
外国人介護人材の受け入れで起きる問題と防ぎ方
介護労働実態調査では、特定技能1号を受け入れている事業所の44.0%が「人数・質ともに確保できていない」と回答し、受け入れていない事業所(23.7%)を大きく上回ります。受け入れの課題1位は意思疎通の難しさ(36.5%)。データから受け入れがつまずく構造と、施設側で打てる手を整理します。
この記事のポイント
介護労働安定センターの令和6年度介護労働実態調査によれば、特定技能1号を受け入れている事業所の44.0%が「人数・質ともに確保できていない」と回答しており、受け入れていない事業所の23.7%を大きく上回ります。受け入れの課題として最も多いのは「利用者や他の従業員との意思疎通が難しい」で36.5%、次いで「住宅や寮の確保が困難」23.6%、「サポート役の負担が大きい」22.4%です。ただしこの数字は「受け入れると悪化する」ことを示すものではなく、人手不足が深刻な事業所ほど受け入れに踏み切っているという逆方向の因果が働いていると考えられます。
目次
外国人介護人材の受け入れについて、成功事例は多く語られる一方で、うまくいかなかったケースの情報は表に出にくいものです。受け入れを支援する立場の事業者が発信する情報が多く、当事者が失敗を語る動機が乏しいためです。
そこで公的な調査データから、受け入れの実態を見ていきます。介護労働安定センターの介護労働実態調査は、全国の介護事業所を対象に毎年実施されており、令和6年度調査では8,978事業所から有効回答を得ています。この調査には、外国籍労働者の受け入れ状況と、従業員の人数・質をどう評価しているかをクロスさせた集計があります。
結果は直感に反します。受け入れている事業所のほうが、人材の量と質に満足していない比率が高いのです。この記事ではその数字の意味を慎重に読み解いたうえで、受け入れがつまずく構造と、施設側で打てる手を整理します。
受け入れている事業所ほど人材不足感が強い
令和6年度介護労働実態調査の図表8-1-2は、採用した従業員の人数・質の評価を、外国籍労働者の受け入れ状況別に集計したものです。
| 従業員の人数・質の評価 | 全体 | 受け入れている(計) | うち特定技能1号 | うち技能実習生 | 受け入れていない |
|---|---|---|---|---|---|
| 人数・質ともに確保できている | 15.5% | 10.3% | 8.2% | 9.8% | 16.4% |
| 人数は確保できているが、質には満足していない | 18.5% | 29.4% | 29.7% | 29.1% | 16.6% |
| 質には満足だが、人数は確保できていない | 21.6% | 17.3% | 13.9% | 16.0% | 22.5% |
| 人数・質ともに確保できていない | 26.0% | 37.7% | 44.0% | 39.6% | 23.7% |
| 過去1年間、従業員は採用していない | 16.9% | 4.4% | 3.9% | 4.7% | 19.5% |
調査の本文でも「受け入れている事業所では、受け入れていない事業所と比較して『質的に満足していない(確保できていない)』の比率が高く、受け入れている在留資格別では『特定技能1号』『技能実習生』で『人数・質ともに確保できていない』が高くなっている」と指摘されています。
この数字をどう読むか
ここで結論を急いではいけません。「外国人材を受け入れると人材不足感が悪化する」と読むのは誤りです。より自然な解釈は逆方向です。
- 人手不足が深刻な事業所ほど受け入れに踏み切る:日本人の採用で充足している事業所は、コストと手間をかけて外国人材を受け入れる必要がありません。受け入れている事業所の母集団が、そもそも人手不足の事業所に偏っています
- 「採用していない」の差が裏付け:過去1年間に従業員を採用していない事業所は、受け入れていない群で19.5%あるのに対し、受け入れている群では4.4%です。受け入れ群はそもそも採用活動が活発、つまり人が足りていない事業所の集まりです
したがってこの表から言えるのは「受け入れが失敗している」ことではなく、「受け入れても人材不足感は解消していない」ということです。因果の向きは特定できませんが、少なくとも受け入れが人手不足を即座に解決していないことは読み取れます。
