
厚労省、通所介護の令和9年度改定論点を提示|加算の整理・送迎負担・自立支援の質が焦点
厚生労働省は2026年6月15日の介護給付費分科会で、令和9年度介護報酬改定に向け通所介護の論点を提示した。自立支援の質向上、算定率に応じた加算の整理・簡素化、送迎業務の負担軽減が柱。基本報酬の底上げを求める声も上がった。
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この記事のポイント
厚生労働省は2026年6月15日の社会保障審議会・介護給付費分科会(第258回)で、令和9年度(2027年度)介護報酬改定に向けた通所介護(デイサービス)の論点を示した。柱は、高齢者の自立支援と生活機能の向上につながる質の高いサービスの評価、算定率に応じた加算の整理と報酬体系の簡素化、そして送迎業務の負担軽減の3点。委員からは「基本報酬の底上げが不可欠」との声も上がった。具体策は秋以降に提案され、年内に改定の大枠が固まる見通しだ。デイサービスで働く介護職にとっては、加算の取りやすさや送迎のあり方が、職場の収益と働き方の両面を左右する論点になる。
目次
解説動画|通所介護の令和9年度改定論点
介護報酬は3年に1度の定期改定で見直される。次の改定は令和9年度(2027年度)で、厚生労働省は今、サービスの種類ごとに課題を洗い出す議論を進めている。2026年6月15日の介護給付費分科会では、通所介護(デイサービス)と地域密着型通所介護が取り上げられた。
デイサービスは、在宅で暮らす高齢者が日帰りで通い、入浴や食事、機能訓練、レクリエーションなどを受ける、在宅介護を支える中心的なサービスだ。利用者数も事業所数も多く、介護職にとっても代表的な職場の一つである。その報酬の仕組みがどう変わるのかは、事業所の経営だけでなく、そこで働く人の待遇や日々の業務にも直結する。
この記事では、6月15日の会合で厚労省が示した論点を整理したうえで、いま通所介護が置かれている経営環境のデータ、2026年6月に施行された処遇改善加算の拡充との関係、そして介護職のキャリアにとって何を意味するのかまでを読み解く。
厚労省が6月15日の分科会で示した通所介護の3つの論点
厚労省は会合で、令和9年度改定に向けて通所介護・地域密着型通所介護の課題と論点を提示した。あわせて認知症対応型通所介護や療養通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護・短期入所療養介護も議題に上がった。通所介護で示された柱は、大きく3つに整理できる。
1. 自立支援と生活機能の向上につながる「質」の評価
厚労省は、中重度の高齢者や認知症の高齢者が地域でさらに増えていくことを念頭に、幅広いニーズへの対応が事業所に求められると指摘した。そのうえで、高齢者の自立支援や、日常生活を送る機能の向上につながる質の高いサービスの提供を促す観点から、具体的な施策を検討していく方針を示した。単に預かるだけでなく、機能訓練や社会参加を通じて状態の維持・改善に結びつけるサービスを評価する方向性だ。
2. 加算の整理と報酬体系の簡素化
厚労省は、算定率が低い加算と高い加算を整理する論点を俎上に載せた。加算の種類が増え、取得要件の複雑化も進んでいることを踏まえ、事業所の事務負担の軽減や、制度の分かりにくさの解消につながる報酬体系の簡素化を検討する意向を示した。現場では、加算を取りたくても要件を満たす人員や記録の対応が追いつかないという声が根強い。
3. 送迎業務の負担軽減
通所介護に特有の送迎業務も論点となった。厚労省は、深刻な人手不足や利用時間の多様化なども踏まえ、送迎業務の負担の大きさを現場の課題の一つに位置づけた。ガソリン代の高騰や運転を担う人材の確保難もあり、送迎をどう効率化し、評価するかが検討課題となる。
委員からは「基本報酬の底上げを」
