排泄予測支援加算とは

排泄予測支援加算とは

排泄予測支援加算(排せつ支援加算)の算定要件・単位数・PDCA手順を厚労省告示ベースで解説。膀胱内圧センサー活用との関係、2024年改定での評価頻度3か月化、月10〜100単位の区分を整理。

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この記事のポイント

排泄予測支援加算とは、膀胱内圧センサー(DFree等の排泄予測支援機器)の活用を含む排せつ支援の取組を、介護報酬上で評価する加算の通称です。正式名称は「排せつ支援加算」で、月10単位(Ⅰ)〜100単位(Ⅳ・経過措置)の4区分があり、特養・老健・介護医療院・看多機が対象。2024年度改定で評価頻度が6か月→3か月に短縮され、PDCAサイクルの精度が引き上げられました。

目次

排泄予測支援加算(排せつ支援加算)の正式な位置づけ

「排泄予測支援加算」という名称は現場や利用者・家族が用いる通称であり、介護報酬告示上の正式名称は「排せつ支援加算」です。施設系サービスにおいて、利用者の排泄自立支援に資する取組を評価する加算として、平成30(2018)年度改定で創設されました。

背景には「おむつ依存からの脱却」と「尊厳ある排泄」をケアの中核に据えるという厚生労働省の方針があります。令和3(2021)年度改定でアウトカム評価(Ⅱ)(Ⅲ)が導入されてプロセス評価とアウトカム評価の併存型に進化し、令和6(2024)年度改定では評価頻度が6か月に1回から3か月に1回へ短縮、PDCAの精度が一段と高まりました。

近年は膀胱内圧センサー(排泄予測支援機器)の介護保険給付対象化(2022年4月、特定福祉用具販売品目に追加)と相まって、機器を活用した排泄予測ケアと本加算の組み合わせ運用が広がっています。本加算自体は機器使用を必須要件としていませんが、機器を活用することで「3か月ごとの評価」「アウトカム達成」がより実現しやすくなる相乗関係にあります。

対象サービス

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)

※ 小規模多機能型居宅介護、通所介護、訪問介護等は対象外です。

算定要件(2024年度改定対応)

排せつ支援加算は次の3つの基本要件をすべて満たし、区分ごとの追加要件を満たすことで算定できます。

  1. 排泄に介護を要する利用者全員に対する評価実施
    医師または医師と連携した看護師が、入所時および3か月に1回(2024年改定で6か月→3か月へ短縮)、要介護状態の軽減見込みを評価する。尿道カテーテル抜去の可能性も評価対象に追加された。
  2. 支援計画の多職種共同作成と実施
    医師・看護師・介護支援専門員・介護職員等が共同で支援計画を作成し、計画に基づくケアを提供する。膀胱内圧センサー(排泄予測支援機器)を活用する場合は、計画書にその位置づけを明記する。
  3. 科学的介護情報システム(LIFE)への情報提出とフィードバック活用
    排泄状態(尿失禁・便失禁・おむつ使用・カテーテル留置)の評価結果をLIFEに提出し、フィードバック情報をケア改善に活用する。提出サイクルは2024年改定で他加算と同じ3か月に統一された。

区分別の追加要件

  • 排せつ支援加算(Ⅰ)月10単位:上記基本要件を満たすこと(プロセス評価)
  • 排せつ支援加算(Ⅱ)月15単位:(Ⅰ)の要件+「排尿・排便状態の改善」または「おむつ使用なしへの改善」または「尿道カテーテル抜去」のいずれかを達成(アウトカム評価)
  • 排せつ支援加算(Ⅲ)月20単位:(Ⅰ)の要件+「排尿・排便状態の改善」かつ「おむつ使用なしへの改善」を両方達成(アウトカム評価・最上位)
  • 排せつ支援加算(Ⅳ)月100単位:令和3年3月31日時点で旧排せつ支援加算を算定していた施設のみ、令和6年3月31日まで算定可(経過措置・原則終了済み)

PDCA手順|膀胱内圧センサーを活用した運用フロー

排せつ支援加算の取得・継続には、3か月サイクルのPDCAを着実に回すことが鍵です。膀胱内圧センサー(DFreeなど)を併用した場合の典型的なフローを示します。

  1. Plan:アセスメントと支援計画作成
    入所時、医師または看護師が排泄状態を評価。利用者ごとに「おむつ離脱可能性」「カテーテル抜去可能性」「排尿パターン」を整理し、必要に応じて膀胱内圧センサーの装着可否を判定。介護支援専門員・介護職員と共同で支援計画を作成する。
  2. Do:計画に基づくケア実施
    排泄予測支援機器を活用する場合、通知タイミングに合わせたトイレ誘導を24時間体制で実施。介護記録に通知回数・成功率・利用者の反応を残す。
  3. Check:3か月ごとの評価とLIFE提出
    排泄状態の変化(おむつ使用量・失禁回数・カテーテル状況)を多職種で確認。LIFE提出フォーマットに沿って入力し、データを送信する。
  4. Act:フィードバックを反映した計画見直し
    LIFEからのフィードバック情報を踏まえ、機器の継続/中止、誘導タイミングの修正、新規利用者への適用拡大などを支援計画に反映。次の3か月サイクルへ。

