
育児休業とは
育児休業とは、育児介護休業法にもとづき原則1歳未満の子を養育するために取得できる休業です。取得要件と育児休業給付の給付率、2025年の法改正、シフト制の介護現場で人員をどう回すかを整理します。
この記事のポイント
育児休業とは、育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)にもとづき、原則として1歳に満たない子を養育する労働者が、事業主に申し出ることで取得できる休業です(同法第5条)。事業主は申出を拒むことができません(第6条)。休業中に賃金が支払われない期間の生活は、雇用保険の育児休業給付が支えます。
目次
育児休業の対象者と取得できる期間
育児介護休業法第5条第1項は、労働者はその養育する1歳に満たない子について、事業主に申し出ることにより育児休業をすることができると定めています。期間を定めて雇用される人(有期契約労働者)については、その養育する子が1歳6か月に達する日までに労働契約(更新される場合は更新後のもの)が満了することが明らかでない人に限り、申出をすることができます。
1歳到達日までの期間内に、2回まで分割して取得できます(第5条第2項)。さらに、保育所の利用を申し込んだが利用できない場合など、省令で定める事情に該当するときは、1歳から1歳6か月まで、そこからさらに2歳までの延長が認められます(第5条第3項・第4項)。配偶者も子が1歳に達する日以前に育児休業を取得している場合には、1歳2か月まで取得できる仕組み(いわゆるパパママ育休プラス)もあります。
これとは別に、子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで取得できる出生時育児休業(産後パパ育休)があり、こちらも2回まで分割して取得できます。通常の育児休業と別枠なので、産後パパ育休を取ったうえで、その後に育児休業を取ることもできます。
第6条は「事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない」と明記しています。ただし、労使協定を締結した場合には、継続して雇用された期間が1年未満の労働者など一定の労働者を対象から除外することができます(同条ただし書)。人員が薄い介護現場でも、要件を満たす申出を業務都合で断ることはできません。
育児休業給付の給付率(2026年8月時点)
育児休業中の所得は、雇用保険の育児休業等給付が支えます。支給を受けるには、休業を開始した日前2年間に、賃金の支払の基礎となった日数が11日以上ある月(ない場合は就業した時間数が80時間以上である月)が通算して12か月以上あることが必要です。
| 給付金 | 給付率 | 対象 |
|---|---|---|
| 育児休業給付金 | 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(開始から180日目まで)、181日目以降は50% | 1歳(延長時は最長2歳)未満の子を養育する育児休業 |
| 出生時育児休業給付金 | 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67% | 産後パパ育休(子の出生後8週間以内に28日まで) |
| 出生後休業支援給付金 | 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(28日が上限) × 13% | 2025年4月創設。上の給付に上乗せ |
| 育児時短就業給付金 | 各月に支払われた賃金額 × 10% | 2025年4月創設。2歳未満の子を養育するための時短勤務 |
出生後休業支援給付金は、原則として被保険者とその配偶者の両方が、子の出生直後の一定期間内に14日以上の育児休業(または出生時育児休業)を取得した場合に支給されます(配偶者の育児休業を要件としない場合もあります)。育児休業給付の67%と合わせて給付率が80%になり、育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除されること、給付が非課税であることから、厚生労働省は手取りで10割相当と説明しています。
育児時短就業給付金は、支給額と各月の賃金額の合計が時短就業開始時の賃金額を超えないように支給率が調整されます。いずれの給付にも上限額があり、毎年8月1日に改定されます。金額を扱うときは必ずハローワークの最新のパンフレットで確認してください。
2025年に施行された育児介護休業法の改正
2025年(令和7年)には、育児に関する制度が2段階で拡充されました。介護施設の就業規則にも反映が必要な内容です。
2025年4月1日から
- 子の看護休暇の見直し。対象となる子の範囲が、小学校就学の始期に達するまでから小学校第3学年修了までに延長されました。取得事由も、病気・けが・予防接種・健康診断に加えて、感染症に伴う学級閉鎖等や、入園(入学)式・卒園式その他これに準ずる式典が追加されています。労使協定で除外できる労働者は、週の所定労働日数が2日以下の人のみになりました。
- 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大。小学校就学前の子を養育する労働者が、請求すれば残業免除を受けられるようになりました。
- 育児のためのテレワーク。3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講ずることが、事業主の努力義務になりました。
- 給付の拡充。出生後休業支援給付と育児時短就業給付が創設されました。
2025年10月1日から
- 柔軟な働き方を実現するための措置が義務化されました。事業主は、3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者について、始業時刻等の変更やテレワーク等といった選択肢の中から措置を講じる必要があります。
テレワークになじみにくい直接介護の職種では、始業時刻の変更や短時間勤務など、現場で実行できる選択肢をどう組み立てるかが検討の中心になります。
育児休業中の人員をシフト制の介護現場でどう回すか
