
外国人介護職員は定着するのか|離職・定着要因の研究エビデンスを介護現場目線で読み解く
外国人介護職員は定着するのか。全国1177人分の施設調査・日本人職員と比べた査読論文・公的統計をもとに、離職と定着を左右する要因(人間関係・日本語/国試支援・生活支援・キャリア)を介護現場目線で読み解く研究エビデンス解説。
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結論:外国人介護職員は『放っておけば定着する』わけでも『すぐ辞める』わけでもない
外国人の介護職員は、受け入れる施設が何もしなければ自然に定着するわけではなく、逆に「安い労働力」として雑に扱えば早く離れていきます。全国規模の施設調査や、日本人職員と直接比べた研究をあわせて読むと、見えてくるのはシンプルな事実です。外国人職員が「この職場は良い」と感じる一番の理由は給料ではなく、職場の人間関係と相談できる体制でした。良いと感じる要素として「職場のコミュニケーションが良好」を挙げた人が最も多く(約7割)、「給料が良い」はそれより下でした。
一方で、同世代の日本人職員と比べると、外国人職員は「5年以上ここで働き続けたい」と考える割合がむしろ低いという研究結果もあります。つまり、来てくれても長く残ってもらえるかは別問題です。そして長く残るかどうかを分けるのは、日本語の支援・国家試験のサポート・生活面の支え・職場の受け入れ風土・そして「利用者や同僚と良い関係を築けているか」でした。この記事では、これらを一次データ(施設調査・査読論文・公的調査)で確認し、受け入れ施設が定着のために何に投資すべきかを介護現場の目線で整理します。結論を一言でいえば、定着は運や本人の頑張り任せではなく、施設が設計できる「投資」だということです。
目次
『来てくれた』の先にある『残ってくれるか』という問い
介護現場で外国人の同僚が珍しくなくなりました。特定技能「介護」で日本にいる人だけでも、2024年12月末の時点で約4万4千人にのぼり、受け入れを始めた2019年以降ずっと増え続けています。EPA(国どうしの経済連携協定にもとづく受け入れ)、技能実習、特定技能、そして2027年に始まる育成就労と、来日のルートも複数あります。人手不足に悩む施設にとって、外国人の力を借りることはもはや例外ではなく前提になりつつあります。
ただ、受け入れの現場でよく聞かれるのは「採用したはいいが、定着してくれるだろうか」という不安です。手続きや費用をかけて迎えても、数年で辞めたり都市部の施設へ移ったりすれば、施設にとっても本人にとっても損失が大きい。では、外国人職員は実際どのくらい定着するのか。日本人職員と比べて辞めやすいのか。そして何が定着を左右するのか。この問いに、印象論ではなく調査データと研究で答えていきます。この記事は制度の使い分けや受け入れ手続きの解説ではなく、「定着と離職の要因」に絞って読み解くものです。
何を根拠に語るのか:施設調査・査読論文・公的調査という3種類のデータ
「外国人職員は定着するか」を語るとき、材料になるデータは大きく3種類あります。それぞれ強みと限界が違うので、最初に整理しておきます。
1つ目は、施設に対する大規模アンケート調査です。ここでは全国老人福祉施設協議会(老施協)が2025年初めに実施した「外国人介護人材定着度調査」を主に使います。全国で外国人を受け入れている介護施設824件に配り、192施設(回答率23.3%)から回答を得たもので、対象になった外国人職員は合計1,177人。実際の施設現場で「何が定着につながっているか」を面で捉えられるのが強みです。ただしアンケートに答えた施設に偏り(回答してくれる施設はもともと受け入れに熱心という傾向)がある点は割り引いて読む必要があります。
2つ目は、研究者による査読論文です。くじ引きのように条件をそろえた実験(対象者をランダムに2グループに分けて比べる試験=ランダム化比較試験)はこの分野では難しく、多くは「大勢に質問紙を配って傾向を調べる調査」や「少人数に深くインタビューする質的研究」、あるいは「これまでの論文を集めて整理する文献検討」です。数は限られますが、日本人職員と外国人職員を同じ物差しで直接比べたものもあり、印象論を超えた比較ができます。この記事では、EPA外国人と日本人を比べた質問紙調査(亀山ら2019)、就労継続意向の要因をまとめた文献検討(荒居2019)、在日フィリピン人介護職員の10年をたどったライフストーリー研究(田鎖2024)を軸に使います。