意見交換では、現場や有識者で構成する委員が意見を交わした。全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長は、厳しい経営環境を踏まえ「デイサービスの質・量を維持するためには基本報酬の底上げが不可欠」と強調。水道光熱費やガソリン代を含めた物価の高騰、職員の処遇改善などに事業所が対応できるようにすべきだと訴えた。厚労省は秋以降に具体的な施策を提案し、改定のアウトラインを年内に固める予定だ。
通所介護に期待される役割の変化
今回の論点の根底にあるのは、通所介護に期待される役割そのものの見直しだ。要介護度が比較的軽い利用者の「居場所」としての機能に加え、中重度や認知症の高齢者を地域で支え、状態の悪化を防ぐ拠点としての役割が一段と重く問われている。同じ日に議題となった認知症対応型通所介護や療養通所介護も含め、医療的なニーズや認知症への対応力を持つ事業所をどう評価するかが、改定の通底するテーマになっている。預かる場所から、地域包括ケアを支える機能を持つ場所へ。通所介護に求められる水準は着実に上がっている。
4割超が赤字、倒産は上半期で過去最多|通所介護の経営環境
こうした論点の背景には、通所介護を取り巻く厳しい経営環境がある。論点を読み解くうえで、現状を示すデータを押さえておきたい。
事業所の4割超が赤字
独立行政法人福祉医療機構(WAM)の「2023年度 通所介護の経営状況について」によると、通所介護では43.9%の事業所が赤字だった。これはWAMの融資先4,735事業所の決算を分析したもので、赤字事業所の平均利用率は63.9%と、黒字事業所の73.7%を約10ポイント下回っていた。利用者をどれだけ安定して集められるかが、経営の明暗を分けている。
デイサービスの倒産は上半期で過去最多
東京商工リサーチが2026年6月12日に公表した調査によると、2026年1月から5月のデイサービス事業者(通所・短期入所)の倒産は27件で、6月分を計上しない段階で上半期として過去最多を更新した。これまでの上半期の最多は2024年と2025年の各25件だった。倒産した事業者を職員数別にみると、10人未満が25件と9割超を占め、体力の乏しい零細事業者の息切れが目立つ。原因別では、売上不振が18件、赤字累積など「既往のシワ寄せ」が5件と、業績悪化に起因するケースが全体の8割を超えた。
背景にあるのは複合的な経営難だ。食費や燃料費、水道光熱費などの高騰が長期化し、先行する他産業の賃上げによる人材流出も追い打ちをかけている。一方で、これまで倒産が増えていた訪問介護事業者は、2026年1月から5月の倒産が31件と5年ぶりに減少しており、政府の賃上げ支援策が一定の下支えになっているとの見方もある。デイサービスの「基本報酬の底上げを」という委員の訴えは、こうした数字の裏付けがある。
物価高と人件費が利益を圧迫する構造
赤字や倒産の背景には、収入が伸びにくい一方で支出が膨らむという構造がある。デイサービスの収入は介護報酬が中心で、利用者数と単価でほぼ決まるため、急に増やすことは難しい。これに対し、食材費や電気・ガス・水道代、送迎のガソリン代は物価高で上昇を続け、職員の賃金も他産業との競争で引き上げざるを得ない。東京商工リサーチも、倒産が増えた一因として人手不足を挙げ、賃金の高い業界や処遇の良い訪問介護に人材が流れていると分析している。収入の天井が低いまま支出だけが増えれば、体力の乏しい事業所から立ち行かなくなる。基本報酬の底上げを求める声は、この構造への危機感の表れだ。
2026年6月の処遇改善加算拡充との関係|「加算頼み」から基本報酬へ
通所介護の論点は、2026年6月に施行されたばかりの「処遇改善加算の拡充」と切り離して読むことはできない。両者の関係を整理すると、令和9年度改定の焦点がはっきり見えてくる。
2026年6月は「加算」で賃上げ、基本報酬は据え置き
2026年6月の臨時の介護報酬改定では、処遇改善加算が拡充され、幅広い介護従事者を対象に月額最大1万9000円(定期昇給分を含む)の賃上げを図る仕組みが導入された。対象もこれまでの介護職員から介護従事者全体へ広がり、ケアマネジャーや訪問看護なども新たに加わった。一方で、サービスの土台となる基本報酬そのものは引き上げられていない。賃上げは「加算」という上乗せの形で実現する構造になっている。