介護現場で育児休業の運用が難しくなるのは、休業そのものよりも、夜勤を含むシフトの穴埋めと、復帰後の勤務条件の調整です。
- 早期に把握する仕組みをつくる。育児休業の申出には法令上の期限があるため、就業規則に明記したうえで、シフト作成のサイクルと突き合わせておきます。妊娠の報告を受けた段階で、産前産後休業から育児休業、復帰までの見通しを一緒に描いておくと、代替要員の手配に余裕が生まれます。
- 夜勤要員の穴埋めを先に設計する。日勤帯より夜勤帯のほうが代替が難しく、残った職員の夜勤回数が増えて連鎖的な離職を招きやすい部分です。法人内での応援、夜勤専従の採用、期間限定の派遣活用などを、休業開始前に決めておきます。
- 産後パパ育休は比較的吸収しやすい。子の出生後8週間以内で28日までという枠なので、シフトの一時的な組み替えで対応できる幅があります。男性職員の取得を最初の一歩にすると、制度が現場に根づきやすくなります。
- 復帰時の希望が重なることを織り込む。復帰後は短時間勤務や夜勤免除の希望が同時期に集中しがちです。育児時短就業給付金が使えることを早めに案内すると、時短を選ぶ職員の収入面の不安を減らせます。
- 復帰後のキャリアを断ち切らない。時短や夜勤免除が「昇格の対象外」と直結する運用になっていないか、賃金制度と評価制度を点検しておきます。
復帰後の働き方については介護職の産休・育休からの復帰|時短・夜勤免除・両立支援と復帰後キャリア戦略、給付と月収の関係については介護福祉士の育休・産休|給付金80%化と復帰後の月収を読み解くで詳しく扱っています。
育児休業と介護休業の違い
同じ育児介護休業法にもとづく休業でも、育児休業と介護休業では期間も給付率も異なります。両方の申出が同時期に出ることもあるため、違いを整理しておきます。
| 項目 | 育児休業 | 介護休業 |
|---|---|---|
| 対象 | 原則1歳未満の子(延長時は最長2歳) | 要介護状態にある対象家族 |
| 期間 | 原則子が1歳になるまで | 対象家族1人につき通算93日まで |
| 分割取得 | 1歳到達日までに2回まで | 3回まで |
| 雇用保険の給付率 | 67%(181日目以降は50%) | 67% |
| 上乗せ給付 | 出生後休業支援給付金(13%)、育児時短就業給付金(10%) | 上乗せの給付はない |
介護側の制度は介護休業給付金とは|支給額の計算式・申請方法・2025年改正をやさしく解説と介護休暇とは|介護休業との違いと取得条件・給付金まで解説で整理しています。
育児休業のよくある質問
Q有期契約のパート職員でも育児休業を取得できますか。
取得できます。育児介護休業法第5条第1項ただし書は、期間を定めて雇用される人について、養育する子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない人に限り申出ができると定めています。契約更新の見込みがある場合は対象になります。
Q人手が足りないことを理由に育児休業を断れますか。
断れません。第6条は、労働者からの育児休業申出があったときは事業主はこれを拒むことができないと定めています。労使協定を締結している場合に、継続して雇用された期間が1年未満の労働者など一定の労働者を対象から除外できる例外があるだけです。
Q育児休業給付金はいくらもらえますか。
休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額の67%が、育児休業の開始から180日目まで支給され、181日目以降は50%になります。休業開始時賃金日額は、原則として育児休業開始前6か月間の総支給額(賞与を除く)を180で割った額です。上限額があり毎年8月1日に改定されます。
Q手取り10割相当というのはどういう意味ですか。
2025年4月に創設された出生後休業支援給付金により、要件を満たすと育児休業給付の67%に13%が上乗せされ、合計80%になります。育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、給付は非課税で雇用保険料の負担もないため、休業前の手取りとおおむね同水準になるという意味です。上限額があることには注意が必要です。
Q時短勤務で復帰した場合に使える給付はありますか。
2025年4月に創設された育児時短就業給付金があります。雇用保険の被保険者が2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業し、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと、各月に支払われた賃金額の10%が支給されます。給付と賃金の合計が時短前の賃金を超えないよう支給率が調整されます。
育児休業の参考資料
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育児休業のまとめ
育児休業は、原則1歳未満の子を養育する労働者が申し出て取得する法定の休業で、事業主は申出を拒めません。有期契約でも、子が1歳6か月に達する日までに契約が満了することが明らかでなければ取得できます。休業中は、育児休業給付金が180日目まで67%、181日目以降50%を支え、2025年4月に創設された出生後休業支援給付金の13%が上乗せされると合計80%、保険料免除と非課税を踏まえて手取り10割相当になります。
2025年には子の看護休暇の拡充、残業免除の対象拡大、テレワークの努力義務化に加え、10月からは3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者への柔軟な働き方の措置が事業主の義務になりました。夜勤を含むシフトで回る介護現場では、代替要員の確保と復帰後の勤務条件をセットで設計することが、制度を絵に描いた餅にしない鍵になります。給付額の上限は毎年改定されるため、金額はハローワークの最新資料で確認してください。
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執筆者
介護のハタラクナカマ編集部
編集部
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