「質には満足していない」が突出している
より注目すべきは2行目です。「人数は確保できているが、質には満足していない」が、全体18.5%に対して受け入れ群29.4%と10ポイント以上高くなっています。人数の充足より、質の評価で差が出ています。
ここには2つの可能性があります。1つは受け入れ初期で技能や日本語が発展途上であること。もう1つは、評価する側の基準が日本人職員と同じであることです。特定技能1号は入国時点でN4相当、介護技能評価試験の合格水準です。日本人の経験者と同じ尺度で評価すれば、当然「質に満足していない」という結果になります。受け入れの成否を判断する前に、何を基準に評価しているかを確認する必要があります。
「失敗」を語るデータが少ない理由
受け入れの成否を判断しようとすると、情報源に偏りがあることに気づきます。
外国人材の受け入れに関する情報の多くは、登録支援機関や人材紹介会社が発信しています。これらの事業者は受け入れを支援する立場であり、受け入れが進むことが事業になります。発信される情報が成功事例に寄るのは自然な構造です。
一方で、受け入れがうまくいかなかった施設が経緯を公表する動機はほとんどありません。採用の失敗は施設の評判に関わり、関係者への配慮も必要になります。結果として、失敗の情報は表に出ないまま個別の施設に留まります。
公的調査が数少ない手がかりになる
この非対称を埋められるのが、匿名の悉皆調査に近い公的統計です。介護労働実態調査は厚生労働省が介護労働安定センターに実施させているもので、令和6年度は全国18,000事業所を無作為抽出し、8,978事業所から有効回答を得ています。回答者に成功を演出する動機がなく、受け入れていない事業所も同じ調査に含まれるため、比較ができます。
この記事で扱う数字は、そうした調査から取っています。個別の失敗談ではなく、全体としてどういう傾向があるかを見るための材料です。逆に言えば、個々の施設で何が起きたかまでは分かりません。数字が示すのは分布であり、原因の特定には別の情報が必要になります。
この記事で扱う範囲
以下では次の3点を順に見ていきます。
- 受け入れ状況別に見た、人材の量と質の評価(受け入れ群と非受け入れ群の比較)
- 受け入れ事業所が実際に挙げている課題の内訳
- 受け入れ経験の有無による、今後の方針の違い
そのうえで、データから導ける対策を整理します。断定できないことは断定せず、相関と因果を分けて扱います。
受け入れ事業所が挙げる3つの課題と、その正体
同じ調査で、外国籍労働者受け入れの課題(事業所調査・問19)として挙げられた上位3項目は次のとおりです。
| 順位 | 課題 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 | 利用者や他の従業員との意思疎通(日本語能力およびコミュニケーション)が難しい | 36.5% |
| 2 | 受け入れのための住宅や寮などを確保することが困難 | 23.6% |
| 3 | 外国籍労働者の仕事上のサポート役の負担が大きい | 22.4% |
① 意思疎通の難しさ(36.5%)
最大の課題です。ただし「日本語ができない」という単純な話ではありません。特定技能1号は日本語試験に合格して入国しています。問題が起きるのは次のような場面です。
- 方言と高齢者特有の話し方:教科書の日本語と、80代の利用者が話す言葉は別物です。試験に合格していても現場で通じないことがあります
- 介護の専門用語と略語:「バイタル」「トランス」「エアマット」といった現場語は日常会話の学習範囲外です
- 記録と申し送り:口頭の理解より、書いて伝えるほうが難度が高くなります。読み手が内容を把握できる記録を書けるまでには時間がかかります
- 緊急時の報告:平常時は問題なくても、急変時に状況を正確に短時間で伝えるのは別の能力です
対策の方向は「日本語を勉強させる」だけでは足りません。現場語の用語集を作る、記録をチェックシート形式にして負荷を下げる、といった受け入れ側の環境調整が並行して必要です。訪問系サービスの通知でも、記録作成の工夫としてチェックシート方式による簡略化や文字の色分けによる優先順位・緊急度の区別が例示されています。
② 住宅・寮の確保(23.6%)
