外国人介護人材の送出国別データ|特定技能1号の国籍別人数と前年比【独自集計】
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外国人介護人材の送出国別データ|特定技能1号の国籍別人数と前年比【独自集計】

介護分野の特定技能1号は令和7年12月末で67,871人。入管の公式データを国籍別に独自集計し、ミャンマーとインドネシアの首位争い、ベトナムの伸び鈍化、新興国の急増まで、受け入れ担当者が採用計画を組み直すための構造変化を実数と前年比で示します。

ポイント

この記事のポイント

介護分野の特定技能1号在留者は令和7年12月末で67,871人。国籍別ではインドネシア21,139人、ミャンマー19,803人、ベトナム10,401人の順で、上位2か国の差は1,336人まで縮んでいます。特定技能1号全体では最大の送出国であるベトナムも、介護に限れば3位で伸びは前年比16.7%増どまり。送出国の規模と介護での存在感は一致していません。

目次

外国人介護人材の受け入れを検討するとき、施設側が最初に突き当たるのが「どの国から採用するか」という問いです。ところが、この問いを判断できるだけの材料はなかなかそろいません。在留者数は四半期ごとに更新されているのに、実務の場で参照される数字は数年前で止まっていることが多く、前年と突き合わせて増減まで押さえた資料となるとさらに見当たらなくなります。

この記事では、出入国在留管理庁が公表している「特定技能在留外国人数」の第4表(国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数)から介護分野だけを抜き出し、令和7年12月末現在の値と令和6年12月末現在の値を突き合わせて独自に集計しました。扱うのは実数、前年比、そして各国が介護にどれだけ人材を振り向けているかという比率です。国民性や気質の一般化はいっさい書きません。制度、統計、試験の実施状況といった、出典で確認できる事実だけを並べます。

結論から言えば、介護分野の送出国の構図はこの1年で明確に動きました。ベトナムを前提に受け入れ計画を組んできた施設ほど、この変化を確認しておく価値があります。5つの受け入れ制度そのものの違いを整理したい場合は、外国人介護人材の受け入れガイドを先に読んでおくと、この記事の数字の位置づけがつかみやすくなります。

集計の対象と、数字を読む前の3つの前提

数字を並べる前に、この記事が扱っている範囲をはっきりさせておきます。ここを取り違えると、他の資料の数字と突き合わせたときに合わなくなります。

対象は特定技能1号だけで、介護現場の外国人全体ではない

集計の対象は、在留資格「特定技能1号」で介護分野に在留している人だけです。技能実習「介護」、2027年4月1日に施行される育成就労、経済連携協定にもとづく介護福祉士候補者、そして介護福祉士の国家資格を取得した人が持つ在留資格「介護」は、いずれもこの数字に含まれていません。介護現場で働く外国人の総数は、これよりかなり大きくなります。制度ごとの内訳を混ぜたまま国別ランキングを語ると、実態からずれます。

入管の原表は速報値である

出入国在留管理庁の「特定技能在留外国人数」には、本表の数値は速報値である旨の注記が付いています。後日の確定値で小さな修正が入る可能性があるため、小数第1位までの比率は目安として扱ってください。傾向の大きさを読むには十分な精度ですが、1桁単位の差を根拠に判断するのには向きません。

「介護シェア」には意味の違う2つの計算がある

国別の解説でよく出てくる「介護のシェア」という言葉には、計算の違う2つの意味があります。この記事では次のように呼び分けます。

  • 介護特化度:その国の特定技能1号(全分野合計)のうち、介護分野が占める割合。その国から来た人材が、どれだけ介護に集中しているかを表します。
  • 介護分野内シェア:介護分野の特定技能1号67,871人のうち、その国が占める割合。介護の現場全体で、その国の存在感がどれくらいあるかを表します。

この2つは似た顔をしていますが、動き方がまったく違います。介護特化度が高くても送出規模が小さければ介護分野内シェアは小さく、逆に介護特化度が低くても母数が巨大なら介護分野内シェアは大きくなります。混同したまま「シェアの高い国」と言うと、議論が噛み合わなくなります。以下の表では両方を別の列に分けて示します。