3つ目は、公的な統計調査です。介護労働安定センターが毎年行う「介護労働実態調査」は、介護職全体の離職率の水準(後述する12.4%など)を示す基準になります。ただしこの全体離職率は外国人だけを取り出した数字ではないため、「外国人の離職率」として単純に読み替えないよう注意が必要です。厚生労働省の受け入れ状況資料(特定技能「介護」の在留者数など)も、規模感を押さえる公的資料として参照します。
これら3種類を重ねて読むのがこの記事の狙いです。1つの調査だけでは「たまたまこの施設群ではそうだった」で終わりかねませんが、施設調査で見えた傾向が査読論文でも裏づけられるなら、それは現場で信頼して使える手がかりになります。逆に、どれか1つのデータだけを取り出して「外国人はこうだ」と断定するのは危険です。
主要データ:外国人職員が『良い』と感じる職場、辞める理由、施設の支援
外国人職員が「今の職場は良い」と感じる要素(老施協調査・複数回答)
| 要素 | そう感じる人の割合 |
|---|---|
| 職場内のコミュニケーションが良好 | 66.5% |
| 悩み・不満などの相談体制が整っている | 55.7% |
| 希望に合わせてシフトを組んでくれる | 52.5% |
| 有給休暇が取得しやすい | 52.2% |
| 給料が良い | 39.8% |
注目すべきは、「給料が良い」(39.8%)が上位ではない点です。人間関係・相談体制・働きやすさが給与を上回りました。ただしこれは「賃金はどうでもいい」という意味ではありません(後述するように離職理由では賃金不満が2位)。「今いる職場を良いと感じさせる」ものと「辞める引き金」は別だと読むのが正確です。
過去5年間の離職理由(老施協調査・複数回答)
| 離職理由 | 割合 |
|---|---|
| 介護以外の他職種へ転職 | 52.1% |
| 賃金への不満 | 36.3% |
| 病気のため | 26.8% |
| 他の施設へ転職 | 22.3% |
| 国家試験に合格できず帰国 | 14.3% |
| 都市部に勤めたい | 11.3% |
施設が行っている定着促進の支援(老施協調査・複数回答)
| 支援内容 | 実施している施設の割合 |
|---|---|
| 生活相談・支援 | 82.8% |
| 住宅補助 | 74.5% |
| インターネット環境の整備 | 70.8% |
| 通勤支援 | 70.3% |
| 就労相談支援 | 66.7% |
| 日本語研修や試験対策支援 | 64.1% |
日本人職員との直接比較(亀山ら 2019・EPA外国人156人と日本人336人)
| 比べた項目 | 結果 |
|---|---|
| 5年以上働き続けたい意向 | 日本人のほうが有意に高い(偶然では説明しにくい差。χ²=5.759、P=0.022) |
| コミュニケーション能力(自己モニタリング尺度) | 外国人のほうが高い(P<0.001) |
| 燃え尽き(バーンアウト)のしにくさ | 外国人のほうが燃え尽きにくい(P<0.05) |
この比較の意味を平たく言うと、外国人職員はコミュニケーション力が高く、心身の負担にも強い傾向がある一方で、「長く続けたい」という意向は日本人より低めだったということです。能力や適応の問題ではなく、長期に残る動機づけのところに課題がある、と読めます。P値は「その差が偶然で起きる可能性は低い」ことを示す指標で、差の大きさそのものを表すものではありません。
参考:介護職全体の離職率(介護労働実態調査 令和6年度)
訪問介護員と介護職員を合わせた2職種の離職率は12.4%で、2年連続の低下でした(採用率は14.3%)。これは日本人を含む介護職全体の数字で、外国人だけを取り出したものではありません。「外国人はすぐ辞める」という印象を検証する土台にはなりますが、外国人固有の離職率と混同しないでください。
データの正しい読み方:ここを取り違えると誤解する7つのポイント
- 「良い職場の理由」と「辞める理由」は別の物差し。老施協調査では、良いと感じる理由の1位は人間関係(66.5%)で給料(39.8%)は下位。一方、辞める理由の2位は賃金不満(36.3%)。これは矛盾ではありません。日々の満足を支えるのは人間関係だが、離職を後押しする決定打には賃金がなりうる、という二層構造として読むのが正確です。