特定技能では受け入れ機関に住居確保の支援が義務づけられています。家賃相場が高い地域ほど負担が重く、これは都道府県別の浸透度で東京都が求人倍率全国1位でありながら浸透度24位にとどまる背景とも符合します。
物件そのものの確保も課題です。外国人であることを理由に入居を断られるケースがあり、保証人の問題も生じます。法人が借り上げて社宅として提供する方式が確実ですが、初期費用が発生します。
③ サポート役の負担(22.4%)
見落とされやすい課題です。受け入れは外国人材と施設の関係だけでなく、指導を担当する日本人職員の負担を伴います。通常業務をこなしながら指導し、質問に答え、生活面の相談にも乗る。この負担が特定の職員に集中すると、その職員が疲弊します。
皮肉なことに、人手不足を解消するために受け入れたのに、指導負担で現場が忙しくなるという事態が起こり得ます。前章のデータで「受け入れている事業所ほど人数・質ともに確保できていないと答える」背景には、この構造も含まれている可能性があります。
対策は指導者の業務量調整です。指導期間中は担当利用者数を減らす、指導を複数人で分担する、といったシフト上の手当てが必要になります。人員配置基準への算入ができても、指導負担は別に発生します。
受け入れ経験の有無で、姿勢が二極化している
同じ調査には今後の受け入れ方針も含まれています。すでに受け入れている事業所と、まだ受け入れていない事業所で、傾向が明確に分かれます。
すでに受け入れている事業所
| 今後の方針 | 令和6年度 | 令和5年度 |
|---|---|---|
| 今後、積極的に受け入れを拡大していきたい | 32.3% | 34.9% |
| 現在の水準を補充する程度の受け入れをする | 49.3% | 47.2% |
| 新たな受け入れはしない | 14.1% | 14.8% |
拡大と現水準維持を合わせると81.6%が受け入れを継続する意向です。課題を抱えながらも、いったん受け入れた事業所の大半は続けています。「新たな受け入れはしない」は14.1%にとどまります。
まだ受け入れていない事業所
| 今後の方針 | 令和6年度 | 令和5年度 |
|---|---|---|
| 今後、受け入れを検討してみたい | 30.1% | 31.4% |
| 受け入れたいが、どういう手続きを進めれば受け入れられるかわからない | 6.8% | 7.8% |
| 今後も受け入れようとは思わない | 59.2% | 57.6% |
こちらは「今後も受け入れようとは思わない」が59.2%で、前年度の57.6%から増加しています。一方「検討してみたい」は31.4%から30.1%へ、「手続きがわからない」も7.8%から6.8%へ減少しました。
読み取れること
受け入れている事業所は継続志向が強く、受け入れていない事業所は前年よりむしろ後ろ向きになっています。経験の有無で姿勢が二極化しつつあるという構図です。
この非対称は、受け入れの難所が「始める前」にあることを示唆します。実際に受け入れた事業所の8割以上が継続を選ぶということは、課題はあっても運用可能だと判断されているということです。一方で未経験の事業所は、情報や見通しが得られないまま「やらない」に固まりつつあります。
「手続きがわからない」が6.8%まで下がっている点も示唆的です。情報が足りないから踏み切れないのではなく、検討したうえで見送っている事業所が増えていると読めます。コスト、指導負担、住居確保といった具体的な障壁が判断材料になっていると考えられます。
つまずきを減らすために、受け入れ前に決めておくこと
データから見えた3つの課題は、いずれも受け入れ後に対処するより、受け入れ前に設計しておくほうが負担が小さくなります。
1. 評価基準を先に決める
「質に満足していない」という評価が受け入れ群で突出している以上、何をもって及第とするかを先に定義しておく必要があります。日本人の経験者と同じ基準で見れば、入職1年目の外国人材が及第することはありません。受け入れ時点の到達目標と、6か月後・1年後の目標を分けて設定し、現場の職員と共有しておきます。
2. 指導者の負担を業務量で吸収する
サポート役の負担が課題の3位に入っている以上、指導は善意で吸収できる量ではありません。指導期間中は指導者の担当利用者数を減らす、指導を複数人で分担してローテーションする、といった手当てをシフトに織り込みます。これを行わないと、指導者自身の離職リスクが生じます。