介護分野の特定技能1号は1年で53.0%増えた

まず全体像です。介護分野の特定技能1号在留者数は、令和6年12月末の44,367人から令和7年12月末の67,871人へ、1年で23,504人増えました。増加率は53.0%です。

区分令和6年12月末令和7年12月末前年比
介護分野44,367人67,871人+53.0%
特定技能1号 全分野合計283,634人382,341人+34.8%

同じ期間の特定技能1号全分野の合計は283,634人から382,341人で、増加率は34.8%。介護分野の伸びは全分野の伸びを18ポイント以上上回っており、特定技能制度のなかでも介護は増加が速い分野になっています。人材の取り合いという意味では、追い風であると同時に、後発の施設ほど条件が厳しくなる環境でもあります。

受け入れ枠の消化という観点

この伸びの速さは、制度側の上限との距離という観点でも意味を持ちます。令和8年1月23日に閣議決定された介護分野の分野別運用方針は、令和6年度から令和10年度末までの5年間に受け入れる1号特定技能外国人の見込数を126,900人とし、これを受け入れの上限として運用すると定めています。令和7年12月末の67,871人は、その上限の半分をすでに超えた水準です。

同じ方針には、見込数を超えることが見込まれる場合、厚生労働大臣が法務大臣に対して在留資格認定証明書の交付の一時停止を求める、という規定も置かれています。上限は自動的に引き上げられるものではなく、制度所管大臣と分野所管大臣の協議を経て見直されます。採用の意思決定を先送りするほど、制度側の制約に当たる確率は上がっていくという構造です。なお同方針では、介護分野全体(特定技能1号と育成就労の合計)の受け入れ見込数を160,700人、うち育成就労分を令和9年度からの2年間で33,800人としています。

ちなみに同方針が引用する令和6年度の介護分野の有効求人倍率は4.08倍で、全都道府県で2.00倍以上という状況です。国内人材だけで埋めるという前提が成り立ちにくいことは、政府の公式文書のなかでも数字で示されています。

国籍・地域別ランキング(令和7年12月末・介護分野200人以上)

ここからが本題です。介護分野の特定技能1号を国籍・地域別に並べ、実数、前年比、介護特化度、介護分野内シェアの4つを1つの表にまとめました。介護分野で200人以上が在留している12の国・地域を掲載しています。介護分野に1人以上が在留している国・地域は全部で44ありますが、この12以外はすべて100人未満です。

国籍・地域令和7年12月末令和6年12月末前年比介護特化度介護分野内シェア
インドネシア21,139人12,242人+72.7%24.4%31.1%
ミャンマー19,803人11,717人+69.0%44.7%29.2%
ベトナム10,401人8,910人+16.7%6.6%15.3%
ネパール6,013人3,602人+66.9%49.0%8.9%
フィリピン5,704人4,538人+25.7%16.1%8.4%
中国1,340人1,103人+21.5%6.3%2.0%
スリランカ1,321人638人+107.1%33.2%1.9%
モンゴル440人442人-0.5%35.5%0.6%
タイ436人334人+30.5%6.5%0.6%
インド417人248人+68.1%55.3%0.6%
カンボジア402人320人+25.6%4.8%0.6%
バングラデシュ223人77人+189.6%27.0%0.3%

介護特化度は「その国の特定技能1号全分野のうち介護が占める割合」、介護分野内シェアは「介護分野67,871人のうちその国が占める割合」です。上位5か国(インドネシア、ミャンマー、ベトナム、ネパール、フィリピン)だけで介護分野内シェアの合計は約92.9%を占めます。裏を返せば、この表に載らない32の国・地域を全部合わせても7%程度にしかなりません。介護の送出国は、いまなお強く集中しています。

比較のために、各国の特定技能1号の全分野合計(令和7年12月末)も挙げておきます。ベトナム158,497人、インドネシア86,523人、ミャンマー44,315人、フィリピン35,521人、中国21,418人、ネパール12,277人、カンボジア8,379人、タイ6,755人、スリランカ3,973人、モンゴル1,239人、バングラデシュ826人、インド754人。この並び順が、介護分野の並び順とまるで違うことに気づくはずです。次の節で、この食い違いを扱います。

