言語聴覚士(ST)とは

言語聴覚士(ST)とは

言語聴覚士(ST)は失語・構音・嚥下障害のリハを担う国家資格。業務範囲・養成課程・PT/OTとの違い・介護施設での需要と口腔機能向上加算との関わりをやさしく解説します。

ポイント

この記事のポイント

言語聴覚士(ST=Speech-Language-Hearing Therapist)は、音声・言語・聴覚・摂食嚥下に障害がある人に対し、検査・訓練・指導・助言を行う国家資格です。1997年制定の言語聴覚士法に基づき、医師・歯科医師の指示のもとに業務を行います。リハビリ3職種(PT・OT・ST)の中で最も新しい資格で、有資格者数は約4万人とPT・OTより少なく希少性が高い職種です。

目次

言語聴覚士の業務範囲と法的位置づけ

言語聴覚士(ST)は、言語聴覚士法第2条で「音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする」と定められています。さらに同法施行令により「医師又は歯科医師の指示の下に行う、嚥下訓練、人工内耳の調整その他の厚生労働省令で定める行為」も業務に含まれます。失語症・構音障害・吃音・聴覚障害・摂食嚥下障害・高次脳機能障害など、コミュニケーションと食べる機能の専門家です。

厚生労働省「言語聴覚士国家試験」によれば、ST免許登録者数は2024年時点で約4万人で、PT(22万人)・OT(11万人)と比べて圧倒的に少ない希少資格です。介護現場では、誤嚥性肺炎予防のための摂食嚥下訓練、認知症患者へのコミュニケーション支援、口腔機能向上加算の算定要件に関わる職種として需要が急増しています。

STが扱う主な障害領域

  • 失語症:脳卒中などで言語機能が低下した状態。聞く・話す・読む・書くの訓練を行う。
  • 構音障害:発音が不明瞭になる状態。口腔機能訓練と発音練習を組み合わせる。
  • 摂食嚥下障害:飲み込みが困難な状態。誤嚥性肺炎予防の評価・訓練・食形態の助言を行う。介護現場で最重要領域。
  • 聴覚障害:補聴器・人工内耳の適合と訓練。
  • 高次脳機能障害:注意・記憶・遂行機能の障害に対する認知リハ。
  • 小児言語発達遅滞・吃音:児童発達支援領域での発音・コミュニケーション支援。

言語聴覚士になるルート

言語聴覚士になるには、文部科学大臣指定の養成校で3年以上学び、解剖学・音声学・聴覚学・言語学・嚥下学などのカリキュラムを修めて国家試験合格資格を得ます。修業年限は4年制大学・3年制短大・専門学校(3〜4年)が主流で、他大学卒業者向けの2年制専攻科ルートもあります。

国家試験は毎年2月に実施され、厚生労働省「第26回言語聴覚士国家試験(令和6年)」では受験者2,549人・合格者1,945人で合格率は76.3%でした。PT・OTより合格率がやや低く、難易度は中程度です。合格後は厚生労働大臣免許の登録を受けて業務に従事します。

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介護現場でのSTの活躍領域

  • 摂食嚥下評価:VE検査(嚥下内視鏡)・反復唾液嚥下テストなどで嚥下機能を評価し、食形態の段階を医師・栄養士と協議。
  • 口腔機能向上加算(介護報酬):通所介護・特養・老健などで算定要件に関わる職種としてSTが配置される。歯科衛生士と並んでSTがリハ計画を主導するケースが増加。
  • 認知症患者へのコミュニケーション支援:失語を伴う認知症や脳血管性認知症で、本人と家族の対話を支える。
  • 誤嚥性肺炎予防:在宅・施設での誤嚥性肺炎は介護現場の重大リスク。STの介入で再発率低減のエビデンスがある。

よくある質問

Q. STとPT・OTの一番大きな違いは?
A. STは「コミュニケーションと食べる」が専門領域。PTは下肢動作、OTは上肢と生活動作、STは口・喉・耳・脳のコミュニケーション機能を扱います。
Q. 介護施設でSTを採用しているところは少ないと聞きますが?
A. 有資格者数が少ないため、特に地方ではST採用が難航します。一方で、口腔機能向上加算や食事介助の質を高めたい施設では非常勤・週1〜2日勤務の形でSTを確保するケースが増えています。
Q. STの平均年収は?
A. 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」では、ST・PT・OTを合わせた平均年収は約430万円。希少性が高いため、介護分野でも待遇改善が進んでいます。

まとめ

言語聴覚士(ST)は、コミュニケーションと摂食嚥下の専門家として、介護現場では誤嚥性肺炎予防・口腔機能向上・認知症患者の対話支援で重要な役割を担います。有資格者数が少ないぶん希少性が高く、施設規模に応じた非常勤活用も増えています。PT・OTと連携することで、利用者の生活全体を支えるリハチームが完成します。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

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