「加算頼み」から基本報酬へ、議論の重心が移る
この構造に対し、現場や委員からは「加算、加算ではなく基本報酬が上がらなければ、多くの事業所は課題が山積したままになる」という声が繰り返し上がってきた。加算は要件を満たさなければ取得できず、人員や事務に余裕のない小規模事業所ほど取りこぼしやすい。だからこそ6月15日の会合で「基本報酬の底上げ」が改めて訴えられた。令和9年度の定期改定は、賃上げの手段を「加算の上乗せ」から「土台である基本報酬の引き上げ」へとどう移していくかが、最大の焦点になる。今回示された加算の整理・簡素化の論点も、この文脈の中にある。
対象の拡大で「介護職以外」にも賃上げが広がった
2026年6月の拡充では、処遇改善加算の対象がこれまでの介護職員から介護従事者全体へと広がり、居宅介護支援(ケアマネジャー)や訪問看護、訪問リハビリテーションなども新たに対象に加わった。通所介護の現場でも、生活相談員や機能訓練指導員、看護職員など、これまで加算の配分で扱いが難しかった職種への波及が論点になる。誰に、いくら配るのかは事業所の裁量に委ねられる部分が大きく、同じ加算を取得していても職員の手取りの増え方は職場によって差が出る。だからこそ、加算をどう配分しているかは、働く側が確認しておきたいポイントになる。
デイサービスで働く介護職にとっての3つの意味
では、デイサービスで働く介護職や、これから通所介護への転職を考える人にとって、この論点はどんな意味を持つのか。3つの視点で整理する。
1. 「加算を取れる事業所か」が職場選びの軸になる
賃上げが加算を通じて配分される構造が続く以上、職員の手取りは「その事業所が加算をどれだけ取得できているか」に大きく左右される。処遇改善加算の区分、機能訓練や口腔・栄養などの加算の取得状況は、求人票だけでは見えにくいが、面接で確認する価値がある。加算の整理・簡素化が進めば、これまで取りこぼしていた事業所も取得しやすくなる可能性があり、職場ごとの待遇差が縮まることも考えられる。
2. 「自立支援の質」を担える人材の価値が高まる
厚労省が自立支援や生活機能の向上を評価する方向を強めれば、機能訓練やアセスメント、個別機能訓練計画に関われる職員の重要性が増す。機能訓練指導員との連携や、利用者の状態を観察して記録に残す力は、これからのデイサービスで評価されやすいスキルになる。漫然と「預かる」サービスから、状態の維持・改善に貢献するサービスへと現場の役割が変わっていく。
3. 送迎の負担軽減は働きやすさに直結する
送迎業務の負担が論点に上がったことは、現場の働き方にとって前向きな材料だ。送迎の効率化や評価が進めば、運転や付き添いに割く時間が減り、ケアそのものに集中できる環境づくりにつながる可能性がある。経営が厳しい事業所が淘汰される一方で、加算をしっかり取得し、職員の負担に配慮できる事業所が選ばれる時代になりつつある。改定の行方を知っておくことは、自分のキャリアを守るうえでも役に立つ。
淘汰の時代だからこそ「続く事業所」を見極める
4割超が赤字で、デイサービスの倒産が過去最多のペースで進むなかでは、職場が安定して続くかどうかは、働く人にとって切実な問題だ。加算をしっかり取得し、利用率を保ち、職員の負担に配慮できる事業所は、改定後も生き残りやすい。逆に、加算の取りこぼしが多く、送迎や事務の負担を職員に押し付ける事業所は、経営の悪化とともに働く環境も厳しくなりやすい。報酬改定の論点を知ることは、目の前のニュースを理解するためだけでなく、自分が長く働ける職場を選ぶための物差しを持つことでもある。改定の方向性を踏まえて職場を見れば、求人票の数字の奥にある「続く力」が見えてくる。
令和9年度改定はいつ、どう決まるのか|今後のスケジュール
今回の論点提示は、令和9年度改定に向けた長い議論の入り口にあたる。実際に報酬がどう変わるのかが決まるまでには、いくつかの段階を踏む。流れを押さえておくと、今後のニュースの読み方が変わる。
「論点の洗い出し」から「具体策」へ