地域別の広がり方については、特定技能「介護」の浸透度 都道府県ランキングで介護職員1,000人あたりの密度として別途集計しています。国別と地域別は、受け入れ計画を組むときに対で見ておきたい2つの軸です。

送出国の大きさと、介護での存在感は一致しない

この表からいちばん強く読み取れるのは、送出国としての大きさと、介護分野での存在感がまったく一致していないという事実です。

ベトナムは特定技能全体で断トツの最大送出国だが、介護では3位

ベトナムの特定技能1号は全分野で158,497人。2位のインドネシア86,523人の2倍近くにあたり、日本の特定技能制度を数のうえで支えている国です。ところが介護分野に限ると10,401人しかおらず、順位は3位に下がります。介護特化度は6.6%。ベトナムから来た特定技能1号の15人に1人しか介護にいない計算です。

ミャンマーは全分野でベトナムの3分の1以下なのに、介護ではほぼ首位

逆の例がミャンマーです。全分野では44,315人とベトナムの3分の1以下ですが、介護分野では19,803人で首位のインドネシアに肉薄しています。介護特化度は44.7%。ミャンマーから来た特定技能1号の2人に1人近くが介護分野で働いている計算になります。

同じ傾向はネパールとインドにも見られます。ネパールは特定技能1号全分野で12,277人と決して大きくありませんが、そのうち49.0%にあたる6,013人が介護分野です。インドは全分野754人と小さいものの、介護特化度は55.3%とこの12か国で最も高く、417人が介護にいます。

この食い違いが実務で意味すること

受け入れ担当者にとって重要なのは、「その国から日本に来る人が多いかどうか」と「その国から介護に来る人が多いかどうか」が別の問題だということです。ベトナムのように全体の人材フローが太い国でも、介護に流れてくる比率が低ければ、介護職としての候補者はそれほど厚くありません。逆にミャンマーやネパールのように、送出全体の規模は中位でも介護に人材が集中している国は、介護に限れば選択肢が広いことになります。

採用の相談を受けるときに「日本で最も多い送出国はどこですか」と聞くと、たいていベトナムという答えが返ってきます。それ自体は正しいのですが、介護の採用判断にそのまま使うと、実勢とずれた前提で計画を組むことになります。見るべき指標は全分野の順位ではなく、介護分野の実数と介護特化度です。

首位交代が起きかけている。インドネシアとミャンマーの差は1,336人

介護分野の首位は現在インドネシアですが、その座は安泰ではありません。

時点インドネシアミャンマー
令和6年12月末12,242人11,717人525人
令和7年12月末21,139人19,803人1,336人

実数の差は525人から1,336人へ広がっていますが、これは母数が両国とも大きく増えた結果であり、伸び率で見ると+72.7%と+69.0%でほぼ互角です。1年で2か国が合わせて約17,000人増えたなかでの1,336人差は、順位が固定されていると見なせる幅ではありません。介護分野内シェアもインドネシア31.1%、ミャンマー29.2%と2ポイント程度の違いにとどまります。

実務上の含意は、「1位の国だから安定している」という理由づけが弱いということです。両国はいまや実質的に同格の送出国であり、どちらか一方に偏るより、両方の受け入れ実務を理解しておくほうが計画の弾力性は高くなります。

もう1つ、この2か国は制度上の位置づけが異なる点にも注意が必要です。インドネシアは経済連携協定にもとづく介護福祉士候補者の受け入れ対象国でもあり、特定技能以外のルートが並行して存在します。ミャンマーには経済連携協定のルートがなく、介護での受け入れは特定技能と技能実習(今後は育成就労)が中心になります。同じ「介護の主要送出国」でも、使える制度の組み合わせが違います。

ベトナムの伸び鈍化が、受け入れ計画に持つ意味

今回の集計でもっとも実務に響くのは、ベトナムの数字かもしれません。介護分野のベトナム人は8,910人から10,401人へ、前年比+16.7%。介護分野全体が+53.0%伸びるなかでの16.7%ですから、相対的なシェアは確実に下がっています。介護分野内シェアで見ると、令和6年12月末の20.1%から令和7年12月末は15.3%へ、1年で約5ポイント低下しました。