- 「介護以外の他職種へ転職」が離職理由の最多(52.1%)。これは「介護の仕事が嫌」というより、より稼げる・より通いやすい仕事へ移る動きを含みます。都市部志向(11.3%)ともつながっており、定着は職場単体だけでなく地域の労働市場や生活条件にも左右されます。
- 「国家試験に合格できず帰国」が14.3%。特にEPAでは、介護福祉士の国家試験に受からないと在留の継続が難しくなる制度設計があります。つまり試験サポートは「本人のため」であると同時に「定着の生命線」です。教育投資をしない施設は、この経路で人を失います。
- 日本人との比較は「能力」ではなく「継続意向」の差。亀山ら(2019)では、外国人職員はコミュニケーション力が高く燃え尽きにくい一方、5年以上の継続意向は日本人より低いという結果でした。「外国人は続かない」と資質の問題にすり替えず、長く残りたいと思える条件が整っていないと読むべきです。
- 「継続意向が低い」=「実際に辞める」ではない。意向はあくまで気持ちであり、実際の離職とは完全には一致しません。文献検討(荒居 2019)では、インドネシア人・フィリピン人は平均5年程度の滞在を想定していることも示されています。もともと数年で母国に戻る計画の人もいる、という前提を踏まえないと「意向が低い=定着に失敗」と早合点してしまいます。
- これらは相関であって因果の証明ではない。施設調査は「支援をしている施設で定着が良い」という関連を示せても、「支援したから定着した」と実験で証明したものではありません。もともと余力のある施設が支援も定着も両立できている可能性(交絡)があります。断定ではなく「有力な手がかり」として扱ってください。
- 回答した施設・職員に偏りがある。アンケートに答える施設は受け入れに前向きな傾向があり、また日本語で回答できた外国人職員が中心です。日本語が十分でない人や、すでに辞めてしまった人の声は入りにくい。データはやや「うまくいっている側」に寄っている前提で読むと過大評価を避けられます。
現場でどう活かすか:定着は『投資』であって『放置』ではない
ここからは、これらの研究知見を介護現場・受け入れ施設の実務にどう落とすかを整理します。共通するメッセージは一つ。外国人職員の定着は、日本語の話せる安い人手を確保することではなく、育て・支え・関係をつくる投資だということです。
1. 一番効くのは「日々の人間関係」への投資
良い職場と感じる理由の1位が人間関係(66.5%)、2位が相談体制(55.7%)でした。質的研究(田鎖 2024)でも、利用者との良い関係とサポート体制が「介護は人と人の仕事」という誇りを支え、定着を後押ししていました。文献検討(荒居 2019)でも、就労を続けたいという気持ちは「介護の場での日本人との関係性を通して変化しうる」と整理されています。特別なプログラムより、日々の声かけ・気にかけ・相談しやすい雰囲気づくりが土台です。プリセプター(新人に付く先輩役)を明確に決め、「困ったら誰に聞けばいいか」を本人が分かっている状態をつくることが、そのまま定着支援になります。
2. 日本語・国家試験のサポートは「定着の生命線」
離職理由に「国試不合格で帰国」が14.3%あり、EPAでは試験合否が在留に直結します。試験対策・日本語学習の時間を勤務内に確保する、参考書や講座の費用を施設が負担する、といった教育投資は、本人のキャリアと施設の定着の両方を守ります。実際、施設が国や自治体に最も求めた支援も「介護福祉士取得への助成金」(51.6%)でした。教育を個人任せにしないことが鍵です。国家試験を母国語で受けられるようにしてほしい、という制度改善を求める声も施設から挙がっています。
3. 生活の土台(住居・通勤・ネット環境)を整える
施設の支援実態でも、生活相談(82.8%)・住宅補助(74.5%)・ネット環境(70.8%)・通勤支援(70.3%)が上位でした。母国の家族と連絡を取るネット環境や、初めての土地での住まい・通勤は、仕事のパフォーマンス以前の前提条件です。ここが崩れると、能力があっても定着しません。介護労働実態調査でも、外国籍労働者を受け入れる際の課題として「住宅や寮の確保が困難」が上位に挙がっており、生活基盤の整備は施設共通の壁です。
4. 文化・宗教・アイデンティティへの配慮を軽視しない
文献検討(荒居 2019)は、就労継続意向に関わる要因として「対象者の属性」「宗教実践・文化的な考えの違い」「アイデンティティの葛藤」「日本人との関係性」の4つを挙げています。たとえば礼拝や食事の習慣、母国との価値観の違い、「自分は何者としてここで働くのか」という揺れは、能力とは別に定着を左右します。これは配慮すべきコストではなく、尊重すれば信頼と定着につながる投資対象です。ハラルや礼拝スペースへの小さな配慮が、本人の「ここにいていい」という感覚を支えます。
