
義務的支援とは
義務的支援とは、特定技能1号の外国人を受け入れる機関が必ず実施しなければならない10項目の支援です。事前ガイダンス、住居確保、母国語での相談対応、3か月に1回以上の定期面談などが含まれ、費用を本人から徴収することは認められていません。
この記事のポイント
義務的支援とは、在留資格「特定技能1号」の外国人を受け入れる機関が、1号特定技能外国人支援計画に基づいて必ず実施しなければならない10項目の支援です。事前ガイダンス、住居確保の支援、母国語等での相談対応、3か月に1回以上の定期面談などが含まれます。自社で実施するか登録支援機関に委託するかを選べますが、実施しないという選択はできません。支援に要する費用を外国人本人から徴収することは認められていません。
目次
義務的支援10項目の内容
| 支援 | 実施のタイミング | 内容 |
|---|---|---|
| 1. 事前ガイダンス | 雇用契約締結後、在留資格申請前 | 労働条件、活動内容、入国手続などを母国語等で説明 |
| 2. 出入国する際の送迎 | 入国時・帰国時 | 空港と居住地または事業所間。帰国時は保安検査場まで同行 |
| 3. 住居確保・生活に必要な契約支援 | 入国前後 | 住居の確保、銀行口座開設、携帯電話・ライフラインの契約補助 |
| 4. 生活オリエンテーション | 入国後 | 日本のルール、公共機関の利用方法、災害時の対応など |
| 5. 公的手続等への同行 | 必要時 | 住民登録、社会保障・税に関する手続き |
| 6. 日本語学習の機会の提供 | 継続 | 日本語教室の情報提供、教材の案内など |
| 7. 相談・苦情への対応 | 随時 | 母国語等で対応し、必要に応じて関係機関へ取次ぐ |
| 8. 日本人との交流促進 | 継続 | 地域行事の案内、参加の補助 |
| 9. 転職支援 | 受入れ困難時 | 受け入れ機関側の都合で雇用契約を解除する場合の次の就職先の支援 |
| 10. 定期的な面談・行政機関への通報 | 3か月に1回以上 | 本人および監督者との面談。労働基準法違反等を知ったときは通報 |
9番目の転職支援は「受け入れ機関側の都合」で雇用継続が困難になった場合が対象です。本人の自己都合による退職は含まれません。
義務的支援と任意的支援の違い
1号特定技能外国人支援計画には、義務的支援のほかに任意的支援を記載することもできます。両者の違いは実施義務の有無です。
| 義務的支援 | 任意的支援 | |
|---|---|---|
| 実施義務 | あり(10項目すべて) | なし(実施するかは受け入れ機関の判断) |
| 支援計画への記載 | 必須 | 任意 |
| 未実施の場合 | 基準不適合となり、受け入れ継続に影響 | 問題にならない |
| 例 | 事前ガイダンス、住居確保、定期面談など10項目 | 資格取得支援、追加の日本語研修、母国語での健康相談など |
ただし支援計画に任意的支援として記載した内容は、記載した以上は実施することが期待されます。実施できない内容を計画に盛り込まないことが重要です。
費用を本人から徴収できない
義務的支援に要する費用は受け入れ機関が負担します。出入国在留管理庁は「受入れ機関が実施しなければならない支援については受入れ機関が負担しなければならず、外国人本人から費用を徴収することは認められない」としています。登録支援機関への委託費を給与から差し引くといった処理はできません。
義務的支援の実施で押さえる実務
実施の記録が届出の添付書類になる
義務的支援を実施すると、対応する記録が残ります。事前ガイダンスの確認書、生活オリエンテーションの確認書、相談記録書、定期面談報告書などです。これらは年1回の定期届出の添付書類になります。逆に言えば、書類が残っていない支援は実施を証明できません。
面談は3か月に1回以上
定期届出は2025年4月の運用要領改正で四半期ごとから年1回に変更されましたが、定期面談は従前どおり3か月に1回以上必要です。届出の頻度と面談の頻度は連動していません。
委託しても届出義務は移らない
支援を登録支援機関に全部委託しても、入管への随時届出は受け入れ機関が行う必要があります。支援の実施と届出の義務は別のものとして整理しておく必要があります。
自社支援を選ぶ場合
義務的支援10項目をすべて自社で実施することもできます。ただし母国語での相談対応や公的手続きへの同行が含まれるため、体制の確保が前提です。また自社支援の場合、支援計画の実施が困難になったときは「1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出」を認知の日から14日以内に提出する必要があります(2025年4月新設)。
義務的支援に関するよくある質問
Q. 一部だけ委託することはできますか
できます。自社で実施する項目と登録支援機関に委託する項目を分ける部分委託も可能です。ただし支援計画に実施主体を明確に記載し、届出の際にどちらが実施したかを整理できる形にしておく必要があります。なお全部委託する場合の委託先は登録支援機関に限られます。
Q. 支援費用を給与から差し引けますか
できません。受け入れ機関が実施しなければならない支援の費用を外国人本人から徴収することは認められていません。
Q. 日本語学習の機会の提供とは、具体的に何をすればよいですか
日本語教室の情報提供や教材の案内などが該当します。厚生労働省は「にほんごをまなぼう」などの学習コンテンツや、11〜12言語に対応した学習テキストを無料で公開しており、これらを活用できます。
Q. 技能実習にも義務的支援はありますか
義務的支援は特定技能の制度における仕組みです。技能実習では監理団体による監査・訪問指導や、技能実習指導員・生活指導員の配置といった別の枠組みで実習生の保護が図られます。
義務的支援に関する参考資料
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
義務的支援のまとめ
義務的支援は特定技能1号の受け入れ機関に課された10項目の支援で、実施しないという選択肢はありません。自社で行うか登録支援機関に委託するかを選べますが、費用を外国人本人から徴収することは認められていません。
実務では、支援を実施した記録が年1回の定期届出の添付書類になる点を押さえておく必要があります。定期届出は2025年4月改正で年1回になりましたが、定期面談は従前どおり3か月に1回以上です。頻度が連動していないことに注意してください。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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