特定技能「介護」の人員配置基準への算入ルールと夜勤配置
介護職向け

特定技能「介護」の人員配置基準への算入ルールと夜勤配置

特定技能1号の介護人材は、厚労省告示の解釈通知により就労と同時に人員配置基準へ算入できます。技能実習は原則6か月経過が必要で、令和6年4月から事業者判断による例外が新設されました。在留資格別の算入要件と、夜勤に配置する際の体制条件を一次資料で整理します。

ポイント

この記事のポイント

特定技能1号の介護人材は、就労と同時に人員配置基準の職員等として算入できます(厚生労働省告示第66号の解釈通知)。ただし一定期間、経験のある職員とチームでケアに当たる体制が求められます。一方で技能実習生は原則として実習開始から6か月経過が必要で、令和6年4月から「6か月未経過でも事業者の判断で算入可」という例外が新設されました。日本語能力試験N1・N2合格者は期間を問わず算入できます。在留資格によって初日から頭数に数えられるかが変わるため、シフト設計の前提が異なります。

目次

外国人介護人材を受け入れるとき、現場で最初に問題になるのは「この人はシフトの頭数に数えられるのか」です。人員配置基準に算入できなければ、日本人職員と同じ人数を確保したうえで追加で配置することになり、実質的な人手不足の解消につながりません。

この算入の可否は在留資格によって異なります。とくに特定技能1号と技能実習生では条件が明確に違い、令和6年4月には技能実習側の要件が緩和されました。ところが「外国人材は6か月間は頭数に数えられない」という理解が一律に語られることがあり、特定技能でも同じだと誤解されているケースがあります。

この記事では厚生労働省の告示解釈通知と新旧対照表を一次資料として、在留資格別の算入要件と夜勤に配置する場合の条件を整理します。制度全体の使い分けは外国人介護人材の受け入れガイド、受け入れ手続きは受け入れの流れで解説しています。

在留資格別・人員配置基準への算入要件の一覧

介護報酬および障害福祉サービス等報酬上の人員配置基準について、在留資格ごとの取り扱いは次のとおりです。

在留資格算入できる時期付帯条件
特定技能1号就労と同時に算入可一定期間、他の一定の経験のある職員とチームでケアに当たる等、受入施設における順応をサポートしケアの安全性を確保する体制をとること
技能実習次のいずれか
① 実習開始から6か月経過
② 6か月未経過でも事業者判断(令和6年4月新設)
③ 日本語能力試験N1またはN2合格
②の場合はア「一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制」イ「安全対策担当者の配置、安全対策に関する指針の整備や研修の実施など、組織的に安全対策を実施する体制」の両方を満たすこと
EPA介護福祉士候補者技能実習と同じ3要件(①就労開始から6か月経過 ②事業者判断 ③N1・N2合格)②の場合は技能実習と同じア・イを満たすこと
在留資格「介護」制限なし介護福祉士の国家資格保有者であり、日本人職員と同様の取り扱い

特定技能が「就労と同時」である理由

特定技能1号は入国前に介護技能評価試験と日本語試験(N4相当以上)に合格していることが要件です。一定の技能水準が確認済みであることを踏まえ、告示の解釈通知では「就労と同時に職員等とみなす取扱いとしても差し支えない」と明記されています。技能実習が人材育成を目的とする制度であるのに対し、特定技能は即戦力の受け入れを目的とする制度であり、この違いが配置基準の扱いに反映されています。

令和6年4月の改正で何が変わったか

技能実習とEPA候補者については、従来は「①6か月経過」または「②N1・N2合格」の2要件のみでした。令和6年3月15日付の通知(介護保険最新情報Vol.1223)により、「6か月を経過していない者であって、事業者が、当該者の日本語の能力および指導の実施状況ならびに事業所の管理者・実習責任者等の意見等を勘案し、配置基準において職員等とみなすこととした者」が新たに追加されました。従来の②はこの改正で③に繰り下がっています。

つまり技能実習生であっても、日本語能力と指導状況を事業者が評価し、安全対策の体制を整えていれば、6か月を待たずに算入できるようになりました。ただし事業者判断であるがゆえに、判断の根拠を記録として残せる運用にしておく必要があります。

診療報酬上の取り扱い

特定技能1号が看護補助者として病院または診療所で看護師長および看護職員の指導の下に療養生活上の世話等の業務を行う場合、看護補助者の配置基準の員数に含めて算定できます。介護医療院や医療機関併設の施設を運営している法人では、この点も確認しておく必要があります。

そもそも人員配置基準への算入とは何を意味するのか

介護保険サービスの各事業所には、利用者数に応じて配置すべき職員の人数が省令で定められています。特別養護老人ホームであれば入所者3人に対して介護職員または看護職員を1人以上、といった基準です。この基準を満たさなければ指定基準違反となり、人員欠如減算の対象になったり、指定の取り消しにつながったりします。

