
訪問型サービスとは
訪問型サービスとは介護予防・日常生活支援総合事業のうち、要支援者等の自宅を訪問し生活援助等を行うサービス。従前相当・A〜Dの5類型、対象者、担い手、訪問介護(介護給付)との違いを解説。
訪問型サービスの定義(総合事業)
訪問型サービスとは、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)のうち、要支援1・2の方や事業対象者(基本チェックリスト該当者)の自宅をホームヘルパー等が訪問し、調理・洗濯・掃除といった生活援助や入浴・排せつ等の身体介護を行うサービスです。介護給付の訪問介護とは別枠で、市町村が地域の実情に合わせて運営します。
目次
訪問型サービスの概要(制度上の位置づけ)
訪問型サービスとは(制度上の位置づけ)
訪問型サービスは、2015年(平成27年)の介護保険法改正で創設された「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の中核をなすサービスのひとつです。それまで全国一律の介護予防給付(予防給付)として提供されていた介護予防訪問介護が市町村の総合事業へ移行し、各市町村が地域の資源やニーズに応じて柔軟に運営できる仕組みになりました。法令上は介護保険法第115条の45に基づく「第1号訪問事業(第1号訪問介護)」として位置づけられます。
サービスの内容は、利用者が自分で行うことが難しい調理・洗濯・掃除・買い物などの生活援助を中心に、入浴・排せつ・食事といった身体介護も含みます。あくまで利用者本人の自立を支援し、できることを増やして要介護状態への進行を防ぐ「介護予防」が目的であるため、家事をすべて代行するサービスではない点が特徴です。
総合事業へ移行した最大のねらいは、有資格のホームヘルパーによる専門的サービスだけでなく、緩和した基準のもとで働く研修修了者や、ボランティア・住民主体の支え合いなど、多様な担い手による多様なサービスを地域に用意することにあります。これにより、専門的な支援が必要な人には手厚いサービスを、軽度の生活支援で足りる人には地域の支え合いを、と利用者の状態に応じた配分が可能になります。
訪問型サービスの5類型(従前相当・A〜D)
訪問型サービスの5つの類型
訪問型サービスは、従来の訪問介護に相当する「従前相当サービス」と、それ以外の多様なサービス(訪問型サービスA〜D)に分かれます。市町村は地域の実情に応じて、これらを組み合わせて提供します。
- 従前相当サービス(現行の訪問介護相当):雇用された訪問介護員(ホームヘルパー)が身体介護や生活援助を提供します。認知機能の低下がある方や退院直後など、専門的なサービスが特に必要な方が主な対象です。人員・運営基準は従来の介護予防訪問介護に準じます。
- 訪問型サービスA(緩和した基準によるサービス):人員配置や資格要件を緩和した基準で、市町村等が定める研修を修了した従事者が、調理・掃除・洗濯などの生活援助を中心に提供します。専門的な身体介護までは必要としない方が対象です。
- 訪問型サービスB(住民主体による支援):ボランティアやNPO、住民組織が主体となり、布団干し・買い物代行・ごみ出し・電球交換などの生活援助を、地域の支え合いとして提供します。
- 訪問型サービスC(短期集中予防サービス):保健師・理学療法士などの専門職が、おおむね3〜6か月の短期間、栄養改善や運動機能・口腔機能の向上を集中的に支援します。状態の改善が見込まれる方に提供されます。
- 訪問型サービスD(移動支援):訪問型サービスBやC等と一体的に行われる、通院・買い物などの移動を支える送迎前後の付き添いといった移動支援です。住民主体の支え合いとして実施されます。
訪問型サービスと訪問介護(介護給付)の違い
名前が似ているため混同されやすいですが、総合事業の「訪問型サービス」と、介護給付の「訪問介護」は制度上の枠組みが異なります。主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 訪問型サービス(総合事業) | 訪問介護(介護給付) |
|---|---|---|
| 制度の枠組み | 介護予防・日常生活支援総合事業(市町村事業) | 介護給付(全国共通の保険給付) |
| 対象者 | 要支援1・2、事業対象者(基本チェックリスト該当者) | 要介護1〜5 |
| 基準・単価 | 市町村が地域の実情に応じて設定(地域差あり) | 全国一律の介護報酬に基づく |
| 担い手 | 有資格者に加え、研修修了者やボランティア・住民も担う類型がある | 原則として介護福祉士・初任者研修修了者等の有資格者 |
つまり、要支援の段階で利用するのが総合事業の訪問型サービス、要介護認定を受けた後に利用するのが介護給付の訪問介護、という整理になります。要支援から要介護へ状態が変われば、利用するサービスも訪問介護へ切り替わります。
訪問型サービスの対象者・担い手と市町村差の補足
利用前に知っておきたいポイント
対象者の確認:訪問型サービスを利用できるのは、要支援1・2の認定を受けた方のほか、要介護認定を受けていなくても基本チェックリストで一定の項目に該当した「事業対象者」です。利用にあたっては地域包括支援センターによる介護予防ケアマネジメントを受け、ケアプランを作成します。
担い手の幅広さ:従前相当サービスは有資格のホームヘルパーが担いますが、訪問型サービスAでは市町村指定の研修を修了した従事者が、B・Dではボランティアや住民組織が担い手になります。介護の資格がなくても、研修を経て生活支援の担い手として働ける入口があるのは総合事業ならではの特徴です。
市町村ごとに内容が異なる:総合事業は市町村が運営主体のため、用意されている類型・サービス名称・利用料・実施頻度は地域によって大きく異なります。たとえばA〜Dをすべて整備している市町村もあれば、従前相当とAのみという市町村もあります。実際に利用できるサービスは、お住まいの市町村や地域包括支援センターへの確認が必要です。
訪問型サービスのよくある質問
よくある質問
- 訪問型サービスと訪問介護はどう違いますか。
- 訪問型サービスは要支援1・2や事業対象者が利用する総合事業(市町村事業)のサービス、訪問介護は要介護1〜5が利用する介護給付(全国共通の保険給付)のサービスです。対象者と制度の枠組みが異なります。
- 訪問型サービスは誰が利用できますか。
- 要支援1・2の認定を受けた方と、基本チェックリストに該当した事業対象者が利用できます。地域包括支援センターの介護予防ケアマネジメントを経て利用します。
- 訪問型サービスA〜Dの違いは何ですか。
- Aは緩和した基準による生活援助(研修修了者)、Bは住民主体の生活援助(ボランティア等)、Cは保健師等による3〜6か月の短期集中予防、Dは移動支援です。従前相当サービスは現行の訪問介護に相当する専門的サービスです。
- 資格がなくても訪問型サービスの担い手になれますか。
- 類型によっては可能です。訪問型サービスAは市町村が定める研修の修了で従事でき、B・Dはボランティアや住民が担います。従前相当サービスは有資格者が担います。
- 住んでいる市町村で利用できる類型を知るには。
- 総合事業は市町村ごとに整備状況が異なるため、お住まいの市町村の介護保険担当課または地域包括支援センターに確認してください。
訪問型サービスの参考資料・出典
- [1]
- [2]
- [3]
- [4]
- [5]
訪問型サービスのまとめ
まとめ
訪問型サービスは、介護予防・日常生活支援総合事業のうち、要支援1・2や事業対象者の自宅を訪問して生活援助等を行うサービスです。従前相当サービスとA〜Dの多様な類型があり、有資格者から研修修了者、住民まで幅広い担い手が支えます。要介護者向けの訪問介護(介護給付)とは制度の枠組みが異なり、内容は市町村ごとに違うため、利用にあたっては地域包括支援センターへの確認が大切です。
この用語に関連する記事