このPDCAサイクルを継続することで、加算(Ⅰ)からアウトカム達成型の(Ⅱ)(Ⅲ)への移行が見込めます。膀胱内圧センサーは特に「Plan」と「Check」の精度を上げ、勘と経験に依存しないケアを実現する補助ツールとして位置づけるのが現場運用上のポイントです。

単位数早見表と収益インパクト

排せつ支援加算の単位数と、月間収益インパクトの目安です。地域区分による1単位単価の違いは反映していません(10円換算)。

区分単位数評価軸1人あたり月額目安50人施設・月額
(Ⅰ)10単位/月プロセス(体制整備)約100円約5,000円
(Ⅱ)15単位/月アウトカム(いずれか1項目達成)約150円約7,500円
(Ⅲ)20単位/月アウトカム(改善+おむつ離脱)約200円約10,000円
(Ⅳ)100単位/月経過措置(旧加算継続)約1,000円※令和6年3月で原則終了

1人あたりの加算額は決して大きくありませんが、施設全体で全入所者を対象に算定すれば月数万円〜十数万円の収益となり、何よりLIFE提出を通じた科学的介護の体制構築に資するという経営的メリットがあります。膀胱内圧センサーは特定福祉用具販売の対象として利用者負担で導入可能で、施設側の初期投資負担を抑えながらケア品質を上げられる点も検討材料です。

現場で押さえたい運用のコツ

  • 「全入所者」が原則:本加算は排泄に介護を要する利用者全員が対象。一部除外する場合は理由を記録に残す。
  • LIFE提出は3か月の同期日を意識:科学的介護推進体制加算など他のLIFE提出加算と提出日を揃えると業務負担が下がる。
  • 膀胱内圧センサーは「相性」を見極める:認知症で機器を外してしまう、皮膚状態が合わない利用者には不適。家族説明とインフォームド・コンセントが必須。
  • 記録様式は厚労省標準フォーマットを活用:自施設フォーマットだとLIFE提出時に変換が発生する。最初から標準化しておく。
  • カテーテル抜去は医師判断必須:2024年改定で評価対象に追加されたが、抜去判断は必ず医師の指示書を取得し、感染リスク管理を看護師主導で行う。

よくある質問

Q1. 「排泄予測支援加算」と「排せつ支援加算」は別の加算ですか?

同じものを指す通称・正式名称の関係です。介護報酬告示上の正式名称は「排せつ支援加算」で、現場や利用者・家族からは膀胱内圧センサー(排泄予測支援機器)の活用イメージとあわせて「排泄予測支援加算」と呼ばれることがあります。

Q2. 膀胱内圧センサーを使わないと算定できませんか?

いいえ、機器使用は要件ではありません。医師・看護師による評価、多職種共同の支援計画、LIFE提出という3要件を満たせば算定可能です。ただし機器活用はアウトカム達成(Ⅱ)(Ⅲ)への移行を後押しします。

Q3. 訪問介護や通所介護では算定できますか?

算定できません。対象は施設系の特養・老健・介護医療院・看多機の4サービスに限定されています。在宅サービスでは、利用者個人が特定福祉用具販売で排泄予測支援機器を購入する形になります。

Q4. 月100単位の(Ⅳ)はもう算定できないのですか?

令和6(2024)年3月31日で経過措置が終了しました。現在は(Ⅰ)10単位、(Ⅱ)15単位、(Ⅲ)20単位のいずれかで算定します。アウトカム達成型の(Ⅱ)(Ⅲ)を目指す運用が主流です。

Q5. 2024年改定の最大の変更点は?

評価頻度が6か月に1回→3か月に1回へ短縮された点です。あわせて尿道カテーテル抜去がアウトカム評価項目に追加され、LIFE提出サイクルも他加算と3か月で統一されました。業務効率と科学的介護推進の両立を狙った改定です。

まとめ

「排泄予測支援加算」は通称で、正式名称は排せつ支援加算。施設系4サービスを対象に、月10〜20単位(経過措置のⅣは100単位、令和6年3月終了)で算定される加算です。膀胱内圧センサーなどの排泄予測支援機器の活用は要件ではありませんが、3か月ごとのアウトカム達成と科学的介護の体制構築を後押しする現場ツールとして相性が良く、機器導入と加算取得を両輪で進める施設が増えています。2024年改定で評価頻度が3か月に短縮されたことを踏まえ、LIFE提出サイクルと合わせた業務フローの再設計が今後の鍵となります。

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