「配置基準に算入する」とは、この必要人数を計算するときの分子に、その職員を数えてよいという意味です。算入できない職員は、実際に現場で働いていても基準上は存在しない扱いになります。つまり日本人職員だけで基準を満たしたうえで、追加で配置する形になります。

算入できないと何が起きるか

受け入れ側から見た実質的な影響は次の3点です。

  • 人手不足が解消しない:現場の人数は増えますが、基準上の職員数は変わりません。基準を満たすための日本人職員の採用は引き続き必要です
  • 人件費が上乗せになる:基準を満たす人員に加えての配置になるため、その期間の人件費は純増です。受け入れコストの試算では、算入できない期間の人件費も見込んでおく必要があります
  • シフトの組み方が変わる:基準を満たす日本人職員のシフトを先に組み、その上に重ねる形になります。とくに夜勤の最低基準がある類型では影響が大きくなります

逆に算入できれば、受け入れたその日から基準上の職員数に反映されます。特定技能1号で就労と同時に算入できることの実務的な意味はここにあります。

夜勤に配置する場合の条件

配置基準に算入できる外国人介護人材は、夜勤の最低基準においても職員等とみなす取り扱いが認められます。ただし夜勤は昼間と異なり少人数勤務になるため、追加の配慮が求められます。

EPA介護福祉士候補者について通知が求めている配慮

厚生労働省の指針では、EPA介護福祉士候補者を夜勤に配置する場合、次のいずれかの体制を求めています。

  1. 介護福祉士候補者以外の介護職員を配置すること
  2. 緊急時のために介護福祉士候補者以外の介護職員等との連絡体制を整備すること

加えて、国家試験の合格に向けた学習時間への影響を考慮し、適切な範囲で夜勤を実施するよう配慮することが求められています。EPA候補者は在留期間内に介護福祉士資格を取得することが前提の制度であるため、学習時間の確保が制度の目的に直結します。

実務上の設計

単独夜勤を任せられるかどうかは、配置基準上の算入可否とは別の判断です。配置基準に算入できることは「頭数に数えられる」という意味であり、「一人で夜勤を回せる」という判断を制度が保証するものではありません。

実際の設計では次の順序で考えるのが現実的です。

  • まず日勤でチームケアに入れる:特定技能でも「一定期間、経験のある職員とチームでケアに当たる体制」が求められています。この期間に手順の理解度と記録作成の能力を確認します
  • 次に夜勤に他の職員と組ませる:緊急時の連絡体制を整えたうえで、複数人体制の夜勤に入れます
  • 単独夜勤は個別に判断する:利用者の状態像、緊急時の判断が必要な頻度、本人の日本語能力を踏まえて施設が判断します。夜間の急変対応では医療機関や家族への連絡が必要になるため、電話でのやりとりが成立するかが実質的な分岐点になります

算入の有無にかかわらず求められること

令和6年3月15日付の通知には、次の一文が繰り返し記載されています。「人員配置基準への算入の有無にかかわらず、研修または実習のための指導職員等の配置や、計画に基づく技能等の修得や学習への配慮など、法令等に基づき、受入れ施設において適切な指導および支援体制の確保が必要である」。

算入できるようになったことは、指導体制を省略してよいという意味ではありません。むしろ配置基準に数えたうえで指導も行う必要があるため、受け入れ当初の現場負担は算入の可否とは独立して発生します。

「チームでケアに当たる体制」を実際にどう作るか

特定技能1号を就労と同時に配置基準へ算入する場合、告示の解釈通知は「一定期間、他の一定の経験のある職員とチームでケアに当たる等、受入施設における順応をサポートし、ケアの安全性を確保するための体制をとること」を求めています。この記述は具体的な期間や人数を定めていないため、施設側で設計する必要があります。

「一定期間」をどう決めるか

通知に日数の定めはありません。技能実習の①要件が6か月であることを参考値として、3か月から6か月程度を目安に設定している施設が多い水準です。ただし期間で機械的に切るより、到達目標で判断するほうが実態に合います。たとえば次のような到達点を設定します。

  • 担当フロアの利用者について、移乗・排泄・食事介助の手順を単独で実施できる
  • 介護記録を日本語で作成し、他職種が読んで内容を把握できる
  • ヒヤリハットや利用者の状態変化を、口頭で上位者に報告できる
  • 緊急時の連絡手順(誰に、どの順序で)を説明できる