3. 住居は受け入れ決定前に目処をつける
住居確保は受け入れ機関の義務です。物件が見つからなければ受け入れそのものが成立しません。法人による借り上げを前提に、家賃相場と初期費用を先に試算しておきます。都道府県の環境整備事業で補助対象になる場合があるため、使える助成金とあわせて確認してください。
4. 現場語の用語集を作る
意思疎通の課題は日本語能力だけの問題ではありません。自施設で使っている略語、記録の書式、申し送りの型を一覧化しておくと、受け入れ後の立ち上がりが早くなります。これは日本人の新人にも役立つため、外国人材の受け入れを機に整備する価値があります。
5. 5年後の姿を最初に共有する
特定技能1号は通算5年が上限です。介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ移行すれば期限はなくなります。この見通しを採用時に共有しておくかどうかで、本人の学習意欲と定着が変わります。移行の進め方は特定技能「介護」5年の壁を超えるで解説しています。
6. 受け入れは1人からにしない
調査では、受け入れている事業所の約半数が「現在の水準を補充する程度の受け入れをする」と回答しています。1人だけの受け入れは、本人にとって同じ立場の相談相手が施設内にいない状態を意味します。孤立は離職の要因になります。複数人での受け入れが難しい場合は、地域の交流会や母国語の相談窓口につなぐ経路を用意しておく必要があります。国も母国語による相談窓口の設置に取り組んでいます。
離職・転職につながる兆候をどう捉えるか
特定技能は技能実習と異なり、本人の意思による転職が制度上可能です。より条件の良い施設へ移ることは制度が認めた選択であり、それ自体を防ぐことはできません。ただし離職に至る過程には段階があり、早期に把握できれば対応の余地があります。
制度が用意している把握の機会
特定技能では義務的支援として3か月に1回以上の定期面談が求められています。これは形式的な確認の場ではなく、本人の状況を把握する制度上の唯一の定期的な機会です。支援を登録支援機関に全部委託している場合、面談は支援機関が実施するため、施設側に情報が届くかどうかは連携次第になります。
面談記録(定期面談報告書)は年1回の定期届出の添付書類でもあります。届出カレンダーで整理したとおり、届出が年1回になっても面談は3か月に1回以上必要です。届出のためだけに記録を集めるのではなく、面談で把握した内容を施設が随時受け取る経路を作っておく必要があります。
調査から見える離職の背景
介護労働実態調査では、離職率が低下傾向にある事業所にその理由を尋ねた結果として「職場の人間関係がよくなったため」が最も多く挙げられています。また職場定着の方策として効果があったとする割合が最も高いのは「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」(34.4%)で、次いで「人間関係が良好な職場づくり」(29.5%)です。賃金水準の向上は採用に最も効果があるとされる一方、定着ではこれらの項目が上位に来ます。
これは日本人職員を含む全体の傾向ですが、外国人材にも共通する部分があります。とくに休暇の取りやすさは、一時帰国の希望と直結します。人材確保等支援助成金の対象措置に「一時帰国のための休暇制度の整備」が含まれているのは、この点が定着に関わるためと読めます。
施設側で確認できる兆候
- 記録の質が落ちる:日々の記録は業務であると同時に、日本語学習の継続を示す指標でもあります。記載量が減る、定型文だけになるといった変化は、モチベーションの低下と重なることがあります
- 同僚との会話が減る:休憩時間に孤立している状態が続く場合、施設内に相談相手がいない可能性があります
- シフトの希望が変わる:夜勤を避けたい、勤務日を減らしたいといった変化は、体調や生活面の問題が背景にあることがあります
- 資格取得の学習が止まる:介護福祉士の取得を目指していた人が学習をやめた場合、長期の見通しを失っている可能性があります
「防ぐ」のではなく「早く知る」
転職を制度上禁止できない以上、施設側にできるのは条件面と環境面で選ばれ続けることと、問題を早く知ることです。3か月に1回の面談を支援機関任せにせず、施設としても日常的に状況を把握する経路を持っておくことが、結果的に最も現実的な対策になります。