5. 「都市部への流出」を前提に、地方施設は条件で差をつける
離職の背景に都市部志向(11.3%)があり、転職先も神奈川・東京・愛知に集中していました。地方施設は「立地では勝てない」前提で、教育の手厚さ・キャリアの見通し・住環境・人間関係といった、立地以外の条件で選ばれる努力が要ります。転職を勧誘された経路として友人・SNS(31.8%)が上位だったことも踏まえ、本人のネットワークの中で「今の職場は良い」と思ってもらえる状態を保つことが、流出への最大の防波堤になります。
6. 科学的介護(LIFE)・多職種連携の担い手として位置づける
外国人職員はコミュニケーション力が高いという研究結果(亀山 2019)は、利用者の状態を観察し記録・共有する科学的介護(LIFEなどのデータにもとづくケア)や多職種連携でも戦力になりうることを示唆します。「言葉ができないから雑務」ではなく、アセスメントやチームケアの一員として役割を与えることが、本人のやりがい=継続意向につながります。役割と成長の見通しを言葉で示すことは、燃え尽きにくいという強み(亀山 2019)を長期の定着へ結びつける鍵になります。
この研究を知っている介護職・リーダーであることの意味
知っているメリット。「外国人はすぐ辞める」という漠然とした不安や偏見に、データで冷静に向き合えるようになります。実際には、外国人職員は日本人よりコミュニケーション力が高く燃え尽きにくい傾向すらある。課題は資質ではなく「長く残りたいと思える条件づくり」だと分かれば、現場のリーダーとして打つ手が具体的になります。採用してくる立場・教える立場・一緒に働く立場、どこにいても「何に投資すれば人は残るか」を語れることは、これからの介護現場で強い武器になります。
知らないことのデメリット。要因を取り違えると、対策がずれます。たとえば「賃金さえ上げれば定着する」と単純化すると、日々の満足を支えている人間関係・相談体制への投資を怠り、結局は離れられてしまう。逆に「うちは仲が良いから大丈夫」と人間関係だけに安心して、試験サポートや生活支援を放置すれば、国試不合格や生活破綻で人を失う。定着は単一の施策ではなく、人間関係・教育・生活・キャリアの複数レバーを同時に回して初めて成立します。どれか一つだけを完璧にしても、他が欠ければそこから人は抜けていきます。
キャリアの視点で。外国人受け入れは今後さらに拡大します。特定技能「介護」の在留者は2024年12月末で約4万4千人と過去最多を更新し続けており、2027年には育成就労制度も始まります。定着のエビデンスを踏まえて受け入れ体制を設計・改善できる人材は、施設内でも業界でも希少です。「多文化の職場をまとめられるリーダー」は、これからの介護管理職・サービス提供責任者にとって明確な強みになります。逆に言えば、外国人職員の定着を「本人の頑張り次第」で片づける施設は、採用・教育のコストを何度も払い続けることになります。エビデンスを知る職員が現場に一人いるだけで、施設の人材戦略は変わります。
今日からできる、外国人の同僚の定着を支える小さな行動
- 「困ったことない?」を定期的に聞く。相談体制が整っていると感じることが定着の上位要因(55.7%)。制度をつくる前に、まず先輩・同僚から声をかける習慣を。
- 専門用語・略語を言い換える。コミュニケーション力は高くても、現場特有の略語や方言はハードル。「バイタル=体温や血圧の測定」のように、初出でやさしい言葉を添える。
- 試験勉強の進み具合を気にかける。国試不合格は帰国=離職に直結(14.3%)。「試験どう?」の一言と、分からない漢字の読みを一緒に確認するだけでも支えになる。
- 役割と成長の見通しを言葉にする。「来年はこの業務を任せたい」と将来像を示すことが、継続意向を高める。単なる人手ではなくチームの一員だと伝える。
- 文化や信仰の違いに一言配慮する。食事や礼拝の習慣をさりげなく尋ね、可能な範囲で合わせるだけで「ここにいていい」という安心につながる。
- 生活の困りごと(住まい・通信・買い物)にアンテナを張る。仕事外の不安が離職につながる。生活面の相談先を施設として用意しておく。
よくある質問
Q外国人介護職員は日本人よりすぐ辞めるのですか?