3番目と4番目は日本語能力に直結します。介助技術は反復で習得が進みますが、報告・連絡は語彙と表現の幅が必要になるため、習得に時間がかかる傾向があります。

ペアの組み方

「一定の経験のある職員」の要件も具体的な年数が示されていません。実務では次の点を押さえます。

  • 固定のペアにする:日ごとに組む相手が変わると、指導内容が重複したり抜けたりします。プリセプター方式で担当を固定するほうが、到達度の把握が確実になります
  • ペア相手の業務量を減らす:指導しながら通常業務をこなすと、指導側の負担が過大になります。ペア期間中は担当利用者数を調整するなど、シフト上の配慮が必要です
  • 安全対策の体制を先に整える:技能実習の②要件では「安全対策担当者の配置、安全対策に関する指針の整備や研修の実施」が明示されています。特定技能では同じ文言ではありませんが、ケアの安全性確保を求められている以上、同水準の体制を用意しておくのが自然です

記録の残し方

配置基準への算入は、実地指導や運営指導で確認される可能性があります。とくに技能実習で②の事業者判断により6か月未満で算入する場合、判断の根拠が問われます。次の書類を揃えておくと説明が容易になります。

書類内容
日本語能力の評価記録試験の合格証、または施設内での聞き取り・記録作成の評価
指導の実施記録OJTの実施日、指導内容、到達度のチェックシート
管理者・実習責任者の意見算入の可否についての判断とその理由を記した書面
チームケア体制を示す資料ペア勤務のシフト表、担当者の配置
安全対策の体制資料安全対策担当者の指名、指針、研修の実施記録

これらは新たに作る書類というより、すでに実施している指導の記録を算入判断の根拠として整理し直すものです。受け入れ開始時からチェックシート方式で記録を残しておけば、後から遡って作成する手間を避けられます。

受け入れ人数枠との関係

配置基準への算入とは別に、受け入れられる人数そのものに上限があります。この2つは混同されやすいので整理します。

特定技能1号の人数枠

事業所単位で、特定技能1号の総数がその事業所の常勤介護職員の総数を超えないことが要件です。常勤介護職員が10人の事業所なら特定技能1号は10人まで、という関係になります。ここでの常勤介護職員には特定技能1号自身は含まれません。

育成就労(2027年4月施行予定)の人数枠

育成就労制度では、事業所ごとに常勤介護職員(育成就労外国人を除く)の人数に応じた受け入れ上限が設けられ、事業所の育成就労外国人の総数は当該事業所の常勤介護職員の総数を超えないこととされています。加えて育成就労指導員は育成就労外国人5名につき1名以上選任し、そのうち1名以上は介護福祉士等であることが求められます。移行準備は育成就労(介護)への移行準備で解説しています。

技能実習の指導員配置

技能実習では技能実習指導員の配置が求められ、介護職種では固有の要件が定められています。人数枠と指導員配置の詳細は技能実習「介護」受け入れ要件まとめに整理しています。

算入可否と人数枠を取り違えない

  • 算入可否は「配置基準を満たすための頭数に数えられるか」の問題です。算入できなければ、その人を配置しても基準上は職員数が増えません
  • 人数枠は「何人まで受け入れられるか」の問題です。常勤介護職員数が上限になります
  • 両者は独立しています。算入できる在留資格でも人数枠は適用され、人数枠に余裕があっても算入要件を満たさなければ基準上はカウントされません

とくに小規模な事業所では、常勤介護職員数が少ないため人数枠が先に上限に達します。外国人材の受け入れで人員配置に余裕を作ろうとする場合、日本人職員の確保が前提条件になるという構造は変わりません。

サービス類型ごとに変わる論点

配置基準への算入ルール自体は在留資格で決まりますが、実務上どこが問題になるかはサービス類型によって変わります。

施設系(特養・老健・介護医療院)

配置基準の算入が最も直接的に効く類型です。入所者数に対する介護職員の比率が定められているため、算入できるかどうかが人員体制の充足に直結します。夜勤職員の最低基準も設定されているため、夜勤に入れるまでの育成期間をどう設計するかが焦点になります。ユニット型では、ユニットごとの職員配置が求められるため、ペア勤務の期間中にどのユニットに配置するかも検討事項です。

居住系(グループホーム・特定施設)

グループホームは1ユニットあたりの職員配置が小規模で、夜勤も1人体制が基本です。単独夜勤に入れるまでの期間が長引くと、日本人職員の夜勤負担が減りません。受け入れ前に、夜勤に入れるまでの間の勤務表が実際に組めるかを試算しておく必要があります。

通所系(デイサービス・通所リハ)

夜勤がないため、単独夜勤の判断という論点が発生しません。利用者との会話量が多い類型であるため日本語での意思疎通が課題になりやすい一方、常に複数職員が同じ空間にいるため、受け入れ初期のチームケア体制を組みやすい面があります。受け入れの入口として選ばれることがあります。

訪問系(訪問介護等)