介護パートの社会保険の壁|106万・130万の壁と2025年支援強化パッケージ
介護パートの社会保険の壁を整理。103/106/130/150万の違い、106万(厚生年金・健保加入)と130万(被扶養者)の仕組み、手取り逆転と回復ライン、年収の壁・支援強化パッケージと2025年改正の最新動向を時給×シフトの具体で解説。

親の介護にかかるお金の総額はいくら?在宅・施設別の月額と総額シミュレーション【2026年版】
親の介護費用は総額いくら?生命保険文化センター調査をもとに、一時費用+月額×平均介護期間で在宅・施設別の総額を独自試算。準備すべき金額の考え方と自己負担を抑える4つの制度を家族向けに整理します。

ケアプラン有料化、居宅への導入を上野厚労相が否定|「一般的な在宅で利用者負担は予定していない」と国会答弁
2026年6月11日の参議院厚生労働委員会で、上野賢一郎厚生労働相がケアプラン有料化(居宅介護支援への利用者負担導入)について「一般的な在宅で利用者負担を求めることは予定していない」と否定。住宅型有料老人ホーム向けの登録施設介護支援は1割負担で導入される一方、自宅で暮らす人の居宅介護支援は当面据え置きとなる現在地を、過去の見送りの経緯・財政審の主張・利用者と現場への影響まで整理します。

訪問介護、併設型など事業形態ごとに経営状況を把握へ|厚労相「適切な単価設定を検討」、収支差率9.6%の内訳が焦点
上野賢一郎厚生労働相が2026年6月10日の参議院本会議で、訪問介護の経営状況を集合住宅併設型など事業形態ごとに把握し「適切な単価設定を検討する」と答弁。収支差率9.6%の内訳と現場の賃金への波及を解説します。
執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
介護業界の転職・キャリア情報を発信。厚生労働省の公的データと現場の声をもとに、介護職で働く方・転職を検討する方に役立つ情報をお届けしています。