2026年春から夏にかけての分科会は、サービスの種類ごとに課題や論点を洗い出す段階だ。5月25日には小規模多機能型居宅介護や認知症対応型共同生活介護(グループホーム)が、6月15日には通所介護や短期入所が取り上げられた。厚労省は、こうした議論を踏まえて秋以降に具体的な施策を提案し、改定のアウトライン(大枠)を年内に固める予定としている。その後、報酬の単位数など細部が詰められ、2027年度の施行に向けて告示や通知が発出される流れになる。
経営実態調査が改定の「物差し」になる
報酬の引き上げ・引き下げの判断材料になるのが、事業所の収支を調べる経営実態調査だ。厚労省はこの調査の結果をもとに、どのサービスがどれだけ厳しいのかを見極めて報酬を設定する。通所介護で「基本報酬の底上げを」という声が説得力を持つのは、赤字事業所の割合や倒産件数といった具体的な数字が積み上がっているからだ。今後公表される調査結果が、通所介護の基本報酬の行方を大きく左右する。
地域ごとの事情も改定に反映へ
2027年度の改定・制度改正は、人口が減る地域と増える地域の違いを踏まえ、全国一律から地域の実情に応じた仕組みへと舵を切る方向で議論が進んでいる。中山間・人口減少地域では、人員配置の弾力化や市町村が関与する新たなサービスの枠組みも検討されている。通所介護も、地域によって求められる役割や運営のしやすさが変わっていく可能性がある。
2026年6月の臨時改定と「3年に1度」の関係
介護報酬は通常、3年に1度の定期改定で見直される。直近では2024年度(令和6年度)が定期改定で、次は2027年度(令和9年度)にあたる。2026年6月の処遇改善加算の拡充は、その間に賃上げを前倒しで届けるための臨時の改定という位置づけだ。つまり通所介護の現場は、2026年6月に「加算の拡充」を、2027年度に「定期改定」を、短い間隔で続けて経験することになる。物価や賃金の上昇が速いなか、3年ごとの改定では追いつかないという指摘も委員から出ており、改定の頻度そのものを見直すべきだという議論も始まっている。
通所介護で変わりうる3つのポイント
具体的な単位数はこれからの議論次第だが、今回示された論点からは、通所介護の現場が向かう方向をある程度読み取れる。働く人の視点で、変わりうるポイントを整理する。
「機能訓練・自立支援」を評価する流れが強まる
自立支援や生活機能の向上を促す方針が示されたことで、機能訓練や個別機能訓練計画、リハビリ職との連携を評価する加算が、今後さらに重視される可能性がある。利用者の状態を把握し、目標を立て、効果を記録するという一連の流れが、これまで以上に求められる。レクリエーション中心の運営から、状態の維持・改善に責任を持つ運営へと、現場の比重が移っていくと見られる。
加算の「数」は減り、要件は分かりやすくなる可能性
算定率の低い加算の整理や報酬体系の簡素化が論点に上がったことは、これまで複雑だった加算の仕組みが見直される可能性を示している。取得率が低い加算が基本報酬に組み込まれたり、似た加算が統合されたりすれば、事業所の事務負担は軽くなる。一方で、これまで一部の事業所だけが取っていた加算がなくなることで、収益構造が変わる事業所も出てくる。自分の職場がどの加算で収益を得ているかを知っておくと、変化に備えやすい。
送迎の見直しは現場の働きやすさに直結する
送迎業務の負担が論点として明記されたことは、運転や付き添いに追われてきた現場にとって見逃せない。送迎の効率化や外部委託、評価の見直しが進めば、職員が送迎に割く時間が減り、ケアや機能訓練に集中できる環境につながる可能性がある。人手不足が深刻ななかで、送迎をどう支えるかは、職員の定着にも関わるテーマだ。
働く人は「改定の方向性」を早めに知っておきたい
報酬改定は事業所の経営の話に見えて、実際には現場の一人ひとりの待遇や仕事内容に跳ね返る。自立支援を評価する流れが強まれば求められるスキルが変わり、加算が整理されれば収益構造が変わり、送迎が見直されれば一日の動き方が変わる。改定の方向性を早めに知っておけば、必要な研修を先に受けたり、加算をしっかり取得している事業所を選んだりと、先回りした行動ができる。ニュースを「事業者の話」と片付けず、自分の働き方の話として読むことが、これからの介護職には欠かせない。