数字から言えること

  • ベトナムからの介護人材は減っていない。実数は1,491人増えており、絶対数では依然として3位の主要送出国です。「ベトナムがいなくなる」という話ではありません。
  • ただし全体の伸びに追いついていない。分野全体が1.5倍になるなかで1.17倍にとどまったため、介護現場に占める比率は下がりました。
  • ベトナムの人材そのものが減ったわけでもない。特定技能1号全分野では158,497人と最大の送出国のままです。介護に来る割合が6.6%と低いところに理由があります。

受け入れ計画にどう反映するか

ベトナム前提で数年前に組んだ計画をそのまま延長している施設は、想定していた母集団が相対的に薄くなっている可能性があります。具体的には、次の3点を確認しておくと判断しやすくなります。

  1. 紹介・監理を委託している事業者の取扱国が偏っていないか。1か国に強い事業者は、その国の状況が変わると候補者の供給がそのまま細ります。
  2. 採用計画の想定人数を、母集団の相対的な薄さを織り込んで見直す。同じ人数を同じ期間で集める前提が置けるかどうかを確認します。
  3. 複数国の受け入れ実務を並行して準備できる体制か。国が変われば手続きも、社内の生活支援の中身も変わります。準備を始めてから最初の受け入れまでには時間がかかります。

なお、これは「ベトナムをやめてミャンマーにすべきだ」という話ではありません。1か国に依存した計画が、その国の政策や情勢の変化にそのまま影響されるという、分散の話です。実際、令和7年12月末時点でモンゴルだけが442人から440人へと前年比0.5%減となっており、主要国であっても増加が止まる年はあります。

新興国の急増をどう読むか。率だけを見ない

伸び率だけを並べると、上位に来るのは新興の送出国です。ただし、この数字の扱いには注意が要ります。

令和7年12月末令和6年12月末前年比介護特化度
バングラデシュ223人77人+189.6%27.0%
スリランカ1,321人638人+107.1%33.2%
インド417人248人+68.1%55.3%

率の裏には必ず実数を置く

バングラデシュの+189.6%は、77人が223人になったという意味です。1年で146人増えたにすぎません。インドの+68.1%も248人が417人になった数字で、増加は169人。介護分野全体が23,504人増えたなかでは、いずれも小数点以下のインパクトです。母数が小さいほど率は大きく振れるので、率だけを取り出して「急成長市場」と表現するのは実態を誇張します。

一方で、意味のある動きがないわけでもありません。スリランカは638人から1,321人へと683人増えており、絶対数でも中国(237人増)を上回っています。介護特化度33.2%は、スリランカから日本に来る特定技能1号の3人に1人が介護分野という水準です。少なくとも「介護を選ぶ人が一定割合いる送出国」であることは数字に表れています。

介護特化度が高い国が示していること

インドの介護特化度55.3%は12か国で最高です。実数417人は小さいものの、日本に来るインド人特定技能1号の過半が介護分野に入っているという構造は、送出側で介護に寄せる動きがあることを示唆します。ただし、これを根拠に大量受け入れの計画を組むのは早すぎます。実数がこの規模であれば、翌年に半減しても増倍しても不思議ではありません。

新興国の数字の正しい使い方は、採用計画の主軸にすることではなく、「主要国の状況が変わったときの選択肢として動向を追い続ける」ことです。追うべき指標は前年比ではなく、実数が四桁に乗るかどうか、そして介護技能評価試験がその国で継続的に実施されているかどうかです。

制度が違えば対象国も違う。経済連携協定は3か国だけ

ここまでは特定技能1号の話でした。しかし介護分野の受け入れ制度は1つではなく、制度によって受け入れられる国が違います。国別の議論をするときは、どの制度の話をしているかを必ずそろえる必要があります。

経済連携協定は3か国に限定されている

経済連携協定にもとづく外国人介護福祉士候補者の受け入れは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国だけが対象です。ミャンマーやネパールからは、この制度では受け入れられません。厚生労働省の資料によれば、日本とインドネシアの経済連携協定(平成20年7月1日発効)にもとづき平成20年度から、日本とフィリピンの経済連携協定(平成20年12月11日発効)にもとづき平成21年度から、日本とベトナムの交換公文(平成24年6月17日発効)にもとづき平成26年度から、それぞれ受け入れが始まりました。