よくある質問
Q. 受け入れると人手不足が悪化するのですか
そうは言えません。調査結果は相関であって因果ではありません。人手不足が深刻な事業所ほど受け入れに踏み切っているという逆方向の説明のほうが自然です。実際、過去1年間に従業員を採用していない事業所は受け入れていない群で19.5%、受け入れている群では4.4%であり、受け入れ群はもともと採用が必要な事業所に偏っています。ただし「受け入れれば不足感が解消する」わけではないことは読み取れます。
Q. 特定技能1号で「人数・質ともに確保できていない」が44.0%と最も高いのはなぜですか
調査は理由まで示していません。考えられる要因として、特定技能は技能実習と異なり転職が可能であること、受け入れ実績の浅い事業所が多いこと、比較的新しい制度で運用が確立していないことなどが挙げられますが、いずれも調査から確認できるものではありません。数字として押さえるにとどめるのが適切です。
Q. 離職率のデータはありますか
同調査では訪問介護員と介護職員を合わせた2職種の離職率は12.4%で、2年連続の低下です。ただしこれは全体の数字で、外国籍労働者に限定した離職率は公表されていません。外国人材の定着要因については研究エビデンスを扱った外国人介護職員は定着するのかも参考になります。
Q. 受け入れをやめる事業所はどのくらいありますか
すでに受け入れている事業所のうち「新たな受け入れはしない」と回答したのは14.1%です。裏返せば81.6%が拡大または現水準の維持を選んでおり、いったん受け入れた事業所の大半は継続しています。
Q. 未経験の事業所が増えていないのはなぜですか
調査では受け入れていない事業所の「今後も受け入れようとは思わない」が59.2%と前年より増加し、「手続きがわからない」は6.8%まで減少しています。情報不足が理由ではなく、検討したうえで見送る事業所が増えていると読めます。コスト、指導負担、住居確保といった具体的な障壁が判断材料になっていると考えられます。
参考資料・出典
- [1]令和6年度 介護労働実態調査
図表8-1-2・問18②③・問19(有効回答8,978事業所)
- [2]外国人介護人材の受入れについて
介護分野の受け入れ要件
- [3]特定技能制度
住居確保支援を含む受け入れ機関の義務
- [4]訪問系サービス従事における留意点について Q&A
記録作成の工夫の例示
- [5]外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について
巡回訪問・母国語相談窓口の取組
まとめ
介護労働実態調査では、特定技能1号を受け入れている事業所の44.0%が「人数・質ともに確保できていない」と回答し、受け入れていない事業所の23.7%を大きく上回ります。ただしこれは受け入れが失敗を招いているのではなく、人手不足が深刻な事業所ほど受け入れに踏み切っているという構造の反映と考えるのが自然です。読み取るべきは「受け入れても不足感は自動的には解消しない」という点です。
課題の内訳は、意思疎通の難しさ36.5%、住宅・寮の確保23.6%、サポート役の負担22.4%です。いずれも受け入れ後に対処するより、受け入れ前に設計しておくほうが負担が小さくなります。とくにサポート役の負担は、指導者の業務量を調整しなければ善意で吸収できる量ではありません。
一方で、すでに受け入れている事業所の81.6%が拡大または現水準維持を選んでおり、いったん始めた施設の大半は継続しています。逆に未経験の事業所では「今後も受け入れようとは思わない」が59.2%と前年より増え、「手続きがわからない」は6.8%まで減りました。情報不足ではなく、判断したうえで見送る事業所が増えています。
難所は運用そのものより、始める前の設計にあります。評価基準、指導者の業務量、住居、現場語の用語集、5年後の見通し。この5つを受け入れ決定の前に詰めておけば、調査に表れた課題の多くは事前に手当てできます。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。
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