「すぐ辞める」と一概には言えません。EPA外国人と日本人を直接比べた研究(亀山ら2019)では、外国人職員はコミュニケーション力が高く燃え尽きにくい傾向すらありました。ただし『5年以上働き続けたい』という継続意向は日本人より低めでした。資質の問題ではなく、長く残りたいと思える条件(教育・生活支援・キャリアの見通し)が整っているかが分かれ目です。なお介護職全体の離職率は令和6年度で12.4%と低下傾向ですが、これは外国人だけの数字ではありません。
Q定着のために施設が最優先で投資すべきことは何ですか?
研究とデータをあわせると、まず『日々の人間関係と相談体制』です。外国人職員が良い職場と感じる理由の1位が人間関係(66.5%)、2位が相談体制(55.7%)でした。次いで、EPAでは在留に直結する日本語・国家試験のサポート、そして住居やネット環境など生活の土台。これらは単独ではなく複数を同時に整える必要があります。
Q賃金を上げれば定着しますか?
賃金だけでは不十分です。良い職場と感じる理由では『給料が良い』は上位ではなく(39.8%)、人間関係や働きやすさが上回りました。ただし辞める理由では賃金不満が2位(36.3%)に入ります。つまり賃金は『日々の満足の源』ではないが『離職の引き金』にはなりうる、という二面性があります。賃金は必要条件の一つであって、それ単独の万能策ではありません。
Qこれらのデータはどこまで信頼できますか?
主に用いた老施協の定着度調査は全国824施設に配り192施設(回答率23.3%)・外国人1177人分の回答という一定規模のものですが、回答した施設は受け入れに前向きな傾向があり、辞めた人や日本語が十分でない人の声は入りにくい偏りがあります。また施設調査は『支援と定着の関連』は示せても『支援が定着を生んだ』という因果を実験で証明したものではありません。有力な手がかりとして活用しつつ、断定は避けるのが適切です。
参考文献・一次資料
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まとめ:定着する外国人職員は『育てて残ってもらう』もの
「外国人介護職員は定着するのか」という問いに、データは白黒つく答えを返しません。返してくるのは条件付きの答えです。受け入れ施設が人間関係・教育・生活・キャリアの見通しに投資すれば残りやすく、放置すれば離れていく。全国1,177人分の施設調査では、良い職場と感じる一番の理由は給料ではなく人間関係(66.5%)と相談体制(55.7%)でした。日本人と直接比べた研究では、外国人職員はむしろコミュニケーション力が高く燃え尽きにくい一方、長く続けたい意向は低め。課題は資質ではなく、長く残りたいと思える環境づくりにあります。
これらは相関を示す調査であって、因果を実験で証明したものではありません。回答施設の偏りもあります。それでも、現場のリーダーが打つべき手の方向は十分に示唆されています。日々の声かけと相談しやすさ、国家試験・日本語の教育投資、住まいやネット環境という生活の土台、そしてチームの一員としての役割。これらを同時に回すことが、外国人職員の定着を支えます。「安い労働力」としてではなく、育てて長く働いてもらう仲間として迎えられる施設・介護職が、これからの人手不足の時代に選ばれ、生き残っていきます。外国人受け入れがもはや例外ではなくなった今、定着のエビデンスを現場の実践に翻訳できることは、介護職一人ひとりのキャリアにとっても確かな強みになります。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。

