状態や心の健康、食習慣、口腔機能、運動、認知機能、社会参加など幅広い領域を一度にたずねる構成になっています。回答はそのままにせず、市町村が運営する国保データベース(KDB)システムに収載し、健診・医療・介護の情報と組み合わせて経年で確認します。これにより、支援が必要な高齢者を抽出したり、介護予防の取り組みの効果を評価したりできるようになっています。
後期高齢者の質問票15項目・10領域の一覧
後期高齢者の質問票の15項目と10領域
質問票は、フレイルにつながりやすい側面を10の領域に整理し、全15問でたずねます。回答は「はい・いいえ」など選択式で、本人が答えやすいよう工夫されています。No.と領域の対応は次のとおりです。
- 健康状態(No.1): あなたの現在の健康状態はいかがですか
- 心の健康状態(No.2): 毎日の生活に満足していますか
- 食習慣(No.3): 1日3食きちんと食べていますか
- 口腔機能(No.4・5): 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか/お茶や汁物等でむせることがありますか
- 体重変化(No.6): 6カ月間で2〜3kg以上の体重減少がありましたか
- 運動・転倒(No.7・8・9): 以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか/この1年間に転んだことがありますか/ウォーキング等の運動を週に1回以上していますか
- 認知機能(No.10・11): 周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われていますか/今日が何月何日かわからない時がありますか
- 喫煙(No.12): あなたはたばこを吸いますか
- 社会参加(No.13・14): 週に1回以上は外出していますか/ふだんから家族や友人と付き合いがありますか
- ソーシャルサポート(No.15): 体調が悪いときに、身近に相談できる人がいますか
このように、身体面だけでなく、心の状態や人とのつながり(社会参加・ソーシャルサポート)まで含めて把握する点が、フレイルを多面的に捉える質問票の特徴です。
フレイル健診と特定健診(メタボ健診)の違い
特定健診(メタボ健診)との目的の違い
74歳までの特定健診と、75歳以上のフレイル健診(後期高齢者の質問票を用いた健診)は、見ている方向が異なります。要点を整理すると次のとおりです。
| 観点 | 特定健診(メタボ健診) | フレイル健診(後期高齢者の質問票) |
|---|---|---|
| 主な対象 | 40〜74歳 | 75歳以上の後期高齢者 |
| 主な目的 | 生活習慣病(メタボリックシンドローム)の予防・重症化予防 | フレイルの早期把握と要介護化の予防 |
| 着目点 | 腹囲・血圧・血糖・脂質など、過剰のリスク | 低栄養・筋力低下・社会的孤立など、不足や衰えのリスク |
| 主なツール | 身体計測・血液検査・標準的な質問票 | 後期高齢者の質問票(15項目・10領域) |
たとえば「体重」も、特定健診では増えすぎが課題になりやすい一方、フレイル健診では半年で2〜3kg以上の減少が低栄養のサインとして重視されます。年齢が上がるにつれて、健康課題が「とりすぎ」から「衰え」へと移っていくことを反映した違いです。
フレイル健診の結果を介護予防につなげる流れ
質問票の結果がどう活かされるか
フレイル健診は、質問票に答えて終わりではありません。回答は健康状態を見立てる材料となり、必要な人を支援へつなぐ起点になります。一般的な流れは次のとおりです。
- 質問票への回答: 健診の場や通いの場、かかりつけ医のもとで15項目に回答します。
- KDBでの把握・確認: 回答を国保データベース(KDB)システムに収載し、健診・医療・介護の情報と組み合わせて健康状態を確認します。経年でデータを追うことで、変化の兆しもとらえやすくなります。
- 対象者の抽出: 支援が必要と考えられる高齢者を抽出し、市町村の保健師や専門職が個別に関わります。
- 介護予防・通いの場への接続: 運動・栄養・口腔・社会参加など、弱っている領域に応じて、介護予防教室や地域の通いの場、相談窓口、かかりつけ医などにつなげます。
- 評価と見直し: 支援後にあらためて状態を評価し、取り組みの効果を確認しながら見直します。
この一連の仕組みは「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」と呼ばれ、医療と介護予防をばらばらにせず、市町村が一体的に進めることをめざしています。
フレイル健診(後期高齢者の質問票)のよくある質問
よくある質問
- フレイル健診は何歳から受けるのですか。
- 後期高齢者医療制度の対象である75歳以上の方が主な対象です。一定の条件に当てはまる方は65歳以上で対象になる場合もあります。後期高齢者の質問票は、この年代の健診や通いの場などで使われています。
- 後期高齢者の質問票は何問ありますか。
- 全15項目で、健康状態・心の健康状態・食習慣・口腔機能・体重変化・運動転倒・認知機能・喫煙・社会参加・ソーシャルサポートの10領域に整理されています。回答は選択式で、短時間で答えられます。
- 特定健診(メタボ健診)とは何が違うのですか。
- 特定健診が生活習慣病の予防に重点を置くのに対し、フレイル健診はフレイルの早期把握と要介護化の予防に重点を置きます。体重も、特定健診では増えすぎ、フレイル健診では減りすぎ(低栄養のサイン)が課題として見られます。
- 質問票に答えた結果はどうなりますか。
- 回答は国保データベース(KDB)システムに収載され、健診・医療・介護の情報と組み合わせて確認されます。支援が必要と考えられる方は、市町村の専門職が個別に関わり、介護予防教室や通いの場、相談窓口などにつなげられます。
フレイル健診(後期高齢者の質問票)の参考資料
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
フレイル健診(後期高齢者の質問票)のまとめ
まとめ
フレイル健診は、75歳以上の心身の衰え(フレイル)を早く見つけるための健診の通称で、2020年度に導入された後期高齢者の質問票(15項目・10領域)が中心です。生活習慣病に目を向ける特定健診とは目的が異なり、低栄養や筋力低下、社会的なつながりの乏しさといった衰えのサインに着目します。回答はKDBを通じて経年で確認され、介護予防や通いの場、地域の支援につなげられます。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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