よくある質問(FAQ)
Q. 通所介護の報酬は、いつから変わりますか。
今回示されたのは令和9年度(2027年度)の定期改定に向けた論点です。具体策は2026年秋以降に提案され、改定の大枠は年内に固まる見通しで、施行は2027年度(2027年4月)が基本になります。2026年6月の処遇改善加算の拡充とは別のタイミングです。
Q. デイサービスの仕事内容は変わりますか。
自立支援や生活機能の向上を評価する方向が示されているため、機能訓練やアセスメント、記録に関わる業務の比重が高まる可能性があります。利用者を預かるだけでなく、状態の維持・改善に貢献する役割が、これまで以上に求められると見られます。
Q. 加算が整理されると、給料は下がるのですか。
加算の整理・簡素化は、必ずしも賃下げを意味しません。取得率の低い加算が基本報酬に組み込まれれば、これまで加算を取れなかった事業所の収入が安定する可能性もあります。一方で、特定の加算に依存していた事業所では収益構造が変わるため、自分の職場がどの加算で成り立っているかを知っておくことが大切です。
Q. 基本報酬は上がりますか。
現時点では決まっていません。委員からは「基本報酬の底上げが不可欠」との声が上がっており、4割超が赤字という経営データもあります。ただし、最終的な引き上げ幅は今後の経営実態調査や予算編成を経て決まります。賃上げを「加算の上乗せ」から「基本報酬の引き上げ」へどう移すかが、令和9年度改定の最大の焦点です。
Q. 利用者や家族にも影響はありますか。
あります。報酬は利用者の自己負担にも連動するため、基本報酬や加算が変われば、1回あたりの利用料が変わる可能性があります。また、自立支援や機能訓練を重視する方向が強まれば、通所介護で受けられるサービスの中身も変わっていきます。経営が厳しい地域では事業所の撤退も起こり得るため、身近なデイサービスが使い続けられるかという観点でも、改定の行方は無関係ではありません。
参考資料
- [1]厚労省、来年度の報酬改定へ通所介護の論点を提示 基本報酬の底上げを訴える声も- 介護ニュースJoint(2026年6月15日)
第258回介護給付費分科会で示された通所介護の令和9年度改定論点を報じた記事。
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
- [6]
まとめ
2026年6月15日の介護給付費分科会で、厚生労働省は令和9年度(2027年度)改定に向けた通所介護の論点として、自立支援と生活機能の向上につながる質の評価、算定率に応じた加算の整理と報酬体系の簡素化、送迎業務の負担軽減の3点を示した。背景には、4割超が赤字で、デイサービスの倒産が上半期として過去最多を更新したという厳しい経営環境がある。委員からは「基本報酬の底上げが不可欠」との声が上がり、具体策は秋以降に提案され、年内に大枠が固まる見通しだ。
2026年6月の賃上げが「加算」の上乗せで実現したのに対し、令和9年度の定期改定では「基本報酬」をどう底上げするかが最大の焦点になる。デイサービスで働く介護職にとっては、加算を取得できる事業所かどうか、自立支援の質を担える人材が評価されるかどうか、そして送迎を含む負担にどう配慮されるかが、職場選びと働き方の見極めのポイントになる。改定の行方を早めに知っておくことが、自分のキャリアを守る一歩になる。
厚生労働省は今後、経営実態調査の結果や予算編成を踏まえ、秋以降に具体的な単位数の議論へと進む。通所介護がどのような評価体系へと再設計されるのか、そしてそれが現場の賃金や働き方にどう跳ね返るのか。改定の議論は秋以降に山場を迎える。続報を注視しながら、自分の職場や働き方に引きつけて、一つひとつのニュースの意味を、丁寧に読み解いていきたい。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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