国際厚生事業団によれば、介護福祉士候補者の来日者数は2008年度から2025年度受け入れまでの累計で8,809名(インドネシア3,781名、フィリピン3,304名、ベトナム1,724名)です。18年かけての累計が8,809名ですから、1年で23,504人増えた特定技能1号とは規模がまるで違います。経済連携協定は人数を確保するための制度ではなく、国家資格取得を前提とした枠組みだと理解しておくのが実務的です。

特定技能は国籍を限定していない

これに対して特定技能は、制度として国籍を限定していません。介護分野に1人以上が在留している国・地域が44にのぼるのは、そのためです。ただし後述するとおり、実際に受け入れられるかどうかは相手国側の送出手続きと、その国で評価試験が実施されているかどうかに大きく左右されます。制度上は開かれていても、実務上のハードルは国ごとに違います。

技能実習から育成就労への切り替え

技能実習「介護」は、2027年4月1日に施行される育成就労制度へ移行します。介護分野は育成就労の対象分野に含まれており、分野別運用方針では令和9年度からの2年間で33,800人という受け入れ見込数が設定されました。育成就労も特定技能と同じく国籍を限定しない制度ですが、送出国ごとの取決めや認定送出機関の体制が整っているかどうかで、実際に使える国は変わってきます。特定技能(介護分野)と育成就労の要件の違いは、採用の入口の設計に直結します。

国を選ぶ前に確認する4つの制度的な条件

国を選ぶ判断は、在留者数のランキングだけでは決まりません。実際に受け入れられるかどうかを左右する制度的な条件が4つあります。順に確認してください。

1. 二国間の協力覚書が結ばれているか

特定技能では、送出しと受け入れを円滑かつ適正に行うため、日本と送出国のあいだで協力覚書が作成されています。出入国在留管理庁のページに掲載されているのは、フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インド、マレーシア、ラオス、キルギス、タジキスタンの17か国です(掲載順)。

重要なのは、覚書がある国では相手国側の手続きが上乗せされる場合があるという点です。出入国在留管理庁は、在留諸申請の際に独自の提出書類がある国としてカンボジア(登録証明書)、タイ(在日タイ大使館労働担当官事務所の認証を受けた雇用契約書)、ベトナム(推薦者表)を挙げています。ベトナムの推薦者表は、認定証明書の交付申請の前に相手国側の承認を得ておく必要があり、段取りを誤ると申請そのものが進みません。国を決める前に、その国固有の手続きを工程表に織り込んでおくべきです。

2. 送り出し機関の体制が整っているか

現地での募集と手続きを担うのが送り出し機関です。国によって政府認定の仕組みも、機関の数も、徴収する費用の水準も違います。過大な手数料を負担して来日した人材は、返済のために早期に離職する誘因を抱えることになるため、機関の質は定着率に直結します。費用の内訳の考え方は、技能実習「介護」受け入れ費用の内訳でシミュレーションしています。

3. 介護の評価試験がその国で実施されているか

特定技能1号の介護分野で就労するには、介護技能評価試験と介護日本語評価試験(あわせて介護特定技能評価試験)の合格が必要です。この試験は日本国内だけでなく海外でも実施されており、2026年度(試験実施期間は2026年4月27日から2027年3月10日)の開催国は、バングラデシュ、カンボジア、インド、インドネシア、日本、モンゴル、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ウズベキスタン、ベトナム、パキスタンの14か国・地域です。

現地で試験が受けられるかどうかは、候補者の母集団の厚さをそのまま決めます。試験の実施国と実際の在留者数のランキングが、おおむね重なっているのは偶然ではありません。逆に、覚書は結ばれていても試験が現地で実施されていない国では、その国から新規に人材を集めるのは現実的に難しくなります。