令和7年4月から技能実習生および特定技能外国人の訪問系サービスへの従事が一定の条件のもとで認められました。ただし介護職員初任者研修課程等の修了と、原則として介護事業所等での実務経験1年以上が前提であり、受入事業者には研修の実施、一定期間の同行訪問等によるOJT、キャリアアップ計画の作成、ハラスメント防止のための相談窓口設置、不測の事態への対応環境の整備といった遵守事項が課されます。訪問系は「配置基準に算入できるか」より前に「従事できる要件を満たしているか」を確認する順序になります

共通して確認すべきこと

  • 加算の要件と混同しない:配置基準への算入と、各種加算の職員要件は別の枠組みです。加算に「介護福祉士の割合」などの要件がある場合、資格を持たない外国人材の増員は加算要件の充足に寄与しません。配置基準は満たせても加算の割合要件が下がることがあり得るため、加算の算定状況とあわせて試算してください
  • 常勤換算の扱い:算入できる場合、常勤換算方法による職員数の算定に含まれます。週の所定労働時間が短い契約の場合は換算値が下がるため、雇用契約の内容が配置基準上の効果を左右します

よくある質問

Q. 特定技能でも6か月間は配置基準に算入できないのですか

いいえ。特定技能1号は就労と同時に算入できます。6か月の要件があるのは技能実習生とEPA介護福祉士候補者です。「外国人材は6か月間カウントできない」という説明は技能実習を前提としたもので、特定技能には当てはまりません。

Q. 技能実習生を6か月未満で算入する場合、何を記録に残せばよいですか

通知では「日本語の能力および指導の実施状況ならびに事業所の管理者、実習責任者等の意見等を勘案し」と定められています。判断の根拠となるもの、たとえば日本語能力の評価記録、指導の実施記録、管理者・実習責任者の意見を書面で残しておくのが安全です。あわせて「一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制」と「安全対策担当者の配置、安全対策に関する指針の整備や研修の実施」の2要件を満たしている必要があります。

Q. N4合格では算入要件を満たさないのですか

日本語能力試験による算入要件はN1またはN2の合格です。N4は特定技能1号の入国要件に関わる水準であり、技能実習・EPA候補者の配置基準算入要件(③)を満たすものではありません。ただし技能実習では①6か月経過または②事業者判断のルートがあるため、N4であっても算入の道はあります。

Q. 単独で夜勤に入れてもよいのですか

配置基準への算入が認められることと、単独夜勤が適切であることは別の判断です。EPA介護福祉士候補者については、候補者以外の介護職員を配置するか、緊急時のための連絡体制を整備することが通知で求められています。特定技能についても「一定期間、経験のある職員とチームでケアに当たる」体制が求められており、受け入れ直後の単独夜勤は想定されていません。施設の判断として、利用者の状態像と緊急時対応の頻度を踏まえて決めることになります。

Q. 配置基準に算入できれば指導は不要になりますか

いいえ。通知には「人員配置基準への算入の有無にかかわらず、研修または実習のための指導職員等の配置や、計画に基づく技能等の修得や学習への配慮など、適切な指導および支援体制の確保が必要である」と明記されています。算入と指導義務は別問題です。

参考資料・出典

まとめ

人員配置基準への算入は在留資格によって扱いが異なります。特定技能1号は就労と同時に算入できる一方、技能実習生とEPA介護福祉士候補者は原則6か月経過が必要です。ただし令和6年4月からは、日本語能力と指導状況を事業者が評価し安全対策の体制を整えていれば、6か月を待たずに算入できる例外が加わりました。日本語能力試験N1・N2の合格者は期間を問わず算入できます。

「外国人材は最初の6か月は頭数に数えられない」という理解は技能実習を前提としたものであり、特定技能には当てはまりません。シフト設計の前提が変わるため、どの在留資格で受け入れるかを決める段階で確認しておく必要があります。

一方で、算入できることと単独で夜勤を任せられることは別の判断です。特定技能でも一定期間はチームケアの体制が求められ、通知は算入の有無にかかわらず指導・支援体制の確保を求めています。配置基準上の頭数が増えても、受け入れ当初の指導負担はなくなりません。人数枠(常勤介護職員の総数が上限)とあわせて、無理のない受け入れ規模を設計してください。

なお在留資格ごとの取り扱いは告示や通知の改正で変わります。令和6年4月の緩和も通知の改正によるもので、育成就労制度の施行(2027年4月予定)にあわせて再び整理される見込みです。判断に迷う場合は、指定権者である都道府県または市町村の介護保険担当課に確認するのが確実です。運営指導で問われるのは施設側の説明責任であり、根拠となる通知を手元に置いておくことが実務上の備えになります。

執筆者

介護のハタラクナカマ編集部

編集部

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