4. 自施設の受け入れ人数枠に余裕があるか

介護分野には、分野全体の受け入れ見込数とは別に、事業所単位の人数枠があります。1つの事業所で受け入れられる特定技能外国人の数は、その事業所の日本人等の常勤介護職員の総数までとされています。国を選ぶ前に、自施設が何人まで受け入れられるのかを常勤職員数から逆算しておくと、計画の解像度が上がります。

この4つを確認したうえで、はじめて「どの国から採用するか」の議論に意味が出てきます。順序を逆にすると、国を決めてから手続きの壁に当たることになります。

よくある質問

Q. 介護分野でいちばん多い国はどこですか

特定技能1号に限れば、令和7年12月末現在でインドネシアの21,139人が最多です。ただし2位のミャンマーが19,803人と迫っており、差は1,336人しかありません。技能実習や在留資格「介護」まで含めた介護現場全体の順位は、この集計とは別の話になります。

Q. ベトナムからの採用はもう難しいのですか

そうではありません。介護分野のベトナム人は前年比16.7%増の10,401人で、実数では増えていますし、依然として3位の主要送出国です。ただし介護分野全体が53.0%伸びるなかでの16.7%なので、介護現場に占める比率は下がっています。ベトナム一択の計画は、想定より母集団が薄くなっている可能性があります。

Q. 介護特化度が高い国から採用したほうがよいのですか

介護特化度は「その国の特定技能1号のうち介護が占める割合」であって、人材の質や定着率を示す指標ではありません。母集団のなかで介護を志望する人の比率が高いという意味にとどまります。実数が小さい国では、特化度が高くても採用できる人数は限られます。実数と特化度は必ずセットで見てください。

Q. この数字には技能実習生も含まれていますか

含まれていません。この記事の集計はすべて在留資格「特定技能1号」の介護分野だけを対象にしています。技能実習「介護」、育成就労、経済連携協定にもとづく介護福祉士候補者、在留資格「介護」は別集計です。

Q. 経済連携協定で他の国から受け入れることはできますか

できません。経済連携協定にもとづく介護福祉士候補者の受け入れは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国に限定されています。この3か国以外からの受け入れを検討する場合は、特定技能、技能実習(2027年4月以降は育成就労)、または介護福祉士養成施設を経由する在留資格「介護」のルートになります。

Q. 数字はいつ更新されますか

出入国在留管理庁の「特定技能在留外国人数」は四半期ごとに公表されています。原表には速報値である旨の注記があるため、確定値で小さな修正が入る場合があります。採用計画の根拠に使う場合は、最新の公表時点を確認してください。

参考文献・出典

まとめ

介護分野の特定技能1号を国籍別に集計し直すと、一般に語られている「送出国ランキング」とは違う地図が見えてきます。要点を整理します。

  • 介護分野の特定技能1号は44,367人から67,871人へ、前年比53.0%増。全分野の伸び34.8%を大きく上回っている
  • 上位はインドネシア21,139人、ミャンマー19,803人、ベトナム10,401人。上位5か国で介護分野の約92.9%を占める
  • 特定技能1号全体で最大の送出国はベトナム(158,497人)だが、介護特化度は6.6%と低く、介護分野では3位にとどまる
  • ミャンマーは介護特化度44.7%、ネパールは49.0%、インドは55.3%。送出規模が中位以下でも介護に人材が集中している国がある
  • インドネシアとミャンマーの差は1,336人、伸び率も+72.7%と+69.0%で互角。首位は固定されていない
  • ベトナムは実数では1,491人増えているが伸びは16.7%で、介護分野内シェアは20.1%から15.3%へ低下した
  • 制度によって対象国が違う。経済連携協定はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国限定で、特定技能や育成就労は国籍を限定しない

受け入れ担当者にとっての実務的な含意は単純です。全分野の送出国ランキングを介護の採用判断に流用しない。国を決める前に、協力覚書にもとづく相手国固有の手続き、送り出し機関の体制、現地での評価試験の実施状況、そして自施設の人数枠を確認する。この順序を守るだけで、計画の作り直しはかなり減らせます。

数字は四半期ごとに更新されます。制度の枠は令和8年1月23日の閣議決定で書き換わったばかりで、2027年4月には育成就労も始まります。1年前のランキングを前提に組んだ計画は、いま一度見直しておく時期にあります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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